人参は栄養価の高い緑黄色野菜で、ミニニンジンならプランター栽培で簡単に収穫できます。ここでは、人参のプランター栽培について、栽培時期、栽培手順、肥料、育て方について、初心者の方でもわかりやすく説明します。
人参のプランター栽培の手順
用意するもの
- 深型プランター
- 栽培用土(市販の野菜用培養土が便利です)
- 鉢底石
- 人参の種
- 肥料
手順
- 手順1プランターの準備
プランターに、底が隠れる程度に鉢底石を入れます。
その上から、野菜専用培養土をプランターの上部2〜3cm程度のところまで敷き詰めます。側面を軽くたたいて土を落ち着かせます。 - 手順2種まき
種まきは、条まきで行います。株間は15cm(ミニニンジンは5cm)ほどどり、浅いまき溝をつくります。まき溝にタネが重ならないようにまき、覆土(土を種にかぶせる)を薄くして、手で軽く押さえます。
最後にたっぷり水やりをします。 - 手順3間引き
間引きは3回行います。1回目の間引きは、発芽したら、2cm(ミニニンジン1cm)間隔に。2回目は本葉が1枚~2枚になったら、4㎝(ミニニンジンは2cm)間隔に。3回目は本葉が5~6枚のころ10cm~12cmの(ミニニンジンは4cm)間隔に間引きます。ハサミで切り取るか、株をそっと引き抜きます。
- 手順4
- 手順5収穫
人参の肩が土から出て、張り出して来たら収穫のタイミングです。根元をもって引き抜いて収穫します。
人参のプランター栽培の育て方
人参の基礎知識
人参はセリ科の野菜で、冷涼な気候を好みます。最適生育温度は、18℃~21℃です。発芽温度は15℃~25℃で、30℃を超えると発芽しにくくなります。家庭菜園などでは、幼苗の時期は比較的暑さに耐えることができるため、夏まき栽培が一番作りやすくおすすめですが、春まき栽培や秋まき栽培でも育てることができます。
人参は発芽が成功すれば、栽培の半分が成功といわれるほど発芽不良が起こりやすい野菜です。発芽が成功すれば、栽培自体は家庭菜園初心者の人でも作りやすい野菜です。
直根性で移植を嫌うため、タネは直まきして育てます。品種によって異なりますが、播種(種まき)から収穫までミニニンジン(ベビーキャロット)で約70日~90日、三寸ニンジンや五寸ニンジンは、100日~120日で収穫できます。
作物名 | ニンジン |
---|---|
科目 | セリ科ニンジン属 |
原産地 | アフガニスタン周辺 |
発芽適温(地温) | 15~25℃ |
生育適温 | 18~21℃ |
土壌酸度(pH) | 5.5〜6.5 |
育てやすさ | 普通 |
栽培時期
ニンジンの作型は、春まき栽培と夏秋まき栽培が一般的です。低温になることで花芽がつくので、初心者の方には夏まき栽培がおすすめです。
作型 | 播種(種まき)時期 | 収穫時期 |
---|---|---|
春まき栽培 | 3月上旬〜3月中旬 | 6中旬~7月上旬 |
夏秋まき栽培 | 7月~9月上旬 | 11月~3月中旬 |
容器・用土
プランターや鉢植えで人参を育てる場合は、鉢植えなら8号~9号、プランターなら横幅60㎝~65㎝程度のものを使って育てます。深さが30cm以上深型がよいでしょう。用土は野菜の培養土が便利。元肥入りのものは肥料が入っているため追加で与える必要はありません。自分で配合する場合は、赤玉土7、腐葉土3などの配合がよいでしょう。元肥には、緩効性肥料を用土に混ぜて施します。
又根になったり、曲がったりするのは根が、土の中の石や硬い部分にあたってしまうことにより起こります。土はよく耕しておきましょう。
発芽の成功率を上げるには
人参は発芽が成功すれば、栽培の半分が成功といわれるほど発芽不良が起こりやすい野菜です。タネは多めにまいた方がよいでしょう。発芽の成功率を上げるにはいくつか注意点があります。
- 種を選ぶ ニンジンの種は短命で、採取翌年の夏を越すと発芽が悪くなります。タネはあたらしいものを、また人参にはペレット種子もありますので、そちらもおすすめです。
- 覆土は薄くしすぎない 人参の種は好光性だからと覆土を薄くしすぎると、乾燥や温度が高温になったり低温になりすぎたりします。裸種子が5mm~10mm、ペレット種子の場合は10mm程度がよいでしょう
- 乾燥させない 発芽の好適水分は20%~60%で土をもったときに崩れない程度の水分が必要です。夏まきで発芽まで8日程度かかるのでこの間は乾燥しないように注意が必要。とくにペレット端子は乾燥に弱いので注意しましょう。
- 温度 発芽温度は4℃~33℃と幅広いのですが、適温は15℃~25℃。できるだけこの温度にちかいときに種まきしましょう
栽培環境・水やり
人参は日当たりと水はけのよい場所を好みます。日のよく当たる風通しの良い場所で管理しましょう。冷涼な気候を好みますが、幼苗期は比較的暑さに強いので夏まき栽培が家庭菜園ではおすすめ。春まきの場合には、藁などをひいて保温するとよいでしょう。
にんじんの種は「好光性種子(こうこうせいしゅし)」ですので、発芽に光を必要とします。覆土は薄く、日の当たる場所で発芽を待ちましょう。
水やりは、タネまきから発芽までは、土が乾かないように注意しましょう。その後は土の表面が乾いたらたっぷり与えます。
肥料
大根のプランター栽培では、肥料は元肥と追肥を行います。元肥とは植え付け時に施す肥料で、プランターなどでは、元肥入りの野菜の培養土などが便利です。肥料がはいっていない土や、自分で配合した場合は、緩効性肥料を土に混ぜて使います。
追肥は、3回目の間引きが終わった後、速効性の固形の化成肥料を株と株の間に施します。水やりがわりに液肥を与えてもよいでしょう。追肥をしたら、土を足して株のまわりに土寄せをおこないます。
肥料は、有機肥料や化成肥料が使えますが、プランター栽培ではベランダなどで育てるため、有機肥料は臭いや虫が気になるという方は、化成肥料や有機配合肥料がおすすめです。ホームセンターなどで手に入りやすいのは、メーカーから販売されている野菜用の肥料をつかってもおいでしょう。「ハイポネックスジャパンのいろいろな野菜用粒状肥料」や「住友化学園芸の「マイガーデンベジフル」などが人参の肥料に使えます。人参専用の肥料もあります。
肥料不足の場合やプランター栽培には追肥として液体肥料をつかってもよいでしょう。液体肥料は野菜用のものを使うとよいでしょう。液体肥料を使う場合は、本葉が5~6枚になり1本立ちしたら、2週間に1度水やり代わりに与えます。住友化学園芸の「マイガーデンベジフル」やハイポネックスジャパンの「野菜の液肥」などが人参に使えます。
おすすめの肥料については、詳しい記事がありますのでそちらも参考にしてください。
病害虫
人参は、肥料切れをおこすと黒葉枯病や黒斑病にかかりやすくなります。また高温多湿によりしみ腐病が発生しやすくなります。風通しの良い場所で管理し、排水をよくし多発するようでしたらしみ腐れ病に強い品種を植えるとよいでしょう。
害虫は、アブラムシやキアゲハの幼虫が発生しやすいので、見つけたらすぐ駆除しましょう。夏まき栽培ではやや遅く種まきをした方が病害虫の発生を抑えることができます。連作も可能ですが、ネコブセンチュウの被害により又根の原因にもなりますので、被害が心配されるときは作付け前に、殺虫剤で土壌を消毒しておきましょう。
まとめ
人参には一般的にスーパーなどで見かける西洋種や金時ニンジンのような東洋種があります。西洋種の方が栽培が簡単なため、西洋種の方が広まったといわれています。人参は、根の部分だけでなく葉も食べられるので、家庭菜園などで栽培するとまるごと食べることができます。人参はセリ科の植物ですので、葉っぱは、セリに似た独特の香りと苦味があります。みそ汁やスープなどに入れてもいいですし、クセが気になる人は油を使った料理、炒め物やかき揚げなどに入れるとおいしいです。
最近では、スーパーなどで買ってきた人参のヘタをつかった再生栽培(リボベジ)なども人気があります。水だけで栽培でき捨てる部分を再利用できるので、水栽培もおすすめです。
土ではない培土をつかって、人参を育てる方法もあります。
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