妖艶な香りと、夜に純白の大きな花を咲かせる月下美人は、サボテン科に属する多肉植物です。サボテンの仲間ですが、一般的なイメージにある大きな柱状の柱サボテンや玉状の棘が特徴の玉サボテンなどのサボテンとは性質が異なります。
では月下美人を上手に咲かせるには、どんな肥料をいつ与えればよいのでしょうか。ここでは、月下美人を上手に咲かせるおすすめの肥料や肥料のやり方の基本について、わかりやすく説明します。
月下美人の栽培と肥料について
月下美人(ゲッカビジン)は、森林性サボテンの一種ですが、サボテンなどの多肉植物は肥料分が少なくとも育ちますが、月下美人は少し性質がことなります。月下美人に大きな美しい花を咲かせるためには、生育期(5月~10月)に、月下美人に適した肥料を与えて育てる必要があります。
月下美人のように花を咲かせる植物には、窒素が多いと葉茎の生育がよくなりすぎて花芽がつかないことがあるため、窒素(N)を控え、花つきをよくするリン酸(P)と、根張りをよくするカリウム(K)を強めた肥料が適しています。
月下美人におすすめの肥料の種類と特徴
肥料には、ゆっくりと効果がつづく緩効性肥料や、すぐに効果がでる速効性の肥料があります。月下美人の栽培では、生育期はゆっくりと効果のづつく緩効性肥料を使い、花が咲く1ヵ月ほど前から開花を促進する肥料をつかうのがおすすめです。
ここからは月下美人におすすめの肥料について、その特徴や商品について説明します。
シャコバサボテンの肥料
月下美人によく似たサボテンにシャコバサボテンがありますが、近縁種です。月下美人にはシャコバサボテンの肥料を使うのが手軽です。植えつけ時の元肥や追肥にも使えます。
月下美人は2年に1度植え替える必要があるので、元肥入りのシャコバサボテンの培養土をつかうのもおすすめです。
草花用の緩効性化成肥料
鉢植えの肥料は、草花用の緩効性化成肥料が使えます。土にばら撒いて使う固形のものや、鉢植えなどでは、鉢の植えに置いておけば水やり時に、肥料分が溶け出して肥料が続く肥料がおすすめです。
置き肥では「プロミックの草花・鉢花用」やばら撒いて使える「プランティア 花と野菜と果実の肥料」などが窒素分が少なくリンとカリの成分が多いので月下美人におすすめです。
液体肥料
追肥には液体肥料もおすすめです。単体で使う場合には、窒素分がすくないハイポネックス原液や、住友園芸化学の花工場原液などがおすすめです。開花の1ヵ月前には窒素の入っていない開花促進用の専用肥料を併用してもよいでしょう。
月下美人に対する肥料のやる時期と頻度
では、月下美人の肥料はいつ、どれくらいあげればいいのでしょうか。下記に月下美人の一般的な肥料をやる時期と頻度について、基本的な考え方を説明します。
- 春春の肥料やり
春は休眠期の冬から芽が覚めてゆっくりと生長します。5月頃から2か月に1回緩効性化成肥料を施すか、液体肥料(液肥)を1ヵ月に2回施しましょう。
5月~7月は植え替えの時期です。植え替え時には元肥として緩効性肥料を施しましょう。
- 夏夏の肥料やり
開花の時期です。肥料は春と同様に与えましょう。風通しのよい場所で株を蒸らさないように注意しましょう。
- 秋秋の肥料やり
肥料を与えるのは9月まで。11月には肥料が切れている状態にします。
- 冬冬は施肥不要
休眠期です。肥料は不要です。耐寒性はそれほど強くないので、屋外やベランダに置いてある場合は気温が10℃を下回るようになったら、室内の日向で管理しましょう。
防ぎたい!肥料にまつわるトラブルあれこれ
花芽がつかないのは肥料のせい?
月下美人が咲かない原因は肥料だけでなありません。窒素過多になり、葉やつるばかり伸びてしまっている場合は肥料過多の可能性があります。その場合は肥料を見直し、追肥を控えるか窒素が入っていない肥料を使いましょう。
また苗が幼い場合には、花芽がつかないこともありますし、日照不足や水不足でも花つきが悪くなります。月下美人の育て方の記事に詳しく水やりや栽培環境について説明していますので、そちらで環境をチェックしてみましょう
肥料は絶対混ぜないで!
よくある失敗として、いろいろな肥料を混ぜて高い栄養素の肥料を作り与えようとしてしまうことが挙げられます。肥料を混ぜると化学反応を起こし、植物自体に被害が出るだけでなく、有害物質・ガスが発生したりと、大きな事故につながる危険性があります。くれぐれも、肥料同士を原液で混ぜることはしないでください。
まとめ
夜に一夜だけ白い花をさかせる月下美人は、観葉植物として人気が高く、実をつけるために食用月下美人と受粉させたり、新たな品種を作るために交配したりと奥が深く、愛好家が多くいます。
サボテンの中では、少し育て方が変わっていていて多肥・多水を好みます。サボテンと同じように育てると枯れてしまうこともありますので注意が必要です。
春にイースターカクタス、夏にクジャクサボテン(孔雀サボテン)や月下美人、冬にシャコバサボテンなどを育てれば一年中花を楽しむことができます。ぜひお気に入りの品種を見つけて上手に育てて、美しい花を咲かせてみてください。
農家webには、このほかにも観葉植物や花、野菜の肥料の与え方や水耕栽培などのハイドロカルチャーの育て方の記事などもおおくあります。検索バーからも探せますよ。