液体肥料とは
有機液体肥料とは
液体肥料は、その製造や性質、品質の保証の観点から化成肥料であることがほとんどです。有機液体肥料とは、化学成分を配合した化成肥料ではなく砂糖を搾り取ったあとのサトウキビを発酵させて作るなど動植物を原料とした液体肥料です。
有機液体肥料は、
- 砂糖を搾り取ったあとのサトウキビを発酵させて作る
- 海藻や独自の酵素などを組み合わせて作る
など、製品によって様々な原料で作られています。
有機液体肥料のメリットとしては、
などがあります。デメリットとしては、臭いが強いものも多いため庭や室内での使用は難しいという点です。
根強い人気がある商品として万田発酵の「万田アミノアルファプラス」という液体肥料があります。万田酵素は皆さん聞き覚えのある商品名だと思いますが、「万田アミノアルファプラス」はその万田酵素を開発する過程で培ったノウハウを活かして製造されたものになります。果実類、根菜類、穀類、海藻類など数十種類の植物性原材料を使用した液体肥料で、生育の促進、増収・品質向上に繋がるそうです。
液体肥料の作り方・使い方の基本
作り方
まず液体肥料には2つのタイプがあります。
- そのまま希釈せずに使用するタイプ(ストレートタイプ)
- 定められた希釈率で液肥を薄めるタイプ
ストレートタイプのものは、そのまま使用できるようにすでに希釈されていますのでそのまま散布しましょう。希釈するタイプのものには2つあり、
- 液状タイプ
- 粉末タイプ
があり、どちらも水で希釈します。
希釈倍率はその製品によって異なるため、必ず製品のラベルをよく読んで確認しましょう。例えば、1000倍希釈で10L分の希釈済みの液肥(希釈液)を作りたい場合には、下記の要領で希釈します。
使い方
液体肥料のやり方は2つあります。
- 土壌散布する方法
追肥として定期的に施肥をする場合のやり方 - 葉面散布する方法
欠乏症の改善など一時的、かつ葉や果実にすぐに効かせたい場合のやり方
それぞれの場面に合わせた使い方をしましょう。また、液体肥料には葉面散布できるものとできないものがありますので、必ずその製品のラベルをよく確認してください。
土壌散布も葉面散布もジョウロやスプレーなどで希釈した液体肥料を散布すると良いでしょう。
スプレイヤー
液体肥料の散布をさらに便利にしてくれる道具としてスプレイヤーというものがあります。スプレイヤーとは、普段の散水、潅水に使用しているホースの先端に液体肥料を充填したボトルを取り付けることによって、散水をしながら肥料も同時にあげることができる優れものです。スプレイヤーの使用には以下のメリットがあります。
- 散水と同時に肥料をあげることができ、省力化につながる
- スプレイヤーに希釈倍率を調整する機能があるので、事前に液肥を希釈する手間がなくなる(スプレイヤーの希釈倍率の幅によっては、事前の希釈が必要)
栽培方法・作物別の液体肥料
液体肥料は、様々な栽培方法や作物に対応しており、幅広く使うことができるとても便利な肥料です。栽培方法・作物別に液体肥料の特徴と使い方を解説します。
水耕栽培用の液体肥料
液体肥料が最も使用される栽培方法として水耕栽培があります。
水耕栽培は、土を使わず「水で栽培をする方法」を指します。水耕、水栽培などとも呼ばれます。水耕栽培は、野菜だけでなく果物や花など、様々な植物を衛生的簡単に育てることが可能です。プロの農家だけではなく、家庭菜園・園芸でも人気の栽培方法で、最近では室内やベランダなどで簡単にできる水耕栽培キットが人気です。
水耕栽培は、化成の液体肥料を使用することが基本です。水耕栽培用の液体肥料としておすすめする製品・シリーズは下記のものがあります。
ハイポニカ液体肥料は、水耕栽培のシステムであるハイポニカ用に作られたシリーズです。ハイポニカの水耕栽培システムだけではなく、家庭菜園などにも気軽に使うことができます。
ハイポネックスシリーズは、水耕栽培に適している「微粉ハイポネックス」をおすすめします。水で薄めて与える速効性の肥料で、特に植物の根を丈夫にするカリウム(加里)が多く含まれ、植物に活力を与え、強健な植物の生育に効果的です。
私は、ペットボトル栽培に「微粉ハイポネックス」を使用しています。ペットボトルに水を入れて、微粉ハイポネックスを入れるだけですぐに溶けるため扱いやすいです!
土耕栽培の万能液体肥料
土耕栽培用の液体肥料は栽培作物や栽培場所(鉢、プランター、庭、菜園、ハウス栽培など)、栽培方法によって、様々な種類のものがあります。
たくさんの種類から選ぶのは難しいですよね。そのようなときには、園芸用の液体肥料として最も人気があり、幅広い作物に対応している液体肥料「ハイポネックス原液」がおすすめです。野菜や草花、バラ、多肉植物、芝生など幅広く対応しています。成分的にも窒素、リン、カリウム(加里)のバランスもよく、植物が育つための養分を補うことができます。家庭菜園や園芸に慣れてきたときに下記で解説している専用肥料に手を出してみると良いでしょう。
観葉植物用の液体肥料
ベランダや庭先、室内で育てているバラ、朝顔、シクラメンなどの花に有効な液体肥料もあります。「花にも栄養が必要なの?」と思われる方もいらっしゃいますが、綺麗な花を継続して咲かせるためには土壌に栄養分が多く含まれていて、それを植物が吸い上げなければなりません。
液体肥料には、花木・草花用にN(窒素)、P(リン)、K(カリウム・加里)が調整されているものもあります。花用の液体肥料はつるボケ防止や花の開花促進のために窒素が低めでリンが高めのものが多いです。花を咲かせないものに関しては逆に窒素を多めに調整している液体肥料を使うことで、鮮やかな緑に仕上げることができます。
また、観葉植物にもアブラムシなどの害虫がつきます。農薬を別に散布するのではなく液体肥料と同時に与えることができるのが「ハイポネックス原液 殺虫剤入り」です。アブラムシ類に効果がある殺虫成分ジノテフランを含んでおり、根から吸収されて植物全体に行きわたり効果が持続するのが特徴です。アブラムシによる被害を簡単に抑えたい方は、この液体肥料が有効です。
観葉植物全般の液体肥料
花の開花促進用の液体肥料
殺虫剤入りの液体肥料
花(朝顔・シクラメンなど)
朝顔もシクラメンも花を多く咲かせるため、肥料が切れないように液体肥料を与えることが必要です。目安としては非休眠の時期(花を咲かせる時期)や本葉が出始めるころに、1〜2週間に1回ほどの間隔で液体肥料をやると良いでしょう。先述した「ハイポネックス原液」も使用できます。朝顔とシクラメンを一例に肥料のやり方をまとめましたので参考にしてください。また、小さい苗にも安心して使用することができます。
植物 | 肥料のやり方 |
---|---|
朝顔 | 本葉が出始めてから1週間に1回「ハイポネックス原液」を希釈して散布 |
シクラメン | 秋〜初夏は、ハイポネックス「キュート シクラメン・ベゴニア用」専用肥料を週に1回程度投与。 夏の非休眠株は2週間に1回「ハイポネックス原液」を希釈して散布(※休眠株には必要ありません。) |
バラ
バラなどの花木も綺麗な花を咲かせるためには、施肥が必要です。バラ用として調整された液体肥料もあるので効果的に使用しましょう。液体肥料は、速効性があるため植物にすぐ効きますが、その分植物の調子をコントロールすることも難しくなります。気になる方は、肥料のあげすぎに注意しながら、土に有機質肥料やIB化成肥料などを混ぜ込んだ上で液体肥料を使用することもおすすめです。
バラの液体肥料としてはハイポネックスの「ハイグレードバラ」や住友化学園芸の「マイローズばら」がおすすめです。鉢植えの場合は、固形肥料の「バラ専用置肥」などもあります。下の記事にバラ栽培向けの肥料について詳しく解説していますので、一度ご覧ください。
野菜栽培(トマト・ミニトマト・キュウリなど)用の液体肥料
野菜栽培用の液体肥料も数多くの種類があります。特にプロ農家の場合は単肥(肥料の成分が1つしか含まれていない)を独自に配合して液体肥料(液肥)を作るなど、奥が深い分野となります。園芸用にはすでに調合された液体肥料を使うことで安心して栽培をすることができます。
トマト、ミニトマト、キュウリなど、様々な野菜に対応しているのが「ハイポネックス原液」です。追肥として、1週間に1回ほど土壌散布すると良いでしょう。ハイポネックス原液を追肥として散布する場合には、固形肥料の土壌への投与は必要ありません。化成の固形肥料などを散布した上で、液体肥料を散布すると過剰になってしまいますのでご注意ください。また、
- 液体肥料は元肥としては使用できない
- 液体肥料は速効性があり、持続性がない
ことを忘れずに、追肥として継続的に施肥していくことが必要です。あくまで追肥としての使用となりますので、野菜の苗を植える前には必ず元肥などを入れて土作りをしてください。鉢植やプランター栽培も同様に長く効く肥料を元肥として土に混ぜ込んで置くと良いでしょう。
また、「ハイポネックス原液」は栽培中の追肥だけではなく、苗の育苗期間中にも使用することができます。
芝生用の液体肥料
芝生にも、液体肥料は有効です。液体肥料の場合、1〜2週間に1回ほどの間隔で土壌散布すると良いでしょう。液体肥料の場合、一定間隔で土壌散布し続けなければならないことや液体肥料だけでは補えない成分があることから、粒状の固形肥料をベースに使用して液体肥料を追加で使用するとさらに栽培が楽になると思います。液体肥料としては先述した「ハイポネックス原液」や「芝生の液肥」、メネデールの「芝肥料原液」がおすすめです。
成分別の液体肥料
先述したとおり、液体肥料は速効性の肥料であるため植物や栽培作物の成長に不足している成分をすぐに補うことができます。液体肥料で補う成分として2つの例をとりあげますので、植物や栽培作物の成長の過程で下記2つの成分の栄養不足の兆しが表れた場合には、液体肥料の散布を検討してみてください。
カリウム(加里)液体肥料
カリウム(加里)は、不足してくると葉の先端や葉脈が黄色くなったり(黄化)、茎が壊死したりします(※植物によって反応は異なります)。またカリウム(加里)をしっかりと与えることで、うどんこ病などの病害虫による被害も減り、減農薬にもつながります。
ケイ酸カリウム(ケイ酸加里)が含まれた液体肥料などカリウム(加里)が含まれた液体肥料を土壌散布、もしくは葉面散布することが有効です。
ケイ酸カリウムの液体肥料としては、トマトやキュウリ、イチゴなどの果菜類から、花、水稲、果樹、芝生まで使用できる清和肥料工業の「エーワン・シリカ3号」があります。
亜リン酸とカリウム(加里)が含まれた液体肥料としては、カリウムの効果だけではなくリン酸の効果で開花・着果促進も促してくれるサカタのタネ「ホストップ」があります。
カルシウム液体肥料
作物を栽培する上でカルシウムも不足しやすい養分の一つです。カルシウムが不足すると新葉の壊死や生長点の発育停止、果実の尻腐れなどが発生します。基本的には土壌に石灰質肥料を散布することで欠乏を防ぎますが、それでも欠乏症が発生する場合にはカルシウム入りの液体肥料の土壌散布・葉面散布が有効です。特にカルシウムは植物体内の移動がしづらい養分の一つであるため、果実や葉に直接葉面散布することが有効です。
葉面散布もできるカルシウム液体肥料としては、アミノール化学研究所の「カルシウムエキス」や日本曹達(日本ソーダ)の「カルクロン」があります。
液体肥料のおすすめ商品一覧
ここまで様々な角度から液体肥料を解説しました。液体肥料には栽培方法や成分などによって様々な種類があることがわかったと思います。その中でも園芸用品として自信を持っておすすめできる商品を3つ紹介します。
ハイポネックス
ハイポネックスの液体肥料は、ハイポネックス原液の万能さ、専用液肥の種類の豊富さからとてもおすすめできる商品シリーズです。特にハイポネックス原液は多くの植物に適用することができ、これ一本で野菜からガーデニングまでできるため、一家に一本置いておきたい液体肥料です。
マイローズ ばらの液体肥料
バラの液体肥料としておすすめできる商品は「マイローズ ばらの肥料」です。マイローズシリーズは住友化学園芸がバラのために取り揃えている商品シリーズで、病害虫対策の農薬や肥料などすべてをセットにして考え抜かれているシリーズとなります。
「マイローズ ばらの液体肥料」も下のメリットがあり、とてもおすすめできる商品です。
- 天然有機の働きにより、有用微生物が活性化されて土壌中の菌類バランスが整い、土質が改善される
- 天然有機入りだが、有機特有の臭いが少なく手軽に使える
らくらく液体肥料スプレイヤー
液体肥料の散布をさらに便利にしてくれる道具としてスプレイヤーというものがあります。その中でもおすすすめの商品が「らくらく液体肥料スプレイヤー」です。シャワーノズル、ON/OFFのスイッチ機能付きでとても便利な商品となっています。また、希釈倍率早見表が付いているので、希釈倍率の設定も安心です。
液体肥料の購入方法
店舗で購入する
上記で紹介した液体肥料やスプレイヤーは、一般的な大規模ホームセンターでも販売されています。ただし、カルシウム液体肥料などの専門肥料はコメリなど、農業・園芸に特化したホームセンターにしかない場合があります。
また、ダイソーにも液体肥料が販売されていることがありますが、取り扱いのない店舗も多いようなので注意が必要です。
通販で購入する
店舗で実物をみて購入することも良いことですが、「その店舗での取り扱いがない」ことや「そもそもその商品がホームセンターなどの小売店で販売されていない」ことも多いです。時間とお金を節約するため、積極的に通販(インターネットショッピング)を利用しましょう。今ではAmazonや楽天市場など様々なECサイトで農業・園芸用品が取り扱われています。店舗よりも安く購入できる場合も多いですので、一度のぞいてみましょう。