キュウリの種まき(播種)と育苗の方法について、解説します。直まきの場合は、ポットやセルトレーに種まき(播種)をする必要はありません。キュウリ栽培の基本や各作業に関しては、下記の一覧を参考にしてください。
キュウリの種まき(播種)方法
育苗する場合の種まきの方法は、大きく2つあります。
- ポットに種まきをする
- 育苗箱に種まきをする
栽培する苗の数や条件に合わせて選択しましょう。また、キュウリの種子は「嫌光性種子」と呼ばれ、光に当たると発芽が抑制される種子のため下の手順の通り、覆土をしましょう。
ポットに種まきをする場合
- 12cmポットに指で1cm 程度の穴をあける。
- 3粒ほど種をまく。
- 上から5mmほど覆土する。
- 土全体が湿って色が変わるくらいまで水やりをする。
育苗箱に種まきをする場合
- 育苗箱に培養土を入れ、すじ状に深さ1cm程度の溝を作る。
- すじ状に種を播く(すじまき)。深さは1cm程度、1cm間隔くらいで播く
- 上から5mmほど覆土し軽く手で抑える。
- 土全体が湿って色が変わるくらいまで水やりをする。
発芽適温は25℃〜30℃です。ポットの場合も、育苗箱の場合も適温となるように工夫をしましょう。
キュウリの発芽を促すには?発芽に必要なことは「保温」と「保湿」
キュウリの発芽を促すために必要な要素は「保温」と「保湿」です。
キュウリの育苗方法
発芽したあとは「間引き」や「移植(鉢上げ)」などの作業を行い、苗を育てていきます(育苗)。育苗期間の温度管理は時期(ステージ)によって異なります。全体の作業の流れと温度管理は下の表のとおりです。
生長に合わせて、周りの環境(気温、湿度)に合わせていくイメージとなります(順化)。
ステージ | 種まき〜発芽 | 発芽〜本葉1枚 | 本葉1枚〜2枚 | 本葉2枚〜3枚 | 本葉3枚〜4枚 | 本葉4枚〜5枚 |
---|---|---|---|---|---|---|
日中温度 | 28度前後 | 25度前後 | 25度前後 | 25度前後 | 25度前後 | 25度前後 |
夜間温度 | 18度前後 | 15度前後 | 15度前後 | 15度前後 | 13度前後 | 13度前後 |
作業 | ・種まき | ・水やり(必要であれば) | ・間引き ・水やり(必要であれば) | ・水やり(必要であれば) ・セルトレーの場合はポットに移植 | ・水やり(必要であれば) | ・水やり(必要であれば) |
苗の間引き・移植
ポットに種まきをした場合
本葉1枚〜1.5枚程度のときに間引きします。12cmポットに1本の苗が残るように間引きしましょう。
育苗箱に種まきをした場合
- 一番目の本葉が出始めた頃に間引きをします。苗の間隔が2cm程度、空くように間引きをしましょう。
- 二番目の本葉が出始めた頃にさらに間引きをします。12cmポットを用意し培養土を敷き詰め、1つのポットに対して1本の苗を移植します。
プロの場合はセルトレーのまま定植(植え付け)したりしますが、生長の管理が難しくなるので家庭菜園には向いていません。
育苗期間中の水やりと肥料
育苗期間中の水やりは必須です。ただし、水やりをしすぎると軟弱な苗となってしまい、その後の生育に影響が及びます。そのため、土の表面が乾いている、もしくは日照りが強くなりそうなときに朝1回、たっぷりと水やりをしましょう。昼に確認をして土の表面が乾いているようであれば追加で水やりをしても大丈夫です。
育苗期間中の施肥(肥料やり)は、肥料入りの育苗培養土であれば必要ありません。
もし肥料成分が含まれていない培養土を使用している場合には、播種時に液体肥料(液肥)を通常よりも薄い濃度でかけることも一つの方法です。液体肥料(液肥)を播種時、本葉2枚程度の時、定植前にかけることによってスムーズに発芽から育苗を行うことができます。
種まきからは難しい、そのようなときには苗を購入しましょう
種まきの時期を過ぎてしまったり、病気に強い健康な苗を手軽に手に入れたい場合はホームセンターや園芸店で購入することをおすすめします。ホームセンターや園芸店には様々な品種の苗が取り揃えられていますので、どの品種を育てようかと楽しみながら選択すると良いと思います。
病気に強いキュウリの接木苗
キュウリの苗には大きく「実生苗(自根苗)」と「接木苗」という種類があります。「実生苗」は種苗会社・種苗店が種子から育てた苗、「接木苗(自根苗)」は、種苗会社・種苗店が丈夫で病気に強い台木(根になる部分)に、優秀な品種の苗を接いだ(繋ぎ合わせるイメージ)ものです。では、「実生苗」と「接木苗」のどちらを選べば良いのか、それぞれの特徴を見てましょう。
苗の種類 | 価格 | 収穫量 | 病気への強さ(耐病性) | 連作障害の起こりやすさ |
---|---|---|---|---|
実生苗 | 安い | 少ない | 比較的強い | あり |
接木苗 | 高い | 多い | 比較的弱い | ほぼ無し |
上の表から初心者の方には、価格は少し高いですが病気に強く連作障害が起こりづらい「接木苗」をおすすめします。逆にキュウリ栽培や育苗に慣れていて少しでもコストを抑えたいという方、また栽培期間が短い方は「実生苗」で問題ないでしょう。
キュウリの品種について
キュウリにもさまざまな品種があります。地這い栽培や立体栽培など栽培方法によって、適している品種が異なりますので、知っておくと大変便利です。下記に主な品種の一覧を掲載しますので、苗や種の購入の参考にしてください。
品種 | タキイ種苗 VR夏すずみ | タキイ種苗 北進 | サカタのタネ 味さんご | トキタ種苗 ミニQ | タキイ種苗 Vアーチ | 埼玉原種育成会 夏秋美人 | サカタのタネ よしなり | サカタのタネ フリーダム | タキイ種苗 夏太郎 | タキイ種苗 シャキット |
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向いている栽培方法 | 立体栽培 | 立体栽培 | 立体栽培 | 立体栽培 | 立体栽培 | 立体栽培・地這い栽培 | 立体栽培 | 立体栽培 | 地這い栽培 | 立体栽培 |
節成り性・飛び節成り性 | 節成り性 | 節成り性 | 節成り性 | 節成り性 | 節成り性 | 節成り性 | 節成り性 | 節成り性 | 飛び節成り性 | 節成り性 |
特徴 | べと病、うどんこ病、ウイルス病に強く、減農薬栽培が可能。家庭菜園でもおすすめ。 | 側枝の発生が旺盛で果実が付きやすい | うどんこ病、べと病に対して耐病性があり、特にうどんこ病に強い | 長さ約10cm、1個約40gの果実をつける | ウイルス病、べと病、うどんこ病に耐病性がある | べと病、うどんこ病に強く、無農薬栽培も可能 | べと病、褐斑病、うどんこ病に耐病性がある | 表面にイボがないイボなしキュウリ。 うどんこ病、べと病に耐病性がある | うどんこ病、べと病に強い | 表皮に細かいイボがある。うどんこ病、べと病、ウイルス病に耐病性ある |
キュウリの苗の選び方
ホームセンターなどで苗を購入する場合、どのようなポイントに気をつけるべきでしょうか。良い苗を見極めるポイントは主に5点あります。
- 節と節の間(節間)が詰まっていてしっかりしている
- 葉の厚みがある
- 葉の緑色が濃い
- 病害虫の被害に遭っていない(葉に穴などが空いていない)
- 小さな苗は避ける
根鉢が回りすぎているもの(根が鉢全体にびっしりと張って、培養土と一体化しているもの)は、避けたほうがいいかもしれません。植え付けをしてからの草勢管理が難しくなります。根はある程度張っていたほうがいいですが、根鉢が回り過ぎているほどに育苗する必要はありません。
いつまで育苗する?植え付け(定植)の時期
本葉2.5枚から4枚になったころが植えつけのタイミングです。