ネバネバとした食感が人気のオクラは、栄養価が高く夏バテ防止にもよいとされる夏野菜。オクラの栽培は、畑だけでなくプランターでも手軽に始めることができます。
この記事では、オクラのプランター栽培について、タネまき、苗から始めるプランター栽培の基本から、品種や肥料、病害虫などについてもわかりやすく説明します。
オクラの基礎知識
オクラは、野菜の中でも繊維質、ミネラル類(カロテン、カルシウム、リン、鉄、カリウムなど)、ビタミンA、B1、B2、Cが多く栄養価の高い野菜です。高温性野菜かつ好光性であるため、特に夏場の作物として栽培されます。逆に寒さには弱いため、家庭菜園では夏野菜として栽培を楽しむことができる作物となります。
オクラは種から育てる場合は、直まきか育苗ポットで育苗してから植えつけます。直根性(根がゴボウのようにまっすぐと伸びる)のため、直まきでの栽培に適しています。栽培は霜の心配がなくなった5月頃にタネをまき、7月下旬〜9月頃に収穫します。栽培期間も短く手間もかからないので、比較的育てやすい野菜です。
作物名 | オクラ |
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属名 | アオイ科トロロアオイ属 |
原産地 | アフリカ北東部 |
発芽温度 | 25〜30℃ |
生育適温 | 20〜30℃ |
栽培難易度 | 普通 |
オクラの種類
オクラというと、サヤに角があるオクラを思い浮かべる人が多いかもしれませんが、他にも種類があります。
種類名 | 特徴 | 概要 |
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角オクラ | スーパーなどでよく見かける五角オクラの他、星形オクラ 、八角オクラなどもあります。 収穫のタイミングを逃さないようにするのが大切です。 | |
丸オクラ | 別名「島オクラ」とも呼ばれ、角がなく丸い形が特徴 沖縄などで流通しています。角がないので、固くなりにくく 収穫時期が多少すぎても大丈夫です。 | |
花オクラ | サヤではなく大きな花びらを食べるオクラ。 サヤと同じように粘りがあります。 | |
赤オクラ | サヤや茎が赤いのが特徴です。ゆでると緑色になるので、 サラダなどで生で食べるのがおすすめです。 |
オクラの育苗(種まきから育てる場合)
オクラの種まきは直まきでも可能ですが、高温を好むので、幼苗期の温度管理がしやすいポリポットでの育苗について説明します。
時期
タネまきの時期は、直まきの場合は、5月中旬から6月末頃までが適期です。ポリポットで育苗する場合は、育苗時に保温すれば、3月下旬頃から種をまくことができます。種まきから収穫まで70日程度かかります。生育適温も20℃~30℃と高い温度を好むので、夏に栽培すると栽培が容易です。
オクラの種の発芽率は品種にもよりますが70%~80%ほどと、それほど高くはありません。発芽率を上げるには、播種する前に種子を一晩水に浸けておくとよいでしょう。また暑い気候を好むオクラは、温度が低いと発芽率が下がり日数もかかりますので、気温が安定してから種まきするとよいでしょう。
用意するもの
- オクラの種
- ポリポット(3号)
- 培養土(元肥入りの野菜の培養土)
手順
- ポットに培養土をいれ、3~4つ、深さ2cmほどの穴を空けます。
- ひとつの穴に1粒づつ種を入れ、土をかぶせて手でかるく押さえます。
- タネをまいたら、たっぷり水やりをします。
- 本葉が2~3枚になるまで15℃以上で管理します。
育苗のポイント
- オクラの発芽温度は高め、22℃〜25℃が目標温度です。最低15℃以下にはならないように保温マットや寒冷紗などをつかって、低温から守ります
- 発芽までは、タネが乾燥しないように気をつけましょう。
- 芽がでたら、すぐに日に当てて徒長しないように育てましょう。
- 間引きして1本にする方法もありますが、間引きせずに2~3株づつまとめて育てる(密植)と、高さを押さえることができます。
オクラのプランター栽培の手順
準備するもの
- オクラの苗
- 大型プランター
- 野菜用の培養土
- 鉢底石
- 肥料
手順
- 手順1プランターの準備
プランターに、底が隠れる程度に鉢底石を入れます。
その上から、野菜専用培養土をプランターの上部2〜3cm程度のところまで敷き詰めます。側面を軽くたたいて土を落ち着かせます。 - 手順2苗の植えつけ
20~25cmほどの株間をとり、根鉢よりも大きめの植穴をつくります。
ポットから根鉢をこわさないように苗を抜き、穴に苗を植えつけます。
株元を軽く押さえ、たっぷり水やりをします。 - 手順3
- 手順4葉の摘み取り
株元からわき芽がでてきたら、早めに摘葉します。ハイビスカスのような可愛らしい花が咲き、実ができ始めます。
収穫が始まったら実の下の葉を1枚~2枚ほど残して、下の葉は切り取ります。株の風通しを良くし、着果が促進されます。
- 手順5収穫
開花後、1週間ほどで収穫できるようになります。五角オクラは7cm程度、丸オクラは15cm程度になったらハサミで切って収穫します。
大きくなりすぎると、味が落ちるので適期を逃さないようにしましょう。
オクラのプランター栽培の育て方
容器・用土
オクラは直根性で土深くに根を張っていきますので、用意するプランター・鉢植えは高さ30cm以上のものを用意しましょう。直径30cmほどの10号鉢程度のプランターで1ポット、横幅60cmほどのプランターなら株間を20~30cmとるので2ポット育てることができます。
用土は、元肥入りの野菜用の培養土が便利です。自分で配合する場合は、赤玉土6腐葉土3、バーミキュライト1の割合に苦土石灰を1ℓあたり1g、緩効性肥料を10g~30g程度配合します。
環境・日当たり
オクラの生育適温は、20℃~30℃、日当たりが良く風通しの良い場所を好みます。高温、多日照の環境を好みます。光飽和点も十分に高いため、日当たりが良いところで栽培をしましょう。
耐寒性は弱く、10℃以下になると全く生育できなくなります。植え付け時は地温が上がり、霜が降りる心配がなくなった頃が良いでしょう。地域や気候に合わせて植え付けの時期を決めてください。
水やりは、植え付け直後は根付くまでは、乾燥に注意し、根付いてからは土の表面が乾いたら、たっぷり与えます。開花から実ができる時期は特に水を欲するので、水切れしないように注意が必要です。
肥料
オクラのプランター栽培では、肥料は元肥と追肥を行います。元肥とは植え付け時に施す肥料で、プランターなどでは、元肥入りの野菜の培養土などが便利です。肥料がはいっていない土や、自分で配合した場合は、緩効性肥料を土に混ぜて使います。
収穫期間が長いオクラは、追肥も大切です。植え付けから20日ほどたったら追肥を始めます。化成肥料10g程度を月に1回~2回ほどばらまくか、液体肥料を1週間に1度水やりがわりに与えるのもよいでしょう。
肥料は、有機肥料や化成肥料が使えますが、プランター栽培ではベランダなどで育てるため、有機肥料は臭いや虫が気になるという方は、化成肥料や有機配合肥料がおすすめです。元肥としても追肥としても使えるのは、いろいろな野菜に使える化成肥料8-8-8の他、ハイポネックスの「今日から野菜 野菜の肥料」や住友園芸の「マイガーデンベジフル」が、ホームセンタ―などでも手軽に買えます。
液体肥料は野菜用のものを使うとよいでしょう。住友化学園芸の「マイガーデン液肥」やハイポネックスジャパンの「ハイポネックス原液」などがオクラに使えます。
おすすめの肥料については、詳しい記事がありますのでそちらも参考にしてください。
オクラは肥料が不足すると、花の位置が高くなったり実の形が悪くなったりします。オクラの肥料不足の症状や対処法についてはこちらの記事を参考にしてください。
支柱たて
今回は、密植の方法を紹介したので、草丈があまり高くならなければ支柱は不要かもしれませんが、株同士を、紐などで結び束ねておくと、株が倒れて広がらずにすみます。
また支柱を立てる場合は、株の横に支柱を立て、紐で8の字に結んでおきましょう。茎が傷まないように紐は支柱側に結びます。草丈が30cmほどになったら支柱をたてるとよいでしょう。
病害虫
オクラの場合は、特に害虫であるハスモンヨトウやアブラムシ、カメムシによる被害が多い作物です。発見次第排除しましょう。害虫の被害がひどい場合には殺虫剤(農薬)を散布するのも有効です。
家庭菜園などでは農薬は使いたくないという方には、防虫ネットなどを使って育てるとよいでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。夏野菜の代表でもあるオクラは、1株で30莢ほど収穫できるので、1株でも十分楽しめます。植え付け時期になると、ホームセンターなどではオクラの苗も売られているので、育苗に自信がない人や時間のない人には、そちらもおすすめです。
また実物野菜のオクラですが、土をつかわない水耕栽培でも育てることができます。土の管理がいらないので、手軽に栽培が始められます。
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