香辛料として使われる唐辛子は、病気や害虫に強く初心者の人でもプランターで簡単に栽培することができます。ここでは、唐辛子(とうがらし)のプランター栽培について、タネや苗から始める手順から収穫まで唐辛子を初めて育てる方にもわかりやすく説明します。
唐辛子のプランター栽培の手順(苗の植えつけ)
唐辛子の苗は、植え付け時期になるとホームセンターなどでも販売されます。少量なら市販のポット苗が便利です。
市販の苗の選び方
- 本葉8枚~10枚程度(一番花のつぼみがあるとより良い)
- 葉がきれいで、病気などにかかっていないもの。
- 茎の節と節の間が詰まっており、徒長(ひょろひょと間延び)していないもの
- 全体的に、茎が太くがっちりしているもの
準備するもの
- 唐辛子の苗(種から育苗したもの or 市販の苗)
- 丸形プランター(直径30cm、深さ30cm以上)
- 野菜用の培養土
- 鉢底石
- 肥料
- 支柱(80cm程度)、麻紐
手順
- 手順1プランターの準備
プランターに、底が隠れる程度に鉢底石を入れます。
その上から、野菜専用培養土をプランターの上部2〜3cm程度のところまで敷き詰めます。側面を軽くたたいて土を落ち着かせます。 - 手順2苗の植えつけ
プランターの中央に苗を植えつけます。
根鉢よりも大きめの植穴を掘り、水を穴に注ぎます。
水が引いたら、ポットから根鉢をこわさないように苗を抜き、穴に苗を植えつけます。株元を軽く押さえ、たっぷり水やりをします。 - 手順3支柱立て
植えつけ後すぐに支柱をたてておきましょう。
支柱は直立式で立てます。株から3cmほど離れたところに、80cmほどの支柱を立て、茎と支柱を紐で結んで誘引します。 - 手順4わき芽かき
一番花が咲く頃、一番花から下のわき芽(葉と茎から伸びる芽)はすべて摘み取ります。生長するとまたわき芽がでてくるので、都度摘み取ります。
- 手順5
- 手順6収穫
開花から20日ほどで、青トウガラシの収穫ができます。ヘタの部分からハサミで切って収穫します。
さらに40日ほど立つと真っ赤に熟します。赤くなったものから順次、ヘタの部分からハサミで切って収穫しましょう。 - 手順7乾燥・保管
赤トウガラシは、収穫後乾燥した場所で陰干しします。
最後の収穫時には、枝(株)ごとハサミで切って収穫して、風通しの良い場所で、乾燥させると果実が長持ちします。
青い部分が残っていると、カビが生えやすいので熟した実を収穫し、しっかり乾燥させましょう。
唐辛子のプランター栽培 育て方
唐辛子の育苗(種まき)
唐辛子は、タネから育苗するのは、保温できる環境がある場合に限ります。育苗期間は2ヵ月以上かかるので、少数であれば市販の苗が簡単です。
用意するもの
- 唐辛子の種
- ポリポット(4号 12cm)
- タネまき用培養土
手順
- ポットに培養土をいれ、直径3cm、深さ1cmほどの穴を空けます。
- 穴に2粒~3粒種をまき、5㎜ほど土をかぶせて手でかるく押さえます。
- タネをまいたら、たっぷり水やりをします。
- 本葉1枚~2枚の頃が開いたら、生育の良い、1本をハサミで切って間引きます
- 本葉が8枚~9枚、最初の花が咲く直前まで大苗に育ててから植えつけます。
育苗のポイント
- 唐辛子の発芽温度は高め、25℃~30℃が目標温度です。最低15℃以下にはならないように、室内で管理するか、保温マットや寒冷紗、ホットキャップなどをつかって、低温から守ります。
- 発芽までは、タネが乾燥しないように気をつけましょう。水やりは午前中の暖かくなってきてからあげるとよいでしょう。
- 芽がでたら、すぐに日に当てて徒長しないように育てましょう。
- 種まきから発芽まで7日~10日、育苗期間は60日~90日ほどかかります。
- 育苗中は、生育温度が28℃~30℃と高めなので保温し、水やりは表面の土が乾いたら与えます。
- 植えつけ時に育苗用の培養土であれば肥料がはいっているので、特に必要ありません。
容器・用土
容器は、深さ30cm以上の大型プランターがよいでしょう。丸形のプランターであれば直径30cm以上に1株、横幅55cm~60cm程度の大型プランタ―なら2株植えることができます。株間は25~30cm程度開けるとよいでしょう。
用土は市販の元肥入りの野菜の培養土がよいでしょう。自分で配合する場合は、赤玉土6腐葉土3、バーミキュライト1の割合に苦土石灰を1ℓあたり1g、緩効性肥料を10g程度配合します。
栽培環境・水やり
唐辛子は日当たりが良く、風通しの良い場所を好みます。唐辛子は寒さに弱いので、気温が低い日は室内に取り込む、育苗時は、ホットキャップや苗カバーなどをすると発芽率や生育がよくなります。わき芽かきは、日照と風通しを良くするため、都度行ってください。実の付きもよくします。
育苗時期の水やりは、発芽までは、タネが乾燥しないように気をつけましょう。水やりは午前中の暖かくなってきてからあげます。植えつけ直後はたっぷり水を与え、その後は土の表面が乾いたら鉢底から水がでるまでたっぷり与えます。夏は水切れしやすいので注意しましょう。
肥料
プランター栽培の場合肥料は、元肥と追肥を行います。元肥とは植え付け時に施す肥料で、プランターなどでは、元肥入りの野菜の培養土などが便利です。肥料がはいっていない土や、自分で配合した場合は、緩効性肥料を土に混ぜて使います。
唐辛子は、収穫期間が長いので肥料を切らさず育てましょう。その一方で、唐辛子は水や肥料が不足すると、ストレスで辛くなるといわれるので、辛い唐辛子を作りたい人は肥料を控えめにしてみるのもよいでしょう。
肥料は化成肥料8-8-8や、有機肥料、液肥も使えます。ハイポネックスの「今日から野菜 野菜の肥料」や住友化学園芸「マイガーデンベジフル」などの肥料も使えます。これらの肥料はゆっくり効き成分も入っているので今日から野菜は、2ヵ月ごとに1回、マイガーデンベジフルは3ヵ月ごとに1回を目安に、苗の様子を見て与えましょう。
支柱立て
唐辛子は草丈が高くなり、実がなり始めるとその重さに耐えられなくなります。栽培当初から支柱を立てて育てましょう。
支柱は、一番簡単な直立式と呼ばれる方法で立てます。
- 株から3cmほど離れたところに、80cm~1m程度の支柱を10㎝ほど土に差し込みます。
- 株元から10㎝程度の主枝の茎と、支柱を麻紐で縛ります。
- 草丈が伸びてきたら、適時紐で結んで誘引します。1本で支えられなくなったらもう1本支柱を立てましょう。
収穫
唐辛子は、未成熟の青トウガラシと、熟した赤トウガラシの両方の収穫が楽しめます。青トウガラシは、スーパーなどで見かけないので家庭菜園ならではの楽しみです。さわやかな辛さを楽しむことができます。
青トウガラシは開花から20日程度、赤トウガラシはそこからさらに40日程度育てると収穫できます。
収穫は、ヘタの部分をハサミで丁寧に切り取って収穫します。
保存できるのは、熟した赤トウガラシのみです。青い部分が残っていたり、乾燥が足りないとカビが生えます。しっかり熟した唐辛子を、触るとカラカラと音がするまでしっかり乾燥させましょう。
病害虫
唐辛子は、病害虫が少ない野菜の一つですが、害虫はアブラムシやハダニ、コナジラミ、ミカンキロアザウマ、ミナミキイロアザミウマ、オオタバコガなどの害虫が発生することがあります。これらの虫が発生した時は、粘着テープで除去する、また殺虫剤などの薬剤で駆除、防虫する方法があります。どちらにせよ、早く対応するに越したことはないので、発見した時はすぐに駆除し、防除を心掛けるようにしましょう。
病気は、うどんこ病、疫病、斑点病などにかかることがあります。葉に斑点がでたり、茶色く枯れたりしてきたら病気を疑いましょう。対策は梅雨に高温多湿によるカビの被害が多いので、梅雨は軒下で雨があたらないようにし、風通しがよく日当たりの良い場所で育てましょう。枯れた葉や、剪定をして株を風通しよくさせることも予防につながります。
また古い土を使う場合、連作障害が起きやすいので、ナス科を育てた土での栽培は行わないようにしましょう。
唐辛子(とうがらし)栽培の基本情報
唐辛子の基礎知識
唐辛子というと思い浮かべるのは、香辛料として料理によく使われる、鷹の爪と呼ばれる乾燥した赤い実が多いのではないでしょうか。トウガラシの仲間には、辛みのある「トウガラシ」の他、辛みがない「甘トウガラシ」があり、甘トウガラシにはピーマンやししとうも含まれます。
暖かい気候を好み、暑さに強いので春に植え付けると秋まで収穫が楽しめます。赤く完熟させた実は乾燥して使いますが、未成熟の青唐辛子は生で食べることができます。実だけでなく葉っぱも食べることができます。
品種にもよりますが、種まきから植え付けまで約2か月、植え付けから収穫までは1ヵ月ほどかかります。育苗期間が長いため、市販の苗を買ってきて植えつければ栽培は難しくありません。育苗をする場合は温度管理が必要です。
作物名 | トウガラシ |
---|---|
科目 | ナス科トウガラシ属 |
原産地 | 熱帯アメリカ |
発芽適温(地温) | 25℃〜30℃ |
生育適温 | 28℃~30℃ |
土壌酸度(pH) | 6.0〜6.5 |
育てやすさ | 簡単 |
品種
とうがらしと名の付く品種の中で、ここでは辛味のある唐辛子の品種についていくつか紹介します。
品種名 | 概要 | 特徴 |
---|---|---|
鷹の爪 | 日本の代表品種。細小型で、長さは約3~5cm。 日本のトウガラシ品種の中では最も辛い。 | |
日光トウガラシ | 長さ13cm~15cmの細長果で栽培しやすい。 辛味は中程度で、青果は辛味が少なく、 赤くなると辛くなります。 | |
島トウガラシ | 沖縄の伝統的な品種。長さ1.5cm~2cmほどの小型の品種 沖縄では、泡盛に漬けて調味料に使われます。 | |
ハラペーニョ | メキシコ原産。肉厚で辛味の中に甘みがあるので、 サルサソースやピクルスに使われます。 丈夫で育てやすく、辛味は中程度で熟すと辛味が増します。 | |
ハバネロ | メキシコ原産。2cm~6cmほどの丸みのある果実。 レッドが有名で、激辛の後にさわやかな酸味が特徴。 辛さがマイルドなオレンジなどもあります。 |
栽培時期
唐辛子の栽培時期は、暖かくなってきた春にタネまきや植え付けをし、初夏から秋まで長く収穫することができます。寒さに弱いため、遅霜の心配がなくなってから植えつけしましょう。
地域 | 播種(タネまき)時期 | 植え付け時期 | 収穫時期 |
---|---|---|---|
寒冷地 | 4月下旬~6月中旬 | 5月下旬~7月中旬 | 6月下旬~10月 |
中間地 | 3月下旬~6月 | 5月~7月 | 6月中旬~10月 |
暖地 | 3月~6月 | 4月下旬~7月 | 6月~11月上旬 |
まとめ
唐辛子の辛味成分のカプサイシンは、血行を良くし、新陳代謝を良くします。品種にもよりますが、1株で100個以上収穫できるので、プランターでも十分収穫を楽しめます。品種を選べば激辛のものから、辛みの少ないものまでいろいろと栽培できるので、ぜひ栽培にチャレンジしてみてください。
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