秋に種をまいて春に収穫する絹さや(サヤエンドウ)は、小さくても栄養が豊富な緑黄色野菜です。ここでは、絹さやのプランター栽培について、種まき、苗の植え付けから収穫まで絹さやを初めて育てる方にもわかりやすく、手順や育て方を説明します。
絹さや(サヤエンドウ)のプランター栽培の手順
プランターで絹さやを育てる手順について説明していきます。タネをプランターに直播する手順で説明します。
セルトレイや、ポリポットに種をまいて育苗してから、植え付けする方法もあります。ポリポットでの育苗の方法は、種まきのところで説明しています。数株でよいのであれば、苗を購入して植え付けると簡単です。
用意するもの
プランター栽培の手順
- 手順1プランターの準備
プランターに、底が隠れる程度に鉢底石を入れます。
その上から、野菜専用培養土をプランターの上部2〜3cm程度のところまで敷き詰めます。側面を軽くたたいて土を落ち着かせます。 - 手順2種まき
株間25cm~30㎝に、深さ1~2cmのまき穴を指でつくります。
そこに3粒づつ種をまき土をかぶせます。
防虫ネットをかけ、発芽するまで乾燥させないように水やりをします。
間引きしないで育てます。 - 手順3
生育が旺盛になってきたら追肥を始めます。蕾がつく頃、1回目の追肥をしましょう。1株あたり5g程度の化成肥料を株元に施します。2回目は実がつきはじめたら、同様に施肥します。
- 手順4支柱立て
つるが生長してきたら、支柱を立てましょう。プランターのまわりに支柱をたて、紐で囲んで、つるを誘引します。
- 手順5収穫
開花から15日ほどで収穫適期を迎えます。中の豆がまだ育たない若いさやをとります。さやのつけ根をハサミで切って収穫します。
絹さやのプランター栽培 育て方
容器・用土
絹さやは、さやなしの品種であれば草丈があまり伸びないので、深さ26cm以上のプランターで育てることができます。プランターには、通常のプランターの他、支柱留めフレームなどがついているものもあります。絹さや栽培では支柱を立てる必要があるのでそちらもおすすめです。
用土は、マメ類は連作を嫌うのでできれば新しい用土を使いましょう。元肥入りの野菜の培養土がおすすめです。自分で配合する場合は、赤玉土7、腐葉土2、バーミキュライト1を混合します。自分で配合した場合や、元肥が入っていない場合は、緩効性肥料を施します。
栽培環境・水やり
絹さやの生育適温は15℃~20℃と、比較的冷涼な気候を好みます。日当たりのよい風通しの良い場所で管理しましょう。
耐寒性の強い絹さやですが、大苗になってから寒さにあたると株が傷みやすくなるので、霜や寒風にあたらない暖かいベランダや軒下など管理しましょう。タネまきから発芽までは、鳥が種を食べてしまう恐れがあるので防虫ネットをしっかり止めておきましょう。
水やりは、特に発芽するまでは乾燥に注意しましょう。土が乾いたら鉢底から水がでるまでたっぷり与えます。冬の朝に水やりをすると凍ることがあります。水やりは午前10時過ぎの暖かくなってから与えましょう。
育苗
絹さやは直まきか、ポリポットなどで育苗をして植えつけする方法もあります。ポリポットで育苗する場合は、植える株数より多く育苗し、よりよい苗を選べることが大きなメリットです。ポリポットでの育苗の方法は下記のとおりです。
- 3号のポリポットに鉢底ネットを入れて、野菜の培養土を入れます。
- 指で深さ1~2cmのまき穴を3ヵ所作ります。
- 1穴に1粒づつ種をまいて、発芽するまで土を乾かさないよう、水やりをします。
- 本葉が3~4枚ほどになったら、間引かずそのままプランターに植え付けします。
植え付け
絹さやの苗は、自分でポリポットなどで育苗したりした場合や、ホームセンターなどでも苗は販売されているので、それらを使う場合は適期にプランターに植え付けします。
市販の苗は4本~5本立ちになっているので、ポット苗の根鉢は崩さず、株間を15cm~20cm程度開けて植え付けします。プランターにポリポットが入るほどの穴を空けて、ポリポットから苗を取り出してそのまま植えつけます。植え付けたらたっぷり水やりをしましょう。
肥料
エンドウなどのマメ類は、根粒菌と共生しているのでその働きにより窒素分をを供給されます。そのため少ない肥料でも育つことができます。通常と同様に窒素を与えると、枝葉ばかりが茂ってしまい、莢が付かない、実がつかない「つるぼけ」が発生する恐れがあります。
プランター栽培の場合肥料は、元肥と追肥を行います。元肥とは植え付け時に施す肥料で、プランターなどでは、元肥入りの野菜の培養土などが便利です。肥料がはいっていない土や、自分で配合した場合は、緩効性肥料を土に混ぜて使います。
肥料は化成肥料や、有機肥料、液肥も使えます。窒素分が多くなくリン酸が多いものがおすすめ。まめの専用肥料であれば、チッソが控えめに配合されえています。またハイポネックスの「花と野菜と果実の肥料」なども使えます。葉の色が悪くなったら、速効性のある液体肥料もおすすめです。
支柱立て
支柱はプランターでは、あんどん式で立てます。
あんどん式は、プランターの縁にそって180cmほどの支柱をたて、支柱と支柱を紐で結んで、プランター周囲を囲んでいきます。20cm~30㎝間隔で数本の紐をはります。
病害虫
葉が開くまでは鳥害が必要です。防虫ネットなどを被せて対策をしましょう。冬はあまり病害中の心配ありませんが、暖かくなると害虫がでてきます。絹さやはアブラムシやハモグリバエ類が発生しやすくなります。葉に白い線のようなものがあれば、ハモグリバエの幼虫に食害された後の可能性が大です。葉ごと取り除くか、葉の上からつぶして捕殺しましょう。
絹さやの栽培の基本情報
絹さやの基礎知識
未熟な若いさやを食べるエンドウは、関東では絹さや、関西ではサヤエンドウと呼ばれますが同じものです。エンドウには、若いさやを食べる絹さや(サヤエンドウ)の他に、柔らかいサヤと豆を食べるのスナップエンドウ、太った豆を食べるグリーンピース(実エンドウ)、新芽を食べる豆苗があります。それぞれ専用の品種がありますが、豆苗以外は基本的に栽培方法は同じです。
絹さやの生育適温は15℃~20℃と、比較的冷涼な気候を好みます。冬の低温にあうことで花芽をつけるので、秋に種をまいて冬越しをして、春に収穫するのが一般的です。品種にもよりますが、種まきから植え付けまで10日~2週間、種まきから収穫までは約5か月ほどかかります。冬の寒さに強く育てやすいマメ類です。
作物名 | キヌサヤ(サヤエンドウ) |
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科目 | マメ科エンドウ属 |
原産地 | 中央アジアから中近東 |
発芽適温(地温) | 18〜20℃ |
生育適温 | 15〜20℃ |
土壌酸度(pH) | 6.0〜6.5 |
育てやすさ | 簡単 |
品種
エンドウには、つるあり種とつるなし種がありますが、プランター栽培ではコンパクトなつるなし種がおすすめです。
品種名 | 概要 | 特徴 |
---|---|---|
赤花えんどう | 草丈が50cmほどのつるなし種。 プランター栽培向きの早生種 | |
白姫 | 草丈の低いつるなしの極早生種 耐暑性が強いので夏まきも可能 | |
美笹豌豆 | つるなしの極早生品種 着莢性がよく初期収穫に優れる |
栽培時期
絹さやの栽培時期は、中間地・暖地では秋に種をまいて春から初夏に収穫をします。寒冷地では、春に種をまいて初夏にかけて収穫をします。
地域 | 播種(タネまき)時期 | 植え付け時期 | 収穫時期 |
---|---|---|---|
寒冷地 | 3月中旬~4月上旬 | 4月中旬~5月上旬 | 6月中旬~7月中旬 |
中間地 | 10月上旬~11月上旬 | 11月上旬~11月下旬 | 4月下旬~6月上旬 |
暖地 | 10月下旬~11月中旬 | 11月下旬~12月上旬 | 4月中旬~5月下旬 |
まとめ
絹さやは、栽培期間が長めですが、冬に栽培することで病害虫などの被害も少なく作りやすい野菜です。スイートピーに似た可愛らしい花も魅力です。品種により白色や赤色の花が咲くので、プランター栽培では花も楽しむことができます。
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