スティックセニョールは、スティックタイプのブロッコリーで茎ブロッコリー、スティックブロッコリーとも呼ばれます。蕾の部分が小さく収穫が長く続くので、プランター栽培で人気があります。
ここでは、種まき・苗から始めるスティックセニョールのプランター栽培について、初心者の方でもわかりやすく説明します。
スティックセニョールのプランター栽培の手順
自分でポリポットで育苗する方法の他にも、スティックセニョールの苗は、植え付け時期になるとホームセンターなどに並びます。育苗は難しくありませんが、1株で20本程度収穫できるので、1株でよいなら苗を購入するのもおすすめです。
スティックセニョールの育苗(種まきから育てる場合)
スティックセニョールの種まきは直まきでも可能ですが、幼苗期の温度管理がしやすいセルトレイかポリポットで育苗して移植する方法がおすすめ。プランターではあまり本数もいらないので、ポリポットでの育苗がおすすめです。
用意するもの
- スティックセニョールの種
- ポリポット(直径9cm)
- 培養土(元肥入りの野菜の培養土でOK)
- 新聞紙、寒冷紗など
手順
- 直径9㎝のポットに培養土をいれ、4~5粒ずつ種をまきます
- 覆土は薄くかぶせ、水やりをします。
- 発芽までは新聞紙や寒冷紗をかけて、乾燥を防ぎ強い日差しや雨を防ぎます。
- 発芽したら3本に間引き、本葉3枚になったら1本に間引きます。
- 本葉が5枚~6枚になったら、プランターに植え付けします。
育苗のポイント
- 春まきなどの低温時の育苗は、18℃~22℃が目標温度です。最低12℃以下にはならないように保温マットや寒冷紗などをつかって、低温から守ります
- 夏まきの場合は、高温になりすぎないよう、風通しが良い場所で、直射日光には当てないようにしましょう。遮光しすぎると苗が軟弱になるので注意が必要です。
- 水やりは午前中に行い、夜は土が乾いているのが理想的です。
- 追肥は元肥入りの培養土を使っている場合は不要です。元肥が入っていない場合には、植え付け後から2週間後に追肥を行いましょう。
スティックセニョールの苗の植え付け
用意するもの
- スティックセニョールの苗
- 深型プランター
- 培養土(元肥入りの野菜の培養土)
- 鉢底石
- 肥料
- 支柱
手順
- 手順1プランターの準備
プランターに、底が隠れる程度に鉢底石を入れます。
その上から、野菜専用培養土をプランターの上部2〜3cm程度のところまで敷き詰めます。側面を軽くたたいて土を落ち着かせます。 - 手順2苗の植え付け
植え付ける苗の根鉢よりひと回り大きな植え穴を空けます。2株以上植える場合は、株間は20cm~25cmほど取ります。
ポットから苗を取り出し、植え穴に苗を浅く植えつけて手で軽く押さえ、土と根鉢を密着させます。
定植したら、たっぷりと水を与えます。 - 手順3支柱立て
苗を浅植えにするため、苗が倒れやすくなります。植えつけ後は、仮支柱を立て
茎と支柱を結んで支えておきましょう。 - 手順4摘心
側枝を多く収穫するため、主茎の先につく花蕾は早めに切り取ります。
頂花蕾が2.5cm~3cm、500円玉ほどの大きさになったら、上から5cmぐらいのところで花蕾をハサミで切り取ります。 - 手順5追肥
本葉が8枚~10枚ほどになったら追肥をします。株元から離れた位置に肥料をまいて、株の根元が成長して根が見えていたら、土を足して土寄せしておきます。
その後は半月に1度、月に2回ほど同様に追肥して育てます。 - 手順6収穫
側花蕾が15cm~20cmほどになったら収穫のタイミングです。蕾が開く前に茎を長くつけて、ハサミで切り取りましょう。収穫したら追肥をしておきましょう。
スティックセニョールのプランター栽培の育て方
スティックセニョールの基礎知識
スティックセニョールは、中国野菜であるカイランとブロッコリーを掛け合わせて、日本で品種改良された野菜です。一般的なブロッコリーは中心部分の花蕾を食べますが、茎ブロッコリーは最初に中心部の頂花雷を収穫したあと、下の枝からわき芽のように出てくる側花蕾と茎を食します。花茎が長くアスパラガスのような食感があります。
栽培方法や性質はブロッコリーに似ていますが、暑さに影響をうけやすいブロッコリーに比べ、暑さに強く育てやすいのが特徴です。また次々と側花雷が伸びてくるので、収穫しながら育てると長い間収穫が楽しめます。
作物名 | ブロッコリー(スティックセニョール) |
---|---|
科目 | アブラナ科アブラナ属 |
原産地 | 地中海沿岸 |
発芽適温(地温) | 20℃~25℃前後 |
生育適温 | 15℃~20℃ |
土壌酸度(pH) | 6.0~6.5 |
育てやすさ | 普通 |
栽培時期
スティックセニョールは、春まき栽培と夏まき栽培がありますが、夏に収穫期がかかると害虫がつきやすくなります。家庭菜園では夏に植えつけして、冬に収穫する夏まき栽培が育てやすいのでおすすめです。
地域 | 播種(種まき)時期 | 定植時期 | 収穫 |
---|---|---|---|
寒冷地 | 4月上旬から7月下旬 | 4月下旬~8月 | 6月下旬~11月 |
中間地 | 2月中旬~3月中旬(春まき栽培) 7月~8月中旬(夏まき栽培) | 3月中旬~4月中旬(春まき栽培) 8月~9月(夏まき栽培) | 5月上旬~6月下旬(春まき栽培) 10月~12月(夏まき栽培) |
暖地 | 2月~3月中旬(春まき栽培) 7月中旬~8月(夏まき栽培) | 3月中旬~4月上旬(春まき栽培) 8月下旬~10月(夏まき栽培) | 5月~6月中旬(春まき栽培) 10月下旬~1月(夏まき栽培) |
容器・用土
スティックセニョールは深さ20㎝以上のプランターを使いましょう。1株なら直径24cm以上、8号~9号、横幅65cmほどのプランターであれば、株間を20㎝~25cmほどで植えつけ、2株~3株ほど栽培することができます。
用土は市販の元肥入りの野菜用の培養土が便利です。自分で配合する場合は、赤玉土6、腐葉土3、バーミュキュライト1の割合に、苦土石灰、緩効性肥料を10ℓあたり10g~20g程度加えます。
栽培環境・水やり
ブロッコリーの生育適温は15℃~20℃と、比較的冷涼な気候を好み高温多湿を嫌います。日当たりのよい風通しの良い場所で管理しましょう。
栽培の時期によって、育苗の時期には防寒・暑さ対策が必要になります。生育温度に近い温度になるよう調整しましょう。夏まき栽培では、植え付け時に気温が高くなるので昼間の植えつけはさけ、なるべく涼しい夕方に行いましょう。
水やりは土の表面がかわいたら、鉢底から水がでるまでたっぷりと与えます。夏は朝晩の涼しい時間に水やりをしましょう。
肥料
プランター栽培の場合肥料は、元肥と追肥を行います。元肥とは植え付け時に施す肥料で、プランターなどでは、元肥入りの野菜の培養土などが便利です。肥料がはいっていない土や、自分で配合した場合は、緩効性肥料を土に混ぜて使います。
追肥は本葉が8枚~10枚ほどになったら行います。株元から離れた位置に肥料をまいて、株の根元が成長して根が見えていたら、土を足して土寄せしておきます。水やり代わりに液体肥料(液肥)をつかってもよいでしょう。固形肥料の場合は月に2度、液肥であれば7日に一度肥料を与えます。
固形肥料には、ブロッコリーの専用肥料や、野菜用につくられた肥料、ハイポネックスジャパンの「今日から野菜 野菜の肥料」や「マイガーデンベジフル」などはホームセンターなどでも買え、初心者の人にも使いやすい肥料です。
プランターでは液体肥料も便利です。住友化学園芸の「マイガーデン液肥」やハイポネックスジャパンの「野菜の液肥」などがあります。
ブロッコリーにおすすめの肥料については、下記に詳しい記事があるのでこちらも参考にしてください。
肥料切れになると、葉が色がかわったり苗が大きくならないなどの症状がでます。病気の可能性もありますので、生育が良くないと感じたらこちらの記事も参考にしてください。
摘心
側花蕾をふやすには、頂花蕾を早めに摘心するのが大切です。主茎の先につく花蕾(頂花蕾)が2.5cm~3㎝、500円玉ぐらいになったら、上から5cm程度のところで、摘心します。カットしたところから病気にならないように、できれば晴れた日に行い、切り口を日に当てて乾かします。切り取った頂花蕾ももちろん食べることができます。
収穫
摘心の後、10日ほどしたら側花蕾が収穫できるようになります。側花蕾が15cm~20cmほどになったら順に収穫します。花がつく前に、つぼみが固いうちに、茎を長めにつけて早めに収穫しましょう。収穫がその後も続くので、追肥は忘れずに施しましょう。
病害虫
スティックセニョールはアブラナ科の野菜のため、シンクイムシ、ハスモンヨトウ、アオムシ、ヨウトウムシ、コナガ、アブラムシなど害虫の被害に遭いやすいので、防虫シートなどをつかって害虫予防をしましょう。また冬期は、鳥害も受けやすいので注意が必要です。
日当たりや水はけが悪い場合、根こぶ病、黒腐れ病、軟腐病にかかりやすくなるため、株元まで光があたるようにしましょう。
まとめ
スティックセニョールは、通常のブロッコリーより暑さに強いので育てやすいですが、摘心を早めに行い、収穫期間が長いので追肥は少し多めに与えるのがポイントです。茎ブロッコリーには他にも「スリム」や、蕾が紫色の「紫セニョール」などもあります。上手に育てれば3~4か月ほど収穫が楽しめるので、ぜひプランター栽培に挑戦してみてください。
農家webにはブロッコリーのプランター栽培の記事や、水耕栽培で育てるブロッコリースプラウトの記事もあります。
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