ニラは3月~10月まで収穫期が続くため、定期的に肥料を与える必要があります。ここではニラ栽培に適した肥料やおすすめ肥料、与え方の基本について地植え、プランター別にわかりやすく説明します。
ニラ栽培に適した肥料とは
ニラの施肥量は、10aあたり成分量で窒素48kg、リン酸20kg、カリウム35kg程度(参照:高知県施肥基準)が目安で、葉肥と呼ばれる窒素を多く必要とします。(施肥基準は、地域によって変わるため目安としてください)
ニラ栽培では、ニラ専用肥料など窒素が多い肥料が適しています。家庭菜園などでは窒素、リン酸、カリウムの三大要素がバランスの取れた肥料をつかってもよいでしょう。
収穫期間が長いため、土づくりも非常に重要です。元肥にはゆっくり効果がでて、土壌改良効果のある堆肥や有機肥料を施し、速効性の化成肥料やニラ専用肥料を使って追肥をして育てます。
ニラには一発肥料と呼ばれる肥料効果が長く効く肥料もあり、植えつけ時に元肥を施せば、その年は追肥のいらない肥料もあります。
ニラ栽培におすすめの肥料
ニラ栽培には元肥に有機肥料がおすすめです。堆肥を使って土づくりをする場合には、ニラ専用肥料や化成肥料もおすすめ。
プランターなどでは臭いが気になる場合には、有機配合肥料などを使い、追肥は水やりがわりに液体肥料を与えるのもよいでしょう。
ではおすすめの肥料について、特徴や製品などを説明します。
有機肥料(有機質肥料)
ニラは、何年も同じ場所で育てるため有機物はとても大切です。堆肥は牛糞など土壌効果の高いものを使いましょう。有機肥料は、鶏ふんや油かす、米ぬかなどが使えます。油かすだけではリン酸とカリ分が足りないので、リン酸は過りん酸石灰や骨粉、カリは草木灰、硫酸カリなどを併用するとよいでしょう。
有機肥料は完熟のものを使い、米ぬかなどは生のものは使わず、ぼかし肥料の原料として使うのがおすすめです。ぼかし肥料や有機100%肥料などは、肥料成分もわかりやすく初心者の人でも使いやすい肥料です。
化成肥料
固形化成肥料
化成肥料の代表といえば化成肥料8-8-8です。園芸本などで化成肥料と書いてあるものは、化成肥料8-8-8が基準になっているものが多いです。
化成肥料8-8-8は3大栄養素(窒素、リン酸、カリウム)が均等に入った肥料で家庭菜園では、ほとんどの野菜に使える肥料です。化成肥料は基本的に速効性の肥料が多く元肥や追肥にも使えます。園芸本などで化成肥料と書いてあるものは、化成肥料8-8-8が基準になっているものが多いです。
肥料の後ろの数値は、肥料分がどれぐらい肥料が入っているかを表しています。8・8・8は肥料100gの中に肥料分が各8gづつ入っています。初心者の人には肥料成分がそれほど高くないため、肥料の施しによる失敗が少ないのでおすすめです。
しかし化成肥料だけを使っていると、栽培年数が長くなると有機物が少なくなるため堆肥なども、早春に1度一緒に施すとよいでしょう。有機入りの化成肥料もおすすめです。
ニラ専用肥料
専用肥料とは、チッソ・リン酸・カリ分の肥料の三要素のバランスや微量要素、二次要素の含有量がニラに適したものとなっている肥料です。施肥量などもパッケージに書かれているため、初心者の人でも使いやすい肥料です。
野菜の肥料
この他、ホームセンターなどで簡単に手にはいる肥料メーカーが野菜用に作った、肥料でも育てることができます。
プランターの元肥としては、「マグアンプK中粒」は緩効性肥料としておすすめです。またその他ハイポネックスジャパンの「今日から野菜 野菜の肥料」や、住友化学園芸の「マイガーデンベジフル」は有機配合なので野菜の栽培に適しています。
液体肥料
プランター栽培や、肥料不足などには液体肥料(液肥)も使うことができます。液体肥料は、有機配合の「ハイポネックスの野菜の液肥」や「マイガーデン液肥」などがよいでしょう。
ニラ栽培の肥料の与え方
地植え
ニラは種からも育てられますが、植え付け時期(5月~6月)ごろになると苗がホームセンターなどでも販売されます。初心者の人は苗から始めると簡単です。
元肥
苗を植え付け(定植する)前に予め土壌へ施しておく肥料を「元肥(もとひ・もとごえ)」と言います。元肥は、初期生育を助ける働きがあり、肥料効果が長く続く緩効性や遅効性の肥料を施すのが一般的です。
元肥の方法は、全面施肥と溝施肥があります。ニラは畑全体にまんべんなく肥料を与える「全面施肥」が一般的です。有機肥料を使う場合は2週間前、化成肥料を使う場合は植え付けの1週間ほど前までに行います。
- 栽培するスペース(畝)を決め、土壌phの調整が必要な場合は苦土石灰をまいておきます。
- 1から一週間後に完熟堆肥(牛糞など)1㎡あたり2kgを畝全体にまきます。
- クワで堆肥を土にすきこむようによく混ぜます
- さらに緩効性肥料100g~150g程度をを畝全体に撒いて、クワでよく混ぜます。
- 畝幅70cm、高さ10㎝の平畝をたてます。
- 肥料を施してから7日~10日ほどたってから、苗を植え付けます。(株間10cm、条間30cm)
追肥
苗の植え付け後(定植後)、作物が生長していくときに、土壌の肥料切れが起こらないように追加で施す肥料を「追肥(ついひ・おいごえ)」と言います。
植え付けや種まきから1か月ほどたったら、追肥を開始しましょう。条間に化成肥料を1㎡あたり20g~30gほどばら撒いて、除草を兼ねて条間を軽く耕す中耕をして、土と肥料を混ぜ込み株元に土寄せします。植えつけから2か月程度で収穫できるようになります。収穫のたびに同様の追肥を行えば、10月頃まで収穫が楽しめます。地上部が枯れたら刈り取りをしましょう。(真夏と冬は肥料は与えません)
2年目以降は、早春に芽がではじめたら追肥を開始します。1㎡あたり20g~30g程度の化成肥料を条間に蒔いておきましょう。
タネから育てる(育苗)
ニラは、種まきから育苗して育ててることもできます。育苗にもいろいろ方法がありますが、ポット苗で植え付けまで育てる方法を説明します。3月中旬~4月中旬、9月中旬~10月上旬が適期です。
- 用土はタネまき用の培養土を使い、ポリポットに用土を入れます。
- 用土に7~10粒ほどタネをまき、覆土をして手で軽く押さえた後、水をたっぷり与えます。
- 種まきから3週間ほどたったら、1g程度の化成肥料か液体肥料を与えます。固形肥料であれば2週間に1度、液体肥料は、1週間に1度の追肥を続けます。
- 草丈7〜10cmになったら、1ポットにつき5本~7本に間引く。
- 草丈が15cm~20cmほどになったら植え付けます。
プランター栽培
プランター栽培の場合肥料は、元肥と追肥を行います。元肥とは植え付け時に施す肥料で、プランターなどでは、元肥入りの野菜の培養土などが便利です。肥料がはいっていない土や、自分で配合した場合は、緩効性肥料を土に混ぜて使います。
追肥は生育期の春から秋まで。月に1度ほど行います。タネをまいてから1か月ほどしたら追肥を開始します。化成肥料ひとつかみ(5g程度)、土の表面にまいて土と軽く混ぜて土寄せし、水やりをします。その後は月に1度同様に追肥して育てます。(真夏と冬はお休みします)
翌年も収穫を楽しみたいのであれば、9月頃で収穫は終わりにしお礼肥を与えた後は、翌年の春までは肥料は不要です。
ニラ栽培に重要な土づくりについて
おいしい野菜をつくるには、土づくりは大切です。ニラは酸性土と過湿を嫌い、有機質の多く含まれている土を好みます。栽培が長く続くニラには、植えつけ時以外でも、毎年早春に堆肥を施すとよいでしょう。
牛ふんなどの堆肥は、植え付け1か月前までには行いましょう。土壌酸度(pH)は、6.0〜6.5です。土の酸度が高いようなら、苦土石灰で調整します。土壌酸度は、市販の土壌酸度計や土壌酸度測定液をつかって図りましょう。家庭菜園をする人は一つもっているとよいでしょう。
堆肥には、動物の糞をつかった牛糞、馬糞、豚糞、鶏糞、植物性のバーク堆肥、腐葉土などがあります。土壌の改良には牛糞、馬糞、パーク堆肥、腐葉土などがよいでしょう。鶏糞は肥料分が多くふくまれていますが、土壌改良効果は少ないです。鶏糞は肥料としてつかうのがおすすめです。
未発酵のものはガスなどがでて作物に影響を及ぼすことがあるので、完熟堆肥を使うのが安心です。未発酵のものをつかうときは植え付けの1か月前ほどに施しておくとよいでしょう。
肥料の過不足
ニラは肥料が不足すると、成長がおそくなり葉が固くなるため追肥はこまめに与える必要があります。しかし肥料は上げれば上げるほどよく育つということでもありません。一度に多くの肥料を与えすぎると肥料焼けをおこしたり、病害の発生がおきやすくなったりします。肥料は適量を適期に与えるのが大切です。生育状態をよく見極めて、肥料を適量与えましょう。肥料によって肥料分が異なるので、パッケージはよく読んで使いましょう。
長い間栽培を続けていると、葉が細くなったり、収穫量が減るのは肥料不足だけでなく株が弱ってくるからです。そんな時は株分けして、植え直すとよいでしょう。また花を咲かせると株が疲れるので蕾の時に刈り取りましょう。
病害虫
ニラは病害虫の心配はあまりありませんが、害虫はアブラムシやアザミウマ、ハダニ、ヨウトウムシなどの害虫が発生することがあります。見つけたら早めに駆除しましょう。粘着テープや、アルミホイルなどを使って防除する方法もあります。アブラムシ対策については、下記のコンテンツも参考にしてください。
病気ではうどんこ病やさび病などが、高温時に発生しやすくなります。水はけのよい土を使い、株が混みあわないように、こまめに収穫することも予防につながります。
まとめ
ニラは、道端や土手、河川敷などで自生するほど生命力が強く、丈夫な野菜です。家庭菜園が初めての方でも育てやすい野菜で、収穫期間が長く何回も収穫できるので、手元で育てるプランター栽培も十分収穫が楽しめます。畑などでは何年も同じ場所で栽培するので、場所選びは慎重にしましょう。
この他にも、農家webには野菜の肥料の記事や栽培の記事がたくさんあります。
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