松には肥料が必要です。冬に緩効性肥料を与えるのが最適で、品種別のおすすめの肥料や、やり方、時期、注意点を紹介しています。
松に肥料は必要?
松は乾燥に強く、腐葉土の少ないやせ地や砂利の多い土でも枯れることなく生育できます。また、松は根に菌根菌というキノコの仲間を住まわせ、水や栄養分を吸収するのを助けてもらうかわりに、菌根菌に対しては光合成によって生産した糖分などを与える共生関係を築いています(代表的な菌根菌が、マツタケです)。この共生関係のおかげで、松はやせ地や砂利の多い土でも枯れることなく丈夫に生育しますが、観賞用の植木などで葉色を濃くしたい場合や、葉が黄ばんだ元気の無い松を回復させる場合などには施肥が必要になります。
松の肥料をやる時期とやり方
松の肥料をやる時期
庭木の松に肥料のやる時期は、基本的には冬(1月〜2月)が最適です(ただし、盆栽は異なります。盆栽は、休眠期の冬に施肥するのではなく春〜秋に施肥をするのが一般的です)。冬場は松の根が休眠状態に入っているため、土の入れ替えに適している時期なのです。この時期の施肥は寒肥、元肥などとも呼ばれます。
松の肥料のやり方
基本
庭木の松に肥料をやるときは、基本的には穴を10〜20cm程度掘り、そこに肥料を施します。樹木の場合、養分は根の先から吸収されるため、根の先に穴を掘り肥料を施します。以下に肥料のやり方の基本的な流れを説明します。
- 枝先に沿って樹木の周囲に何箇所か、10〜20cm程度穴を掘ります。
- 穴を掘ったときの土に肥料を混ぜ込みます。
- 穴に土と肥料を混ぜ込んだものを戻します。
肥料を「打込む」方法も!
「穴を掘って肥料を混ぜ込んで戻す」という基本のやり方を説明しましたが、その手間を減らすことができる肥料もあります。それは「打込み型肥料」というものです。
打込み型肥料は地面に打ち込むことで肥料成分を土壌の深層にまで浸透させ、樹木の根周辺に栄養を補給し、根から栄養をしっかりと吸収させることで樹勢や根張りを促進して元気にします。また、効果が長持ちで年間1回の施肥で1年ほど効果が持続します。
品種別の松の肥料
五葉松におすすめの肥料
冬場に与える肥料は緩効性肥料(肥効がゆっくり溶け出し持続する)が良いでしょう。冬場の間に時間をかけて分解され、根が動き出す春には土全体に栄養が行き渡ります。速効性肥料とは違い、ゆっくりと分解されることで根に負担もかかりづらくなっています。
五葉松の肥料としては、上記で紹介した「打込み型肥料 グリーンパイル」をオススメします。効果的な肥料を手軽に施すことができます。
黒松(クロマツ)・赤松(アカマツ)などには?
黒松(クロマツ)、赤松(アカマツ)、リュウキュウマツ、ハイマツ、チョウセンゴヨウなど、日本には五葉松も合わせて6種類ほど自生しています。
これらの松には、上記で示した五葉松の肥料と同様に施肥することがおすすめです。
松の肥料のおすすめ商品一覧
庭木の松に施肥する場合に、手軽に使えるおすすめの肥料をご紹介します。
玉肥
「玉肥」は、玉状に固められた緩効性の有機肥料です。主原料として、油粕や骨粉などが用いられています。雨水や潅水により、成分が少しずつ周囲の土壌へと溶け出します。盆栽や鉢植えでの栽培で使われるイメージも強いですが、植木や庭木に使用することも多いです。十分に発酵されていない有機肥料(鶏糞など)を散布すると臭いがしたり、病害虫が発生する原因にもなりますので注意しましょう。
マイガーデン粒状肥料
「マイガーデン粒状肥料」は、住友化学園芸が製造する肥料です。栄養分を効率よく吸収させるすぐれた腐植酸入り緩効性肥料として特許を取得しており、植物が肥料を吸収しやすくする働きや、土壌の保水性、通気性を高めるなど、土に活力を与える作用がある腐植酸をブレンドしています。窒素・リン酸・カリウムもバランスよく配合されているため、冬の時期に寒肥としてマイガーデン粒状肥料を根元付近の土へと散布することで、活力ある濃い葉色につながるでしょう。メーカーの推奨施肥量は、10平方メートルあたり1.5kgです。
グリーンパイル
「グリーンパイル」は、ジェイカムアグリが製造する肥料です。公園・街路・ゴルフ場・庭などの樹木に対して用いる、棒状の打ち込むタイプの肥料で、造園の施工で樹勢を回復させる目的でよく使われる資材でもあります。グリーンパイルには、樹木の生育にとって理想的なバランスで窒素・リン酸・カリウムが配合されており、樹木の根元に打ち込むことで、成分が土壌の深層までしっかりと浸透し長持ちします。
肥料ではないけどもおすすめの商品!スーパーバイネ
肥料ではありませんが、五葉松など松の樹に対して使える「スーパーバイネ」という活力剤もおすすめです。健康維持、樹勢回復に効果があり、肥料と合わせて使用すると効果的です。
例えば、松の黄化に対して、スーパーバイネと打ち込み型肥料「グリーンパイル」を使用することで回復した事例もあります。樹が弱る、樹勢が落ちる、黄化などの症状が出始めたら、ぜひ「スーパーバイネ」と「グリーンパイル」を組み合わせて使用してみてください。もちろん、樹が弱る前に定期的に施肥をすることが、綺麗な緑色を保ち続けてくれる秘訣です。
残念ながらスーパーバイネは製造・販売終了した模様です。樹勢回復に使用していただけに残念です。代わりに「アクアリフトT」という製品も樹勢回復に使用できます。
松の肥料の購入
店舗で購入する
上記で紹介した松の肥料は、一般的な大規模ホームセンターでも販売されています。ただし、松に特化した専門肥料はコメリなど、農業・園芸に特化したホームセンターにしかない場合があります。また、ダイソーにも販売されていることがありますが、取り扱いのない店舗も多いようなので注意が必要です。
通販で購入する
店舗で実物をみて購入することも良いことですが、「その店舗での取り扱いがない」ことや「そもそもその商品がホームセンターなどの小売店で販売されていない」ことも多いです。時間とお金を節約するため、積極的に通販(インターネットショッピング)を利用しましょう。今ではAmazonや楽天市場など様々なECサイトで農業・園芸用品が取り扱われています。店舗よりも安く購入できる場合も多いですので、一度のぞいてみましょう。
松(松の木)とは
松の仲間は乾燥に強く、水や栄養分の少ないやせ地のような土壌でも生育できるため、北半球を中心に広く世界に分布しています。そのうち日本には、アカマツ、クロマツ、ゴヨウマツ、ハイマツ、リュウキュウマツ、チョウセンゴヨウの6種が自生しています。とりわけ身近なのは、次の3種ではないでしょうか。
アカマツ(赤松)
九州から本州まで広く生育します。その名の通り、樹皮が赤っぽいことが特徴です。常緑(年間を通じて落葉したり枯れることがない樹)で、葉が柔らかいことからメマツ(雌松)と呼ばれることもあります。また、種子を含んだ球果であるマツボックリが広く知られているほか、マツタケがアカマツ林で発生することもよく知られています。
クロマツ(黒松)
九州から本州まで広く分布し、北海道の一部にも生育します。その名の通り、樹皮が黒っぽいことが特徴です。常緑(年間を通じて落葉したり枯れることがない樹)で、葉が硬いことからオマツ(雄松)と呼ばれることもあります。クロマツは耐潮性が高いため、防砂林として海岸線に植え付けられることも多いです。松を枯死させるマツノザイセンチュウから防砂林を守るため、殺虫剤を散布し駆除している光景を見たことがある人もいるのではないでしょうか。
ゴヨウマツ(五葉松)
日本原産で、九州から北海道の山地に生育します。アカマツやクロマツが1カ所に2枚の葉がつくのに対し、ゴヨウマツは1カ所に5枚の葉がつくことが五葉松の名前の由来となっています。また、樹齢も長く、葉が小さくて密につくので、庭木として植える目的や盆栽として育てる目的でも高い人気を誇ります。