トウモロコシは野菜の中でも肥料食いの代表格で、肥料が不足すると実入りがわるくなったり、トウモロコシの糖度が上がらなかったりします。甘くておいしいトウモロコシを作るためには肥料はとても大切です。
この記事では、トウモロコシ栽培において肥料が不足すると、どのような症状がでるのか、肥料不足の時はどのように対処するべきかわかりやすく説明します。
トウモロコシの肥料不足の症状
では最初に、肥料不足になるとどのような症状になるか説明していきます。
葉色が薄い
一番最初に肥料不足がわかるのが、苗の葉の様子です。葉の色の全体が薄く、下葉が黄色くなって枯れている場合は明らかな肥料不足です。雌穂(しすい・めすほ)が分化するころは収穫時の実の大きさが決まる大切な時期です。速効性のある肥料で追肥をしましょう。
育ちが悪い
最初の追肥の後、生長が遅れて生育不良で背丈が伸びないときは肥料不足を疑いますが、肥料過多の可能性もあります。葉の色で判断できます。葉が一様に濃い緑色の場合で生育が遅れている場合は、肥料が過剰になり根が傷んでしまったことが原因です。
健康な葉は、新葉は色が薄めで展開葉は緑色が濃くなるため色のコントラストがはっきりと出るのです。この場合は、肥料を与えると余計に弱ってしまうため水をたっぷり上げて肥料を流してください。
分けつしない
1回目の追肥をした後、肥料の効果を確認するには10葉目がでたころに、分けつが数本(2~3本)でていればきちんと肥料が足りている証拠です。分けつがきちんと出ていれば、その分けつ節から、茎が伸びると同時に根元に「タコ根」と呼ばれる太い支柱根がでてきます。この支柱根が、倒伏を防ぎさらに光合成をふやす役割もあります。
肥料不足の対処法
トウモロコシの肥料不足は追肥は、速効性の化成肥料やをつかうためそちらをつかって、追肥と同様の方法で、株元に施肥します。速効性の高い液肥をつかってもよいでしょう。
追肥におすすめの化成肥料
液体肥料
肥料不足の場合やプランター栽培には追肥として液体肥料をつかってもよいでしょう。液体肥料は野菜用のものを使うとよいでしょう。住友化学園芸の「マイガーデンベジフル液肥」やハイポネックスジャパンの「野菜の液肥」などがあります。
トウモロコシの専用肥料
トウモロコシ専用の肥料も初心者の人にはおすすめです。元肥にも追肥にも使えます。アミノール化学 なす・とうもろこし専用肥料」は有機入りの化成肥料でアミノ酸も入っています。また大きな畑などで使う場合には20㎏の「旭肥料のスイートコーン1号」などがあります。
その他 固形の化成肥料
肥料不足の追肥には、化成肥料もおすすめです。化成肥料は、不足している栄養素を補うために行うため、土によって与える肥料は異なりますが、家庭菜園などでは、元肥にはN-P-K=8-8-8など窒素とリン酸・カリウムが同量含まれている肥料などがよいでしょう。追肥にも使えます。追肥には、NK化成肥料など窒素とカリのみを含む肥料もおすすめです。
その他のトウモロコシのトラブル
病害虫
病気
トウモロコシは、病気には比較的強いですがモザイク病、倒伏細菌病、すす紋病などの病気にかかることがあります。モザイク病はアブラムシがウイルスを媒介するので害虫対策をしましょう。カビ菌が病気の原因となりますので、梅雨時期などが注意が必要です。水はけのよい環境で育てましょう。
害虫
トウモロコシの葉が食害を受けたり、色が変色している場合は害虫の可能性もあります。トウモロコシには、アワノメイガの幼虫、アブラムシ、イヨミトウ、アワヨウトウなどの害虫が発生しやすくなります。
これらの虫が発生した時は、粘着テープで除去する、また殺虫剤などの薬剤で駆除、防虫する方法があります。どちらにせよ、早く対応するに越したことはないので、発見した時はすぐに駆除し、防除を心掛けるようにしましょう。アワノメイガが特に注意が必要なので専用の殺虫剤もあります。
先端不稔・歯抜け
実の不良でよくあるのが、実の先端の粒がしぼんでいて肥大しないことがあります。これは先端不稔です。この原因はさまざまありますが、隣の株との距離が近すぎて干渉してしまったことも考えられます。株間は30㎝ほど開けて栽培しましょう。
また実の歯列がそろわない、歯が抜けたようになるのは受粉不良などでも起こります。また水分不足や日照不足でも実の不良が起こります。受粉以降から収穫までは水切れにも注意しましょう。
【補足】トウモロコシの肥料の時期と与え方
トウモロコシに施肥は基本的に3回。植え付け時に元肥を、追肥を雌穂が分化する直前に1回目の追肥を、雄穂の出始めに2回目の追肥をします。
元肥
植物の苗や苗木を植え付け(定植する)前に予め土壌へ施しておく肥料を「元肥(もとひ・もとごえ)」と言います。元肥は、初期生育を助ける働きがあり、肥料効果が長く続く緩効性や遅効性の肥料を施すのが一般的です。
異なる呼び方として「基肥(きひ)」「原肥(げんぴ)」などと呼ばれる場合もあります。
トウモロコシは、種まきから収穫まで約90日と成長期間が短いので元肥が大切です。畑や庭植えなどでは、堆肥を1㎡あたり2kg~3kgたっぷり入れ、さらに有機肥料や化成肥料を施します。鉢植えやコンテナでは、野菜用の培養土を使い、緩効性肥料を施します。
追肥1回目
1回目の追肥は、雌穂(しすい・めすほ)が分化する直前に、本葉が5~6葉(草丈50㎝程度)になったら追肥をします。窒素分とカリ分の多い化成肥料を、株元に追肥し倒伏防止のため土寄せをしておきます。
追肥2回目
2回目の追肥は、株の先端に雄穂(ゆうすい・おすほ)が見えたら、追肥を行います。1回目と同様に窒素分とカリ分の多い化成肥料を、株元に追肥し倒伏防止のため土寄せをしておきます。
土壌と肥料について
美味しいトウモロコシを収穫するためには土作りが重要です。土作りは、4週間くらい前、遅くとも植え付けの2週間前には行いましょう。トウモロコシは、比較的土壌を選ばない植物ですが、吸肥力が非常に強いため、堆肥や化成肥料を使って土壌を肥沃にする必要があります。また、土壌酸度があまりにも酸性側に傾いているときには、石灰質肥料(苦土石灰など)による土壌酸度のアルカリ性側への矯正も必要となってきます。