赤紫蘇は、スーパーなどでは、梅干しをつける時期にしか出回りませんが、プランターで育てれば長く収穫が楽しめます。ここでは、赤紫蘇(あかしそ)のプランター栽培について、種や苗から始める手順や、収穫までの育て方について説明します。
赤紫蘇のプランター栽培について
赤紫蘇の基礎知識
葉の色が紫色が特徴の赤紫蘇はシソ科の一年草です。紫蘇の漢字のとおり本来は赤紫蘇のことをシソと呼び、青紫蘇は赤紫蘇の変種で大葉とも呼ばれます。葉っぱを生で食べる青じそに比べて、赤しそはアクが強いため葉は梅干しやしば漬けなどの色付けや、ジュースやふりかけなどに使われます。
種や市販の苗から栽培ができ、また剪定した茎を水に挿しておくだけでも簡単に増やすことができます。種から育てれば、発芽したばかりの芽ジソ(むらめ)、葉を収穫する葉ジソ、刺身のツマなどにつかわれる花穂(かすい)を利用した穂ジソ、実がついたらシソの実として4段階収穫を楽しむことができます。
青シソでも同様に収穫できますが、赤紫蘇の芽ジソは「むらめ」と呼ばれ、花色が紫色の穂ジソは花穂紫蘇(はなほじそ)として、彩りがよいことから日本料理店の刺身の飾りや薬味として重宝されています。
栽培は、春に種や苗を植えつけて初夏から秋にかけて長く収穫が楽しめます。生育適温は20℃~25℃と暖かい気候を好みます。丈夫で半日陰でも育てることができるので家庭菜園初心者の人でも作りやすい植物です。
作物名 | シソ(紫蘇) |
---|---|
科目 | シソ科シソ属 |
原産地 | ヒマラヤ~ミャンマー、中国 |
発芽適温(地温) | 15℃~25℃ |
生育適温 | 20℃~25℃ |
土壌酸度(pH) | 6.0~6.5 |
育てやすさ | 簡単、初心者でもOK |
栽培時期
赤紫蘇の栽培期間は、春に種まき、苗の植えつけをし収穫しながら秋まで育てます。1年草ですので冬越しはしません。
種まきから葉シソの収穫までは約2か月、苗の植えつけからは約1か月ほどです。寒さに弱いのでプランターに直播するばあいには、十分に暖かくなってきてから種をまきましょう。(ポリポットなどで育苗する場合は、保温することにより植え付け時期の、1か月ほど早く種をまくこともできます)
地域 | 播種(タネまき)時期 | 植え付け時期 | 収穫時期 |
---|---|---|---|
寒冷地 | 5月~6月中旬 | 5月中旬~7月上旬 | 6月下旬~10月 |
中間地 | 4月中旬~6月中旬 | 5月~7月中旬 | 6月中旬~10月 |
暖地 | 4月~6月 | 4月下旬~7月 | 6月中旬~10月 |
赤紫蘇の種類
赤紫蘇には、葉が平たい「平葉種」と、葉の縁が縮れたように波立つ「ちりめん種」があります。
品種名 | 概要 | 用途・特徴 |
---|---|---|
芳香赤しそ | シソ独特の芳香をもつ赤シソ。平葉種 梅干しの色付け、穂じそ、芽じそ用に。 | |
赤ちりめんしそ | 鮮やかな赤色で着色のよいちりめん種 梅干し、漬物の色付け、ジュースにも。 |
赤紫蘇のプランター栽培の手順
種まきから始める
プランターに直に種をまく(直まき)方法はいくつかありますが、ここでは間引きの手間が少ない点まきの方法を説明します。芽シソ(むらめ)を多く収穫したい場合には、ばらまきしても種まきができます。ばらまきの場合は種は5㎜間隔でまきましょう。
- プランターに、底が隠れる程度に鉢底石いれ、その上から、野菜専用培養土をプランターの上部2〜3cm程度のところまで敷き詰めます。
- 瓶の底や、500mlのペットボトルの底などを使い浅い、15cmほど間隔を空けて、植え穴をつくります。
- 植え穴に7~8粒で種をまき、土を軽くかぶせて手で軽く押さえます
- 水をたっぷり与えます。
- 双葉が開いたら3本、本葉2~3枚で2本、本葉5~6枚で1ヵ所に1本になるように間引きます。
苗から始める
市販の苗やポリポットなどで育苗した場合の、植えつけについて説明します。苗を選ぶときには、3本~4本仕立てで、節と節がつまって間延びしていない、しっかりした苗を選びましょう。ポット苗は根鉢を崩さずそのまま植えつけます。2つ以上植えつけるときには、株間は20cmほどとって、植えつけましょう。
- プランターに、底が隠れる程度に鉢底石いれ、その上から、野菜専用培養土をプランターの上部2〜3cm程度のところまで敷き詰めます。
- ポットより1周り大きめの穴を掘り、ポットから苗を取り出して植えつけます。
- 土を寄せて軽く押さえ、水を鉢底から透明な水がでるまで、たっぷり与えます。
- 苗が25cm以上になったら、生育のよい1本を残し後は、株元からハサミで切り取ります。
赤紫蘇のプランター栽培の育て方
容器・用土
プランターや鉢植えでしそを育てる場合は、少し深めの深さ20cm以上のものがよいでしょう。長さ60cm程度の標準プランターで3株、1株なら直径24cmほどの8号程度のものがよいでしょう。
用土は野菜の培養土が便利。元肥入りのものは肥料が入っているため追加で与える必要はありません。自分で配合する場合は、赤玉土6、腐葉土4などの配合がよいでしょう。元肥には、緩効性肥料を用土に混ぜて施します。
栽培環境・水やり
赤紫蘇は日当たりの良い場所を好みますが、日に当たると葉が固くなったり、夏に直射日光にあたると葉焼けする可能性もあります。しかし長期間日陰に置くと、株が軟弱になったり、ヒョロヒョロと徒長することもあります。できれば明るい日陰で管理しましょう。葉が大きくやわらかくなります。
水分不足は、葉が固くなったりハダニやアブラムシなどの害虫がつく原因にもなります。水やりは用土の表面がかわいたらたっぷり与えます。水切れしないよう、葉が大きくなってきたら基本は毎日、乾燥が続く夏は朝と晩2回行いましょう。
肥料
プランター栽培の場合肥料は、元肥と追肥を行います。元肥とは植え付け時に施す肥料で、プランターなどでは、元肥入りの野菜の培養土などが便利です。肥料がはいっていない土や、自分で配合した場合は、緩効性肥料を土に混ぜて使います。
追肥は、種から育てる場合は2回目の間引きの後から、苗から育てる場合は植え付けから1か月後から始めます。化成肥料10g程度を株元に散布するか、液体肥料を水やり代わりに与えます。化成肥料であれば1か月に1度、液肥であれば2週間に1度施肥します。
摘心・花芽つみ
草丈が30cmほどになったら、葉の収穫をかねて摘芯をおこないましょう。主枝(主茎)の先端を摘みとると、わき芽がでて側枝になり、枝葉が増えて収穫量が増えます。花が咲くと葉が固くなります。葉の収穫が目的であれば、こまめに花芽を摘み取りましょう。
収穫
種から育てる場合、本葉が3~4枚でたころまでが「芽じそ」が収穫できます。赤ジソの双葉は「むらめ」と呼ばれ、刺身のあしらいや和え物などに使われます。あっという間に大きくなってしまうので、早めに収穫しましょう。
草丈が30cmぐらいになれば、葉しそが収穫できます。柔らかい葉を摘心しながら収穫すると、どんどん大きくなります。花が咲くと葉はこれ以上生長しないため、穂ジソや実を収穫しない場合は、すべて収穫しましょう。しそシロップにすれば長期間保存できます。
花穂は「穂じそ」と「実じそ」が収穫できます。夏の終わりに伸びた花穂が3割~5割ほど開花したものが「穂じそ」です、花穂紫蘇とも呼ばれます。赤紫蘇は紫色の花が咲くので彩りにも使われます。穂じそをそのまま育てると花が咲いて実がつきます。これが実じそ、紫蘇の実ともいわれます。しその実はしょうゆ漬け、塩漬け、佃煮などに使われます。
病害虫
赤紫蘇は、アブラムシやハダニ、ヨモギエダシャク、ハスモンヨトウなどの害虫が付きやすいので注意が必要です。これらの虫が発生した時は、水を勢いよくかけて弾き飛ばす、粘着テープで除去する、また殺虫剤などの薬剤で駆除、防虫する方法があります。どちらにせよ、早く対応するに越したことはないので、葉っぱを観察して発見した時はすぐに捕殺するようにしましょう。
ベニカマイルドスプレーは、食品成分を使用した殺菌殺虫剤で様々な野菜やハーブ、果樹などで使えます。
また病気は、さび病や斑点病にかかることがあります。病気をみつけたら早めに除去しましょう。斑点病は高温・多湿で起こりやすいため、梅雨時などは軒下などにいれ雨にあたらないようにし風通しの良い場所で管理するようにしましょう。
まとめ
赤紫蘇はビタミンやミネラルを多く含み、シソニンと呼ばれるアントシアニン色素を持ち酸と反応して赤くなります。またポリフェノールが多く含まれ、免疫強化や眼精疲労の低下などにも効果があるといわれています。中国では漢方薬にも使われています。
ジュースを作った後の残りの葉は、ふりかけとしても利用できます。ゆかりも手作りできるので、ぜひ家庭菜園で赤紫蘇を栽培してみてください。大葉と一緒に栽培もできます。
この他にも、農家webにはプランター栽培の記事がたくさんあります。
育てたい野菜や果実の名前から、プランター栽培の記事が探せます