漢字で「鑢」、英語で「files」と書いて何を表しているか分かりますか?正解は「ヤスリ」です。ヤスリは、木工やDIYなどでもよく使う道具ですが、チェンソーのメンテナンスにも欠かせない道具です。
この記事では、チェンソーヤスリについて解説します。
チェンソーヤスリとは
チェンソーヤスリは、目立てをする際に使います。目立てとは、ソーチェーンを研磨あるいは研ぐ作業のことで、刃の切れ味を維持するために行います。
この目立ては、チェンソー本体の動力に関わらず必要な作業です。したがって、エンジンチェンソーのユーザーであっても、電動チェンソーのユーザーであっても、等しく行わなくてはいけません。なお、鋸(ノコギリ)を研磨あるいは研ぐ作業のことも目立てといいます。
チェンソーヤスリは金属製の金物ですが、樹脂や木製のハンドルもしくはグリップとよばれる柄を取り付けて使うことがあります。自身にとって手馴染みのよいハンドルやグリップを利用することで作業しやすくなります。
チェンソーヤスリは、その他のチェンソー用品や部品と同じく消耗品です。そのため、数本入のセットで販売されていることが多いです。1ケース12本入で、1ダースとなっている商品もありますが、プロや名人以外は小口のものから始めてみるのがおすすめです。中には、クランプやゲージなどがセットになった専用キット(チェンソーヤスリセット)も販売されています。
チェンソーヤスリのタイプ
目立てに使うチェンソーヤスリのタイプは、「丸ヤスリ」と「平ヤスリ」の2つが主です。それぞれ用途が異なるので、どちらか一方を使うということではなく基本的には両方を使います(両方をカバーする六角ヤスリやチゼルヤスリというものもあります)。
丸ヤスリ
丸ヤスリは、断面が丸い棒のような形状をしています。その丸みを利用して、磨耗した刃先に再び角度をつけるように研ぐ仕組みです。ソーチェーンの種類ごとにカッター部の大きさや角度も異なるため、必要なヤスリサイズ(丸ヤスリ径)も異なります。ホルダー(ヤスリホルダー)を利用すると、上手に研ぐことができます。
平ヤスリ
平ヤスリは、平板のような形状をしています。ソーチェーンのカッター部を構成するデプスゲージは、カンナでいう木の台に相当します。デプスゲージとカッター上刃(トッププレート)との高さの差、つまり深さがデプスです。このデプスを調整するために、平ヤスリは使われます。刃物を扱っているという意識を忘れずに、手袋を着用して作業に臨みましょう。
ソーチェーンごとのヤスリサイズ一覧
代表的なソーチェーンのメーカーとして、「オレゴン」、「ハスクバーナ」、「スチール」などがあります。ソーチェーンの種類や品番は、メーカーによって異なります。ソーチェーンの種類や品番ごとに適合する丸ヤスリのサイズがありますので、一覧にして紹介します。
オレゴン(OREGON)
オレゴン(OREGON)は、アメリカ合衆国オレゴン州に本社を置くオレゴンツール(Oregon Tool. Inc.)が展開する製品ブランドです。世界100か国以上で製品が販売されており、日本ではオレゴンツールジャパン株式会社が販売を統括しています。
製品として、林業、造園業、農業、土木建設業などで使用される屋外作業機器が展開されています。具体的には、チェンソー、ハーベスター、ハーベスターバー、ハーベスターチェーン、グラインダー、チップソー、刈払機、草刈機、芝刈機、ブロワー、ヘッジトリマーおよびそれらの部品やアクセサリーなどがあります。丸ヤスリや砥石などのメンテナンス工具も充実しています。とりわけチェンソー用品は有名で、ソーチェーン(替刃)、ガイドバー、スプロケットは、ほとんどの主要なチェンソーメーカーに適用できます。
ソーチェーンの種類に応じて、以下のようにヤスリサイズ(丸ヤスリ径)が定められています。
ソーチェーンの種類 | ヤスリサイズ(丸ヤスリ径) |
---|---|
25AP/F 91PX/VXL/F/R/VG/VX | 4.0mm |
90PX/SG | 4.5mm |
20BPX/LPX/BP 21BPX/LPX/BP 22BPX/LPX/BP 95VPX/TXL/VP | 4.8mm |
72D/DP/LGX/LPX 73D/DP/LGX/LPX 75D/DPX/LGX/LPX | 5.5mm |
ハスクバーナ(Husqvarna)
ハスクバーナ(Husqvarna)は、農林業機械や建設機械といった野外作業機の開発販売を行う世界的なメーカーです。同時に、「Husqvarna」のロゴマークでおなじみの製品ブランドでもあります。
日本においては、ハスクバーナ・ジャパン株式会社が事業展開を担ってきましたが、2007年に小松ゼノア株式会社と合併したことで「ハスクバーナ・ゼノア株式会社」が誕生、引き続きその役割を担っています。ハスクバーナ・ゼノアでは、それぞれの特長を活かし、ハスクバーナ(Husqvarna)とゼノア(ZENOAH)の2つのブランドを主として扱っています。特に、林業や造園業の分野において、チェンソー、ポールソー、ヘッジトリマ、ブロア、草刈機、刈払機、手押し式芝刈機、ロボット芝刈機、ガーデントラクター、ホビーエンジン、粉砕ポンプなどが信頼と実績のある製品として広く知られています。
ソーチェーンの種類に応じて、以下のようにヤスリサイズ(丸ヤスリ径)が定められています。
ソーチェーンの種類 | ヤスリサイズ(丸ヤスリ径) |
---|---|
3/8″ H35 1/4″ H00 | 4.0mm |
3/8″ H38 | 4.5mm |
.325″ H25 | 4.8mm |
3/8″ H42 .404″ H64 | 5.5mm |
スチール(STIHL)
スチール(STIHL)は、販売台数世界No.1のチェンソーブランドでありメーカーです。林業、農業、造園業、建設業向けの機械を開発販売しています。チェンソーのほかにも、コンクリートカッター、カットオフソー、クリアリングソー、チップソー、刈払機、草刈機、ヘッジトリマー、ブロワー、スイーパー、高圧洗浄機、コンビツール、ハンドツール、携行缶、防護用品なども手掛けています。
以下の項目(デプスゲージのコード番号、デプスゲージの別の刻印、チェンピッチ)を確認して、対応するヤスリサイズ(丸ヤスリ径)を特定します。
デプスゲージのコード番号 | デプスゲージの別の刻印 | チェンピッチ | ヤスリサイズ(丸ヤスリ径) |
---|---|---|---|
1 | 1/4 | 1/4″ | 4.0mm |
2 | 325 | .325″ | 4.8mm |
3 | 3/8 | 3/8″ | 5.2mm |
4 | 404 | .404″ | 5.5mm |
6 | P、PM | 3/8″ ピコ | 4.0mm |
7 | - | 1/4″ ピコ | 3.2mm |
代表的なチェンソーヤスリのブランド
ソーチェーンメーカー以外にも、チェンソーヤスリを取り扱うブランドはあります。ここでは、代表的なチェンソーヤスリのブランドを紹介します。
フェアード(PFERD)
フェアード(PFERD)は、ドイツ企業ルゲベルクが展開する工具ブランドです。切削や研磨の分野で200年の歴史を誇るトップブランドです。ヤスリのほか、軸付砥石、研磨布紙、ディスク、グラインダーといった製品が有名です。
バローべ(vallorbe)
バローべ(vallorbe)は、スイスを拠点とする世界トップクラスのヤスリメーカーです。チェンソーヤスリはもちろん、製材用ヤスリ、組ヤスリ、精密ヤスリ、鉄工ヤスリ、など幅広く製造しています。全て最高品質で製造されています。
ツボサン(TSUBOSAN)
ツボサン(TSUBOSAN)は、日本一のヤスリ生産地である広島県呉市の有名ヤスリメーカーです。チェンソーヤスリだけでなく、精密ヤスリ、鉄工ヤスリ、ダイヤモンドヤスリなど幅広いヤスリを取り揃えています。ダイヤモンドヤスリとは、ダイヤモンドが結合されたヤスリで、切削あるいは研削能力が高められています。
その他
その他のブランドとして、次のようなものもあります。
- 龍宝丸
- スターエム
- アイウッド
- サムライレジェンド
まとめ
チェンソーヤスリは、目立てをする際に使います。目立てとは、ソーチェーンを研磨あるいは研ぐ作業のことで、刃の切れ味を維持するために行います。
この目立ては、チェンソー本体の動力に関わらず必要な作業です。したがって、エンジンチェンソーのユーザーであっても、電動チェンソーのユーザーであっても、等しく行わなくてはいけません。なお、鋸(ノコギリ)を研磨あるいは研ぐ作業のことも目立てといいます。
チェンソーヤスリは金属製の金物ですが、樹脂や木製のハンドルもしくはグリップとよばれる柄を取り付けて使うことがあります。自身にとって手馴染みのよいハンドルやグリップを利用することで作業しやすくなります。
チェンソーヤスリは、その他のチェンソー用品や部品と同じく消耗品です。そのため、数本入のセットで販売されていることが多いです。1ケース12本入で、1ダースとなっている商品もありますが、プロや名人以外は小口のものから始めてみるのがおすすめです。中には、クランプやゲージなどがセットになった専用キット(チェンソーヤスリセット)も販売されています。
目立てに使うチェンソーヤスリのタイプは、「丸ヤスリ」と「平ヤスリ」の2つが主です。それぞれ用途が異なるので、どちらか一方を使うということではなく基本的には両方を使います(両方をカバーする六角ヤスリやチゼルヤスリというものもあります)。
丸ヤスリは、断面が丸い棒のような形状をしています。その丸みを利用して、磨耗した刃先に再び角度をつけるように研ぐ仕組みです。ソーチェーンの種類ごとにカッター部の大きさや角度も異なるため、必要なヤスリサイズ(丸ヤスリ径)も異なります。ホルダー(ヤスリホルダー)を利用すると、上手に研ぐことができます。
平ヤスリは、平板のような形状をしています。ソーチェーンのカッター部を構成するデプスゲージは、カンナでいう木の台に相当します。デプスゲージとカッター上刃(トッププレート)との高さの差、つまり深さがデプスです。このデプスを調整するために、平ヤスリは使われます。刃物を扱っているという意識を忘れずに、手袋を着用して作業に臨みましょう。