イチジクは挿し木で増やすことができます。土に挿すのが一般的ですが、家庭で少量の場合には水栽培の水挿しでも増やすことができます。ここではイチジクの水挿しの方法や成功率を上げるポイントの他、鉢上げについても説明します。
イチジクの特徴と挿し木の時期
イチジクの基礎知識
イチジクは、落葉性のクワ科イチジク属の植物で、学名はFicus caricaと言います。野菜などと異なり樹木なので多年生ですが、耐寒性がやや弱く、関東より北の露地では地植えでは越冬できないとされています。
イチジクは漢字で「無花果」と書く通り、果実の中に花をもつため、外から花を見ることができません(単為結果により、受粉することなく果実ができます)。品種にもよりますが、長いものでは6月下旬から10月中旬くらいの秋まで収穫できる点も特徴です。
日照時間が長い方が好ましいので、日陰ではなく日当たりのよいところをイチジクの置き場として設定しましょう。樹高は1m〜5m程度になりますが、鉢植えでの栽培の場合は剪定をしっかりと行えば、1.5m程度で育てることが可能です。
学名 | Ficus carica |
---|---|
属名 | クワ科イチジク属 |
原産地 | アラビア南部、南西アジア |
樹高・草丈 | 1〜5m |
耐寒性等 | 耐寒性はやや弱く、温暖湿潤な土地で育ちやすい |
水挿しの時期
さし木などは植物の生育期に行うのが基本です。イチジクの生育期は春から秋。さし木は生育初期の方が成功率が上がるため、3月から4月が適期です。2~3月頃に剪定した枝をつかって挿し木をすることができます。
イチジクの挿し木の手順(水栽培)
さし木の選び方と準備
挿し木は、枝の部分を使ってさし芽にします。さし木にする枝は、できれば前年枝(前年伸びた枝)で、太さ2cm程度の枝を切り取り、節を3~4節残して20cm程度に切り分けます。下の切り口はカッターやナイフなどで、斜めにスパッと切り落とします。(上下を間違わないように注意しましょう)
準備するもの
上記の挿し穂が準備できたら、挿し木を始めましょう。
- イチジクの挿し穂
- 容器(枝が倒れない高さのもの。花瓶やペットボトルなどでも可)
- 水道水
- メネデール or ミリオンA
手順
- 容器に水(水道水)を入れます。水位は節が2節ほどつかるぐらいです。メネデールを使う場合は100倍に希釈した水を使います。ミリオンAを使う場合は、底が見えなくなるぐらい入れます。
- イチジクの挿し木を入れます。
- 発芽するまで1週間に1回に水は変えましょう。(ミリオンAを使っている場合は、水が減ってきたら足しましょう)
- 明るい日陰で室内で管理しましょう。3週間~1か月程度で新しい根っこが生えてきます。
- 根が十分に発根したら、鉢上げして育てましょう。
発根促進剤について
生育期であれば水だけでも発根しますが、発根を早くしたり太く元気な根を促進させるために、発根促進剤も有効です。
植物活力素 メネデールは、発根だけでなく発根時以外の水栽培で元気がなくなったときなどにも使えます。液肥でも農薬でもないためいつでも使うことができます。最初の水挿しのときにメネデールをいれる。また水を交換するときには、メネデールを薄めた水を使うとよいでしょう。
また水挿しのときには、ミリオンAもおすすめです。ミリオンAは、水耕栽培に根腐れ防止剤として使われますが、水挿しの時にも有効です。水や切り口が腐りにくくなるため水の交換が少なくてすみます。発根率をよくするためには実は水の交換は少ない方がよいのですが、暖かい時期は水が傷みやすいので水の交換が必要なので、ミリオンAをつかうことで、発根率も上げることができます。
成功のポイントまとめ
- さし木の時期は、3月~4月
- さし木にする枝は、日当たりの良い場所で育った、前年枝を使う。
- 切り口はスパッと切って、切り口を大きくする。
- ミリオンAや発根促進剤を使う。
- 直射日光には当てない。
鉢上げ(土への植え替え)
根がしっかり伸びてきたら、鉢上げして土に植え替えましょう。根は水や栄養を取るために伸びて生長します。しかし水栽培の場合は根が水に直接ついているため水や栄養を取りやすいので、根が発達しにくくなります。発根状況によりますが、できれば真夏は避け、冬の休眠期に入る前9月上旬までには、鉢上げをしたほうがよいでしょう。
また水で育った根は、うまく土から水を吸い上げられないことがあります。植え替えてすぐは水は切らさずに与え、乾燥したら葉水で水を与えましょう。
準備するもの
- 発根したイチジク
- ポットや鉢(4号鉢程度のもの)
- 用土(赤玉土7・腐葉土3などの配合土)
- 鉢底石
手順
- 鉢の底に鉢底石を入れ、培養土を鉢の3分の1程度入れます。
- イチジクの苗をいれ、根を広げます
- 2の上から用土を入れて、最後に鉢底をトントンと打ち付けてならしましょう。
- 水を鉢底から出るまで与えます。
- 肥料は根付くまで与えません。冬に入ったら肥料は不要なので来年の春から与えましょう。
イチジクの用土・肥料について
ハイビスカスは、水持ちがよく水はけのよい用土を選びます。市販の果樹用の土など便利です。自分で配合する場合は赤玉土小粒7・腐葉土3などの配合がよいでしょう。
根付いたら肥料を与えて育てましょう。肥料の与え方については下記で詳しく説明しています。
まとめ
イチジクは家庭でも育てやすい果樹ですが、庭植えなどではカミキリムシなどの害虫の被害も多いので、挿し木で増やしておくとよいでしょう。水挿しなら土もいらないので、手軽に始めることができます。
イチジクの育て方についてはこちらの記事も参考にしてください。