パッションフルーツは、防寒対策が必要なため、プランターや鉢植えで育てるのが一般的です。ここでは苗木から育てるパッションフルーツのプランター栽培について、植え付けから収穫までの育て方の基本から、休眠期の剪定や冬越しまでわかりやすく説明します
パッションフルーツ プランターへの苗の植えつけ
それではここからは、プランターへの苗の植えつけ方について説明してきます。
植え付け時期
植え付けや植え替えは霜の心配がなくなった4月~6月が適期です。
準備するもの
- パッションフルーツの苗木
- 深型プランター(直径30cm、深さ30cm以上のもの)
- 果樹の培養土
- 鉢底石
- 支柱・紐
- ハサミ
苗木の選び方
ホームセンターなどでは、植え付け時期になるとパッションフルーツの苗木が販売されます。1~2年生の苗木が多く、生育がよいので植え付けた年から果実が実ることもあります。グリーンカーテンや当年に果実を楽しみたい場合には、なるべく大きな苗を選びましょう。
- 節間がつまっているもの
- 枝の断面が扁平ではなく円形のもの
- 根元が太く、下部が1本立ちしているもの
夏頃に見かける実つき苗は、葉が良く茂り濃緑色のものを選びましょう。植え替えはすぐ行わず翌年の春までそのまま育ててから植え替えします。
容器と土
パッションフルーツは、根が浅根性で根張りが多いので、できれば深めのプランターや鉢を使いましょう。縦に伸ばす場合は直径30cm、横につるを伸ばすのであれば横幅60cmほどのプランターを使いましょう。根の量が多ければおおいほど、枝が大きくなります。グリーンカーテンを作る場合で株を大きくしたい場合は、大きめの鉢やプランターを使いましょう。
用土は、水はけと通気性のよい土がおすすめです。元肥入りの市販の果樹用の土が便利です。パッションフルーツ専用の培養土もあります。自分で配合する場合は腐葉土7・赤玉土3などがよいでしょう。
植え付けの手順
- 手順1プランターの準備
容器に、鉢底石を3㎝ほど入れその上に培養土を入れます。中央に植え付ける苗より1周りほど大きい穴を空けます。鉢の縁から2cmほどウォータースペースを空けておきましょう。
- 手順2植えつけ
ポットから苗木を取り出し根鉢を崩さないようにプランターの中央にいれます。培養土を足して、根を埋めます。(接ぎ木の場合は接ぎ木の部分は埋まらないように注意します)
土と根の隙間がないように、割り箸でつついたり鉢を叩いたりしてなじませ、土の表面を手で押さえます。 - 手順3支柱を立てる
根の横に、添え木となる支柱を立て、根元20cmほどのところで支柱と茎をひもで結んで固定します。
- 手順4水やり
植えつけたら、水を鉢底から流れるまでたっぷり与えます。
パッションフルーツ栽培 プランターでの育て方
パッションフルーツの基礎知識
パッションフルーツはつる性の多年草で、観賞用のトケイソウの花と同じく花の形が時計の文字盤に見えることから、クダモノトケイソウとも呼ばれます。果実は食用に使われ、果実を切ってゼリー状の実と種をスプーンですくって食べる他、ジュースなどにも使われます。
熱帯の植物ですので耐寒性はそれほど強くないので、沖縄などでは地植えでも育てることができますが、一般的には防寒対策をする必要があるので、鉢植えやプランター栽培が一般的です。
栽培は、春に植え付けをし、夏に収穫を迎えます。つる性のため支柱を立て、つるを摘芯、誘引して育てます。病害虫に強いので、夏のグリーンカーテンとしても活用できます。
学名 | Passiflora edulis |
---|---|
属名 | トケイソウ科トケイソウ属 |
原産地 | 南アメリカ大陸(ブラジル・パラグアイなど) |
樹高・草丈 | ~3m |
耐寒性等 | 耐寒性 やや弱い 耐暑性 普通 |
花言葉 | 「聖なる愛」「信仰」 |
品種について
パッションフルーツの品種は、果実の色で大別されます。果実の色は紫色と黄色にわかれ、この二つを混合した品種の3つに分けられます。日本では耐寒性があり、耐暑性があまりつよくない紫色の品種が主に栽培されます。黄色の品種は耐暑性が強く、熱帯で栽培が盛んです。黄色の品種は、受粉樹が必要なものが多いので、家庭では紫色の品種を選んで育てるのがよいでしょう。
品種名 | 果実の色 | 特徴 |
---|---|---|
サマークイーン | 紫色 | オレンジ色の果実は酸味が少なく甘酸っぱい。人気の品種 |
ルビースター | 紫色 | 甘味と酸味のバランスの良い品種 |
エドゥリス | 赤紫色 | 日本のパッションフルーツの代表品種。味が良く栽培しやすい |
ゴールデンジャイアント | 黄色 | 大果で味もよい。自家受粉しにくいため受粉樹が必要 |
栽培環境・水やり
パッションフルーツは、日当たりのよい場所を好みます。日照不足になると、株が軟弱になり果実は小さくなります。なるべく日の当たる場所で管理しましょう。品種にもよりますが寒さには弱いので、冬は室内で管理しましょう。
水やりは、鉢の表面が乾いたら鉢底から水が出るまでたっぷり与えます。20℃を超えると生育が盛んになります。このころから果実がなっている頃までは、水をたくさん吸収するため朝、晩与えるとよいでしょう。しかし与えすぎると根腐れをおこすので、鉢の表面が乾いていないうちに水やりをしないようにしましょう。
冬は休眠期にはいるので、水やりは控えめに数週間に1度与える程度にしましょう。
肥料
植え付けのときに元肥として、緩効性肥料を与え、その後1ヵ月ほどしたら、追肥します。また収穫が終わった木には、お礼肥として追肥をしましょう。追肥は速効性の化成肥料を株元にばらまいて施肥します。
鉢植えの追肥には、化成肥料がおすすめ。化成肥料は早く効く速効性とゆっくり効く両方の成分を持っているものが多いです。有機肥料は、臭いや虫などが気になるためベランダなどで鉢植えで育てる場合は、有機入りの化成肥料もおすすめです。元肥にも追肥にも使える「マイガーデンベジフル」やハイポネックスジャパンが製造する「錠剤肥料シリーズ かんきつ・果樹用」などがよいでしょう。
支柱立て
パッションフルーツはつる性植物なので、支柱を立ててツルを誘引して育てます。支柱は鉢であればあんどん式やオベリスク式などがよいでしょう。プランターであればフェンス仕立てで、横に平行に伸ばしたり、緑のカーテンを作るように上の方向に伸ばして仕立てることもできます。支柱は1.5m~2m程度必要です。
剪定・整枝
摘芯(摘心)
摘芯(摘心)とは、茎や枝の最先端の芽を摘む作業で、ピンチとも呼ばれます。摘芯をすることでわき芽を増やしたり、生長を止めたりすることができます。
パッションフルーツは植え付け時に、主枝を30cm程度の位置で手かハサミで切り取ります。植えつけ後も新たに発生したつるについても、支柱を超えるようなら摘芯して、背丈が高くならないように調整しましょう。
摘芯の方法はいろいろあります。仕立て方によっても変わるので摘芯については詳しい記事があるのでそちらも参考にしてください。
誘引
株が成長するにしたがって、つるが長く伸びてきます。支柱に紐などをつかって誘引して、つる同士が重ならないように誘引しましょう。成長にしたがい小まめに行いましょう。
つる取り
葉のつけ根から巻づるが発生して、支柱や他のつるに絡まってしまいます。誘引が思った方向にできなかったり、剪定の邪魔になるので、発生したら全部つけ根からハサミで切り取りましょう。遅くなると固くなるので、なるべく早めに取り除きましょう。
人工授粉
必須ではありませんが、実つきがあまりよくない場合には人工授粉をすると、確実に結実させることができます。
やり方は、受粉樹が必要のない品種の場合は、乾いた絵筆などで同じ花の花粉をすべての雄しべにつけましょう。授粉樹が必要な品種は、受粉樹の花粉を筆でなぞってから、異なる品種の雄しべにつけます。
摘果
1枝に5果以上結実した場合は、摘果をすることで甘く大きな果実を収穫することができます。開花が遅く、小さな果実を間引いて摘果しましょう。1株あたり4果程度がよいでしょう。
収穫時期
授粉から2か月程度ほどたつと実の色がかわり、完熟してきます。実が落ちるぐらいまで待つのが理想的です。果実にネットをかけておくと無傷で収穫できます。
収穫直後は酸味が強いので、10日間ほど室内で放置して、しわが寄ってから食べると甘い果実が味わえます。
剪定
収穫後、休眠期に剪定をしましょう。適期は鉢植えの場合は防寒対策が必要なため、室内に取り込む直前の11月頃が適期です。春になれば新しいつるがのび、花芽ができるので強めに剪定して、株を若返らせます。
枝わかれしている枝については、枝分かれしている部分から葉を3枚ほど残してカットします。枝分かれしていない枝は、株元から50cm~70cm程度に切り詰めましょう。残った枝は支柱に紐などをつかって誘引しておきます。
冬越し
耐寒性はそれほど強くないので、できれば冬は室内で管理しましょう。温暖地であれば、二重鉢にして、寒冷紗や不織布などを被せて対策すれば、外でも冬越しは可能です。
まとめ
暖かい場所でしか育てられないイメージのあるパッションフルーツですが、寒さに強い品種をえらび、防寒対策をすれば、栽培は可能です。つる性のため、支柱立てや誘引などの手間はかかりますが、難易度の高い果樹ではないので、ぜひご家庭で熱帯の果実のパッションフルーツを楽しんでみてください。
この他にも、農家webにはプランター栽培の記事がたくさんあります。
育てたい野菜や果実の名前から、プランター栽培の記事が探せます