ミニトマトなど果菜類の栽培で重要になってくるのは畑の土作りです。ミニトマトを丈夫に育てたくさんの果実を収穫できるようにしっかりと土作りをしましょう。また、土作りが終わったら畝立て、支柱立てをして、苗を植え付ける準備をしましょう。
この記事では、ミニトマト栽培における土作り(耕うん、元肥)と畝立て、マルチ張り、支柱立てについて、詳しく解説します。
まずは栽培区画を決める!
土作りなどを始める前に、まずは今回の栽培で使用する区画を決めましょう。畝立てまでわかりやすいように園芸支柱などで四方を決め、麻ひもで区画割りをすると良いでしょう。

ミニトマト栽培のための土作り・畝立て・マルチ張り・支柱立ての流れ
- 植え付けの2〜3週間前
植え付け(定植)予定の2〜3週間以上前に苦土石灰をまいて、深く耕しましょう。
- 植え付けの1週間前
- 元肥散布後
土作りのポイント
植え付けの2〜3週間前に苦土石灰を散布する
苦土石灰は主に土壌の酸性度(pH値)を調整するために散布します。通常の土の場合は酸性(pH7未満)になっていることが多いため、アルカリ性の苦土石灰を散布して中和して上げる必要があります。ミニトマト栽培の適正土壌pHは6.0〜6.5と言われています。
本来であれば、土壌酸度計などを使用してその土の状態を分析することが必要ですが、難しい場合には下の施用量を目安に散布してください。散布後は必ず深く耕しましょう。
- 苦土石灰:約150g

植え付けの1週間前に堆肥・元肥を散布する
堆肥・元肥は植え付けの1週間前には散布しましょう。本来であれば土壌分析を行い、その土の肥沃度などを分析したうえで施用量を決定しますが、難しい場合には下の目安に従って堆肥・元肥を散布しましょう。散布後は深く耕しましょう。
散布する以外にも、畝立てを予定している場所の中央に深さ20cm溝を掘り、そこに散布をして埋め直すという方法も有効です。この場合、散布後に耕す必要はありませんが、施用量は上の目安の半分程度で十分です。また、畝立てのあとに1平方メートルあたり約70gの化成肥料を散布します。
- 堆肥:約1kg
- 化成肥料(N-P-K=8-8-8):約80g
- リン酸肥料:約15g(油かすを使う場合にはリン酸の他に窒素成分が入っているので、化成肥料の量を調整する必要があります)
施用量を守って散布する
堆肥、元肥を散布するときには必ず量りなどで施用量を確認しましょう。誤った量を施肥、使用した場合、その後の生育に大きな影響を与えてしまいます。
畝立て・マルチ張り・支柱立ての例
土作りが終わったら、いよいよ畝立て、マルチ張り、支柱立ての作業となります。畝とは畑で作物を作るために細長く直線状に土を盛り上げることを言います。畝を立てる目的は排水性の向上(水はけをよくする)のためです。
畝立て


ミニトマト栽培における畝の作り方を説明します。トマト・ミニトマトは、水はけのよい土壌環境を好みますので、畝幅は1m〜1.2m(100cm〜120cm)程度、高さは20cm〜30cmの高畝が良いです。人力で畝を立てるときはスコップ、鍬、レーキがあると便利です。


畝幅 | 畝間 | 畝高 | 条間(列間) | 株間 |
---|---|---|---|---|
100cm〜120cm | 100cm | 20cm〜30cm | 70cm | 50cm |
スコップ、もしくは鍬で畝となる場所の四方を掘り、中央に土を寄せていきます。中央に寄せて盛り上がった土をレーキで平らに均すと綺麗な畝ができます。管理機をお持ちの方は畝立て用のアタッチメントを使うと人力の1/10の時間と労力で簡単に畝立てができます。
マルチ張り


畝を立て終わったら、マルチシート(マルチ)を張ります。マルチには黒、白、シルバーなどいろいろな種類がありますが、トマト栽培においては基本的ににどれでも構いません。それぞれの特性に合わせて選択すると良いでしょう。
農業用・園芸用のマルチシートには、さまざまな材質、色があり、特性もそれぞれ異なります。黒色のマルチシートが一般的ではありますが、土壌や植物の育つ環境をさらに良くしたいと考える方は、下記の一覧を参考にマルチシートを選んでみてください。
種類 | 透明マルチ | グリーンマルチ | 黒色マルチ | シルバーマルチ | 銀黒マルチ | 白黒マルチ |
---|---|---|---|---|---|---|
概要 | 透明なマルチ。光をよく通し、地温上昇効果が最も高い。夏場だと地温が上がりすぎるため、他の資材(ワラなど)との併用が必要。 | 緑色のマルチ。光線を透過しつつ、光合成に必要な波長の光を吸収するため、雑草抑制効果もある。 | 黒色のマルチ。光線を透過しないため、雑草の抑制ができる。フィルム自体に熱を蓄えるため、地温上昇効果がある。フィルム自体が熱くなるので注意が必要。 | 銀色のマルチ。光線を反射することで、害虫忌避の効果がある。地温の上昇も抑えつつ、保温もできるため地温を安定させやすい。また、反射光により、果実の着色もよくなる。 | 表面が銀色、裏面が黒色のマルチ。害虫忌避効果を高めつつ、地温の抑制、保温も可能。 | 表面が白色、裏面が黒色のマルチ。地温を抑制する効果が高い。また、光線を透過しないため、雑草の抑制にも効果がある。 |
光線透過 | ◎ | ○ | × | × | × | × |
地温上昇 | ◎ | ○ | △ | △ | △ | △ |
地温抑制 | × | × | △ | ○ | ○ | ◎ |
雑草抑制 | △ | ○ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
害虫忌避(虫除け) | × | × | × | ◎ | ◎ | ○ |
果実の着色 | × | × | × | ◎ | ◎ | ○ |
商品 |
マルチを張り終わったら、苗を植えつけする予定の場所に印をつけると良いでしょう。ミニトマト栽培は一例として1畝に2列(2条)で列間(条間)70cm、株間50cmで植え付けしますので、レイアウトを考えながら印を付けておくと後々の作業で便利です。
余計な雑草の繁殖を防止するために、苗を植え付ける直前まではマルチに穴を空けないほうが良いです。
支柱立て
マルチを張り終わったら、合掌式または直立に支柱を立てましょう。しっかりとした畝幅を取ることができて、スペースを広く使える場合にはより強固にミニトマトを支えることができる合掌式をおすすめします。




支柱立ては、植え付けのあとにやるのでもOKです。支柱を立てるときに苗を傷つけたくないなど、心配であれば植え付けの前に済ませておくと良いでしょう。
ミニトマトを植え付ける予定の場所のすぐ隣に、地面に対して斜めに園芸支柱などを立てます。山なり(合掌式)に園芸支柱を立てたら、その山の頂上に筋交いをするための園芸支柱を置きます。高さなどを調整したら、園芸用テープやロープ、麻ひもなどで縛って固定しましょう。
園芸支柱の長さ、高さは作業ができる範囲の120cm〜150cm程度で大丈夫です。
また、支柱、誘引が不要な品種もあるので、その場合には支柱立ては必要ありません。
下の記事にミニトマト栽培の支柱の立て方について、詳しく解説していますので合わせてご覧ください。支柱立て、誘引が不要な品種も紹介しています。
土作り、畝立て、マルチ張り、支柱立てが終わったら?
土作り、畝立て、マルチ張り、支柱立てが終わったら、いよいよ植え付け(定植)となります。しっかりと植え付け(定植)の方法を確認しておきましょう。