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ぼかし肥料

簡単・有機肥料、ぼかし肥料とは?基礎知識とその効果

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この記事では、自分で簡単に作ることができる有機肥料ぼかし肥料の基礎知識とその効果について、わかりやすく解説します。

ぼかし肥料とは

ぼかし肥料とは、油かす米ぬか、籾殻(もみ殻)、鶏糞(鶏ふん)など複数の有機質資材を配合させたものに土(土着菌)や発酵促進剤などを加えて、発酵させた肥料のことを指します。昔は有機質を土などで肥料分を薄めて肥効を「ぼかす」としていたことから、ぼかし肥料という名前がついたと言われています。

ぼかし肥料は、昔の農家では自分たちで独自で作っていましたが、化学肥料が発明されて窒素リン酸カリウム(加里)などの養分が手軽に補えるようになったことから、製造、使用されることも少なくなりました。しかし、近年は可能な限り化学肥料を使わない栽培方法(特別栽培や有機栽培)が人気となり、再び「ぼかし肥料」に注目が集まっています

発酵させることにより、有機肥料(有機質肥料)に比べて植物が吸収することができるアンモニア態窒素硝酸態窒素に無機化されるため、施してからすぐに肥料が効き始める速効性が備わっています。緩効性、遅効性という有機肥料の特長に、速効性を併せ持つことによって、より使い方の幅が広がる肥料となっています。

また、自分でぼかし肥料を作ることもできます。正直、良質なぼかし肥料を作るのは結構難しく手間のかかる作業なので、家庭菜園や園芸などで有機栽培に挑戦されたいという方は購入されることをおすすめします。

ぼかし肥料の効果・特長

ぼかし肥料の特徴と効果、メリットについては、以下のことが言えます。

  • 原料に有機質資材を使用することで、窒素・リン酸・カリウム(カリ)の三大要素を補うだけではなく、二次要素(多量要素)や微量要素、アミノ酸などの補給効果も期待できる。
  • 有機質資材を発酵させることで、効き目がすぐに現れやすい緩効性、遅効性という有機肥料の特長と化学肥料と同じような速効性を併せ持つことによって、追肥として使える
  • 有機質資材を微生物が分解するときに起こる発熱や有害物質による影響のリスクを小さくできる。
  • 土壌の物理性や生物性が改善できる。
  • 有機質肥料(堆肥など)の場合、植え付けや播種(種まき)の2週間以上前に混ぜ込んで微生物による分解が必要だが、発酵済みのぼかし肥料はすでに分解が進んでいるため、熟成済みの場合は散布してからすぐに植え付けや播種ができる
  • 化学肥料(化成肥料)ではないので、有機肥料を使った栽培に向いている。

有機質資材(堆肥やその他有機質肥料)は、一般的に微生物に分解される事によって植物が吸収されやすい状態に変化し、栄養分として取り込まれます。

微生物による分解は、その有機質資材の性質によりますが時間がかかるため、植物に吸収されるまでに時間がかかります。また、使用方法によっては、微生物が分解をする際に発生する熱や有害物質によって、根が傷んでしまう可能性もあります。

ぼかし肥料は、発酵させることにより、有機肥料(有機質肥料)に比べて植物が吸収することができるアンモニア態窒素、硝酸態窒素に無機化されるため、施してからすぐに肥料が効き始める速効性が備わっています。緩効性、遅効性という有機肥料の特長に、速効性を併せ持つことによって、より使い方の幅が広がる肥料となっています。

また、すでにある程度発酵が進んでいるため、微生物の分解による影響を少なくできます。微生物が住み着いていることと、有機物資材を使用しているということから、土壌の物理性(団粒構造)や生物製の改善の効果も期待できるでしょう。

ぼかし肥料の簡単な作り方・手順

ぼかし肥料の作り方は、原材料や発酵の仕方、発酵に使う菌の種類によって、細かな違いがあります。ぼかし肥料の製造は、感覚的に行われる部分も多いです。例えば、発酵が進んでいるか、終わったか、成功したかなどを判断するためには、見た目(白カビの生え具合など)や匂いの情報が大事になってきます。

一般的な米ぬかぼかし肥料の簡単な作り方を紹介します。

ぼかし肥料を作る前に用意したいもの

ぼかし肥料を作るにあたって、原材料や発酵菌などが必要になることはすでにお分かりいただけたと思いますが、その他にも必要なものがあります。下記を例に、ぼかし肥料づくりの準備をしてください。

  • スコップ、移植ゴテなど
  • ビニールシート(原材料と発酵菌の混合などに使用)
  • 衣装ケース、発泡スチロール、ジップロック、ビニール袋など(限られたスペースで発酵を進める場合)

上記のものに加えて、pH計やEC計などがあると、発酵の目安や含有されている養分濃度の確認ができるので便利です。

米ぬかぼかし肥料の簡単な作り方

米ぬかぼかし肥料は、好気性発酵でも嫌気性発酵でも作ることができます。どちらが良いか?という議論はよくあるのですが、難しい化学の話となるため今回は省略します。

嫌気性発酵でも好気性発酵でも得られる肥効(肥料の効果、養分)はほぼ同じです。今回は、好気性発酵の場合では必要となる切り返しなどの作業が不要で手間がかからず、効率よく微生物を増やすことができる発酵促進剤を使った嫌気性発酵での作り方を紹介します

米ぬかぼかし肥料を作るときに用意するもの

米ぬかぼかし肥料の原材料例

材料使用割合(米ぬかを100%としたとき)
米ぬか100%10kg
油かす約30〜40%3.5kg
貝化石カキ殻石灰)約30〜40%3kg
米ぬかぼかし肥料の原材料例

米ぬかぼかし肥料のその他材料

材料使用割合例(原材料合計16.5kgの場合)
原材料合計量の約10〜20%1.65〜3.3L
発酵促進剤
(例:コーランネオ
原材料合計量の約20%約300g
米ぬかぼかし肥料のその他材料
発酵促進剤コーランネオ1kg(園芸用品 農業資材 家庭菜園 農業用品 園芸 農業 資材 ガーデニング用品 ガーデニング 農業用 農業道具 園芸用 園芸用具 園芸道具 日本農業システム楽天市場店 園芸資材 農作業 農業用資材 グッズ)
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米ぬかを使ったぼかし肥料の作り方手順(嫌気性発酵の場合)
  • 手順1
    米ぬかなど原材料と水の混ぜ合わせ

    米ぬかなど原材料と水を混ぜ合わせます。

    米ぬかぼかし肥料を作る手順を示したイラストです。手順1:米ぬかや貝化石、魚かすなど原材料と発酵促進剤をブルーシートの上でよくかき混ぜます。
    米ぬかぼかし肥料を作る手順を示したイラストです。手順2:水をジョウロなどで注ぎながらかき混ぜます。
    1. まず最初に米ぬかなどの原材料と発酵促進剤をビニールシートなどの上に広げます。
    2. その上から水をジョウロなどで加えながら、水分が均等になるように混ぜ合わせます。
    3. 水分量は混ぜ合わせながら加減をします。目安は混ぜ合わせた材料を強く握るとだんご状になり、軽い力で崩れるくらいが良いです。水のあげすぎには要注意です。
    水分が多すぎるかも…と感じたときは

    米ぬかなど乾燥しているものを追加して、水分量を調整します。

  • 手順2
    容器への格納

    混ぜ合わせた米ぬか等を厚手のビニール袋や発泡スチロールの箱、フタのできるプラスチック箱、バケツなどの容器に入れ、口をしっかりと閉め、密閉状態にします。

    嫌気性発酵をするため必ず空気に触れないように密閉してください。量が少ない場合はジップロックなどで作られる方もいるようです。

    しっかりと密閉し、可能な限り空気に触れさせないようにすることが成功のコツです。また、密閉前には可能な限り空気を抜きましょう。

  • 手順3
    保管・発酵

    平均気温の積算温度(作った日から日平均の気温を足し算した数値)が600℃以上(平均気温を20℃と考えると30日前後)になると発酵期間終了の目安です。一般的に発酵期間は長ければ長いほどよいと言われています。

  • 手順4
    完成の確認

    ぼかし肥料完成の判定基準としては下記2点があります。腐敗臭がした場合や青カビで埋め尽くされてしまった場合は密閉度が悪かったりして失敗した可能性があるので土壌に埋め戻すか、一部を使って再度発酵させましょう。

    1. pH(酸性度)が5以下になった
    2. 甘酸っぱい匂いがする
  • 手順5
    保管

    保管は密閉したそのままの状態を保ち続けます(嫌気性発酵の場合は、一度でも開けてしまうと空気に触れてしまうため保管が難しくなります)。1日の温度変化が少ない暗いところで保管してください。

    長期に渡って使用し続けたい場合というときには、風の通しの良い日陰に完成したぼかし肥料を広げて乾燥させましょう。乾燥させると微生物による発酵も止まり保存が可能となります。乾燥させたものは袋に入れるなどして保管しましょう。但し、肥効の低下やカビの発生などのリスクがありますので、半年以内に使い切ることをおすすめします。

    ぼかし肥料を乾燥させるときには塊をなるべく砕きましょう。乾燥が不十分だと、カビや虫が発生しやすくなります。

その他ぼかし肥料の簡単な作り方

ぼかし肥料には、米ぬかぼかし肥料のほかにも、籾殻ぼかし肥料EMぼかし肥料生ゴミぼかし肥料など、使う材料や発酵菌、発酵のさせ方の違いでいろいろなものがあります。

下記の記事に、各ぼかし肥料の作り方を簡単にまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

ぼかし肥料の使い方

ぼかし肥料は、元肥・追肥として使用することできます。ただし、ぼかし肥料は速効性を兼ね備えているとともに窒素も多く含まれているため、使い方には注意が必要です。効かせすぎると樹勢が強くなりすぎたり、病害虫による被害を受けやすくなったりします。

私の印象ですが、速効性があるので、追肥として使用するほうが栽培しやすいかもしれません。元肥として使用して定植後に樹勢が強くなりすぎてしまう方を多く見てきました。

また、ぼかし肥料は、原材料によって成分が異なります。そのため、一概に「どの程度撒けばいいか」ということが言えません。含まれている成分と土壌、作物の様子を見ながら、少量から施していくと良いでしょう。

執筆者・監修者情報
執筆者・監修者

農家web編集部のメンバーが「農業者による農業者のための情報サイト」をコンセプトに、農業に関するあらゆる情報を丁寧にまとめてお届けしていきます。
編集部のメンバーは皆、実際に農業に携わりながら情報をまとめています。農学を極め樹木医の資格を持つ者、法人の経営・財務管理に長けている者、大規模農場の営農経験者などバラエティに富んだメンバーで構成されています。他にも農機具やスマート農業機器、ITなどのスキルも兼ね備えています。

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