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農家の節税対策 小規模企業共済と農業年金について

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小規模企業共済は、国が作った退職金制度で、個人事業主の農家でも節税しながら将来に蓄えることができる制度です。ここでは小規模企業共済の仕組や加入方法の他、農業年金との違いや関係についても説明します。

小規模企業共済とは

小規模企業共済とは、国が作った個人事業主、小規模企業の経営者向けに作った積み立てによる退職金制度です。多くの会社員は勤めている会社から退職金がでますが、個人事業主の農家は自分で積み立てておく必要があります。

小規模企業共済は、農家のような個人事業主や小規模企業の役員が積み立てした資金を運用し、退職や廃業したときに退職金として加入者に払い出しします。

加入資格

農家の場合の加入資格は、下記のとおりです。年齢制限はなく幅広い人が加入しやすい制度です。

  • 個人事業主(個人で農業を営んでいる方・給与所得のある兼業農家は不可)
  • 農業の経営を主として行っている農事組合法人の役員(常時使用する従業員の数が20人以下)

掛金

月額1,000円から70,000円まで500円単位で自由に設定が可能です。加入後も減額・増額ができます。月払い、半年払い、年払いの他にも一括納付で前払すると前納減額金がもらえる支払方法もあります。

共済金の受取りと利回りについて

共済金の受け取りには、「共済金A」「共済金B」「準共済金」「解約手当金」の3つがあり、共済金の請求理由によって、受取金額が変わります。退職金制度のため、廃業や事業譲渡などによる請求理由の場合は共済金は高めに、任意性の高い解約による場合には低く設定されています。

個人事業主の場合は、事業の廃業や子や配偶者への事業譲渡の理由の場合は「共済金A」、65歳以上になった場合の老齢給付は「共済金B」で、利回りは1.0%~1.5%です。個人事業主から法人になり加入資格がなくなった場合の「準共済金」は、20年以上積み立てしていない場合には、掛金がそのまま戻るだけ。任意解約の場合は、20年以上積み立てしていないと、共済金は掛金を下回るので注意しましょう。

小規模企業共済のメリット

節税効果

小規模企業共済の一番のメリットは掛金が全額所得から控除できることによる節税メリットです。

税金は課税所得に税率をかけて求めます。所得税の税率は累進課税のため所得により税率はことなりますが、平均して掛金の15%~30%程度の節税効果が期待できます。単純計算すると、毎月1万円、年間12万円を小規模企業共済の掛け金とした場合、課税所得が195万円以下のひとは掛金12万円×税率15%=18,000円、課税所得が300万円の人であれば、掛金12万円×税率20%=24,000円ほど節税ができます。

その他にも国民健康保険料や介護保険も課税所得を使って計算されます。市町村によって健康保険料率は違いますが介護保険までいれると所得の10%ほどが国民健康保険料として計算されるため、国民健康保険料も所得が減ることにより軽減できます。

少額から始められる

最低掛金が1,000円なので、少額から始められて掛金も自由に変えられるのが魅力です。少しづつから始めて、出費の多い時期には少額を積み立て、余裕がでてきたら多く積み立てることもできます。

農業年金などは2万円からなので、敷居が高いという人も無理なく始められます。

受取方法が選べる

受取は、解約時に「一括」して受け取るか、「分割」、「一括と分割」の併用ができます。共済金の受け取り時には、税金がかかりますが一括の場合は退職金制度として、分割の場合は年金制度としての税額の優遇があります。

受け取る金額に差はありませんが、受け取る時期や金額によって税金がかわるので、その点も考慮してきめるとよいでしょう。

資金に困ったら貸付可能

突然の出費がかさなり資金が必要になった場合、せっかく積み立てた資金を解約してしまうと元金割れを起こしてしまうこともある小規模企業共済制度は、掛金の7割~9割を低金利で貸付してくれる制度があります。

金利は一般貸付で年率1.5%、経営の急激な悪化や災害などの特別な事情がある場合は0.9%の低金利での貸付が可能です。即日貸付も可能なのでもしもの時に安心できる制度です。

小規模企業共済のデメリット

短期間の解約は掛け捨てになる

解約理由にもよりますが、6~12ヵ月間未満で解約した場合、掛金は戻りません。何らかの理由で積み立てができなくなった場合は、最低積立金の1000円で継続できないか検討しましょう。

任意解約は元本割れリスクあり

退職金制度ですので、退職、廃業、老齢年金としての受け取り等の理由以外、自己都合による解約による共済金の受け取りは20年以上掛金を支払いしていない場合、元本割れします。

急に資金が必要になった場合は低金利の貸付金制度があります。積み立てが難しくなるようなら、積立金額を最低金額の1000円に変更し、なるべく任意の理由で解約しないようにすることで回避しましょう。

共済金受取時に税金がかかる

掛金は所得から直接控除できるため大きな節税効果のある小規模企業共済ですが、受け取る際には所得として課税されます。

しかし一括で受け取った際には、「退職金所得」として分割として受け取った場合には「公的年金等の雑所得」として扱われるため、掛金によっては課税されない人もいます。

退職金所得として扱われると、退職金控除が受けられます。退職金控除は勤務年数が20年未満の場合は勤務年数1年に年40万円、20年以上の場合は20年分は年40万円(合計800万円)+20年以上の勤務年数には年額70万円の控除がうけられます。

例)月3万円、年に36万円、25年間積み立てし、廃業により共済金を受け取った場合。

掛金=36×25年間=9,000,000円
一括で受け取った場合の共済金=10,860,600円(共済金シュミレーションにより試算した金額)
退職控除の金額=400,000×20年+700,000×5年=11,500,000円

課税所得額は共済金(10,860,600)<退職控除額(11、500,000円)なので課税所得は0円になります。

小規模企業共済の加入方法

小規模企業共済は、独立行政法人 中小企業基盤整備機構が運用しています。加入の際には、マイナンバーカードがあればオンラインでも申請が可能です。その他提携している銀行やJAの窓口などでも加入できます。

加入資格や支払い方法によって必要な資料が違いますので、加入の際には独立行政法人中小企業基盤整備機構のHPで加入方法を確認しましょう。

農業年金との関係

老後のための積み立てというと、農業者の方は農業年金に加入しているという人もいるのではないでしょうか。農業年金は「農業者のみが入れる公的年金制度」で、退職金制度の小規模企業共済とは性質が異なるので同時加入も可能です。

農業年金は、掛金が経費になるなど節税効果も高く、39歳以下であれば一定以上の条件がありますが、掛金の一部を国が負担してくれる国の唯一の制度で、農業を営んでいる人にはお得な制度です。農業年金は年金制度なので、年金としてしか受け取ることはできず、解約して一時金をもらうこともできません。

65歳になるまで受け取れないので農業年金の掛け金を増やすのは不安な場合には、万が一の借り入れや解約もできる小規模企業共済と併用すると節税効果を十分に活用できます。

農業年金についてはこちらで詳しく説明しているので、興味のある方はこちらもお読みください。

まとめ

引退した後に趣味を始めたり、ゆっくり旅行にいったりとするためにも、まとまったお金が入ると助かりますよね。利回りは大きくないですが、少額づつ積み立てておけば増えて戻ってきますし、税制面でのメリットを考えるとまだまだ低金利な銀行で貯金をするよりずっとお得な制度です。

毎年いくら掛金をかければ、どれぐらい税金がお得になるのか、将来いくらもらえるかなどのシュミレーションが、独立行政法人中小企業基盤整備機構の小規模企業共済共済金試算シュミレーションのページで行えます。

編集さん
編集さん

制度や税率などは変更になることがあります。
実際の加入時には、中小企業基盤整備機構、節税効果については税務署や税理士に確認しましょう。

執筆者・監修者情報
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農家web編集部のメンバーが「農業者による農業者のための情報サイト」をコンセプトに、農業に関するあらゆる情報を丁寧にまとめてお届けしていきます。
編集部のメンバーは皆、実際に農業に携わりながら情報をまとめています。農学を極め樹木医の資格を持つ者、法人の経営・財務管理に長けている者、大規模農場の営農経験者などバラエティに富んだメンバーで構成されています。他にも農機具やスマート農業機器、ITなどのスキルも兼ね備えています。

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