キュウリの栽培では肥料は元肥と追肥をして育てます。肥料の過不足はキュウリの収穫に影響を及ぼすため、適切な時期に適量の肥料を与える必要があります。
しかし肥料の種類は多く、何をどのようにあげたらよいかわからない人も多いのではないでしょうか。この記事では、キュウリ栽培におすすめの肥料や、肥料のやり方のポイントについてわかりやすく説明します。
キュウリ栽培の肥料の選び方
キュウリは畑などの地植えやプランターでも栽培が可能です。栽培方法別に選び方を説明します。
地植え
地植えの場合は、土づくりが重要です。水はけと通気性がよく水持ちのよい土が野菜づくりには必須です。そのためには、堆肥を土に入れてよく耕して土を団粒構造にします。つる割病の予防には苦土石灰も混ぜるとよいでしょう。
肥料も元肥にはできれば有機肥料や有機配合肥料を使うとよいでしょう。有機肥料はゆっくり効果がでるものが多いので、追肥には速効性のある化成肥料や液体肥料が使われます。ゆっくり効果がつづく有機肥料と組み合わせてつかうのもよいでしょう。
プランター栽培
プランター栽培の場合は、ベランダなどで栽培する場合には有機肥料は臭いや虫の心配があるため、野菜の培養土などをつかうとよいでしょう。肥料が含まれているものが便利です。
追肥には速効性のある化成肥料や液体肥料が臭いもなく、すぐに使えて便利です。キュウリ専用の培養土や肥料なども豊富です。
キュウリ栽培におすすめの肥料
有機肥料
畑などの元肥には、有機肥料がおすすめです。キュウリは元肥が多肥になると葉に栄養が行き過ぎて、よい実がつきません。有機肥料はゆっくり効果が出る緩効性肥料で、肥料やけなどのリスクも軽減します。またキュウリの食味が良くなるともいわれます。
油かす(油粕)
油かす(油粕)肥料は、ナタネやダイズから油を搾る工程の残りかすを原料として使用する、植物に由来する有機(有機物)肥料です。窒素(チッソ)を主な成分として含有しており、リン酸やカリウムも多少含んでいます。かすを原料として使用する、植物に由来する有機(有機物)肥料です。窒素(チッソ)を主な成分として含有しており、リン酸やカリウムも多少含んでいます。
元肥や追肥として使えますが、油かすだけではリン酸やカリウムが不足するため鶏糞肥料や化成肥料と組み合わせてつかうとよいでしょう。
鶏ふん
鶏糞は、ニワトリの糞を乾燥させた有機(有機物)肥料です。窒素(チッソ)、リン酸、カリの各成分が豊富に含まれています。同じ堆肥として牛ふんが比較されることがありますが、成分が異なるとともに、牛ふんは土壌改良の目的でも利用される点が異なります。
鶏ふんは堆肥として使うこともあります。堆肥として鶏ふんを使った場合は、牛糞を使った場合の同量の化成肥料を元肥として施肥すると肥料の上げすぎになるので注意しましょう。
キュウリには元肥、追肥として使えますが元肥に使うのがおすすめです。
ぼかし肥料
ぼかし肥料とは、油かすや米ぬか、籾殻(もみ殻)、鶏糞(鶏ふん)など複数の有機質資材を配合させたものに土(土着菌)や発酵促進剤などを加えて、発酵させた肥料のことを指します。昔は有機質を土などで肥料分を薄めて肥効を「ぼかす」としていたことから、ぼかし肥料という名前がついたと言われています。
緩効性、遅効性という有機肥料の特長に、速効性を併せ持つことによって、より使い方の幅が広がる肥料となっています。有機肥料は難しいという方にも使いやすい肥料です。
化成肥料
固形肥料
元肥には有機肥料がおすすめですが、プランターなどでベランダで育てる人には臭いや虫が気になる人もいるでしょう。その場合は化成肥料を使いましょう。また実がついた後の追肥にはすぐ効く化成肥料がおすすめです。
化成肥料は、不足している栄養素を補うために行うため、土によって与える肥料は異なりますが、家庭菜園などでは、野菜の肥料や、N-P-K=8-8-8など窒素とリン酸・カリウムが同量含まれている肥料などがよいでしょう。追肥には、NK化成肥料など窒素とカリのみを含む肥料もおすすめです。
キュウリ専用肥料
キュウリの専用肥料も便利です。キュウリの栽培に必要な成分が配合されており、施肥量もパッケージなどに書かれているので、初心者の人には使い勝手のよい肥料です。
有機配合肥料や、一発肥料と呼ばれる元肥に施すだけで追肥が不要な肥料もあります。
液体肥料
肥料不足の場合やプランター栽培には追肥として液体肥料をつかってもよいでしょう。液体肥料は野菜用のものを使うとよいでしょう。住友化学園芸の「マイガーデンベジフル」やハイポネックスジャパンの「野菜の液肥」などがあります。
キュウリ栽培に必要な肥料成分
キュウリにはどのような肥料成分がどれぐらい必要なのでしょうか。作型によってもかわります。下記は愛媛県のキュウリ(普通栽培)の施肥基準です。10aあたり窒素が50kg、リン酸30kg、カリウム43kgと、一般的な作物に比べてカリウムを多く施す必要があります。(施肥基準は県によっても異なり、土壌によっても変わるので目安としてください。)
施肥量(kg/10a) | 基肥 | 追肥 | 成分合計 |
---|---|---|---|
窒素(N) | 20 | 30 | 50 |
リン酸(P) | 30 | 0 | 30 |
カリウム(K) | 18 | 25 | 43 |
出典:愛媛県施肥基準(PDF)
キュウリ栽培の肥料の与え方のポイント
キュウリ栽培の肥料の与え方のポイントは、元肥は控えめに追肥はしっかり行います。
キュウリは栽培期間が長く続くため、肥料が切れないように育てる必要があります。しかしキュウリは、つる性のため生育初期に肥料が効きすぎるとツルや葉がのびすぎて花や実がつきにくくなる「つるボケ」がおきるため、元肥は控えめにし、追肥をして育てます。
追肥は、一度の「量」よりも「頻度」のほうが重要で、肥効を維持することが重要です。特に、開花後〜果実肥大にかけて、多くのカリウム(カリ・加里)が必要になります。
窒素とカリウムが欠乏してくると「曲がり果」や「先細り果」「先太り果」など果実の形が悪くなる症状が出てくることがあるので、しっかりと追肥をしましょう。
キュウリ栽培の肥料時期と与え方
家庭菜園でも人気のキュウリですが、畑などの地植え以外でもプランターでも育てることができます。
地植え
元肥
元肥は土づくりと同時に行います。
- 栽培する区間を決めます
- 植え付け(定植)予定の3週間以上前に苦土石灰をまいて、深く耕しましょう。
- 植え付け予定の2週間前には牛ふん堆肥と油かすなどの有機肥料、化成肥料をまいて再度よく耕します。
土づくり、畝立て、肥料の量や与え方についてはこちらに詳しく説明しています。
追肥
定植(植え付け)2週間後くらいから追肥を始めます。その後は、草勢を見ながら、15〜20日程度おきに追肥を施し続けます。液体肥料のみの追肥の場合は、1週間〜10日に1回程度の施肥が必要です。
- 植え付け後2週間ほどたったら、有機肥料や化成肥料を株の周りに円状に施肥し土と軽く混ぜます
- 2回目から3回目の追肥は、15日〜20日おきに、畝の肩よりも少し内側に溝を掘って施肥します。畝の両肩に対して行いましょう。畝がない場合は、株元から20cm〜30cm程度離したところに同様に施肥します。
- 4回以降の追肥は生育の様子を見ながら15日〜20日おきに1回程度、畝の両側に施肥します。栽培終了するまでの間、継続して追肥を行います。
プランター栽培
プランター栽培の場合は、元肥は元肥入りの野菜の培養土を使うと便利です。追肥は最初の実がつき始めた頃から始めます。液体肥料を水やりがわりに与える場合は週に1回ほど、固形肥料を使う場合は15日~20日ごとに栽培が終了するまで与えましょう。
キュウリの栽培に関する記事
キュウリの栽培には、肥料以外にも支柱立てや摘芯、摘果、病害虫の防除などの作業が必要です。水やりも重要な栽培のポイントです。キュウリの栽培に関しては、下記で詳しく説明しています。
キュウリは水耕栽培でも栽培できます。