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キュウリ

これでわかる!キュウリの種まきと育苗の方法

キュウリの露地栽培の様子です。直立式に園芸支柱を立ててネットを張り、誘引していきます。 キュウリ

キュウリの種まき(播種)と育苗の方法について、解説します。直まきの場合は、ポットやセルトレーに種まき(播種)をする必要はありません。キュウリ栽培の基本や各作業に関しては、下記の一覧を参考にしてください。

キュウリの種まき(播種)方法

育苗する場合の種まきの方法は、大きく2つあります。

  1. ポットに種まきをする
  2. 育苗箱に種まきをする

栽培する苗の数や条件に合わせて選択しましょう。また、キュウリの種子は「嫌光性種子けんこうせいしゅし」と呼ばれ、光に当たると発芽が抑制される種子のため下の手順の通り、覆土をしましょう。

ポットに種まきをする場合

キュウリの種の播種と間引きのタイミングを表した画像です。キュウリの種は3粒程度まき、発芽したら本葉1枚〜1.5枚のときに間引きます。
  1. 12cmポットに指で1cm 程度の穴をあける。
  2. 3粒ほど種をまく。
  3. 上から5mmほど覆土する。
  4. 土全体が湿って色が変わるくらいまで水やりをする。

育苗箱に種まきをする場合

  1. 育苗箱に培養土を入れ、すじ状に深さ1cm程度の溝を作る。
  2. すじ状に種を播く(すじまき)。深さは1cm程度、1cm間隔くらいで播く
  3. 上から5mmほど覆土し軽く手で抑える。
  4. 土全体が湿って色が変わるくらいまで水やりをする。

発芽適温は25℃〜30℃です。ポットの場合も、育苗箱の場合も適温となるように工夫をしましょう。

キュウリの発芽を促すには?発芽に必要なことは「保温」と「保湿」

キュウリの発芽を促すために必要な要素は「保温」と「保湿」です。

「保温」のポイント

キュウリの発芽適温は25℃〜30℃、育苗適温は13℃〜28℃です(植物の生長段階で変わります)。

暖かい時期であれば自然に発芽しますが、栽培に合わせて3月〜4月に種まき(播種)をする場合はなかなか発芽しづらいと思われます。そのような場合にはヒーター内蔵の発芽育苗器「菜・友・器」などを購入すると便利です。

セルトレイや育苗箱などに種まき(播種)をして、発芽育苗器にセットすることで最適な温度に保ってくれます。発芽もきれいに揃えることができます!

また、発芽育苗期の温度管理には、トンネルや苗キャップ(ホットキャップ)などを使用し、それでも温度が足りないときには農電マットを購入することをおすすめします。

「保湿」のポイント

発芽を促すには保温ともう一つ、「保湿」が大事です。湿らした新聞紙を上からかけておくと発芽が揃いやすくなります!ただし、水のやり過ぎはNGです!種まき(播種)をしてから水をたっぷりとやり、その上から湿らした新聞紙をかけましょう。

通常であれば4〜5日もあれば発芽しますので、芽が出たら新聞紙を外します。

キュウリの育苗方法

発芽したあとは「間引き」や「移植(鉢上げ)」などの作業を行い、苗を育てていきます(育苗)。育苗期間の温度管理は時期(ステージ)によって異なります。全体の作業の流れと温度管理は下の表のとおりです。

生長に合わせて、周りの環境(気温、湿度)に合わせていくイメージとなります(順化)。

ステージ種まき〜発芽発芽〜本葉1枚本葉1枚〜2枚本葉2枚〜3枚本葉3枚〜4枚本葉4枚〜5枚
日中温度28度前後25度前後25度前後25度前後25度前後25度前後
夜間温度18度前後15度前後15度前後15度前後13度前後13度前後
作業・種まき・水やり(必要であれば)・間引き
・水やり(必要であれば)
・水やり(必要であれば)
・セルトレーの場合はポットに移植
・水やり(必要であれば)・水やり(必要であれば)
キュウリの育苗の流れと温度管理

苗の間引き・移植

ポットに種まきをした場合

キュウリの種の播種と間引きのタイミングを表した画像です。キュウリの種は3粒程度まき、発芽したら本葉1枚〜1.5枚のときに間引きます。

本葉1枚〜1.5枚程度のときに間引きします。12cmポットに1本の苗が残るように間引きしましょう。

育苗箱に種まきをした場合

  1. 一番目の本葉が出始めた頃に間引きをします。苗の間隔が2cm程度、空くように間引きをしましょう。
  2. 二番目の本葉が出始めた頃にさらに間引きをします。12cmポットを用意し培養土を敷き詰め、1つのポットに対して1本の苗を移植します。
編集さん
編集さん

プロの場合はセルトレーのまま定植(植え付け)したりしますが、生長の管理が難しくなるので家庭菜園には向いていません。

間引き・移植のポイント

間引き・移植をするときには極力、根を傷めないように気をつけましょう。間引きをするときに根を痛めてしまいそうであれば、間引きの対象となる苗をハサミなどで切ってしまっても大丈夫です。

また、移植をしたあとは必ず一度水やりをたっぷりしましょう。土がよく馴染み、根が張りやすくなります(活着が進む、根張りが良くなるなどとも言います)。

育苗期間中の水やりと肥料

育苗期間中の水やりは必須です。ただし、水やりをしすぎると軟弱な苗となってしまい、その後の生育に影響が及びます。そのため、土の表面が乾いている、もしくは日照りが強くなりそうなときに朝1回、たっぷりと水やりをしましょう。昼に確認をして土の表面が乾いているようであれば追加で水やりをしても大丈夫です。

育苗期間中の施肥(肥料やり)は、肥料入りの育苗培養土であれば必要ありません。

もし肥料成分が含まれていない培養土を使用している場合には、播種時に液体肥料(液肥)を通常よりも薄い濃度でかけることも一つの方法です。液体肥料(液肥)を播種時、本葉2枚程度の時、定植前にかけることによってスムーズに発芽から育苗を行うことができます。

キュウリの水やりと施肥のポイント
  • 水やりは乾いていればしっかりとする、ただしやり過ぎないようにしましょう。
  • 施肥は少しで十分です。窒素成分が与えすぎると軟弱な苗になってしまうの注意しましょう。

種まきからは難しい、そのようなときには苗を購入しましょう

種まきの時期を過ぎてしまったり、病気に強い健康な苗を手軽に手に入れたい場合はホームセンターや園芸店で購入することをおすすめします。ホームセンターや園芸店には様々な品種の苗が取り揃えられていますので、どの品種を育てようかと楽しみながら選択すると良いと思います。

ホームセンターで販売されているキュウリの苗です。

病気に強いキュウリの接木苗

キュウリの苗には大きく「実生苗(自根苗)」と「接木苗」という種類があります。「実生苗」は種苗会社・種苗店が種子から育てた苗、「接木苗(自根苗)」は、種苗会社・種苗店が丈夫で病気に強い台木(根になる部分)に、優秀な品種の苗を接いだ(繋ぎ合わせるイメージ)ものです。では、「実生苗」と「接木苗」のどちらを選べば良いのか、それぞれの特徴を見てましょう。

苗の種類価格収穫量病気への強さ(耐病性)連作障害の起こりやすさ
実生苗安い少ない比較的強いあり
接木苗高い多い比較的弱いほぼ無し
「実生苗」と「接木苗」の特徴

上の表から初心者の方には、価格は少し高いですが病気に強く連作障害が起こりづらい「接木苗」をおすすめします。逆にキュウリ栽培や育苗に慣れていて少しでもコストを抑えたいという方、また栽培期間が短い方は「実生苗」で問題ないでしょう。

キュウリの品種について

キュウリにもさまざまな品種があります。地這い栽培や立体栽培など栽培方法によって、適している品種が異なりますので、知っておくと大変便利です。下記に主な品種の一覧を掲載しますので、苗や種の購入の参考にしてください。

品種タキイ種苗 VR夏すずみタキイ種苗 北進サカタのタネ 味さんごトキタ種苗 ミニQタキイ種苗 Vアーチ埼玉原種育成会 夏秋美人サカタのタネ よしなりサカタのタネ フリーダムタキイ種苗 夏太郎タキイ種苗 シャキット
向いている栽培方法立体栽培立体栽培立体栽培立体栽培立体栽培立体栽培・地這い栽培立体栽培立体栽培地這い栽培立体栽培
節成り性・飛び節成り性節成り性節成り性節成り性節成り性節成り性節成り性節成り性節成り性飛び節成り性節成り性
特徴べと病うどんこ病、ウイルス病に強く、減農薬栽培が可能。家庭菜園でもおすすめ。側枝の発生が旺盛で果実が付きやすいうどんこ病、べと病に対して耐病性があり、特にうどんこ病に強い長さ約10cm、1個約40gの果実をつけるウイルス病、べと病、うどんこ病に耐病性があるべと病、うどんこ病に強く、無農薬栽培も可能べと病、褐斑病、うどんこ病に耐病性がある表面にイボがないイボなしキュウリ。
うどんこ病、べと病に耐病性がある
うどんこ病、べと病に強い表皮に細かいイボがある。うどんこ病、べと病、ウイルス病に耐病性ある
キュウリの栽培方法(仕立て方、誘引方法)には大きく2つあって、品種によって向き・不向きがある

キュウリは、品種によって、仕立て方、誘引方法が異なります。

他の果菜類と同様、園芸支柱や誘引ひも、ネットで上に誘引していく方法を「立体栽培」、誘引などをせず地面にそのまま這わせるように伸ばしていく方法「地這い栽培」と呼びます。

昨今では「立体栽培」が主流ですが、「地這い栽培」が向いている品種もまだ販売されています。地這い栽培をやる場合には、広いスペースが必要となるので注意しましょう。

キュウリの苗の選び方

ホームセンターなどで苗を購入する場合、どのようなポイントに気をつけるべきでしょうか。良い苗を見極めるポイントは主に5点あります。

  1. 節と節の間(節間)が詰まっていてしっかりしている
  2. 葉の厚みがある
  3. 葉の緑色が濃い
  4. 病害虫の被害に遭っていない(葉に穴などが空いていない)
  5. 小さな苗は避ける
編集さん
編集さん

根鉢が回りすぎているもの(根が鉢全体にびっしりと張って、培養土と一体化しているもの)は、避けたほうがいいかもしれません。植え付けをしてからの草勢管理が難しくなります。根はある程度張っていたほうがいいですが、根鉢が回り過ぎているほどに育苗する必要はありません。

もし若苗しかなかったら・・・

上のポイントに当てはまる苗がない場合もあります。ホームセンターなどで販売されている苗は一番花が付いているものは少なく、それよりも若い苗(若苗)が販売されていることがほとんどです。

若苗をそのまま植えつけてしまうと吸肥力が強くなり、樹ボケ(苗が強くなりすぎて茂りすぎてしまう)して葉だけが茂ってしまうキュウリになりやすいです。そのため、定植適期(本葉3枚〜5枚程度)になるまで育苗してから植え付けましょう。

育苗の方法は「キュウリの育苗方法」を参考にしてください。

いつまで育苗する?植え付け(定植)の時期

本葉2.5枚から4枚になったころが植えつけのタイミングです。

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農家web編集部のメンバーが「農業者による農業者のための情報サイト」をコンセプトに、農業に関するあらゆる情報を丁寧にまとめてお届けしていきます。
編集部のメンバーは皆、実際に農業に携わりながら情報をまとめています。農学を極め樹木医の資格を持つ者、法人の経営・財務管理に長けている者、大規模農場の営農経験者などバラエティに富んだメンバーで構成されています。他にも農機具やスマート農業機器、ITなどのスキルも兼ね備えています。

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