さわやかな香りが特徴のミントは、半日陰でも育ち、生育旺盛で繁殖力が強いので、プランター栽培がおすすめ。ここでは、ミントのプランター栽培について、種・苗・挿し木から始める手順や育て方について、家庭菜園初心者の方でもわかりやすく説明します。
ミントのプランター栽培の手順
ミントの栽培は、種まき、市販の苗、挿し木(挿し芽)から始めることができますが、市販の苗か挿し木がおすすめ。
種まきから始める
セルトイやポリポットで育苗する方法もありますが、プランターに直まきも可能です。
- プランターに、底が隠れる程度に鉢底石いれ、その上から、野菜専用培養土をプランターの上部2〜3cm程度のところまで敷き詰めます。
- 割り箸などで深さ1cmほどのまき溝をつけます。
- 1cm間隔で種をまき、土を軽くかぶせて手で軽く押さえます
- 水をたっぷり与えます。
- 発芽したら、株間20cm程度に間引いて育てます。
苗から始める
市販の苗やポリポットなどで育苗した場合の、植えつけについて説明します。苗を選ぶときには、節と節がつまって間延びしていない、元気な苗を選びましょう。ポット苗は根鉢を崩さずそのまま植えつけます。2つ以上植えつけるときには、株間は20cm~30cmほどとって、植えつけましょう。
- プランターに、底が隠れる程度に鉢底石いれ、その上から、野菜専用培養土をプランターの上部2〜3cm程度のところまで敷き詰めます。
- ポットより1周り大きめの穴を掘り、ポットから苗を取り出して植えつけます。
- 土を寄せて軽く押さえ、水を鉢底から透明な水がでるまで、たっぷり与えます。
挿し木から始める
ミントは、丈夫なので水に挿しておくだけで1週間ほどで発根します。ミントの苗から挿し木をする場合は、元気の良い若い芽を選んで先端から10㎝~15㎝にカットします。スーパーなどのミントもなるべく新鮮なうちに、挿し木にしましょう。
- ミントの茎葉は、一番上の葉だけ残し、下葉は切り落とします。一番上の葉が大きいようなら蒸散を防ぐために切り取ります。切り口は斜めにスパッときって断面を広げます。
- コップなどの透明な容器に、水をいれ1で準備したミントの茎葉を入れます
- 発芽するまで2~3日に1回に水は変えましょう。
- 1週間程度は明るい日陰で室内で管理しましょう。7日~10日程度で新しい根が生えてきます。
- 複数の根が10cmほどになったら、土に植え替えます。
- 小さめの鉢かポリポットに、土を入れ水をいれて湿らせます。そこに穴をあけて根が折れないように植えつけましょう。しばらくは室内で管理し新芽がでてきたら、通常の管理で育てます。
水挿しの方法は、水耕栽培の記事に詳しく記載しています。
ミントのプランター栽培の育て方
容器・用土
プランターや鉢植えでミントを育てる場合は、深さ15cm以上あれば大丈夫です。長さ60cm程度の標準プランターで2株、1株なら直径18cmほどの6号程度のものがよいでしょう。
用土は野菜の培養土が便利。元肥入りのものは肥料が入っているため追加で与える必要はありません。自分で配合する場合は、赤玉土5、腐葉土5などの配合がよいでしょう。元肥には、緩効性肥料を用土に混ぜて施します。
栽培環境・水やり
ミントは耐陰性があるので、日当たりの悪い場所でも育つことができます。しかし長期間日陰に置くと、株が軟弱になったり、ヒョロヒョロと徒長することもあります。日陰でもなるべく明るい日陰で管理しましょう。夏の強い直射日光は葉焼けの危険があるので気をつけましょう。また違う種類のミントを近くに育てると交雑する可能性もありますので、なるべく離して育てます。
ミントは品種にもよりますが、耐寒性も強い多年草です。屋外などで育てている場合は、冬は寒さで地上部分が枯れたように見えますが、根は生きているのでまた春になると芽吹いてきます。室内で育てる場合には、温度が10℃以下にならないように育てれば、一年中枯れずに楽しめます。
水を好むので、用土の表面が乾いたら、葉の上から鉢底から水がでるまで与えます。水切れをすると葉がしおれたり、下葉がおちてしまうこともあります。冬も水やりを続け、霜にあたらないようにして冬越をします。
肥料
ミントはそれほど多くの肥料を多く与えなくても育つ植物ですが、花をきれいに咲かせたり、長く健全に育てるには他の植物と同様に水も肥料も必要です。ただし肥料を上げすぎると、ミントの香りを弱めることになるので注意しましょう。
プランター栽培の場合肥料は、元肥と追肥を行います。元肥とは植え付け時に施す肥料で、プランターなどでは、元肥入りの野菜の培養土などが便利です。肥料がはいっていない土や、自分で配合した場合は、緩効性肥料を土に混ぜて使います。
追肥は、春にしっかり追肥していればあまり必要はありませんが、通常より多めに収穫のした後や切り戻しなどの後には、液体肥料を水やり代わりに与えるとよいでしょう。春や秋に植え替えをしない場合には、緩効性肥料を追肥します。
植え替え
ミントは生長が早いので根詰まりをおこしやすいので、1年に一度は植え替えをしましょう。植え替え時に株分けをすると増やすこともできます。冬と真夏を避ければ植え付け、植え替えはいつでもできます。
植え替えは、一回り大きな鉢に植え替えます。株を大きくしたくないときには、株分けをして2~3株に分け、そのうち1株を同じ鉢に植え替えるとよいでしょう。
摘心・切り戻し
花が咲くと葉が固くなります。葉の収穫が目的であれば、こまめに花穂を摘み取りましょう。春に新芽が出てきたら先端を切り取る摘心をすると、わき芽がのび、元気な葉が育ってよいミントが収穫できます。また草丈がどんどん伸びるので、姿を整えるため収穫を兼ねて刈り取りましょう。
特に花が咲く夏前は、ミントの香りがよくなります。この頃に収穫して草丈を半分ぐらいに切り戻ししておくと、夏の蒸れを防ぐこともできるでおすすめです。収穫は冬以外は随時行えます。
収穫
草丈が20㎝にぐらいに伸びてきたら、柔らかい茎葉をハサミで切って収穫しましょう。生育期間中は随時行います。花が咲く前に多く切り戻して収穫したミントは、使いきれない時は、ポプリやドライハーブなどにして保存するとよいでしょう。モヒートや、ハーブバスなどもおすすめです。
病害虫
ミントは、害虫の被害には強いほうですが、アブラムシ、ハダニ、ヨウトウムシが発生して寄生しやすいです。野外であればある程、発生し易いといえます。これらの虫が発生した時は、粘着テープで除去する、また殺虫剤などの薬剤で駆除、防虫する方法があります。どちらにせよ、早く対応するに越したことはないので、葉っぱを観察して発見した時はすぐに捕殺するようにしましょう。
また病気は、さび病やうどんこ病にかかることがあります。病気をみつけたらミントの葉を取り除きましょう。予防には、風通しの良い場所で管理し、長雨のときは軒下などにいれ雨が当たらないようにする、株を剪定や切り込みをして風通しをよくするとよいでしょう。
ミントの栽培の基本情報
ミントの基礎知識
ミントは、シソ科ハッカ属の植物の総称で日本でも古くから人気のハーブです。清涼感のある香りが特徴で、種類も多く香りもさまざまあります。世界各地に分布し、様々な用途で使われています。多くの種類が多年生の植物で、生育旺盛で繁殖力が強いので庭などに植えると、地下茎をのばして一気に増えることから「爆殖植物」とも呼ばれグランドカバーにも使われます。
生育適温は15℃~25℃ですが、暑さ寒さにも強く、品種を選べば雪国でも屋外で育てることができます。また低日照にも強く、明るい日陰であれば元気に成長するので、室内で育てる水耕栽培にも向いています。
種からも市販の苗からも栽培ができ、スーパーなどで売っているミントを水挿ししても簡単に増やすことができます。初心者でも簡単に育てることができますが、どんどん増えるので、プランター栽培ではこまめに収穫してコンパクトに育てるとよいでしょう。
作物名 | ミント |
---|---|
科目 | シソ科ハッカ属 |
原産地 | 北半球温帯地域、ユーラシア大陸 |
発芽適温(地温) | 20℃~25℃ |
生育適温 | 15℃~25℃ |
土壌酸度(pH) | 6.5~7.0 |
育てやすさ | 簡単、初心者でもOK |
栽培時期
ミントは多年草です。生育初期の春に種まき、苗の植えつけをすれば種まきから2か月後、苗の植えつけから1.5ヵ月程度から収穫できます。その後は新芽のでなくなる10月頃まで収穫できます。
ミントの生育期は4月~10月ですので、冬は収穫はせず休眠させて、春になったら肥料を与えて育てれば、どんどん成長します。
ミントの種類(品種)
ミントには、料理に主に使われるもの、ハーブティーなど飲み物にあうミント、薬用に使われるミントなどがあります。飾るだけでなく、収穫して使う場合にはどんな用途に使いたいのかも検討されるとよいでしょう。
品種名 | 概要 | 用途・特徴 |
---|---|---|
スペアミント | さわやかな香りの中に少し甘みのある風味 料理に合うミント。モヒートにも使われます。 | |
ペパーミント | メントールが配合され、スッキリした風味 飲料によく使われます。 | |
ハッカ | メントールの含有量がミントの中で一番 日本のミントといえばこれ。飲料によくつかわれます。 | |
アップルミント | リンゴとハッカを合わせたような香り。 デザートや料理、飲料にも使われます。 斑がはいっているものはパイナップルミントと呼ばれます | |
モヒートミント (イエルバ・ブエナ) | カクテルのモヒートに使われることから、 俗名のモヒートミントと呼ばれるミントです。 キューバ原産で、甘い香りとスモーキーな風味が特徴です。 |
まとめ
ハーブは栽培しやすいものが多く、ミントは庭などに放置しておくと増えすぎて大変なことになることもあります。また繁殖力が強いので、他の植物を枯らしてしまうこともあるので寄せ植えには向かないので注意しましょう。
丈夫で半日陰でも育つミントは、水耕栽培もおすすめ。キッチンなどで簡単に育てられるので、土の管理もいらず虫のあまりつきません。ミントの水耕栽培の記事もあるので気になる方はこちらも読んでみてください。花言葉は「徳のある人、美徳」ですので、育てたミントをハイドロカルチャーなどで増やして、プレゼントするのもおすすめです。
この他にも、農家webにはプランター栽培の記事がたくさんあります。
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