肥料散布機とは、肥料を散布するための機械および器具のことで、「肥料撒き機」や「施肥機」ともよばれています。広大な畑で使われる大型の肥料散布機のイメージがあるかもしれませんが、実は小規模菜園にぴったりな小型の肥料散布機も存在します。
肥料散布機を使うと施肥作業がぐっと楽になります。しかし、どのような種類があるか知らなかったり、どれが適当か分からないという人もいるのではないでしょうか。この記事では、肥料散布機(肥料撒き機・施肥機)を選ぶための知識とおすすめの製品をご紹介します。
トラクターに取り付ける「けん引式」と「直装式」
大規模圃場では、トラクターに取り付けられた肥料散布機が利用されます。「けん引式」と「直装式」に大別されます。けん引式は、トラクターにけん引されることで回る、肥料散布機の車輪の回転を動力として利用するタイプです。直装式は、トラクターのPTO(Power Take Off)軸に直接装着され、トラクターのエンジン動力を取り出すことで、肥料散布機の動力として利用するタイプです。
また、けん引式と直装式といった分類とは別に、トラクターに取り付ける肥料散布機は、用途や形状によって次の4種類に大別されます。
マニュアスプレッダ
マニュアスプレッダとは、堆肥散布機のことで、堆肥の積み込みと散布に使われます。ベルトコンベア状の堆肥送り装置から、ビータとよばれる羽根状の攪拌散布装置を経て、堆肥が圃場へと散布される仕組みです。マニュアスプレッダで有名なデリカが、製品紹介の動画を公開しており、大変参考になります。
ブロードキャスター
ブロードキャスターは、主に粒状肥料の散布に使われます。元肥の全面散布に利用されることが多いです。円柱型の肥料タンクから圃場へと肥料がばら撒かれます。ブロードキャスターで有名なササキコーポレーションが、製品紹介の動画を公開しており、大変参考になります。
ライムソーワ
ライムソーワ(ライムソワー)は、主に粉状肥料の散布に使われます。もともとは石灰(消石灰)や粉状肥料の施用を目的に開発されたものの、最近では粒状もしくはペレット肥料の施用に使われることもあります。粉状肥料が舞い上がらないように地表から近い位置で投下される点、すじ状に散布される点が特徴です。「グランドソワー」で有名なタイショーが、製品紹介の動画を公開しており、大変参考になります。
スラリースプレッダ
スラリースプレッダは、家畜の糞尿を圃場へ散布する用途で使われます。肥溜めから肥料タンクへと糞尿を汲み上げ、肥料タンクから圃場に投下します。日本の場合、たとえば北海道のように、酪農が盛んで大面積の農地がある地域で使われることが多いです。コーンズ・エージーが、製品紹介の動画を公開しており、大変参考になります。
すいすいラクラク「自走式」と「手押し式」
いずれも車輪がついた農機具のため、手撒きよりもはるかに楽に散布できます。また、労力や速度で優ることに加えて、均一に散布できることも見逃せないポイントです。
自走式
自走式の肥料散布機には、車輪とエンジンが搭載されています。管理機(耕運機)と同じ感覚で使えるので、トラクターを使うほどではないけれど、手撒きではきついという人にもぴったりです。進行に合わせて、粒状肥料がばら撒かれます。車幅が50cm程度なので、畝間を走らせることができ、追肥をする際にも便利に使えます(畑のほか、ハウスや果樹園にも向いています)。「まきっこ」で有名なカンリウ工業が、製品紹介の動画を公開しており、大変参考になります。
手押し式
手押し式の肥料散布機には、車輪がついており、負荷を感じることなく施肥を行うことができます。エンジンは搭載されていないので、馬力や速度では自走式に劣りますが、安価かつ手軽に入手できます。手撒きよりもキレイに均一に撒けるので、小規模菜園や芝生の管理などにもぴったりです。粒剤とともに粉剤にも対応している製品もあり、融雪剤の散布や種まきの用途で利用することも可能です。
小回りがきく「背負い式」
自分の体と一体化するので、意図した操作がしやすく、小回りがきくところが、背負い式の利点のひとつです。一方、人力をともなうため重労働になりがちで、大面積の施肥には向かないところが欠点です。背中にかけるタイプと胸にかけるタイプの代表的な製品をそれぞれご紹介します。
背負式肥料散布機(さんすけ)
背中にかけるタイプです。化成肥料はもちろん、油粕などの有機肥料も使用できます。肥料タンクからホースを経て落下する粒状肥料を圃場へとばら撒きます。
「さんすけ」が特に有名です。オプションのアタッチメントとして、車輪のついたノズル、穴あけ用の刃がついたノズルがあります。車輪のついたノズルを用いることで筋まきに利用でき、穴あけ用の刃がついたノズルを用いることで壺肥にも利用できる優れものです。向井工業が、製品紹介の動画を公開しており、大変参考になります。姉妹製品の「サンプキング」、ヤマト農磁の「グリーンサンパー」も有名です。
手動散粒機
胸にかけるタイプです。ハンドルを手回ししながら圃場を歩くことで、肥料をばら撒きます(乾電池を利用する電動タイプも存在します)。広い面積に対して、少量の粒剤を散布する場合にも便利です。除草剤などの散布や種子を播く用途でも利用されます。工進(KOSHIN)が製品紹介の動画を公開しており、大変参考になります。工進(KOSHIN)のHD-8という製品は、コンパクトながら容量にして8リットル、重量にして15kgまで粒剤を入れることができます。みのる産業の「均太」や丸山製作所の散粒機も有名です。
液体肥料の散布はどうするの?動力噴霧機とスプレイヤー
液体肥料については、上記で紹介した肥料散布機では対応ができません。農薬を散布するときと同様に動力噴霧機などで散布する必要があります。
大規模に散布したい場合には動力噴霧器、家庭菜園や市民農園レベルの場合はスプレイヤーやジョウロが良いでしょう。ご家庭の庭では特にスプレイヤーが便利です。
液体肥料の散布をさらに便利にしてくれる道具としてスプレイヤーというものがあります。スプレイヤーとは、普段の散水、潅水に使用しているホースの先端に液体肥料を充填したボトルを取り付けることによって、散水をしながら肥料も同時にあげることができる優れものです。スプレイヤーの使用には以下のメリットがあります。
- 散水と同時に肥料をあげることができ、省力化につながる
- スプレイヤーに希釈倍率を調整する機能があるので、事前に液肥を希釈する手間がなくなる(スプレイヤーの希釈倍率の幅によっては、事前の希釈が必要)
肥料散布機の価格
一概に言えない部分もありますが、高価な順に次のようになることが多いです。高価なものでは数百万円、安価なものでは数千円です。
- 「けん引式」と「直装式」
- 「自走式」と「手押し式」
- 「背負い式」
また、後述もしますが、高価な農機を購入する際には、「ヤフオク!」や中古農機取扱店を利用する方法もおすすめです。新品であればなかなか手が出しづらい価格であっても、中古で安価に購入できる場合があります。ぜひ一度、「ヤフオク!」や中古農機取扱店のwebサイトものぞいて見ましょう。
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同じものを購入するのであれば、できるだけお得にと思うのが人の心。肥料散布機をお得に購入する方法をご紹介します。
通販で購入する
上記で紹介した肥料散布機は、ホームセンターなどの店舗でも販売されています。店舗で実物をみて購入することも良いことですが、「その店舗での取り扱いがない」ことや「そもそもその商品がホームセンターなどの小売店で販売されていない」ことも多いです。時間とお金を節約するため、積極的に通販(インターネットショッピング)を利用しましょう。今ではAmazonや楽天市場など様々なECサイトで農業・園芸用品が取り扱われています。店舗よりも安く購入できる場合も多いですので、一度のぞいてみましょう。ポイントが貯まるのも嬉しい点です。
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まとめ
肥料散布機の他にも、さまざまな農機具があります。その他の農機具、耕運機や草刈機についても興味ある方は、下記の記事も参考にしてみてください。