独特な香りをもつパクチー。英語ではコリアンダー、中国ではシャンツァイ(香菜)と呼ばれタイ料理や中国料理などに使われます。ここでは、パクチーのプランター栽培について、タネや苗から育てる手順や収穫までの育て方から病害虫予防ついても説明します。
パクチーのプランター栽培の手順
種まきから始める
パクチーは直根性のため、プランターに直まきして育てます。パクチーの種は、硬い殻に覆われているため発芽まで時間がかかります。殻の中にはタネが2つはいっているので、割ってから植えつけすることで発芽率が上がります。
- パクチーの殻を割り、中の種子を取り出します。(コップを種の上で転がすと殻が簡単にわれます)
- 殻を割った種を、一晩水に浸けておきます。
- プランターに、底が隠れる程度に鉢底石いれ、その上から、野菜専用培養土をプランターの上部2〜3cm程度のところまで敷き詰めます。
- 5cm間隔に指先でくぼみをつくって、まき穴をつくります。
- まき穴1カ所につき3~4粒の種をまいて、土を軽くかぶせて手で軽く押さえます
- 水をたっぷり与えます。
- 本葉が1~2枚になったら、1カ所につき2~3株残して間引きます。
苗から始める
市販の苗やポリポットなどで育苗した場合の、植えつけについて説明します。苗を選ぶときには、大きな苗を選びがちですが、植え替えをきらうパクチーは、大きくなりすぎると根が傷つきやすく植え付けが難しくなるので、元気な小さな苗を選びましょう。ポット苗は根鉢を崩さずそのまま植えつけます。2つ以上植えつけるときには、株間は10cm~20cmほどとって、植えつけましょう。
- プランターに、底が隠れる程度に鉢底石いれ、その上から、野菜専用培養土をプランターの上部2〜3cm程度のところまで敷き詰めます。
- ポットより1周り大きめの穴を掘り、ポットから苗を取り出して植えつけます。
- 土を寄せて軽く押さえ、水を鉢底から透明な水がでるまで、たっぷり与えます。
パクチーのプランター栽培の育て方
パクチーの基礎知識
パクチーは、セリ科の一年草で独特の香りを持つハーブです。タイ料理などエスニック料理にかかせないハーブで、日本でもアジア料理の普及とともに広がり、スーパーなどでも手に入るようになりました。
栽培は、種か市販の苗から始めます。発芽までは日数がかかり発芽率もそれほど高くはありませんが、育苗自体は簡単です。またパクチーは直根性で植え替えを嫌い、大きくなると上手く根付かないこともあるので、タネから育てるのがおすすめです。春や秋に種をまいて育てますが、気温が上がるとトウが立ちやすいので、秋まきがおすすめです。
作物名 | パクチー(コリアンダー) |
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科目 | セリ科コエンドロ属 |
原産地 | 地中海沿岸 |
発芽適温(地温) | 15℃~20℃ |
生育適温 | 18℃~25℃ |
土壌酸度(pH) | 5.5~7.0 |
育てやすさ | 簡単、初心者でもOK |
栽培時期
パクチーは、暑さに弱いためタネは、春か秋にまきます。春まきの適期は4月~6月、秋まきの適期は9月~10月です。発芽温度を保てればいつでも栽培は可能ですが、暖かくなるとトウが立ちやすくなるため、秋まきがおすすめです。秋に種をまいて冬越しをすれば春にまた収穫が楽しめ、その後は花を咲かせれば種子をとることもできます。
品種にもよりますが、種まきから収穫までは1ヵ月半~2か月程度です。収穫しながら栽培を続けます。
容器・用土
プランターや鉢植えでパクチーを育てる場合は、深さは20cm程度あればよいでしょう。直径20cm程度の丸い浅型のプランターだと5ヵ所に種をまくことができます。水はけのよい場所を好むので、排水穴が多めのものを選ぶとよいでしょう。
用土は野菜やハーブの培養土が便利。元肥入りのものは肥料が入っているため追加で与える必要はありません。自分で配合する場合は、赤玉土6、腐葉土4などの配合がよいでしょう。元肥には、緩効性肥料を用土に混ぜて施します。
栽培環境・水やり
パクチーの生育温度は、18℃から25℃ほど。暑さは苦手です。日当たりの良い風通しのよい場所を好みますが、夏の直射日光はパクチーにとっては暑すぎるため、夏は半日陰に置くか、寒冷紗などを使い遮光して育てましょう。
秋まきの場合には、冬越しさせれば、翌年も収穫がたのしめます。耐寒性はある程度ありますが、霜に当てると枯れてしまうのでできれば室内で管理するか、保温カバーなどを使って保温して育てましょう。12月~2月は生育がゆっくりになるため、収穫は控えます。
水やりは、種まきから発芽までは土が乾かないように管理し、発芽してからは土の表面が乾いたら鉢底から水がでるまでたっぷり与えます。冬は生育がゆっくりになるため、回数を減らし暖かい昼間に与えましょう。
肥料
パクチーは、収穫しながら育てるので肥料を与えながら育てます。プランター栽培の場合肥料は、元肥と追肥を行います。元肥とは植え付け時に施す肥料で、プランターなどでは、元肥入りの野菜の培養土などが便利です。肥料がはいっていない土や、自分で配合した場合は、緩効性肥料を土に混ぜて使います。
追肥は、植物の生育に合わせて、肥料切れをおこさないように施す肥料です。パクチーの追肥は、間引きの後から開始します。化成肥料を土10ℓあたり10g程度を土の表面にばらまいて、軽く土とまぜ水やりをします。その後は生育をみながら月に1~2回程度同様の追肥をします。12月からは生育がゆるやかになるので肥料は不要です。2月の終わりか3月上旬に新芽がでてきたら追肥を開始しましょう。
肥料は野菜の栽培などによく使われる化成肥料8-8-8の他、野菜の肥料や、ハーブの肥料がよいでしょう。土の上に置く錠剤タイプであれば置いておくだけで長く効果が持続します。
収穫
草丈が20㎝にぐらいに伸びてきたら、収穫が開始できます。長く伸びた葉柄(茎)を株元からハサミで切って収穫しましょう。気温が上がると、真ん中の茎が太く大きく育ってきます。花をつける前兆です。できれば花芽が着く前に先端を切り落として収穫しましょう。長く収穫するポイントは、花が咲く前に収穫し、わき芽を残して収穫することです。
花をつけてとう立ちすると、葉が固くなり、種ができ枯れます。できるだけ花をつけないように小まめに収穫しましょう。秋まきの場合は、冬越しがうまくいけばまた春に収穫がたのしめます。
種の採取
夏に花が咲いたあと、株を処分せずそのままにしておけばタネができます。さやが茶色くなったら茎ごと切り取って、風通しの良い場所で乾燥させましょう。完全に乾燥したら、手で茎から外します。
タネは次の種まきにも使えますし、スパイスとしても利用できます。
病害虫
パクチーは、害虫の被害には強いほうですが、アブラムシ、ハダニ、ヨウトウムシが発生して寄生しやすいです。野外であればある程、発生し易いといえます。これらの虫が発生した時は、粘着テープで除去する、また殺虫剤などの薬剤で駆除、防虫する方法があります。どちらにせよ、早く対応するに越したことはないので、葉っぱを観察して発見した時はすぐに捕殺するようにしましょう。
また病気は、灰色カビ病やうどんこ病にかかることがあります。病気をみつけたらパクチーの葉を取り除きましょう。予防には、風通しの良い場所で管理し、長雨のときは軒下などにいれ雨が当たらないようにするのも効果的です。
まとめ
パクチーの強烈な香りは、好みがわかれますが、タイ料理などが好きな人には欠かせないハーブです。スープなどに少し入れるだけで、簡単にエスニック料理に変わるので少量ずつ摘み取ることができるプランター栽培はおすすめです。また摘みたてのパクチーは香りが違います。たくさん収穫できるのでサラダにも使えます。うまく育てると長く収穫が楽しめるので、スーパーなどで買うよりとってもお得です。栽培も簡単ですのでぜひ家庭菜園で育ててみてください。
またパクチーは、水耕栽培もおすすめ。キッチンなどで簡単に育てられるので、土の管理もいらず虫のあまりつきません。ペットボトルをつかったパクチーの水耕栽培の記事もあるので気になる方はこちらも読んでみてください。
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