花の少ない冬から早春に開花するクリスマスローズは、花色や形もさまざまで、丈夫で育てやすい常緑の植物で切り花としても人気があります。地植えでも鉢植えでもよく育ちます。
この記事では、油かす(油粕)肥料の基本情報とともに、クリスマスローズの肥料としての使い方をわかりやすく説明します。
クリスマスローズに油かすは使えるか?
結論、クリスマスローズに油かすは使えます。有機肥料(有機質肥料)は、元肥として施すとゆっくり長く肥料の効果を効かせることができます。クリスマスローズの専用肥料にも油かすは使われています。
油かす(油粕)肥料は、ナタネやダイズから油を搾る工程の残りかすを原料として使用する、植物に由来する有機(有機物)肥料です。窒素(チッソ)を主な成分として含有しており、リン酸やカリウムも多少含んでいます。庭植えの元肥によく使われます
油かすは窒素を主な成分としているため、油かすだけでバラを栽培しようとすると、リン酸とカリウムが足りないこともあるのでパッケージなどで肥料分を確かめて使いましょう。
\油かす肥料について/
速効性をもたせたい場合はぼかし肥料にする
油かすのもう一つの使い方としては、EMや発酵促進剤など微生物の力を使って予め発酵させた「ぼかし肥料」として散布することです。
ぼかし肥料にすることで、肥料の速効性が増し、肥料の効きが早くなります。
ぼかし肥料は、主原料として米ぬかや油かすを用いることが多いです。米ぬかと油かす、発酵促進剤などを混ぜ合わせてぼかし肥料を作ります。
\ぼかし肥料に関する詳細/
クリスマスローズへの油かすの使い方 基本
油かす肥料は、緩効性肥料の施肥と同時期に行うと良いでしょう。このとき油かす肥料を使う場合は、窒素など肥料分が多くならないように、化成肥料の施肥量を調整しましょう。
- 1月
- 2月2月
開花株が出回る時期です。ポット苗は2月~3月に植え替え、植え付けが可能です。このときには鉢植え・地植えとも肥料(元肥)は不要です。
地植えは、肥料は必要ありません。鉢植えは、上旬に緩効性肥料を置き肥し、液体肥料を10日1度、規定量で希釈した液肥を水やり代わりに与えます。
- 3月3月
地植えは、肥料は必要ありません。鉢植えは、液体肥料を10日に1度、規定量で希釈して水やり代わりに与えます。
- 4月4月
地植えは、緩効性肥料を置き肥します。リン酸が多いものがおすすめ。鉢植えは、上旬に緩効性肥料を置き肥し、液体肥料を10日1度、規定量で希釈した液肥を水やり代わりに与えます。
- 5月5月
地植えは、肥料は必要ありません。鉢植えは、液体肥料を10日に1度、規定量で希釈した液肥を水やり代わりに与えます。
- 6月~8月6月~8月
半休眠期です。地植え・鉢植えとも肥料は与えません。鉢植えは、株がよわっているようなら活力剤を水やり代わりに与えます。
- 9月9月
地植えは不要です。鉢植えは、下旬に新芽が伸び始めたのを確認してから、規定の倍の量で希釈した液肥を水やり代わりに与えます。
- 10月10月
植え替え、植えつけの適期です。地植えに植え付けする場合は、緩効性有機肥料を元肥として施します。植え替えの場合は、緩効性肥料を施します。リン酸が多いものがおすすめです。
植え替え、植え付けを行わなかった場合は、地植え・鉢植えともしっかり追肥を行います。どちらも緩効性肥料を置き肥します。鉢植えはさらに花つきをよくするため10日1度水やりがわりに、規定量で希釈した液肥を与えます。
- 11月11月
地植えは不要です。鉢植えは、液体肥料を10日に1度、規定量で希釈した液肥を水やり代わりに与えます。
- 12月12月
地植えは不要です。鉢植えは、上旬に緩効性肥料を置き肥し、液体肥料を10日に1度、規定量で希釈した液肥を水やり代わりに与えます。
おすすめの油かす肥料
油かす
未発酵の油かすは、寒肥やぼかし肥料の原料として使えます。地中で発酵が進むため臭いがきついと感じる人もいるので注意が必要です。
醗酵油かす
事前に発酵されている醗酵油かすは、元肥や追肥にも使えます。未発酵の油かすは粉末になっているものが多いですが、発酵しているものは、固形もしくはペレットであることがほとんどです。
東商の超醗酵油かすは、醗酵が済んだ状態の肥料を腐植質でくるんでいるのでにおいがしないのが特徴。肥料分が、チッ素(N):リン酸(P):カリ(K):マグネシウム(Mg)=4:6:2:0.21 とバラに必要なリン酸も多くふくまれています。
日清の醗酵油かすは、なたね油粕を主成分としており使いやすいペレット状です。肥料分が、チッ素(N):リン酸(P):カリ(K)=3・6・3 とリン酸が多く含まれています。パッケージにバラの施肥量なども書かれています。
その他おすすめのクリスマスローズの肥料
上記の通り、元肥には固形の緩効性化学肥料、緩効性有機肥料がおすすめです。緩効性肥料とは、施肥したときから効き始め、少しずつ溶け出して長期間効果が持続する肥料のことを指します。元肥、追肥、どちらにも使用することができます。
クリスマスローズ専用肥料
クリスマスローズ用に配合された有機肥料「プロトリーフ クリスマスローズの肥料」「花ごころ 清楚で可憐に咲く クリスマスローズの肥料」などがおすすめです。油かすが含まれているものもあります。
有機肥料
地植えにおすすめなのが、緩効性有機肥料です。有機肥料(有機質肥料)とは、動植物由来(油粕や米ぬかなど植物性の有機物、鶏糞や魚粉、骨粉などの動物性の有機物)の原料を使って作られている肥料を指します。
有機成分が土壌中の有用微生物を活性化させてくれるため、土壌改良の効果もあるので、地植えにおすすめです。天然素材を使用した成分が多い有機肥料は、素材から臭いが発生したり、 細かい虫が寄ってくることがあります。ベランダなどで栽培するには、あまり向いていません。
化成肥料・有機配合肥料
ベランダなどの栽培で、臭いや虫が気になる人には有機配合肥料や化成肥料も固形の緩効性肥料をつかいましょう。地植えでは有機配合肥料を元肥・追肥に。鉢植えでは元肥を有機配合肥料で追肥に化成肥料を使い分けてもよいでしょう。
有機入り緩効性肥料
有機入り緩効性肥料としては、非常にメジャーな「花ごころ まくだけ!花と野菜の肥料」や、「Plantia 花と野菜と果実の肥料」などがあります。
化成緩効性肥料
鉢植えの場合は、有機入りの肥料でなくとも緩効性肥料でもよいでしょう。定番の粒上肥料は「ハイポネックスのマグアンプK」です。鉢植えの元肥には、中粒がよいでしょう。追肥には小粒がおすすめです。また土に活力を与える腐植酸を配合した、「マイガーデン花・野菜用」もおすすめです。
クリスマスローズの肥料の購入場所
クリスマスローズの肥料は、ホームセンター、100均、インターネットなどで購入可能です。肥料を購入できる主な場所・方法は以下のとおりです。
各購入場所・購入方法のメリット・デメリットをまとめました。購入方法選びの参考にしてください。
購入方法 | ホームセンター | 100均 | インターネット |
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メリット |
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デメリット |
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補足:油かすとは
油粕(油かす)は、ナタネ(菜種)やダイズ(大豆)から油を搾る工程の残りかすを指し、それを主な原料として使用する有機(有機物)肥料を油かす肥料と呼びます。
\油かす肥料について/
油かす肥料は、その油かすの種類によっても成分が異なります。
ナタネ(菜種)油かすは、窒素が主成分で、リン酸やカリウムも多少含んでいることが特徴です。また、土壌で分解されるのが遅いため、効き目が長い、遅効の肥料ということになります。
ダイズ(大豆)油かすも、窒素が主成分ですが、リン酸やカリウムをあまり含んでいないのが特徴です。また、土壌で分解されるのが早いため、ナタネ(菜種)油かすと比較すると、効果が表れるのが早い、即効の肥料ということになります。
単位:% | ナタネ(菜種)油かす | ダイズ(大豆)油かす |
---|---|---|
窒素(N) | 5 | 7 |
リン酸(P) | 2 | 1 |
カリ(K) | 1 | 2 |
その他の有機肥料については、下の記事をご覧ください。
参考:クリスマスローズの基礎知識
クリスマスローズは常緑の多年草で、原種と交配種があり、原種はさらに地面から直接葉や茎がでて、花を咲かせる無茎種と、花茎から葉が展開し、その頂部に花がつき咲く有茎種に分かれます。
クリスマスローズの生育期は10月~5月、6月~9月は半休眠期となります。開花の時期は1月~4月です。寒さに強いため、日本では鉢植えだけでなく地植えでもよく育ちます。また耐陰性もあるため日の当たらない場所でも育てることができる、丈夫で育てやすい植物です。
学名 | Chlorophytum |
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属名 | キンポウゲ科 クリスマスローズ属(ヘレボルス属) |
原産地 | ヨーロッパ・西アジア |
樹高・草丈 | 10㎝~60㎝ |
耐寒性等 | 耐寒性:強い 耐暑性:普通 |
花言葉 | 「労り」「追憶」「慰め」「私の不安を和らげて」 |