赤色や黄色の葉が放射線状に広がるコルジリネ(コルディリネ)は、個性的で観葉植物として人気があります。コルジリネは鉢植えだけでなく水耕栽培やハイドロカルチャーでも育てることができます。
ここではコルジリネの水耕栽培について、挿し木(水挿し)や植え替えから始める水耕栽培の手順や、ハイドロカルチャーへの植え替えや育て方についてわかりやすく説明します。
コルジリネの水耕栽培について
コルジリネの基本情報
栽培を始める前に、コルジリネのことを知っておきましょう。植物を育てるときに、植物のルーツや自生する環境などを知ると、植物がどんな環境を好むか知ることができ栽培しやすくなります。
ピレアは別名センネンボクともよばれる、常緑多年草です。ドラセナとよく似ているので混同されることもありますが、根が異なります。ドラセナ属は細い根しかありませんがコルジリネ属は多肉質の地下茎があります。
日光を好むので室内であってても明るい場所で育てる必要があります。高温多湿を好みます。寒さにはあまり強くないため冬は室内の暖かい場所で管理します。さし木や茎ふせで増やすことができます。さし木は水に挿すだけで発根するので、水耕栽培はここから始めるとよいでしょう。
学名 | Cordyline fruticosa |
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属名 | キジカクシ科(リュウゲツラン科)コルジリネ属 |
原産地 | 熱帯アジア、ニュージーランド、オーストラリア |
樹高 | 10㎝~3m |
生育適温 | 20℃~30℃ |
耐寒性等 | 耐寒性 弱い 耐暑性 強い |
花言葉 | 「幸せな交際」 |
品種
品種は多くありますが、よく出回っている園芸種をいくつか紹介します。
品種名 | レッドスター | アイチアカ | エレクトリック フラッシュ |
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概要 | |||
特徴 | 赤茶色の葉が特徴 寒さに強い品種なので管理がしやすい | 新葉が紅赤色で、成長するにしたがい、濃赤紫色になるのが特徴 愛知県で育苗された品種 | エレクトロニックは、鮮やかなストライプ模様の葉が特徴。 フラッシュは、オリーブグリーンとダークブラウンの葉色の品種です。 |
コルジリネの水耕栽培のポイント
水耕栽培とは、土を使わず培養液(肥料分を含んだ水)で、野菜や草木を栽培する方法です。土の変わりにハイドロボールやゼオライトなどの培土を使った栽培も水耕栽培の一種でハイドロカルチャーと呼ばれます。水耕栽培で育てる場合には、土から栄養をとれないため水耕栽培で使える液体肥料を使って育てる必要があります。
丈夫で育てやすいコルジリネは室内で育てる水耕栽培でも育ちます。ハイドロカルチャーなど土の代わりとなる培土を使って育てるのがおすすめです。ハイドロカルチャーでは、土より生育が遅くなるのでコンパクトに育てたい人にはおすすめです。またコルジリネは水栽培でふやすのは簡単ですので、水栽培(水挿し)で発根した後に土に植え替えることもできます。
コルジリネの水耕栽培を始めたい人は、挿し木から始めるか、ハイドロカルチャーですでに育てられている苗を買うのがよいでしょう。小さな苗であれば、土耕栽培から水耕栽培に移行することも可能です。
花束にもコルジリネはよく使われています。切り花のコルジリネからも節があれば水挿しで、発根させることができますよ。
コルジリネの水耕栽培の始め方
水耕栽培を始める時期
水栽培を始めるには植物の生育期がおすすめです。コルジリネの生育期は5月〜10月の春から秋です。この時期であればいつでも行えますが、できれば真夏を避けた、生育初期の5月~7月頃が最適です。冬は剪定された親株も成長が止まるため、ダメージがおおきいので避けましょう。
挿し木から始める場合(水挿し)
剪定した茎をつかった、挿し木の水栽培(水挿し)で発根させる方法について説明します。
さし木の準備
挿し木は、枝の部分を使ってさし芽にします。葉の部分、葉柄では新芽がでる生長点がないためさし木には使えないので注意しましょう。コルジリネは縦に伸びるので、背が高くなりすぎたら切り戻しをする必要があるため、切った枝をつかいましょう。切り花として売られているものも節があればさし木にできます。
挿し木は、葉が付いている天芽さし以外でも、葉の付いていない部分の茎ざしも可能です。天芽挿しする枝は葉を7~10枚残してカットします。葉は切り取らずに、蒸散を防ぐため紐などで束ねておきましょう。茎ざしは、茎を5cm~7㎝程度に切り分けて使います。上下をまちがわないようにしましょう。
水に浸ける部分の切り口はカッターやナイフなどで、斜めにスパッと切り落とします。反対側からも切り返しておきます。
準備するもの
- コルジリネの挿し木
- 透明な容器(茎が倒れない高さのもの。花瓶やペットボトルなどでも可)
- 水道水
- メネデール(発根促進剤なくても可・あると発根の成功率が上がります)
発根促進剤について
生命力の強いコルジリネは、生育期であれば水だけでも発根しますが、発根を早くしたり太く丈夫で元気な根を促進させるために、発根促進剤も有効です。植物活力素 メネデールは、発根だけでなく肥料でも農薬でもないので、発根時以外の水栽培で元気がなくなったときなどにも使えます。水替えのときに発根するまで入れると効果的です。水替えの都度でなくとも、1週間に一度でも入れてあげる、また希釈率を200倍にしても効果はあります。
手順
- 容器に水(水道水)を入れます。メネデールを使う場合は100倍に希釈した水を使います。
- 準備したコルジリネの挿し穂を入れます。
- 発芽するまで2~3日に1回に水は変えましょう。
- 明るい日陰で室内で管理しましょう。1か月程度で新しい根っこが生えてきます。
- 新芽がでて根が十分に発根したら、ハイドロカルチャーや土に植え替えて育てることもできます。
鉢植え(苗)から始める場合
コルジリネは、土で栽培されているポット苗がダイソーなどの100均でも見かけることがあります。小さな苗なら、そのまま水耕栽培に移行することもできます。
手順
- 鉢から苗を取り出します。
- 竹串などでつついて根鉢を崩し、古い土を落とします
- 根を水で洗い流して、土を良く落とします
- 傷んでいる根や長すぎる根は、カットします。
- 日陰で根を乾かしておくと、病気を防ぐことができます。
水耕栽培の手順
準備するもの
- 水挿しで発根したのコルジリネ挿し木 or 土を洗い流したコルジリネの苗
- 容器(透明なガラスのほうが根の成長も見え水量も調整しやすい)
- 根腐れ防止剤(ミリオンA・ゼオライトなど)
手順
- 器の底に根腐れ防止剤をいれます。鉢底が隠れる程度OK
- 苗を入れます。
- 器に水道水を入れます。この時の水位は根が全部浸からない程度。3分の2が水に浸かっているぐらいがよいでしょう。せめて3㎝程度は空気に当ててください
- 水替えは1週間に一度程度行います。根腐れ防止剤を使わない場合は2~3日に一度は替えます。
ハイドロカルチャーへ植え替え
土を使わないで植物を育てる栽培方法を水耕栽培と言いますが、水耕栽培の中でも土の代わりに用土(培土)として、ハイドロコーン、ハイドロボール(レカトン)という丸い発泡煉石を使用したり、セラミス、ゼオライト等を使用して栽培する方法をハイドロカルチャーと呼びます。水だけの栽培とは異なり、植物を固定することもでき、根域の水分量の維持をすることもでき、またインテリアとしてもハイドロカルチャーでの栽培は人気があります。
培土を使わず水だけで育てることも、ある程度の大きさまでであれば可能ですがコルジリネは、背丈が大きくなる品種もあるためハイドロカルチャーでの栽培がおすすめです。水耕栽培にこだわらないのであれば、土に植え替えたほうが大きく成長します。土耕栽培の苗からも直接ハイドロカルチャーに植え替えることもできますが、できれば水栽培で水耕栽培用の根を発根させてからのほうが、うまく移行できます。
準備するもの
- 水挿しで発根したコルジリネの挿し穂 or 水耕栽培で育てた苗
- ハイドロボールなどの人工石(ハイドロボールは事前に水洗いしておく)
- ミリオンA・ゼオライトなどの根腐れ防止剤
- 底に穴がない鉢(透明な容器であれば水位がわかりやすくなります)
- 土入れ(小さな容器に植え付けるときはスプーンなどで代用可)
- 割り箸等の棒状のもの
- この他、水やりをするじょうろなどがあると便利です。水やりの失敗が少ない水位計もおすすめ
手順
- 底穴のない鉢に、根腐れ防止剤としてゼオライトを底が見えなくなる程度入れる
- ハイドロボールをゼオライトの上にいれます。
- 苗をハイドロボールの上に置き、根を広げます。
- 根と容器の間にハイドロボールを入れて固定します。
- 最後にじょうろで水やりを。水の量は容器の5分の1程度与えます。水位計を使っている場合は、最適水位(OPT)まで入れましょう。
コルジリネの育て方
容器
水栽培は、透明な容器であれば根も観察できます。コップや空き瓶、花瓶などを使って育てるのがおすすめです。ただし、肥料を与えると藻が発生しやすいので注意しましょう。
ハイドロカルチャーでは、穴が開いていない容器なら水位計を使えばどんな器にも植え付けが可能です。内鉢にハイドロカルチャー専用の栽培ポットに植え付けしてから、お気に入りの外鉢に植え付けると水位計がセットする場所もあり、植え替え時も簡単です。水やりが心配な人は、自動給水鉢などもあります。
栽培環境
コルジリネは日光を好みますが、強い光に当てると葉焼けし、光が足りないと葉色が悪くなります。
基本は風通しの良い、明るい室内に置きましょう。窓辺などが適しています。夏の直射日光は葉焼けの原因や容器内の水の温度が上がりすぎる危険がありますので、明るい日陰で管理しましょう。
品種により耐寒性は異なりますが、生育適温は20℃~30℃と暖かい場所を好みます。5℃以上で冬越しは可能ですが、できるだけ暖かい場所で管理して冬越しをしましょう。冬は窓辺に置いておくと夜間に急激に寒くなりますので、窓辺から部屋の中央に移してあげましょう。
水やり・水の交換
植物は葉や茎そして根からも酸素を吸収しています。水栽培で育てている場合は土やハイドロカルチャーに比べて、酸素が吸収しにくくなります。水の温度が上がると酸素の溶け込む量がすくなくなるため、弱って枯れてしまう可能性もあります。特に夏場は注意が必要です。
理想的な水栽培の水位は、根の半分から3分の2が浸かる程度。少なくとも根元3㎝は空気に触れるようにします。水は週に1回程度、ただし気温が高くなると水が濁るので濁ったら水を交換します。容器に苔がつくことがあります。水替えの時に容器も洗ってあげましょう。
多湿を好むので、空中湿度を高めるために生育期は葉水を回数を多めに与えるとよいでしょう。冬は乾かし気味で育てると寒さに強くなります。室内で暖かい環境で育てられる場合は生育期と同様の管理を行います。
ハイドロカルチャーの水やり
植物は、生育期と休眠期で水やりの量を変える必要があります。ハイドロカルチャーでもそれは同じです。コルジリネは、春から秋は生育期で、冬は休眠期です。
ハイドロカルチャーは、水を鉢の中に溜めて育てます。ハイドロボールなどは外から乾いているように見えても、鉢の中側は湿っていることも多いので、水やりは水がなくなってから2日~3日ほど待ってから与えましょう。水位計を使っている場合も同様に、水位計の針がmin(水切れ)まで下がってから2~3日ほど待ってから水をopt(適正水位)まで入れます。
水の量は生育期は鉢の5分の1まで、冬の休眠期は鉢底1cm程度、ハイドロボールを湿らせる程度でもOKです。多湿を好むので、空中湿度を高めるために葉水は多めに。冬は暖かい時間に葉水を与えましょう。
もし水を入れすぎてしまったら、鉢の上からタオルなどで押さえて、鉢を傾けて水を出しましょう。水耕栽培は新鮮な水を与えることが大切です。水をいれすぎると、根腐れのほかにも、水が腐る可能性もあります。
肥料
ハイドロカルチャーで育てるときには土から栄養をとれないため正しく肥料を与える必要があります。肥料は、粒上肥料や液体肥料(液肥)などがありますが、水耕栽培では水耕栽培用の肥料を使いましょう。
春から秋の生育期は、水やりの代わりに1か月に1度程度、液体肥料を与えます。容器に書いてある希釈量で薄め、さらに2倍の量で薄めたものを与えます。(あくまで目安)。肥料の上げすぎは枯れる原因にもなりますので、必ず希釈量を守りましょう。
野菜などの水耕栽培にもよく使われるのは、ハイポネックス微粉やハイポニカ液体肥料などがあります。
肥料は藻が発生しやすくなるので、観葉植物の場合は葉面散布することで葉や茎から栄養を補給する葉面散布用の肥料もおすすめ。住友化学園芸の「 MY PLANTS すばやく元気を届けるミスト」などがあります。ハイドロカルチャーには、肥料ではないですが、根腐れを防止し栄養剤としての効果がある「イオン交換樹脂栄養剤」や、薄めず使える活力剤なども使えます。
ハイドロカルチャーの肥料についての記事がありますので、肥料について興味のある方はお読みください。
植え替え
ハイドロカルチャーは、育てていると周りにカビや藻などが生えてきます。また根が張って根詰まりを起こしているようなら、一回り大きな鉢に植え替えをしましょう。
ハイドロボールなどの資材は、洗って再利用することができます。再利用する場合はよく洗って日に当て乾かしてから使用します。
まとめ
コルジリネはドラセラとして間違えて販売されていることもあります。育て方に大きな違いはありませんが耐陰性の強いドラセラに比べると、光が必要なので注意しましょう。存在感のある葉はインテリアとしても人気があり、水耕栽培は部屋が土で汚れる心配もなく、室内で育てれば病害虫などのリスクも減らせます。
生育が良いので大鉢に育てるのであれば、土耕栽培がおすすめですが植え替えなどの手間を減らしたいのであれば、肥料を少なめにしてハイドロカルチャーで育てるのがおすすめです。
ハイドロカルチャー用の苗も販売されています。すでにハイドロボールに植え付けられているものや、水やりやすい鉢や水位計などがセットされているものもあります。苗から育てたいのであればこちらもおすすめです。
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