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農薬の使用方法

農薬の希釈について、希釈方法、希釈率の計算、農薬希釈早見表をご紹介!

代表的な農薬(水和剤)プレオフロアブルの写真 農薬の使用方法

除草剤、殺虫剤を代表する農薬の液剤は、かなりの割合が原液で、水で希釈して散布するのが一般的です。希釈倍率に合わせて水と混ぜるのですが、希釈倍率が500倍、1000倍と大きく、g(グラム)やL(リットル)などが入り混じっていて、計算が難解だと感じる方も多いでしょう。

ここでは、農薬の希釈方法に始まり、計算式について、また計算ツールの説明、そして希釈する際に役立つ農薬希釈早見表をご紹介します。

農薬の希釈方法

農薬を購入し、使用する場合は、農薬のラベルに書かれている情報をしっかり確認することが重要です。

農薬の入れ物に添付されている説明書(適用作物、適用害虫名、希釈倍率などが記載されている)

希釈する前にしっかり確認したいのは、「適用作物」です。慣れているかとは思いますが、ここを間違えると農薬取締法違反になりますので、改めて確認してみましょう。新しい発見があるかもです。

そして、記載されている「希釈倍数(倍)」に従って調製し、「使用液量」を作っていくことになります。農薬には主に、水和剤や水溶剤といった「粉」状のもの、乳剤やフロアブル剤のような、「液」状のものがあります。それぞれの取り扱いを説明します。

農薬の希釈方法、注意点

乳剤やフロアブル剤のような、「液」状の農薬の場合

液体の農薬の場合は、下記の希釈倍率の計算などを利用して水に溶かしますが、大体の場合、農薬ビンのキャップに、小さな文字でキャップ一杯に入る農薬の量が刻みこまれています。なかにはキャップには書かれていないものもありますが、ボトルに貼られている説明書に、「このキャップは一一ミリリットル入ります」と書かれているものもあるので確認してみてください。非常に便利です。

また、農薬を溶かすバケツや噴霧器が、何Lの水が入るのか一度確認しておくといいでしょう。農薬を溶かすバケツやタンクを購入したら、内外両面にマジックで目盛りを入れておくと便利です。また、1Lの計量カップを備えておくとベストです。

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ちなみに、「mL」と「cc」の単位が錯綜しますが、「mL」と「cc」は全く同じことに注意してください。より小さい農薬量を扱うときは、スポイトが便利です。

家庭菜園向けの使用量の目安

また、農薬は基本的には10a(アール)以上の面積で使うことを前提にしているので、家庭菜園規模だとたくさん余ることになります。10aに満たない圃場で使うのに農薬が足りない場合は、希釈倍率を間違えている可能性があるので、見直してみるといいでしょう。

水和剤や水溶剤といった「粉」状の農薬の場合

粉状の農薬の場合は、水1000m L(ミリリットル)に農薬1g(グラム)を溶かしこんだのが1000倍液になります。これが「粉」の農薬を溶かす際の倍率の基本になります。

農薬に計量スプーンがついている場合があるので、その場合は付属の計量スプーンを利用しましょう。すりきり1杯で5gの場合が多いです。

また、それ以上の重さの場合は、電子スケールがあると便利です。

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展着剤について

植物や害虫の表面には、水を弾くワックスや糸状の物質があり、農薬を散布しても葉茎や害虫体に簡単には付着しません。キャベツやネギ、イネなどは特に付着しにくい代表的な作物です。

このため、付着力を上げるために展着剤というものをよく混ぜます。展着剤とは主成分が界面活性剤で、薬剤の付着性や浸達性を高めたり、効果のムラを出にくくしてくれます。(特定の除草剤のように既に展着剤が含まれているものもあります)

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展着剤はいつ混ぜればいいの?

基本的には、「展着剤」→「乳剤」→「水和剤」の順番で溶かしていくのがおすすめです。(頭の文字をとって、『テニス』と呼ばれています。)

しかし、展着剤の中でも、シリコーン系展着剤(まくぴか、ブレイクスルーなど)やパラフィン系(ベタンV、アビオンEなど)は泡立ちを避けるために最後に混ぜるようにしてください。

また、スピードスプレーヤー使用時も、展着剤は最後に混ぜるようにするのがおすすめです。

展着剤については下記で種類、特徴、使い方を詳細に解説していますので、ご参考ください。

希釈計算式、希釈倍率計算

農薬のラベルの情報をもとに、「希釈倍数(倍)」に合わせて、希釈します。農薬は大体10a(アール)の使用面積をベースに「使用液量」が記載されているので、まずは使用する圃場の面積を特定しましょう。

農薬の入れ物に添付されている説明書(適用作物、適用害虫名、希釈倍率などが記載されている)

単位が坪の場合は、『10a = 約300坪』『1坪 =約3㎡』なので、参考にしてみてください。(畝の場合は、1畝 = 約1a(アール)、1ha(ヘクタール)は100a(アール)です)

使用面積が出ると、散布する液量が決まります。散布する液量に必要な農薬の量を計算して、水に溶かします。

例えば、500坪の圃場に300L / 10a の散布量、希釈倍率500倍の農薬を散布する場合、必要な薬量は以下のようになります。

必要な薬量の計算
  • (使用面積) 500坪 ≒ 500 × 3.3㎡ = 1,650㎡ =16.5a
  • (散布量)  300L × 16.5a ÷ 10a = 495L
  • (必要な薬量)495L ÷ 500 = 0.99L (= 990cc , 990g)

しかし、このような計算を毎回、電卓をたたいて行うのは大変です。そんな方のために、必要な薬剤の量を自動で計算するツールがありますのでご紹介します。

農家webかんたん農薬希釈計算アプリ

農家webかんたん農薬希釈計算アプリ」は、web上でダウンロード不要で無料で使えるアプリです。使用する農薬の希釈倍数を入力し、散布する面積などから薬量・液量を算出します。面積の単位や薬剤の単位も簡単に行えます。

ラベルを見て希釈倍率を入力するだけでなく、農薬検索データベースと連携しているので、使いたい製品・適用ラベルを選択することで、希釈倍数を自動入力することができます

農薬希釈早見表

農薬希釈計算のための、早見表を作りました。是非、参考にしてください。

希釈倍率200倍の場合

散布量500ml1L2L3L4L5L10L
必要薬量(ml , g)2.551015202550

希釈倍率500倍の場合

散布量500ml1L2L3L4L5L10L
必要薬量(ml , g)124681020

希釈倍率1000倍の場合

散布量500ml1L2L3L4L5L10L
必要薬量(ml , g)0.51234510

希釈倍率2000倍の場合

散布量500ml1L2L3L4L5L10L
必要薬量(ml , g)0.250.511.522.55

まとめ

適切な使用量、水量で薬液を調製し、使用する事は、何よりの防除方法ですし、不適切な希釈倍率での使用は、畑や水田などで薬害を起こす可能性があります。液肥もこの希釈早見表が使えます。本記事の情報が農作業の一助となれば幸いです。

執筆者・監修者情報
執筆者・監修者

農家web編集部のメンバーが「農業者による農業者のための情報サイト」をコンセプトに、農業に関するあらゆる情報を丁寧にまとめてお届けしていきます。
編集部のメンバーは皆、実際に農業に携わりながら情報をまとめています。農学を極め樹木医の資格を持つ者、法人の経営・財務管理に長けている者、大規模農場の営農経験者などバラエティに富んだメンバーで構成されています。他にも農機具やスマート農業機器、ITなどのスキルも兼ね備えています。

農薬販売届 受付番号:210-0099

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