セロリの栽培は、こまめな水やりと肥料が大切なためプランター栽培に向いています。ここでは、セロリ(セルリー)のプランター栽培について、タネや苗から始める手順から収穫までの失敗しない育て方を、わかりやすく説明します。
セロリのプランター栽培の手順(苗の植えつけ)
セロリの苗は、植え付け時期になるとホームセンターなどでも販売されます。病気のない元気な苗を選びましょう。直根性のため、根鉢は崩さず植えつけます。前日にかん水しておくとよいでしょう。
市販の苗の選び方
- 本葉7枚~9枚程度
- 葉がきれいで、病気などにかかっていないもの。
- 茎の節と節の間が詰まっており、徒長(ひょろひょと間延び)していないもの
- 全体的に、茎が太くがっちりしているもの
準備するもの
- セロリの苗(種から育苗したもの or 市販の苗)
- 深型プランター
- 野菜用の培養土
- 鉢底石
- 肥料
手順
- 手順1プランターの準備
プランターに、底が隠れる程度に鉢底石を入れます。
その上から、野菜専用培養土をプランターの上部2〜3cm程度のところまで敷き詰めます。側面を軽くたたいて土を落ち着かせます。 - 手順2苗の植えつけ
株間を30cm(ミニセロリは20cm)ほどとり、根鉢よりも大きめの植穴を掘り、水を穴に注ぎます。
水が引いたら、ポットから根鉢をこわさないように苗を抜き、穴に苗を浅めに植えつけます。たっぷり水やりをします - 手順3
- 手順4わき芽かき
植え付けから1か月ほどすると、下葉が伸び株元にわき芽がでてきます。養分が分散しないように、早めにかき取ります。
芯葉がでて、下葉が黄色く変色したら外側から、葉柄を左右に振ってかきとります。かき取った葉は食べることができます。 - 手順5収穫
株が大きく育ち、葉につやが出てきたら収穫のタイミングです。株ごと地際から切り取る、もしくは使う分だけ外葉からかき取って収穫すれば長く楽しめます。外葉をかきとった場合には、追肥を施しておきましょう。
セロリのプランター栽培の基本情報
セロリの基礎知識
セロリは、セリ科の一年草もしくは二年草でヨーロッパから地中沿岸地域が原産といわれます。一般的にはセロリと呼ばれることが多いですが、英語で書くと「celery」なので農家などではセルリーとよばれ、タネなどでもセルリーと記載されることも多くあります。
栽培は、冷涼な気候を好み、暑さ、乾燥を嫌います。5月に種をまいて11月頃に収穫するのが一般的で、春や秋に市販の苗が出回ります。しかしセロリは幼苗の頃に13℃以下の長日で花芽がつきとう立ちすがおきるので、家庭菜園では初夏から秋に出回る、市販の苗から始めるのがおすすめです。
セロリの栽培は、品種改良により育てやすくなっていますが、種から育てるには少し難易度の高く、温度に敏感で気難しい野菜なので丁寧に育てましょう。小型のスープセルリーなら栽培が簡単です。
作物名 | セロリ(セルリー) |
---|---|
科目 | セリ科オランダミツバ属 |
原産地 | 地中海沿岸地域 |
発芽適温 | 18℃〜20℃ |
生育適温 | 15℃〜20℃ |
土壌酸度(pH) | 6.0〜6.5 |
育てやすさ | 普通~少し難しい |
栽培時期
家庭菜園での栽培時期は下記のとおりです。品種や場所、環境によって異なるので目安としてください。
地域 | 播種(タネまき)時期 | 植え付け時期 | 収穫時期 |
---|---|---|---|
寒冷地 | 6月~7月 | 6月下旬~8月中旬 | 9月中旬~11月 |
中間地 | 6月~8月上旬 | 8月~9月中旬 | 10月下旬~12月上旬 |
暖地 | 6月~8月上旬 | 8月中旬~9月 | 11月~12月中旬 |
セロリの品種
セロリの品種は、スーパーなどでよく見かけるのはコーネル種といわれる、茎が黄白色の品種で大株の代表品種です。グリーンセロリはミニセロリともいわれコーネル種より小ぶりなのでミニセロリともよばれます。
品種名 | 特徴 |
---|---|
トップセラー | 茎も葉も緑色のグリーンセロリ。 大株・小株でも収穫が可能です。 香りが強く、生育旺盛で病気に強く作りやすい。 |
コーネル619 | 茎は黄白色で、葉が淡い緑色のコーネル種 香りが弱めなのでサラダなどによく使われ、 流通の多い品種です。 |
ホワイトセルリー | 茎が細く真っ白で、三つ葉のような見た目です。 水耕栽培で栽培されることが多い品種です。 セロリとは栽培方法が異なります。 |
スープセロリ | 別名「芹菜」、中国セロリとも呼ばれます。 三つ葉やセリに似た見た目で、料理の香りづけなどに 使われます。セロリとは栽培方法が違います。 |
セロリのプランター栽培 育て方
種から始める場合
種子から育てる場合は、温度管理のしやすいポリポットで育苗します。発芽は20℃程度なので涼しい場所で管理する必要があります。25℃以上になると生育が鈍ります。
- 種は一昼夜水につけ、水を切った後湿った布で包み、涼しい日陰に2~3日ほど置いておきます。
- 9cmのポリポットに育苗用の土を入れ、タネを5~6粒まき、好光性種子のため、覆土は薄くします。
- 水は発芽までは腰水(バットなどに水をはり、ポリポットをいれておく)で与えます。
- 本葉が1枚でたら、少しずつ間引いて、本葉3枚の頃に元気な苗1本だけ残します。
- 本葉が8枚~10枚ほどになるまで育てて、植えつけます
容器・用土
容器は、深さ25cm以上の深型プランターがよいでしょう。丸形のプランターであれば直径30cmの10号鉢程度に1株、横幅60cm程度の深型プランタ―なら2~3株植えることができます。
用土は市販の元肥入りの野菜の培養土がよいでしょう。自分で配合する場合は、赤玉土6腐葉土3、バーミキュライト1に、苦土石灰を10ℓあたり15gいれ、緩効性肥料を元肥として施します。
栽培環境・水やり
セロリは適度な湿度と涼しい気候を好みます。日当たりのよい場所を好みますが、強い光は苦手です。夏は半日陰で管理しましょう。白い寒冷紗を日中かけておくのも効果的です。温度が上がりすぎないよう、寒冷紗はサイドは空けて風通しをよくしておきます。
栽培はかき取り栽培をしていれば、冬まで収穫できますが、寒くなり低温に合うとスが入って味が落ちるので、冬越しはせず、早めに刈り取りましょう。
セロリは水と肥料を切らすと上手く育ちません。基本的には毎日水やりをします。土の表面が乾いたら鉢底から水がでるまでたっぷり与えます。夏は日中に与えると株が蒸れるので朝か夕方の涼しい時間にあげましょう。
肥料
プランター栽培の場合肥料は、元肥と追肥を行います。元肥とは植え付け時に施す肥料で、プランターなどでは、元肥入りの野菜の培養土などが便利です。肥料がはいっていない土や、自分で配合した場合は、緩効性肥料を土に混ぜて使います。
セロリは、収穫期間が長いので肥料を切らさず育てましょう。根はひげ根が多いので吸肥力が弱いのですが、多肥を好むため、こまめに肥料を与えるのがセロリの施肥のポイントです。
肥料は、化成肥料や液体肥料どちらも使えますが、水を好むので液体肥料がおすすめです。7日~10日に水で希釈して、水やりがわりに与えます。液肥は、ベジフル液肥や野菜の液肥などがよいでしょう。
化成肥料は野菜の栽培によく使われる化成肥料8-8-8などでよいでしょう。ハイポネックスの「今日から野菜 野菜の肥料」や住友化学園芸「マイガーデンベジフル」などの肥料も使えます。パッケージをよく読んで施肥しましょう。
収穫
収穫は、定植から(苗の植えつけ)から70日~90日ほどかかります。草丈30cm~40㎝ほどに株が大きく育ち、葉につやが出てきたら収穫を始めましょう。使う分だけ外葉からかき取って収穫すれば長く楽しめます。追肥をしながら収穫し、ある程度になったら株ごと地際から刈り取ります。
病害虫
セロリは、病害虫の被害が少ない野菜ですが、害虫はアブラムシやハダニ、キアゲハ、ハスモンヨトウ、ハモグリバエ、ナメクジなどの害虫が発生することがあります。これらの虫が発生した時は、粘着テープで除去する、また殺虫剤などの薬剤で駆除、防虫する方法があります。どちらにせよ、早く対応するに越したことはないので、発見した時はすぐに駆除し、防除を心掛けるようにしましょう。
病気は、軟腐病、葉枯病、斑点病などにかかることがあります。葉に斑点がでたり、茶色く枯れたりしてきたら病気を疑いましょう。高温過湿になると、株がとけて病気にかかりやすくなるので、水はけの良い環境で、わき芽や下葉かきをし、株元を風通しよくしておくのも大切です。また水やりは茎葉にかけないようにしましょう。
まとめ
セロリは葉にも茎にもビタミンやミネラルなどの栄養素が多く含まれており、アピインやセネリンの香りには、気持ちを落ち着けてくれる効果もあります。
水や肥料をこまめに与えながら育て、少しづつ収穫して楽しめるので身近にあるプランター栽培にむいています。育てやすい品種を選んで、まずは苗から始めてみましょう。
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