チャノキイロアザミウマの特徴
チャノキイロアザミウマは体色は黄色,体長0.8mm程度で非常に小さいのが特徴です。写真のように、翅のスジがあります。ぶどうや柑橘類といった果物を中心に、様々な作物で発生します。
成虫と幼虫により,落弁後の幼果期から9月ころまでの長期にわたり果実が加害されます。結果、果実の外観が損傷し商品価値が低下することから,柑橘類では、最重要害虫の一つです。6〜7月に、ヘタと果実の隙間に入って果皮を食害します。果実が肥大するに伴って、食害痕が拡大、灰色〜灰褐色のリング状の傷が発生するのが典型的な被害果です。このリング状の傷は、加害時期が早いほど大きくなります。7月以降は果頂部も加害されるようになり,8月ころまでの果実肥大期は、灰色〜灰褐色の不定形や放射状の傷となります。
また、近年は温暖化の影響で,気象条件が揃うと,10月ごろまで加害される品種も出ています。
皮がつるっとしたネーブルなどは、非常にチャノキイロアザミウマの被害が出やすいです。逆に皮がぼこぼこの不知火のような品種には被害が発生しにくいのが特徴です。
チャノキイロアザミウマ 防除のポイント
チャノキイロアザミウマは、加害してから、被害が確認できるまで、数週間かかること、また被害の傷がチャノホコリダニに似ていることから特定するのはなかなか困難な害虫です。
正確に特定するためには、果実や新葉を直接観察するか,葉に寄生している虫を虫見板に叩き落として、観察するようにしましょう。ルーペや実体顕微鏡で200倍程度で観察して,チャノキイロアザミウマ特有の翅のスジを確認することで特定することができます。
チャノキイロアザミウマに効く農薬
以下はチャノキイロアザミウマに効く、おすすめの農薬一覧です。
※農薬を使用する際にはラベルをよく読み、用法・用量を守ってお使いください。
上記の農薬は水で溶かして薄めて使用する液剤(薬液)や水溶性の粉剤、粒状、粒タイプです。希釈方法等については下記をご参考ください。
展着剤を利用してみよう
農薬を散布する際、展着剤を活用できると、効果が大きく違ってきます。展着剤は、一般展着剤、アジュバント(機能性展着剤)、固着剤と、本当に様々な種類があります。是非、下記を参考にして、展着剤を活用してみましょう。
抵抗性チャノキイロアザミウマの対処法
抵抗性チャノキイロアザミウマとは、農薬の種類、活用が増えることで、たまたま耐性があって生き残った特定の農薬が効かない性質のアザミウマが、世代を重ねて集団化したものです。
アザミウマは繁殖力が高く、また発育スピードが速く、短期間で世代を繰り返すため、ほかの害虫より抵抗性の発達スピードが速い害虫です。
殺虫剤を散布しても、翌日集団でアザミウマが生息している場合は、抵抗性を疑ってよいでしょう。
このような場合は、お使いの農薬のRACコードを確認して、同タイプの連用は避けタイプの異なる殺虫剤のローテーション散布を心がけること、さらには生物的、物理的、耕種的防除法を取り入れたIPM防除体系を組んで、統合的に実践することが重要です。
また、新規殺虫剤として、アザミウマに特効性があるとして注目されている「ファインセーブフロアブル」という農薬があります。こちらは、有機リン系やネオニコチノイド系などの系統とは別で、抵抗性アザミウマにも効果が確認されているので、取り入れてみるのもいいと思います。
生物農薬
生物農薬とは、「農薬の目的に使われる生物を使い、病害を防除する農薬」のことを言います。
その生物とは主に、昆虫、線虫、微生物で、害虫(例えばアブラムシやアザミウマ、コナジラミ、ハダニなど)を捕食する、天敵に当たる昆虫や、昆虫に寄生するもの、センチュウ、また病原菌にあたる生物になります。
天敵導入による防除は、名前でこそ「生物農薬」と呼ばれますが、化学農薬ではなく、有機JASでも勿論使用可能です。
アザミウマ対策に使えるおすすめの生物農薬は、以下のようなものがあります。
生物農薬は、在来種以外の天敵昆虫を使用することが多く、本来の生態系に影響を与える恐れがある為、閉鎖系の圃場以外では使用、散布し難いものがあるなどの注意点もあります。
その他、生物農薬については下記に詳しく、具体的な製品も紹介していますので、ご参考ください。
無農薬でアザミウマを駆除する方法
アザミウマは、アブラムシと同様、キラキラ光るものが苦手だったり、逆に黄色いものが好きだったりといった習性があります。この習性を利用することで、アザミウマを忌避、誘引し、防除することができます。
また、最近では赤い防虫ネットでハウスを覆うことで、アザミウマの発生を防いだり、ハウス内の雑草をしっかり除草することで、発生を減らすことができます。
無農薬でアザミウマを駆除する、物理的防除、耕種的防除について詳しく知りたい方は、下記を参考にしてみてください。
ここでは、農薬を使わない防除方法で代表的なものを下記に記載します。
黄色、緑色を利用して、粘着テープやバケツで捕まえる
チャノキイロアザミウマは黄色、緑色を好むと言われており、その色に誘引される性質があります。これを利用して、色の粘着、捕虫テープを設置するのも有効です。
また、甘いものに集まる習性もあることから、黄色や緑色のバケツに水を張り、ハチミツやヨーグルトを混ぜておくとバケツの中に集まってきます。釣られたアザミウマがバケツに飛び込み、溺死するという仕組みです。
光反射シート
アザミウマは太陽光と反射光を区別できないため、上空のアザミウマは反射シートに墜落し、飛び立つことができなくなります。この原理を利用して、光反射シートマルチ(タイベック等)を圃場に設置し、アザミウマを防除しているみかん農家の方もいらっしゃいます。