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プランター栽培

空中栽培で育てる! プリンスメロンのプランター栽培 

マスクメロンの実 プランター栽培

メロンは栽培が難しいといわれますが、小型のプリンスメロンなら育てやすいのでプランター栽培に向いています。

ここでは、プリンスメロンのプランター栽培について、種や苗から始める手順や、収穫までの育て方を家庭菜園初心者の方にもわかりやすく説明します。

プリンスメロンの栽培について

プリンスメロンの基礎知識

メロンはウリ科のつる性の一年草で、たくさんの系統や品種があります。実の表面に網目模様がでるネットメロンと網目のないマクワ型メロン、マクワウリに大きくわけられます。

プリンスメロンは、網目のないマクワ型メロンの代表で、シャランテとマクワウリの交配によって生まれ、メロンのおいしさとマクワウリの育てやすさを持っています。果肉は淡い黄緑色で、果実の重さは600g程度と小型。また糖度も高く安定しているので、メロンの中では作りやすい品種で、家庭菜園に向いています。

暑さに強く寒さには弱いので、遅霜の心配がなくなってから植えつけましょう。タネからも育てることはできますが、育苗には35日程度かかり、発芽温度が高いので保温も必要です。プランターであれば1株で十分なので、春になると市販の苗が、ホームセンターなどで販売されるのでそこから始めるとよいでしょう。

作物名プリンスメロン
科目ウリ科キュウリ
原産地中央アジア、中近東
発芽適温(地温)25~30℃
生育適温25~30℃
土壌酸度(pH)6.0~6.8
育てやすさ難しい

栽培時期

メロンの栽培時期は、春にタネをまいて夏に収穫します。寒さに弱いので、植えつけは最低気温が16℃以上になってから植えつけましょう。植えつけから90日程度で収穫できます。

地域播種(タネまき)時期植え付け時期収穫時期
寒冷地4月中旬~5月上旬5月下旬~6月下旬7月下旬~9月中旬
中間地3月中旬~4月4月下旬~6月7月中旬~9月
暖地3月~4月中旬4月中旬~6月7月~9月

プリンスメロンのプランター栽培の手順(苗の定植)

プリンスメロンの苗は、植え付け時期になるとホームセンターなどでも販売されます。

苗の選び方

苗は元気な病気のない苗を選びましょう。ポイントは下記のとおりです。接木苗は、連作障害の病気に強い苗です。新しい土で育てる場合はどちらでもよいでしょう。

  • 本葉が4枚~5枚程度ついているもの
  • 節がつまっており、茎が間延びしていない。
  • 葉の色が濃くツヤがあり、虫や病気などがない
  • 株がしっかりしている
  • ポットの下からでている根が白い

準備するもの

  • プリンスメロンの苗
  • 丸形の大型プランター(深さ、直径30cm以上)
  • 野菜用の培養土
  • 鉢底石
  • 肥料
  • リング支柱(あんどん仕立て)
  • 収穫ネット

手順

プリンスメロンのプランター栽培の手順
  • 手順1

    プランターの準備

    プランターに、底が隠れる程度に鉢底石を入れます。
    その上から、野菜専用培養土をプランターの上部2〜3cm程度のところまで敷き詰めます。側面を軽くたたいて土を落ち着かせます。

  • 手順2
    苗の植えつけ

    プランターの中央に、根鉢よりも大きめの植穴を掘って水を注ぎ入れる。
    ポットから根鉢をこわさないように苗を抜き、穴に苗を浅く植え付けます。
    株元を軽く押さえ、たっぷり水やりをします。

  • 手順3
    支柱立て

    植えつけたらすぐに支柱を立てます。
    あんどん式支柱を立て、ツルを支柱に誘引して紐で結びます。

  • 手順4
    整枝・摘心

    親づるが本葉5枚~6枚になったら、先端を摘心すると、子づるが伸びてきます。元気な子づるを3~4本残して、他の子づるは切り取ります。
    子づるは、葉が15枚~20枚になったら摘心して孫づるの発生をうながします。
    つるは伸び次第、支柱に誘引して育てましょう。

  • 手順5
    人工授粉

    孫づるの6節~12節に、雌花が開花したら、その日の朝早くできれば9時頃までに人工受粉をします。
    雄花を摘みとり、花びらを取り除いて雌花の中にある雌しべの柱頭に雄しべの花粉をこすりつけて受粉させます。

  • 手順6

    実が親指大ほどになったら1回目の追肥を行います。化成肥料10gを、株元は避け、プランターの縁にそってばらまきます。土と軽く混ぜておきましょう。10日~15日ほどしたらさらに同様の追肥をします。

  • 手順7
    摘果

    1回目の追肥のタイミングで摘果を行います。つる1本につき、果実は2果、1株で6~8果が目安です。育ちの良いものを残し、後は摘果します。雌花もすべて取り除きましょう。

  • 手順8
    果実の吊り下げ

    果実が大きくなってきたら、収穫用ネットにいれ、ひもを支柱に結んで吊るします。

  • 手順9
    収穫

    人工授粉から40日ほどで収穫できます。成熟すると果皮が緑から黄白色にかわります。果実のつけ根についた葉が枯れて、よい香りがしてきたら収穫のタイミングです。つるをハサミで切って収穫しましょう。

空中栽培について(支柱立て)

メロンは、地面につるを這わせる「地這い栽培」が一般的ですが、プランター栽培では、支柱を立てて、立体栽培で育てると小スペースで栽培が可能です。果実が空中に浮いているように見えることから空中栽培とも呼ばれます。

プランター栽培では、朝顔などの鉢植えでよくみられる「あんどん式」がおすすめです。プリンスメロンは小型なのでそのままでも大丈夫ですが、できればネットなどで果実の落下を防ぐとよいでしょう。

あんどん式支柱

リング式支柱は、あんどん式に使う支柱で、主にプランター栽培や鉢植え栽培用の方法で、3~4本程度の園芸支柱を土壌に垂直に挿し、それらの支柱をリングで固定する方法です。狭いスペースでも、誘引するための紐やクリップを固定する場所を多く確保できるため、ガーデニング・ベランダ栽培に特におすすめです。

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プランターでは、四方の角に支柱を挿す(もしくは固定する)場所が用意されているので、それらに園芸支柱を立てて、ビニール紐で一周まわりを結ぶとあんどん式の組み方になります。ベランダなどの狭い場所でも十分に誘引することができます。もし、プランターに支柱を挿す場所がない場合は、用土に直接挿し込んで問題ありません。

プランターにおける支柱の立て方で、あんどん式に組んだ様子を表した画像です。

プリンスメロンの場合、支柱は90cm~120cm程度のものを選びましょう。
プランターの縁にそって、支柱をたて、支柱と支柱を紐で結んで、プランター周囲を囲んでいきます。20cm~30㎝間隔で数本の紐をはります。

親づるが伸びてきたら、支柱につるを誘引して紐で結びます。誘引は、つるの生長に合わせてこまめに誘引してください。

吊り下げネット・メロンフック

空中栽培では、果実が大きくなると重さで落下や、鳥害から守るためにネットやフックで、吊り下げて重さを支えます。メロンをひっかけて吊るせる、メロンフックもあります。

使い方は、収穫用ネットや、水切りネットの両端に紐をつけて、ハンモック状に吊るせれば大丈夫です。ストッキングなども代用できます。メロンフックは、メロンの主枝に引っ掛けて、麻紐などで支柱に吊るして使います。

プリンスメロンのプランター栽培 育て方

種から始める場合

苗から始めるのが簡単ですが、プリンスメロンならプランターに直まきして育てることもできます。タネから育てる場合は、最低気温が15℃以下にならないようにホットキャップなどで保温し、夜間はできれば室内で管理するとよいでしょう。ここでは温度管理のしやすいポリポットでの育苗を説明します。

  1. 3号のポリポットに培養土を入れ、タネを3~4粒まき1cmほど覆土する
  2. 水をたっぷり与え、保温しながら発芽までは乾かさないように水やりして育てます。
  3. 本葉が1枚のころに2本に、本葉3枚のころに1本に元気の良い苗を残して、間引きます。
  4. 本葉4~5枚になったら、植え付けします。

容器・用土

容器は、直径30cm、深さ30cm以上の深型プランターか鉢植えなら10号以上のものがよいでしょう。株間が必要なので、基本は1つのプランターに1株で育てます。

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用土は野菜の培養土が便利。元肥入りのものは肥料が入っているため追加で与える必要はありません。自分で配合する場合は、赤玉土3、腐葉土1、バーミキュライト1などの配合がよいでしょう。元肥には、緩効性肥料を通常より少なめに用土に混ぜて施します。

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栽培環境・水やり

プリンスメロンは、強い光と長い日照時間を好み、乾燥に強く多湿を嫌います、また葉は雨にあたると病気にかかりやすくなるので、日当たりがよく雨のあたらない軒下などで育てましょう。もしくは雨の日には、雨のあたらない場所へ移動しましょう。

発芽温度・生育温度ともに高めなので、育苗には保温が必要です。植え付け直後も、ホットポットや苗カバーなどをすると、生育がよくなり寒さで苗が傷む恐れがありません。

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育苗時期の水やりは、発芽までは、タネが乾燥しないように気をつけましょう。水やりは午前中の暖かくなってきてからあげます。植えつけ直後はたっぷり水を与え、その後は土の表面が乾いたら鉢底から水がでるまでたっぷり与えます。病気を防ぐため、株を濡らさないように水を与えます。

実が完熟する時期(収穫の10日前)から水やりを減らし乾燥気味に育てることで、実が甘くなります。                                                                                                                                                                                                                            

肥料

プランター栽培の場合、肥料は元肥と追肥を行います。元肥とは植え付け時に施す肥料で、プランターなどでは、元肥入りの野菜の培養土などが便利です。肥料がはいっていない土や、自分で配合した場合は、緩効性肥料を土に混ぜて使います。

プリンスメロンは、つる性のため生育初期に肥料が効きすぎると、ツルや葉がのびすぎて花や実がつきにくくなる「つるボケ」がおきやすくなります。元肥は控えめにして実がついてからの追肥で実を大きく育てます。

人工受粉後、実が親指大ほどになったら1回目の追肥を行います。化成肥料を株元は避け、プランターの縁に沿ってばらまきましょう。10日~15日ほどしたらさらに追肥をします。液体肥料を使うこともできます。実が親指大ぐらいになったら、7日~10日に1度、500倍に薄めた液肥を水やりがわりに与えます。収穫1週間前までには肥料が切れている状況にしましょう。

元肥には有機肥料がおすすめですが、プランターなどでベランダで育てる人には臭いや虫が気になる人もいるでしょう。その場合は化成肥料を使いましょう。

肥料は野菜の栽培によくつかわれる化成肥料8-8-8や、野菜用の肥料、メロン専用の肥料もあります。

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肥料不足の場合やプランター栽培には追肥として液体肥料をつかってもよいでしょう。液体肥料は野菜用のものを使うとよいでしょう。住友化学園芸の「マイガーデンベジフル」やハイポネックスジャパンの「野菜の液肥」などがあります。

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摘心・摘果

摘心

親づる(最初に成長した茎)が伸びてきたら、親づるの生長をとめ実のつく子づるを伸ばすために、親づるの芽を取る摘心を行います。

摘心は、親づるに葉が5枚~6枚ほどついたら、親づるの先端の芽を手か消毒したハサミで除去します。子づるが勢いよく育ってきたら元気のよい、3~4本つるを残して後の子づるは摘み取ります。左右に誘導してつるが混みあわないようにします。
子づるは、葉が15枚~20枚になったら摘心して孫づるの発生をうながします。

摘果

人工受粉をして、成功するものもあれば失敗して実がつかないものもあります。成功してたくさんの実がついたとしても、全部育てると実に栄養がいかず小さくておいしくない実になってしまうため、摘果を行いましょう。目安は、1本のつるに2果、1株に6果~8果までです。

果実が親指大になったころ、追肥をするタイミングで形が整った大きな実を残しあとは、取り除きましょう。

人工授粉

プリンスメロンを確実に着果させたいなら、人工授粉が必要です。孫づるの6節~12節に雌花が咲いたら人工受粉をしましょう。雌花と雄花の違いは、蕾の下がふくらんでいるかいないか。蕾の下がふくらんでいるほうが雌花です。

授粉は朝8時~9時に行いましょう。雄花を摘みとり花弁を取り除きます。雄しべ(葯)を当日咲いた雌花の柱頭に軽くなすりつけましょう。で交配日をラベルに書いておくとよいでしょう。

メロンの雌花

病害虫

病気

プリンスメロンは、うどんこ病や、つる枯れ病、つる割れ病、べと病などの病気にかかりやすいです。葉に斑点がでたり、茶色く枯れたりしてきたら病気を疑いましょう。

対策としては高温多湿によるカビの被害が多いので、雨に当てないこと、水やりの際も株を濡らさないように与えましょう。早期発見が大切です。また発生してしまったら殺菌剤の使用も効果的です。

害虫

プリンスメロンの葉が食害を受けたり、色が変色している場合は害虫の可能性もあります。アブラムシハダニアザミウマウリハムシなどの害虫がつきやすいです。これらの虫が発生した時は、粘着テープで除去する、また殺虫剤などの薬剤で駆除、防虫する方法があります。どちらにせよ、早く対応するに越したことはないので、発見した時はすぐに駆除し、防除を心掛けるようにしましょう。

まとめ

メロンの栽培はネットメロンは温室で管理されるので温室メロンとも呼ばれ、それに対し、網目のないノーネットメロンは露地メロンと呼ばれます。ネットメロンは栽培が特に難しいので、まずはプリンスメロンから始めてみましょう。ネットメロンを育ててみたい人には「ころたん」がおすすめ。手のひらサイズのメロンなので、ベランダなどのプランター栽培にむいています。

編集さん
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執筆者・監修者情報
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編集部のメンバーは皆、実際に農業に携わりながら情報をまとめています。農学を極め樹木医の資格を持つ者、法人の経営・財務管理に長けている者、大規模農場の営農経験者などバラエティに富んだメンバーで構成されています。他にも農機具やスマート農業機器、ITなどのスキルも兼ね備えています。

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