爽やかな香りを持つディルは、魚介類と相性がよく魚のハーブともいわれ魚料理によくつかわれます。ここではペットボトルを使った、種まきから始める水耕栽培の手順から育て方や収穫のポイントなどをわかりやすく説明します。
ディルの水耕栽培のポイント
水耕栽培とは、土を使わず培養液(肥料分を含んだ水)で、野菜や草木を栽培する方法です。土の変わりにハイドロボールやゼオライトなどの培土を使った栽培も水耕栽培の一種でハイドロカルチャーと呼ばれます。水耕栽培で育てる場合には、土から栄養をとれないため水耕栽培で使える液体肥料を使って育てる必要があります。
葉物野菜は水耕栽培に向いており、リーフレタスやベビーリーフ、小松菜などの葉物野菜や、大葉、クレソン、ミント、イタリアンパセリ、バジルなどのハーブ類はすこしづつ収穫して楽しめるので、水耕栽培に向いています。収穫までの期間が短く、栽培が容易なディルも水耕栽培に向いたハーブといえます
ディルの水耕栽培は、播種(タネまき)から始めるのが一般的です。発芽率もよく、種まきから40日ほどで収穫が可能になります。苗からも始められますが、ディルは直根性で移植を嫌うので、安価な種まきがおすすめです。
ディルの水耕栽培の手順
ディルの水耕栽培は、播種(タネまき)から始めます。ディルは収穫を楽しむのであれば、1株あれば十分ですので、手軽に始められるペットボトルとスポンジを使った方法を説明します。
種まきの時期
ディルの発芽温度は18℃~25℃。20℃前後が目安です。露地栽培であれば3月下旬~5月の春まき、9月下旬~10月の秋まきが種まきの時期です。
水耕栽培は室内でも育てられます。室内で育てる場合には、発芽温度が保てるのであればいつでも大丈夫ですが、開花の後は葉が固くなり食すのに向きません。初夏に開花を迎えるため、収穫を楽しむのであれば秋まきがおすすめです。
準備するもの
- ディルの種
- スポンジ(台所スポンジでOK。やわらかいもの。メラニンスポンジは不可)
- ペットボトル
- 水耕栽培用の肥料
- 竹串や爪楊枝などの先のとがったもの
- カッターかハサミ
手順
- 手順1ペットボトルの準備
ペットボトルの上部を7㎝~8㎝のところでカットします。キャップは、外しておきます。
- 手順2スポンジの準備
スポンジを、2㎝~3㎝程度に四角にカットし、十字に切り込みを入れます。
- 手順3種まき
飲み口を逆さにしたペットボトルに、スポンジをセットします
スポンジに水を十分含ませて、切込みに竹串などを使って、種を2~3粒差し込みます。あまり深く押し込まないようにします。
- 手順4ペットボトルにセットして発芽を待つ
切り取ったペットボトルの下部に水をいれ、手順3でスポンジをセットしたペットボトルをセットします。上からラップをして、爪楊枝で数か所穴を空けます。
直射日光のあたらない、暖かい場所で管理します。スポンジが乾かないように、水を足して発芽を待ちましょう。5日~10日程度で発芽します。
- 手順5育苗
発芽したら、すぐに明るい日の当たる窓際などへ場所へ移しましょう。根が伸びてきたら、ペットボトルの水の量を減らし、根の半分程度が水に浸るようにします。水は毎日取り換えます。
1つのスポンジから複数の芽が出て場合は、一番大きな苗を残して間引くと、残った苗が大きく育ちます。
- 手順6肥料を与える
ペットボトルの飲み口の部分から根がでるぐらいに成長したら、肥料を与えて育てます。濃度は、使用する肥料によって異なりますので、肥料のラベルをよく読んで適合する濃度に薄めると良いでしょう。まだ、苗が小さいときには規定濃度の半分程度の濃度で栽培すると安心です。
培養液(肥料をいれた水)は3日1度は交換しましょう。
編集さん光があたるとペットボトルには、藻が発生しやすくなります。アルミホイルやペットボトルカバーなどでカバーしましょう。根が伸びやすくなる効果もあります。
- 手順7摘心・収穫
草丈が20cm以上になれば収穫が可能です。外側の葉から収穫します。剪定を兼ねて収穫しましょう。また新芽の先を摘心すると、脇芽が増えて収穫量が増えます。
- 手順8支柱を立てる
少しずつ収穫するのであれば、支柱を立てないと倒れやすくなります。支柱を立てるか、ペットボトルの上部の部分にハイドロボールなどをいれて、根元がぐらつかないようにすると、倒れにくくなります。
支柱について
生長すると、1m以上にもなることもあるディルは、茎が細いため土寄せができない水耕栽培では支柱が必要になります。
ペットボトルの容器に、支柱を立てる方法はいろいろありますが、上部のペットボトルに固定しないと水の交換ができなくなります。簡易的なものであれば、割り箸などを使って防水性の高いテープで、外側に貼るだけで支柱のかわりになります。
ディルの水耕栽培の育て方
ディルの基礎知識
ディルはセリ科の爽やかな香りと苦味が特徴の、欧米では古くからつかわれているハーブです。人参の葉に似た、やわかな細かい茎葉を持ちます。葉以外にも種や花も食用することができます。フェンネルとよく似ていますが、フェンネルは多年草なので土に植えれば、大株に育ちますが、ディルは一年草で種から育てるのが一般的です。
ディルは、寒さには強いのですが、暑いのは苦手で冷涼な気候を好みます。開花時期は5月~7月で小さな黄色い花を咲かせます。種まきは春と秋に行えますが、長く収穫を楽しみたいのであれば秋まきがおすすめです。地植え、プランターや鉢植え、水耕栽培で育てることができ、生育が旺盛で育てやすいハーブです。
学名 | Anethum graveolens |
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属名 | セリ科イノンド属 |
原産地 | 地中海沿岸・西アジア |
発芽温度 | 18℃~25℃ |
生育適温 | 15℃~20℃ |
耐寒性等 | 耐寒性 強い 耐暑性 弱い |
置き場所・環境・水やり
ディルは、日の当たる風通しの良い場所を好みます。日の当たらない場所で育てると、ひょろひょろと細い茎が伸びてしまう徒長が起きてしまいます。芽がでたらすぐに、日の当たる場所で育てましょう。外に出す時には、キアゲハが好んで産卵するので防虫ネットを掛けるとよいでしょう。
室内で育てる場合も、日当たりの良い窓辺で育てましょう。ただし暑さには弱いので、夏は半日陰で育てます。夏の終わりに種をつけて枯れます。葉を収穫するのであれば、花が咲いた後は葉が固くなってしまうのでその前に収穫してしまいましょう。
水は3日に一度は交換しましょう。交換するときには、ペットボトルに藻が発生しやすいのでペットボトルも洗います。発根してからは、水耕栽培用の肥料を入れた水(培養水)を使って育てましょう。
肥料
水耕栽培でディルを育てる場合には、水だけでは育ちません。肥料が必要です。水耕栽培用の肥料を使って育てましょう。
水耕栽培用の肥料は土耕栽培用の肥料とは異なり、カリ成分が高めに設定されていたり、二次要素(多量要素)や微量要素も含まれているなど、普通の肥料とは組成が異なります。水耕栽培は根が直接栄養素を吸い上げる形になりますので、培養液の組成や状態がとても重要となります。必ず水耕栽培用の肥料を使用しましょう。
家庭で使える水耕栽培用の肥料として有名なものは「ハイポニックス微粉」や「ハイポニカ液体肥料」です。苗が小さいころは、パッケージの濃度より薄めて使います。
下記のページに水耕栽培用の肥料についてまとめておりますので、参考にしてください。
種の採取
花を咲かせて種を採取することもできます。開花の後、茶色くなって熟してころに根元から切り取りましょう。花の部分に紙袋を被せて、逆さにして風通しの良い場所で干します。乾燥したら、紙袋ごと振ると種が落ちて採取することができます。
未熟な種はピクルスの香りづけに使います。種は食べることもできますし、また植えて育てることもできます。
水耕栽培用キットについて
水耕栽培は、室内で育てるための栽培キットも販売されています。LEDライトがついているものであれば、日照不足で育たたないということもありません。またポンプがついていると、水の中に空気をいれることにより、根に栄養と酸素を送ることができ大きく育ちます。また根腐れのリスクも軽減します。
水耕栽培の肥料で有名なハイポニカ液体肥料の会社である協和は、ホームハイポニカと言う水耕栽培キットも販売しています。下記に水耕栽培キットの説明もありますので参考にしてください。
まとめ
ディルなどのハーブは、家庭菜園で育てると使いたいときに、少量ずつ収穫できるのでキッチンハーブとしてとても人気があります。
水耕栽培は、土も使わないのでベランダや窓際で、部屋を汚すことなくハーブや野菜、観葉植物などを育てることができます。室内であれば、気温調整も簡単で害虫などが付きにくいなどのメリットもあります。
容器もタッパーやペットボトルや、など家にあるものも使えますし、ハイドロボールや種、スポンジなども100均でそろうので手軽に始めやすいのも魅力です。購入してきた種も、冷蔵庫で保存しておけば発芽率は下がりますが翌年以降も使えますので、ぜひ種まきからディルを育ててみてください。
その他の水耕栽培のコンテンツ
ハーブの水耕栽培は他に、アロマティカス、イタリアンパセリ、大葉(しそ)、クレソン、ディル、パクチー、バジル、三つ葉、ミント、ラベンダー、ルッコラ、ローズマリーの育て方の記事があります。下記の記事から、それぞれのコンテンツにアクセスすることができます。
ハーブの他にも、収穫して楽しめるレタスやニンニクなどの野菜の他に、ポトスやパキラなどの観葉植物、サボテンやエケベリア、ハオルチアなどの多肉植物、ヒヤシンスやチューリップなどの球根の水耕栽培の記事もあります。
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