秋の味覚の代名詞でもある栗は、丈夫で成長が早い樹木で日本各地で自生しているのを見かけることができます。桃栗3年柿8年ということわざがあるように、植え付けしてから2年~3年で実がなり、鉢植えでも育てることができます。
この記事では、栗の木への肥料を中心に肥料の時期・やり方・おすすめの肥料や栽培のポイントなどをわかりやすく説明します。
栗の木について
肥料の話をするまえに、栗の木について知っておきましょう。植物の栽培をするうえで、その植物の特徴を知っておくことは大切です。自生地や生育期などを知ればその植物がどのような環境で育てると、枯れずに元気に育つのかわかってきます。
基礎知識
学名 | Castanea crenata |
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属名 | ブナ科クリ属 |
原産地 | 日本、朝鮮半島、中国 |
樹高・草丈 | 2m以上 |
耐寒性等 | 耐寒性:強い 耐暑性:強い |
収穫期 | 9月~11月 |
栗の木は、ブナ科の落葉高木です。ほっておくとかなり大きくなりますが、剪定である程度の大きさに育てることもできます。自家不結実性のため、実を目的とするのであれば異なる品種を一緒に育てる必要があります。風媒( 植物の花粉を風が運ぶ)で受粉するので、人工授粉の必要がなくある程度であれば、1本でも実をつける可能性はあります。
品種
栗には、ニホングリ(和栗)やヨーロッパグリ、アメリカグリ、チュウゴクグリなどがありますが、日本で流通しているのは和栗の品種で、日本で育てるに適しています。
和栗の中にも多くの品種があり、収穫時期(早生・中生・晩生)や味もさまざまあります。最近人気があるのは、中生種の「ぽろたん」です。レンジで簡単に渋皮がむけて味もよく、農家では受粉樹としてもつかわれています。
その他甘みの強い「利平」や「筑波」などの人気があります。味の好みによって選ぶとよいでしょう。2種類で育てる場合は早生種と晩生種にすると開花の時期が合わないことがありますので、避けたほうがよいでしょう。
肥料の時期と与え方
肥料を与える時期
それでは栗の木の肥料の時期や肥料の種類について説明していきます。庭植え、鉢植えともに年3回、2月下旬から3月上旬に元肥として有機(有機物)肥料もしくは緩効性肥料を施し、雄花が終わった後と収穫が終わったのお礼肥として速効性の肥料を与えます。
肥料の種類や与え方
庭植え(地植え)
庭植えは、2月下旬から3月に与える肥料は、有機肥料や有機入りの化成肥料の緩効性肥料がおすすめです。3月の下旬から生育する新芽に必要な肥料です。葉や根を育てるチッソやカリ分の多いものを使いとよいでしょう。
追肥は、雄花が終わった後の6月~7月と、収穫後のお礼肥として速効性の肥料を与えます。果実や花のためにはリン酸が必要ですが、栗の根には菌根菌が共生しているために難溶性のリン酸を吸収することができるため、リンサンの多い肥料を選ぶ必要はありません。また追肥は多く与えすぎないようにし、規定量より少なめに施すとよいでしょう。
与え方は、株元を避け株の周りをドーナツ状に施します。元肥は、土を軽く耕し混ぜ込むとよいでしょう。
鉢植え
鉢植えの場合は3月に、緩効性肥料や、固形の有機肥料を置き肥し、花が終わった6月~7月と、収穫後に速効性の化成肥料を置き肥しましょう。
有機肥料は、臭いや虫が発生する恐れがあります。ベランダなどで育てている場合は有機肥料を使いたい場合は、有機入りの化成肥料などが便利です。
肥料をあげすぎて肥料焼け?
肥料は、多ければ多いほどよいというわけではありません。土中肥料の濃度が高くなりすぎると、根が吸水できなくなり、植物に障害が発生したり枯れてしまったりすることがあります。これが「肥料焼け」です。成長が楽しみで、ついつい肥料を多くあげたくなってしまうかもしれませんが、一般に肥料をあげすぎると、かえって植物が弱ることがあり、樹や枝葉に障害が生じることもあります。肥料は過多にならないよう注意しなくてはいけません。また、苗(苗木)は成木に比べ弱いので、特に苗(苗木)の段階では施肥量を減らす工夫が必要です。
おすすめの栗の肥料
栗の木を育てるのにおすすめの肥料をご紹介します。
栗の木におすすめの有機肥料
栗におすすめの有機肥料としては、油かす、鶏ふん、牛ふん、などがあります。油かすは窒素成分を多く含んでいるので施用する際には施用量に気をつけましょう。また、鶏ふんはリン酸などの豊富に含まれていますが、窒素成分が不足する可能性もあるので、その場合には緩効性化成肥料と併用してみましょう。
油かす(油粕)
油かす(油粕)肥料は、ナタネやダイズから油を搾る工程の残りかすを原料として使用する、植物に由来する有機(有機物)肥料です。窒素(チッソ)を主な成分として含有しており、リン酸やカリウムも多少含んでいます。庭植えの元肥によく使われます
鶏糞
鶏糞は、ニワトリの糞を乾燥させた有機(有機物)肥料です。窒素(チッソ)、リン酸、カリの各成分が豊富に含まれています。鶏糞は他の有機肥料に比べ速効性が高いため、お礼肥としても使われます。
牛ふん
牛の糞を原料に生産した有機(有機物)肥料です。牛ふんは、カリの成分が多く含まれており土壌改良にも効果があります。土壌改良には腐葉土やパーク堆肥などと合わせて使いましょう。元肥として使われることが多いです。
栗の木におすすめの化成肥料
マイガーデンベジフル
マイガーデンは、住友化学園芸の登録商標で、粒状の様々な草花・庭木・果樹の元肥や追肥に使うことができる肥料です。栄養分を効率よく吸収させるすぐれた腐植酸入り緩効性肥料として特許を取得していることや、土に活力を与える作用がある腐植酸をブレンドしていることや、肥料成分は樹脂コーディングされていて、土壌の温度変化や植物の生育にあわせて溶出する量が調節され、効き目が持続するのが本製品の特長です(リリースコントロールテクノロジー)。
「マイガーデンベジフル」には有機成分が配合されているので、元肥や追肥として使うことが可能です。また、「マイガーデン液体肥料」は速効性の液体肥料なので、樹勢が弱り始めたときに薄めの濃度で与えてあげると良いでしょう。使用方法は各商品のラベルの指示に従ってください。
ハイポネックス(Hyponex)
ハイポネックスジャパンの肥料であれば「錠剤肥料 観葉植物用」が鉢植えなどに使えます。追肥に利用する錠剤タイプで、置くだけでOKという簡便な肥料です。窒素:リン酸:カリ=10:8:8で配合されているほか、マグネシウム、マンガン、ホウ素、カルシウムも加えられています。
また、ハイポネックスには「ハイポネックス原液」などの液体肥料シリーズもあり、樹勢が弱っているときに与えると良いでしょう。ハイポネックスには他にも固形肥料などたくさんのシリーズが販売されているので適している肥料を選択して、使ってみましょう。
地植えにおすすめ!打ち込み型肥料グリーンパイル
ちょっと変わった肥料に打ち込み型のグリーンパイルがあります。グリーンパイルは樹木に理想的なバランスで必要な栄養:N(窒素)-P(リン酸)-K(カリウム)を配合した樹木(植木・庭木)専用の打ち込み型肥料です。棒状なので打ち込むだけで施肥が簡単にできます。地植えの樹木におすすめの肥料です。
花ごころ IBのチカラ グリーンそだちEX
花ごころの「IBのチカラ グリーンそだちEX」は、N-P-K=10-10-10であり、バランス良く配合されています。花ごごろは、バラや花に効く肥料を中心に様々な商品を販売しています。
「IB肥料」(イソブチルアルデヒド縮合尿素(IBDU)を配合した肥料)なので、水にゆっくりと溶け出していく粒状の緩効性肥料です。
その他 栗の栽培で気をつけること
栽培環境・水やり
日当たりの良い場所を好みます。なるべく庭植えの場合は日に当たる場所に植え付けしてください。鉢植えもベランダなど日の当たる場所で管理します
水やりは、庭植えは特に不要です。夏に乾燥が続くときに与えてください。鉢植えの場合は表土が完全に乾いてから、鉢底から水が出るまでたっぷり与えます。
植え付け・植え替え
金柑は苗を購入して育てるのが一般的です。また金柑を鉢植えで育てる場合には2年に1度、植え替える必要があります。
植えつけ
水はけのよい土であれば育てることができます。地植えの場合、植え替えることが難しいので、日当たりの良好な場所を選んで植え付けるようにしましょう。
植え付けする苗の大きさにもよりますが、約50㎝~90程度の深さの穴を掘り、土:腐葉土:赤玉土を5:3:2位の割合で混ぜ合わせ半分ほど土を戻します。そのあと、苗を植えて残りの混ぜ合わせた土を戻します。植え付けは落葉後の11月〜12月頃がよいでしょう。植え付けのときには根を触らないようにしましょう。
元肥として施用する場合には有機肥料(有機質肥料)がおすすめです。
植え替え
庭土を用土として利用することができます。市販の用土を利用する場合は、赤玉土小粒7~8、腐葉土3~2の割合で配合するようにしましょう。植木鉢は、できればプラスチックのプランターではなく、素焼きやテラコッタのものを選びましょう。素焼きやテラコッタの植木鉢は、通気性、吸水性、排水性に優れています。
植木鉢を使う場合は、鉢底に鉢底石を敷き、そこに用土(培土)を半分程度入れて苗を植え付けます。植え付けた苗の周りにも用土(培土)を入れて苗を安定させ、水をたっぷりと与えると根がしっかりと張ってきます。植え付け、植え替えは11月〜2月頃がよいでしょう。植え付けや植え替えのときには根を触らないようにしましょう。
剪定
栗の木は、せん定しなくとも実はなりますが生長が早く、剪定をしないと樹高が大きくなりすぎてしまいます。適期は落葉した後の1月~2月です。若木のころは整枝をしましょう。日が当たらないと花芽が付きにくくなります、混みあった枝は間引きします。ある程度大きくなったら、それ以上大きくさせないときには主枝(主幹)のトップ切ります。
病害虫
栗の木はアブラムシ、カイガラムシ、ハダニ、コスカシバ、カミキリムシが発生して寄生しやすいです。クリミガ、シギゾウムシは実の中に入り食害をおこします。野外であればある程、発生し易いといえます。これらの虫が発生した時は、粘着テープで除去する、また殺虫剤などの薬剤で駆除、防虫する方法があります。どちらにせよ、早く対応するに越したことはないので、発見した時はすぐに駆除し、防除を心掛けるようにしましょう。
多く発生している場合は、殺虫殺菌スプレーの「ベニカ」シリーズで害虫退治するのがおすすめです。(ホームセンターのガーデニング・園芸、ガーデニンググッズコーナーによく置かれています)
また病気としては胴枯病、炭素病などに病気にかかりやすいです。予防には殺菌剤も有効です。
栗の木の肥料を購入
ホームセンターなど店舗で購入する
上記で紹介した肥料は、コメリなどのホームセンターでも販売されています。また、ダイソーなどの100円均一でも有機肥料は販売されていることがありますが、発酵されていないものも多いので注意してください。
通販で購入する
店舗で実物をみて購入することも良いことですが、「その店舗での取り扱いがない」ことや「そもそもその商品がホームセンターなどの小売店で販売されていない」ことも多いです。肥料や土は重いのでAmazonや楽天市場など様々なECサイトで農業・園芸用品が取り扱われています。店舗よりも安く購入できる場合も多いですので、一度のぞいてみましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。ここまで栗の木の肥料について、おすすめの肥料や与え方について説明してきました。収穫は落果したしたものを拾って収穫します。秋の味覚の栗を自宅で栽培できたらと思うと、楽しくなりますね。
栗の木は日本が原産の木であれば、日本各地で庭植えでき丈夫でよく成長することから、庭のシンボルツリーにもなります。ぜひ栗の木を育てて、おいしい栗を味わってみてください。