バジルは収穫しながら育てるのでプランター栽培に向いています。ここでは、バジルのプランター栽培について、種・苗・挿し木から始める手順収穫までの育て方や、病害虫対策やタネの収穫まで家庭菜園初心者の人にもわかりやすく説明します。
バジルのプランター栽培の手順
種まきから始める
プランターに直に種をまく(直まき)方法は、すじまき、点まき、ばらまきなどがありますが、バジルはどれを選んでもOKです。ここでは「すじまき」で説明します。
- プランターに、底が隠れる程度に鉢底石いれ、その上から、野菜専用培養土をプランターの上部2〜3cm程度のところまで敷き詰めます。
- プランターの中央に、割り箸や支柱などで深さ1cm程度の溝をつくります。
- 1cm間隔で種をまき、土を軽くかぶせて手で軽く押さえます
- 水をたっぷり与えます。発芽するまでは土を乾かさないように管理します。
- 生長に合わせて間引きします。双葉が生えたら株間2cmに、本葉2~3枚の頃に株間4~6cmに、本葉が6枚~8枚の頃には、株間20cmになるよう、元気な苗を選んで他は、ハサミで株元から切って間引きます。間引いたバジルも食べられます。
苗から始める
市販の苗やポリポットなどで育苗した場合の、植えつけについて説明します。苗を選ぶときには、3~4本仕立ての、節と節がつまって間延びしていない、虫食いなどがない、しっかりした苗を選びましょう。ポット苗は根鉢を崩さずそのまま植えつけます。2つ以上植えつけるときには、株間は15cm~20cmほどとって、植えつけましょう。
- プランターに、底が隠れる程度に鉢底石いれ、その上から、野菜専用培養土をプランターの上部2〜3cm程度のところまで敷き詰めます。
- ポットより1周り大きめの穴を掘り、ポットから苗を取り出して植えつけます。
- 土を寄せて軽く押さえ、水を鉢底から透明な水がでるまで、たっぷり与えます。
- 草丈が10cm~15cmほどになったら、生育のよい1本を残し、後は株元からハサミで切り取ります。(間引いた茎葉は、挿し穂にも使えます)
挿し木から始める
バジルは、さし木で増やすのが簡単です。間引いた茎葉や、スーパーなどで売られている生のバジルでも発芽するので、料理で余ったバジルを使うこともできます。
バジルの苗から挿し木をする場合は、先端の弱い部分を避けて、硬く充実した茎の部分を使います。スーパーなどで買ったバジルも、葉の部分ではなく節があるものを選んでください。
- 茎を2~3節ほど節残して切り取ります。一番上の葉だけ残して、あとはカットします。上の葉が大きいときは、蒸発を防ぐため、半分にカットします。一番下の切り口は斜めにスパッとかっとします。断面を広げることで、水を吸い上げやすくします。
- コップなどの透明な容器に、水をいれ1で準備したバジルの茎葉を入れます
- 発芽するまで2~3日に1回に水は変えましょう。
- 1週間程度は明るい日陰で室内で管理しましょう。7日~10日程度で新しい根が生えてきます。
- 複数の根が10cmほどになったら、土に植え替えます。
- 小さめの鉢かポリポットに、土を入れ水をいれて湿らせます。そこに穴をあけて根が折れないように植えつけましょう。しばらくは室内で管理し新芽がでてきたら、通常の管理で育てます。
水挿しで発芽させたバジルは、そのまま水耕栽培でも育てることができます。室内でキッチンハーブとして育てるのもおすすめです。
バジルのプランター栽培の育て方

バジルの基礎知識
バジルは、熱帯アジア原産のシソ科の植物です。本来は多年草ですが、日本では寒さに耐えられないため一年草として扱われています。イタリアンハーブとして日本でも人気があり、イタリア語ではバジリコと呼ばれます。
栽培は、春に種や苗を植えつけて初夏から秋にかけて長く収穫が楽しめます。生育適温は20℃~25℃と暖かい気候を好みます。暑さには強いですが、寒さには弱いので気温が高くなってから種まきや苗の植え付けをします。
種から育てるのも簡単で、植え付け時期に市販の苗もホームセンターなどでたくさん出回ります。生命力が強いので、スーパーで買ってきたバジルからも始められます。多少日当たりが悪くても育ち、病害虫にも強いので、家庭菜園初心者の人でも作りやすい植物です。
作物名 | バジル |
---|---|
科目 | シソ科メボウキ属(オキウム属) |
原産地 | 熱帯アジア、インド |
発芽適温(地温) | 20℃~25℃ |
生育適温 | 20℃~25℃ |
土壌酸度(pH) | 5.5~6.5 |
育てやすさ | 簡単、初心者でもOK |
栽培時期
バジルの栽培期間は、春に種まき、苗の植えつけをし収穫しながら秋まで育てます。寒さに弱いため冬越しはしません。
種まきから収穫までは約2か月、苗の植えつけからは約1か月ほどです。寒さに弱いのでプランターに直播するばあいには、十分に暖かくなってきてから種をまきましょう。(ポリポットなどで育苗する場合は、保温することにより植え付け時期の、1か月ほど早く種をまくこともできます)
地域 | 播種(タネまき)時期 | 植え付け時期 | 収穫時期 |
---|---|---|---|
寒冷地 | 5月~7月上旬 | 6月~8月上旬 | 7月~10月上旬 |
中間地 | 4月中旬~7月中旬 | 5月~9月中旬 | 6月~10月 |
暖地 | 4月~7月上旬 | 4月下旬~9月 | 5月下旬~10月 |
バジルの品種
一般的なバジルはスイートバジルと呼ばれる品種です。この他にもバジルには多くの品種があります。種から育てれば、食べたことのない品種も育てることができます。
品種名 | 用途・特徴 |
---|---|
スイートバジル | 最も一般的な品種。単にバジルとして売られているものは ほとんどがこの品種です。 |
レモンバジル | 爽やかな柑橘系の香りがあります。別名シトラスバジル 鶏肉料理や魚料理と相性がよい。 |
シナモンバジル | シナモンに似た甘い香りが特徴 クッキーやデザートなどのスイーツと相性がよい |
ダークオパールバジル | 濃い紫色のバジル。別名赤バジル、紫バジル スイートバジルと同じ香りで、ビネガーやオイル、 リキュールの色付けなどに使われます。 |
容器・用土
プランターや鉢植えでしそを育てる場合は、根は浅いため深さ15cmあればOK。長さ60cm程度の標準プランターで3株、1株なら直径24cmほどの8号程度のものがよいでしょう。コンパクトに育てたいのであれば5号程度のプランターでも栽培可能です。
用土は野菜の培養土が便利。元肥入りのものは肥料が入っているため追加で与える必要はありません。自分で配合する場合は、赤玉土6、腐葉土4などの配合がよいでしょう。元肥には、緩効性肥料を用土に混ぜて施します。
栽培環境・水やり
バジルは日当たりの良い場所を好みますが、強い光にあたると葉が厚く小さくなります。また夏に直射日光にあたると葉焼けする可能性もあります。しかし長期間日陰に置くと、株が軟弱になったり、ヒョロヒョロと徒長することもあります。できれば明るい日陰で管理しましょう。葉が大きくやわらかくなります。
水を好むバジルは、水切れし土壌の乾燥が続くと、葉が固くなります。水やりはこまめに行いましょう。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出るまでたっぷり与えます。基本は1日1回、午前中に。乾燥する夏は朝と晩の2回水やりをします。
肥料
バジルは長く収穫が続くので、多く収穫したい場合には肥料を切らさずに育てますが、肥料を与えすぎると葉が固くなり、えぐみが出てしまうのでやりすぎにも注意が必要です。
プランター栽培の場合肥料は、元肥と追肥を行います。元肥とは植え付け時に施す肥料で、プランターなどでは、元肥入りの野菜の培養土などが便利です。肥料がはいっていない土や、自分で配合した場合は、緩効性肥料を土に混ぜて使います。
追肥は、元肥の肥料が切れるのが1ヵ月程度ですので、種まき、植え付けから1か月後から始めましょう。化成肥料10g程度を株元に散布するか、液体肥料を水やり代わりに与えます。目安は化成肥料であれば1か月に1度、液肥であれば2週間に1度施肥します。
化成肥料は家庭菜園でよくつかわれる化成肥料8-8-8などの他、ハーブ専用の肥料、ハイポネックスの野菜用の肥料などが使えます。
液体肥料は、水やりがわりに薄めてあげるだけなので水を好むバジルにおすすめです。肥料不足のときにもすぐに使えるので1本あると他の植物にも使えます。液肥にはハイポネックスの野菜の液肥や有機質入りのベジフル液肥などがおすすめ。

肥料は生育に合わせて与えるのが基本です。バジルは肥料が切れると下葉の方から色が緑色から黄色に薄くなります。また緑色が濃くなりすぎて、葉が固くなったら肥料の与えすぎです。目安の回数だけでなく葉の様子もみて随時肥料を与えましょう。
摘心・花芽切り
バジルは、茎の先端をきる摘心(摘芯)を行うことで、わき芽が増えこんもり育ちます。収穫をかねて摘心を続けることで、枝分かれして長く収穫が楽しめます。
草丈が20cmほどになったら、主枝の先端を切ります。わき芽は、葉のつけ根から出てくるので、わき芽のすぐ上をハサミで切り取りましょう。
花が咲くと葉が固くなります。花穂がついたら、つぼみのうちにすぐ下の葉をつけて収穫をかねて花芽を切り取ります。
収穫
摘心後に、わき芽が伸びてきたら伸びた、脇枝の先端を切って収穫します。茎は2節ぐらい残しておくと、再びわき芽がでてきます。わき芽が伸びたらまた同様に摘心をかねて収穫を続けます。収穫をすればするほど、わき芽が伸びて大株に育つので、こまめに摘むとよいでしょう。
タネ取り
葉の収穫がすんだら、花を咲かして種を取りましょう。バジルのタネは、来年にまくのはもちろん、スプラウトを育てて、食べることもできます。
花が枯れて茶色くなったら、タネの入った殻を手でしごいて外します。両手でもんで、さやから種を取り出します。タネを取り出したら、目の細かいザルやふるいなどを使いタネだけを選別しましょう。
タネは乾燥させて、密閉できる袋にいれ冷蔵庫に入れて保存しましょう。


病害虫
バジルは、病害虫には比較的強い植物ですが、アブラムシやハダニ、アオムシ、ヨトウムシなどの害虫が付きやすいので注意が必要です。これらの虫が発生した時は、水を勢いよくかけて弾き飛ばす、粘着テープで除去する、また殺虫剤などの薬剤で駆除、防虫する方法があります。どちらにせよ、早く対応するに越したことはないので、葉っぱを観察して発見した時はすぐに捕殺するようにしましょう。
ベニカマイルドスプレーは、食品成分を使用した殺菌殺虫剤で様々な野菜やハーブ、果樹などで使えます。
また病気は、灰色かび病、ベト病にかかることがあります。病気をみつけたら早めに除去しましょう。高温・多湿で起こりやすいため、梅雨時などは軒下などにいれ雨にあたらないようにし風通しの良い場所で管理するようにしましょう。
まとめ
バジルは、採れたのフレッシュな葉を、パスタやピザにトッピングとしてのせたり、たくさん収穫してバジルペーストを作ったりと、いろいろな料理に使えます。
また夏野菜のトマトやピーマンのコンパニオンプランツとしてもバジルはおすすめです。一緒に育てると、害虫を寄せ付けなくなり生育を良くする効果もあります。誰でも簡単に栽培できるバジルはおすすめのハーブです。ぜひプランターでバジルの栽培を始めてみてください。
生命力の強いバジルは、水と肥料だけで育てる水耕栽培でも栽培が可能です。土を使いたくない場合は、日の当たる窓辺などで育てれば害虫の心配もありません。



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