ミニブロッコリーや茎ブロッコリーであればプランターでも栽培は可能です。ここでは、種まき・苗の植え付けから収穫までのブロッコリーのプランター栽培についてわかりやすく説明します。
苗から始めるプランター栽培の手順
自分でポリポットで育苗する方法の他にも、ブロッコリーの苗は、植え付け時期になるとホームセンターなどに並びます。茎ブロッコリーなら1株で20本程度収穫できるので、1株でよいなら苗を購入するのもおすすめです。
用意するもの
手順
- 手順1プランターの準備
プランターに、底が隠れる程度に鉢底石を入れます。
その上から、野菜専用培養土をプランターの上部2〜3cm程度のところまで敷き詰めます。側面を軽くたたいて土を落ち着かせます。 - 手順2苗の植え付け
植え付ける苗の根鉢よりひと回り大きな植え穴を空けます。
ポットから苗を取り出し、植え穴に苗を植えつけて手で軽く押さえ、土と根鉢を密着させます。
定植したら、たっぷりと水を与えます。 - 手順3
- 手順4収穫
ブロッコリーの場合は、花蕾の直径が10cm以上になったら収穫のタイミングです。蕾の開く前に収穫をしましょう。
茎ブロッコリーの場合は、頂花蕾の直径が2.5cm~3㎝になったら、摘心をかねて収穫します。これにより側花蕾の生長を促します。
側花蕾が15cm~20cmほどになったら収穫のタイミングです。蕾が開く前に茎を長くつけて、ハサミで切り取りましょう。
ブロッコリーのプランター栽培の育て方
ブロッコリーの育苗(種まきから育てる場合)
ブロッコリーの種まきは直まきでも可能ですが、栽培の難易度が上がるので、幼苗期の温度管理がしやすい育苗して移植する方法がおすすめ。プランターではあまり本数もいらないので、ポリポットでの育苗がおすすめです。
用意するもの
- ブロッコリーの種
- ポリポット(直径9cm)
- 培養土(元肥入りの野菜の培養土)
- 新聞紙、寒冷紗など
手順
- 直径9㎝のポットに培養土をいれ、4~5粒ずつ種をまきます
- 覆土は薄くかぶせ、水やりをします。
- 発芽までは新聞紙や寒冷紗をかけて、乾燥を防ぎ強い日差しや雨を防ぎます。
- 発芽したら3本に間引き、本葉3枚になったら1本に間引きます。
- 本葉が5枚~6枚になったら、プランターに植え付けします。
育苗のポイント
- 春まきなどの低温時の育苗は、18℃~22℃が目標温度です。最低12℃以下にはならないように保温マットや寒冷紗などをつかって、低温から守ります
- 夏まきの場合は、高温になりすぎないよう、風通しが良い場所で、直射日光には当てないようにしましょう。遮光しすぎると苗が軟弱になるので注意が必要です。
- 水やりは午前中に行い、夜は土が乾いているのが理想的です。
- 追肥は元肥入りの培養土を使っている場合は不要です。元肥が入っていない場合には、植え付け後から2週間後に追肥を行いましょう。
容器・用土
ブロッコリーは深さ30㎝以上の深型プランターを使いましょう。鉢なら8号~9号を使う場合は、1株。横幅65㎝程度のプランターであれば、株間を30㎝ほどあければ2株栽培することができます。
用土は市販の元肥入りの野菜用の培養土が便利です。ブロッコリーは肥料を好むため、元肥が入っていない場合は、緩効性肥料を施します。
栽培環境・水やり
ブロッコリーの生育適温は15℃~25℃と、比較的冷涼な気候を好み高温多湿を嫌います。日当たりのよい風通しの良い場所で管理しましょう。
栽培の時期によって、育苗の時期には防寒・暑さ対策が必要になります。生育温度に近い温度になるよう調整しましょう。夏まき栽培では、植え付け時に気温が高くなるので昼間の植えつけはさけ、なるべく涼しい夕方に行いましょう。
水やりは表面がかわいたらたっぷりと与えます。収穫直前には水やりの間隔を少し開けて、控えめにするとよいでしょう。
肥料
プランター栽培の場合肥料は、元肥と追肥を行います。元肥とは植え付け時に施す肥料で、プランターなどでは、元肥入りの野菜の培養土などが便利です。肥料がはいっていない土や、自分で配合した場合は、緩効性肥料を土に混ぜて使います。
追肥は本葉が8枚~10枚ほどになったら行います。株元から離れた位置に肥料をまいて、株の根元が成長して根が見えていたら、土を足して土寄せしておきます。水やり代わりに液体肥料(液肥)をつかってもよいでしょう。固形肥料の場合は月に1度、液肥であれば1週間~10日に一度肥料を与えます。
固形肥料には、ブロッコリーの専用肥料や、野菜用につくられた肥料、ハイポネックスジャパンの「今日から野菜 野菜の肥料」や「マイガーデンベジフル」などはホームセンターなどでも買え、初心者の人にも使いやすい肥料です。
プランターでは液体肥料も便利です。住友化学園芸の「マイガーデン液肥」やハイポネックスジャパンの「野菜の液肥」などがあります。
ブロッコリーにおすすめの肥料については、下記に詳しい記事があるのでこちらも参考にしてください。
肥料切れになると、葉が色がかわったり苗が大きくならないなどの症状がでます。病気の可能性もありますので、生育が良くないと感じたらこちらの記事も参考にしてください。
収穫
ブロッコリーの収穫は花蕾が10㎝ぐらいになったら、蕾がしまった状態で刈り取ります。遅れると食感が悪くなるので注意しましょう。追肥を続けると、わき芽につく蕾(側面蕾)が大きくなって、2週間ぐらい後に収穫できます。実の数は多いですが、大きくなりませんので花を咲かせないように注意しましょう。葉っぱも食べることができます。
茎ブロッコリーは、頂花蕾が2.5cm~3㎝になったら、収穫(摘心)し、追肥をしながら育てます。本格的な収穫は側花蕾が15cm~20cmほどになったころ。収穫時期は5日間ほどと短いので、花がつく前に早めに収穫しましょう。
ブロッコリー栽培の基礎知識
ブロッコリーの基礎知識
ブロッコリーは、キャベツの仲間で、開花前の発達した花蕾(からい)と茎の部分を食します。原産地が地中海沿岸のブロッコリーは冷涼な気候を好み、高温多湿が苦手です。寒冷地では、春に種をまいて夏に収穫する、春まき栽培。その他では、夏に種まき、植えつけをして冬に収穫する夏まき栽培が一般的です。
一般的なブロッコリーの他にも茎ブロッコリーと呼ばれるものもあります。一般的なブロッコリーは中心部分の花蕾を食べますが、茎ブロッコリーは最初に中心部の頂花雷を収穫したあと、下の枝からわき芽のように出てくる側花蕾と茎を食します。花茎が長くアスパラガスのような食感が人気です。
栄養価が高い緑黄色野菜で、様々な料理に使えます。種まきから育てても収穫まで2~3か月程度。暑さに影響を受けやすいブロッコリーは、通常のブロッコリーより暑さに強い茎ブロッコリーの方が栽培は容易です。また育苗のときに失敗することが多いので、初心者の人は苗から始めるとよいでしょう。
作物名 | ブロッコリー |
---|---|
科目 | アブラナ科アブラナ属 |
原産地 | 地中海沿岸 |
発芽適温(地温) | 25℃前後 |
生育適温 | 15℃~25℃ |
土壌酸度(pH) | 6.0~6.5 |
育てやすさ | 普通 |
品種
ブロッコリーは播種から収穫までの期間により極早生、早生、中早生、中生、中晩生の品種があり、作型(栽培期間)に合わせた品種を選ぶことが大切です。栽培期間が短い(早生)品種ほど比較的高温で花芽が分化し、早く収穫までの期間が長くなります。
ここでは、プランターや家庭菜園で育てやすい品種についていくつか紹介します。
品種名 | 概要 | 特徴 |
---|---|---|
スティックセニョール | 茎ブロッコリーの代表種。 種まきから90日ほどで収穫が可能です。 1株で20cmくらいの長い側花蕾が15本程度収穫できます。 | |
スリム | 茎ブロッコリー。播種時期がながい 種まきから90日ほどで収穫が可能。 柔らかく、甘みも強い。 | |
ミニッコリー | 草姿、花蕾ともにコンパクトなミニブロッコリー 植え付けから65日で収穫できる | |
シャスター | 温度に比較的鈍感な極早生種 耐暑性があるので、春~夏でも栽培が可能 | |
緑嶺(りよくれい) | 植え付け後、75日ほどで収穫できる中早生種 季節を問わずに形よくつくれる。 家庭菜園の定番品種 |
栽培時期
ブロッコリーは、春まき栽培と夏まき栽培がありますが、家庭菜園では夏に植えつけして、冬に収穫する夏まき栽培が育てやすいのでおすすめです。
地域 | 播種(種まき)時期 | 定植時期 | 収穫 |
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冷涼地 高冷地 | 3月~4月中旬(春まき栽培) 6月~7月(夏まき栽培) | 4月中旬~5月(春まき栽培) 7月~8月(夏まき栽培) | 6月~7月(春まき栽培) 9月中旬~11月(夏まき栽培) |
中間地 | 2月~3月上旬(春まき栽培) 7月中旬~8月(夏まき栽培) | 3月中旬~4月中旬(春まき栽培) 8月~9月(夏まき栽培) | 5月中旬~6月中旬(春まき栽培) 10月~12月(夏まき栽培) |
暖地 | 1月下旬~2月中旬(春まき栽培) 9月下旬~10月(夏まき栽培) | 3月中旬~4月上旬(春まき栽培) 8月下旬~10月(夏まき栽培) | 4月~6月(春まき栽培) 10月下旬~1月(夏まき栽培) |
まとめ
鮮度が落ちやすいブロッコリーは、自分で育てると本来の味を楽しめます。栽培時期と品種を間違えなければ、苗からであれば初心者の人でも育てることができます。
ホームセンターなどで苗を買う時には、お店の人にプランターで育てるおすすめの品種などをきいてみるのもよいでしょう。
またブロッコリーは、水耕栽培で育てられるブロッコリースプラウトも栄養があって人気です。
この他にも、農家webには野菜のプランター栽培の記事がたくさんあります。
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