幸福の木としても有名なドラセナですが、ドラセナには50種ほどの仲間がいます。ここでは幸運の木で知られる「ドラセナ・フラグランス」を中心に、水挿しでの挿し木の方法や、水耕栽培(水栽培)の育て方などをわかりやすく説明します。
ドラセナの水栽培を始める時期
水栽培を始めるには植物の生育期がおすすめです。植え替え時期と同じ、5月~9月までが適期です。最近の日本の夏は気温がかなり高くなります。できれば生育期初期の5月下旬から7月頃に行うのがおすすめ。気温が25℃~30℃ぐらいに行うとよいでしょう。
ドラセナの挿し木の準備
ドラセナは挿し木やとり木で増やします。水耕栽培するドラセナは、挿し木で水挿しで増やしましょう。また小さなポット苗から水耕栽培に移行することもできます。
挿し木で始める場合
ドラセナの茎を根元からカットして使います。なるべく元気のよい茎を選びましょう。葉っぱは、蒸発を防ぐため半分ほどにハサミでカットしておきましょう。水に差す部分は、斜めにスパッと切っておきましょう。吸水性があがります。
ポット苗から始める場合
ホームセンターや100均などで、ドラセナの苗は手に入れることができます。ポット苗と呼ばれる小さなものから、水栽培を始めましょう。あまり大きなものは、水栽培にすると根からうまく水を取り込めずに枯れてしまう場合がありますので、その場合は挿し木から発根させて水栽培を始めましょう。
手順
- ドラセナのポット苗は、事前にしばらく水やりをせず乾いた土の状態で始めます。
- ポットからドラセナを取り出し、根から土をほぐして落とします。
- 根を水でよく洗い土を落とします。園芸用のシャワーノズルなどがあればより根元の土を落とすことができます。
- 傷んだ根や、長すぎる根は清潔なハサミで切ります。日陰で切った根を乾かしておくと雑菌が入りにくくなります。
ドラセナの水挿しの手順
それでは、準備できた苗を使って水挿しの手順を説明します。茎は発根させてから水栽培へ移行させます。
準備するもの
- ドラセナ
- ハサミ
- 透明な器(空き瓶やグラス・ペットボトルなどでもOK。ある程度の高さがあってドラセナを支えられるもの)
- メネデール(発根促進剤なくても可)
発根促進剤について
ドラセナは、元気な茎で生育期であれば水だけでも発根しますが、発根を早くしたり太く丈夫で元気な根を促進させるために、発根促進剤も有効です。植物活力素 メネデールは、発根だけでなく肥料でも農薬でもないので、発根時以外の水栽培で元気がなくなったときなどにも使えます。水替えのときに発根するまで入れると効果的です。水替えの都度でなくとも、1週間に一度でも入れてあげる、また希釈率を200倍にしても効果はあります。
剪定方法
まず、挿し木にするドラセナの茎を剪定しましょう。ドラセナは中央の幹から茎が出ています。その茎を根元からカットします。なるべく元気のよい茎を選びましょう。葉っぱは、蒸発を防ぐため半分ほどにハサミでカットしておきましょう。水に差す部分は、斜めにスパッと切っておきましょう。吸水性があがります。
手順
- 容器に水(水道水)を入れます。メネデールを使う場合は100倍に希釈した水を使います。
- 剪定したドラセナの茎を入れます。2㎝~3㎝ほど水につかるまで入れます。
- 発芽するまで2~3日に1回に水は変えましょう。
- 2週間程度は明るい日陰や半日陰の室内で管理しましょう。2~3週間程度で新しい根が生えてきます。
- 根が十分に発根したら、ハイドロカルチャー(水耕栽培)や水栽培で育てましょう。
ドラセナの水耕栽培の手順
準備するもの
- 水挿しで発根したドラセナの苗 or 土を洗い流したドラセナの苗
- 容器(透明なガラスのほうが根の成長も見え水量も調整しやすい)
- 根腐れ防止剤(ミリオンA・ゼオライトなど)
手順
- 器の底に根腐れ防止剤をいれます。鉢底が隠れる程度OK
- 苗を入れます。
- 器に水道水を入れます。この時の水位は根が全部浸からない程度。3分の2が水に浸かっているぐらいがよいでしょう。せめて3㎝程度は空気に当ててください。
- 水替えは1週間に一度程度行います。根腐れ防止剤と使わない場合は2~3日に一度は替えます。
ドラセナはある程度までは水栽培で育てることができますが、丈夫に大きく育てるには、土の代わりの培土としてハイドロボールなどを使ったハイドロカルチャーへの植え替えで栽培するのがおすすめです。
ハイドロカルチャーへの植え替え
土を使わないで植物を育てる栽培方法を水耕栽培と言いますが、水耕栽培の中でも土の代わりに用土(培土)として、ハイドロコーン、ハイドロボールという丸い発泡煉石を使用したり、ゼオライトを使用して栽培する方法をハイドロカルチャーと呼びます。水だけの栽培とは異なり、植物を固定することし、根域の水分量の維持をすることもできます。またインテリアとしてもハイドロカルチャーでの栽培は人気があります。
ドラセナは、大きく成長し根も多く張ります。ある程度の大きさになったらハイドロカルチャーでの植え付けして栽培するのもがおすすめです。
準備するもの
- 水挿しで発根したドラセナの苗 or 土を洗い流したドラセナの苗
- ハイドロボールなどの人工石
- ミリオンA・ゼオライトなどの根腐れ防止剤
- 底に穴がない鉢(透明な容器であれば水位がわかりやすくなります)
- 土入れ(小さな容器に植え付けるときはスプーンなどで代用可)
- ハサミ
- 割り箸等の棒状のもの
- この他、水やりをするじょうろや、ピンセットなどがあると便利です。水やりの失敗が少ない水位計もおすすめ
手順
- 底穴のない鉢に、根腐れ防止剤としてゼオライトを底が見えなくなる程度入れる
- ハイドロボールをゼオライトの上にいれます。
- ドラセナの苗をハイドロボールの上に置き、根を広げます。
- 根と容器の間にハイドロボールを入れて固定します。
- 最後にじょうろで水やりを。水の量は容器の6分の1~5分の1ほど程度与えます。水位計を使っている場合は、最適水位(OPT)まで入れましょう。
ハイドロカルチャーでの多肉植物の育て方の詳しい記事もあります。ハイドロカルチャ―の用土などにに興味のあるかたはお読みください。
ハイドロカルチャーの容器
ハイドロカルチャーは水やりが難しいので、水位が外から見えるよう透明なものを使いましょう。透明じゃないものを使う場合には、水位計を使いましょう。
ハイドロカルチャー専用の栽培ポットも販売されています。水位計がセットできるようになっていて、そのポットに植え付けしてから、好きな容器にセットするだけです。側面にスリットが入っているので、根が底から出てきて巻き付くようになったら、植え替えのサインです。
ドラセナの水栽培での育て方
ドラセナの特徴
植物の栽培をするうえで、その植物の特徴を知っておくことは大切です。自生地や生育期などを知ればその植物がどのような環境で育てると枯れずに育つのかわかってきます。
幸福の木と呼ばれるドラセナの正式名称は、ドラセナ・フレグランスの一種でマッサンゲアナです。熱帯アフリカが原産で、寒さは苦手で、高温多湿を好みます。日光に当てて育てた方が良く育ちますが、耐陰性もあるためハイドロカルチャーでの栽培にもおすすめです。
学名 | Dracaena fragrans‘Massangeana’ |
属名 | キジカクシ科(クサスギカズラ科) / ドラセナ属* |
原産地 | 熱帯アフリカ |
樹高 | 15㎝~200㎝ |
耐寒性等 | 耐寒性 やや弱い 耐暑性 強い |
花言葉 | 「永遠の愛」「隠しきれない幸せ」 |
ドラセナの種類
ドラセナ・フレグランスの他にもドラセナには多くの種類があります。人気のドラセナをいくつか紹介します。
名前 | 特徴 |
---|---|
ドラセナ・コンシンネ | 「真実の木」とも呼ばれ、光沢のある先端がとがった細い葉が 特徴の人気種です。 |
ドラセナ・サンデリアナ | 葉を取り除いて加工した姿は、ミリオンバンブーとして人気があります。 |
ドラセナ・スルクロサ | 旧名のドラセナ・ゴッドセフィアナと呼ばれることもあります。 卵型の葉に白い斑点があるのが特徴です。 |
ドラセナ・レフレクサ | 葉は細長い笹のような形が特徴。 ソングオブインディアは、黄色の縁取りのある葉が特徴的です。 |
ドラセナ・コンシンネ | ドラセナ・サンデリアナ | ドラセナ・スルクロサ | ドラセナ・レフレクサ |
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置き場所、日当たり
ドラセナは耐陰性が強く、日当たりの悪い場所でも育つことができます。しかし長期間日陰に置くと、株が軟弱になるため明るい日陰もしくは夏以外は、窓際のカーテン越しの光が当たる場所で管理しましょう。直射日光は葉焼けや容器内の水温が高くなりすぎる危険があるため、避けましょう。
ドラセナは熱帯が原産地ですので耐寒性は強くありません。特に冬場は昼間は日差しの当たる窓辺に置いたままにしておくと、夜は気温が下がり寒くなります。置き場は温度が7℃以下にならない場所で管理すれば冬越しは可能です。またエアコンの風は、葉が乾燥するため当てないようにしましょう。
水の量と交換時期
植物は葉や茎そして根からも酸素を吸収しています。水栽培で育てている場合は土やハイドロカルチャーに比べて、酸素が吸収しにくくなります。水の温度が上がると酸素の溶け込む量がすくなくなるため、弱って枯れてしまう可能性もあります。特に夏場は注意が必要です。
理想的な水栽培の水位は、根の半分から3分の2が浸かる程度。少なくとも根元3㎝は空気に触れるようにします。水はできれば2日~3日に1回、最低でも週に1回程度交換しましょう。気温が高くなると水が濁るので濁ったら、水を交換します。容器に苔がつくことがあります。水替えの時に容器も洗ってあげましょう。
ハイドロカルチャーの水やり
ハイドロカルチャーは、水を鉢の中に溜めて育てるます。ハイドロボールなどは外から乾いているようでも鉢の中側は湿っていることも多いです。生育期である春から夏は、鉢の中が乾いてから2日~3日ほど待ってから与えましょう。
水は鉢の6分の1まで、容器にもよりますが鉢底1cm程度で大丈夫です。水位計を使っている場合も同様に、水位計の針がmin(水切れ)まで下がってから2~3日ほど待ってから水をopt(適正水位)まで入れます。秋から水やりの回数を減らし、水が切れてから4日~5日後に入れるようにします。休眠期の冬は、月に1~2回、霧吹きで水を上げる葉水で行います。(室温が高い場合には秋の水やりを続けます)
もし水を入れすぎてしまったら、鉢の上からタオルなどで押さえて、鉢を傾けて水を出しましょう。水耕栽培は新鮮な水を与えることが大切です。水をいれすぎると、根腐れのほかにも、水が腐る可能性もあります。
ハイドロカルチャーの水やりは意外と難しいので、水位計があると安心です
肥料
ドラセナの水栽培は、肥料はそれほどなくとも育ちます。しかし水栽培は土から栄養が取れないため肥料を使うと生育が早くなったり、葉が大きく広がります。水栽培の肥料は、専用の液体肥料(液肥)を薄めて使います。春から秋まで月に2回ほど液体肥料を与えます。水の交換のときか、ハイドロカルチャーの場合は水やりのときに水代わりに規定量より薄めて使います。
水栽培やハイドロカルチャーに使える液肥は、ハイポネックスやハイポニカ液体肥料などがあります。
ドラセナのトラブル
葉先が枯れて茶色く変色してしまっているドラセラをよく見かけます。
原因は水をうまく吸収できていない、根腐れや根づまりが原因のことが多いです。ドラセナの根は細く、また成長が早いので鉢が根でいっぱいになっている場合があります。根詰まりをしているようなら早めに一回り大きな鉢に植え替えましょう。
また根ぐされは、水の上げすぎが原因です。ハイドロカルチャーでの水やりは意外と難しいので、必ずハイドロボールが乾いてから水やりをしましょう。観葉植物はメリハリが大切です。茶色くなった葉は、もとには戻らないので、葉先を切り落として整えます。
水栽培(水耕栽培)のメリット
水耕栽培は、家庭菜園でも農家でも行われる栽培方法ですが、家庭で水耕栽培をするメリットはいくつもあります。
- 室内でも気軽に栽培できる
- 身近にある手軽なもので栽培ができる
- 土作りが不要である
- 無農薬・減農薬栽培がしやすい(害虫がつきにくい)
- 水やりの手間を少なくできる
- 小さなスペースでも栽培できる
- 植物の生長が早くなるとともに、質が安定しやすい
- 見た目をおしゃれにすることで、インテリアとして楽しむことができる
しかし水だけでは土に比べて養分が足りないため、植物を大きく育てることには不向きです。また日光が必要な植物にはLEDライトなど初期投資がかかることもあります。
まとめ
ドラセナは、風水的にも運気を上げるともいわれ、縁起の良い植物で手軽に買えることがから人気の植物です。日本の高温多湿を好み、窓越しの光が好きなので水栽培にもぴったりです。またドラセナは花束の中に入っていることもあります。その枝をつかって水栽培も可能です。
水栽培は、土や病気の心配も少なく手入れも簡単です。初心者の方でも思いついたら、水とペットボトル・空き瓶などの器があればすぐ始められる栽培方法です。ハーブなどは収穫も楽しめます。家の中にグリーンがあると癒されます。ぜひこの記事を参考にしてドラセナの水耕栽培を始めて、おしゃれにお部屋に飾ってみてください。
『農家web』にはこのほかにも、水耕栽培のコンテンツが豊富です。観葉植物だけでなく、多肉植物や花を楽しむ球根、野菜やハーブなどは収穫も楽しめます。
品種名から栽培方法を探すことができますよ。