独特のさわやかな香りと歯ざわりが魅力のセロリは、サラダやスープなどに使え、品種を選べば水耕栽培でも育てることができます。この記事では、ペットボトルを使った、セロリの水耕栽培の始め方から収穫までの育て方を、わかりやすく説明します。
セロリの水耕栽培について
水耕栽培とは
水耕栽培とは、土を使わず培養液(肥料分を含んだ水)で、野菜や草木を栽培する方法です。土の変わりにハイドロボールやゼオライトなどの培地を使った栽培も水耕栽培の一種でハイドロカルチャーと呼ばれます。水耕栽培で育てる場合には、土から栄養をとれないため水耕栽培で使える液体肥料を使って育てる必要があります。
セロリの基礎知識
セロリは、セリ科の一年草もしくは二年草でヨーロッパから地中沿岸地域が原産といわれます。一般的にはセロリと呼ばれることが多いですが、英語で書くと「celery」なので農家などではセルリーとよばれ、タネなどでもセルリーと記載されることも多くあります。
セロリの栽培は、品種改良により育てやすくなっていますが、スーパーなどでよく見かけるコーネル種といわれる、茎が黄白色の品種で大株の品種は、土壌栽培でも中級者向けの野菜です。水耕栽培では、茎の部分が太くなるので大型品種は難しいので、ミニ品種を選んで育てましょう。

作物名 | セロリ(セルリー) |
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科目 | セリ科オランダミツバ属 |
原産地 | 地中海沿岸地域 |
発芽適温 | 18℃〜20℃ |
生育適温 | 15℃〜20℃ |
セロリの品種
ここでは水耕栽培に育てやすい品種について説明します。ホワイトセルリーは水耕栽培用に改良された品種です。スプラウトセロリは品種ではなく、セロリの新芽を早取りしたものです。
品種名 | ミニホワイト | スープセロリ | トップセラー |
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概要 | |||
特徴 | ホワイトセロリーの早生種。 茎が細く真っ白で、三つ葉のような見た目です。サラダの彩りにも。 | 別名「芹菜」、中国セロリとも呼ばれます。 三つ葉やセリに似た見た目で、料理の香りづけなどに使われます。 | 茎も葉も緑色のグリーンセロリ。 大株・小株でも収穫が可能です。 |
栽培時期
水耕栽培は、室内で育てられるので生育温度保てれば一年中栽培は可能ですが、生育時期に合わせた栽培をすることで失敗のリスクを防げます。できれば土耕栽培と同様の時期に植え付けやタネまきをするとよいでしょう。
セロリは春や秋に種をまいて育てます。セロリは幼苗の頃に13℃以下の長日で花芽がつきとう立ちがおきるので、春まきはトウ立ちしやすいので、初心者の人は秋に始めるとよいでしょう。通常のセロリは収穫まで5カ月~6か月程度かかりますが、ホワイトセロリーであれば80日前後で収穫できます。
セロリの水耕栽培の手順
ここでは家庭の水耕栽培でよく使われる、ペットボトルとスポンジを使った水耕栽培の方法を説明します。
用意するもの
- ペットボトル500mℓ以上
- スポンジ(キッチンスポンジでOK メラニンスポンジは不可)
- セロリの種
- タッパーなど、スポンジをいれる穴の開いていない容器
- 水耕栽培用の肥料
- カッター、ハサミ、アルミホイル、ビニールテープ、ラップ、竹串
事前準備
栽培容器を作る
- ペットボトルの上部を7㎝~8㎝のところでカットします。キャップは、外しておきます。
- 切り取ったペットボトルの下部に、空気穴を2つあけておきます。(なくても可)
- 切り口は、触るとケガしやすいのでビニールテープを貼っておきます。


種まき
- 種は一昼夜水につけ、水を切った後湿った布で包み、涼しい日陰に2~3日ほど置いておきます。
- スポンジを、2㎝~3㎝程度に四角にカットし、十字に切り込みを入れます。
- スポンジに水を十分含ませて、切込みに竹串などを使って、種を5~6粒重ならないように軽く差し込みます。
- タッパーにスポンジの底がつかる程度水をいれ、ラップをかけ空気穴を竹串などで穴を複数空けます
- 日なたで乾かさないように管理します
- 本葉が1~2枚でたら、元気な苗を3~4枚残して、あとは間引きます。
手順
- 手順1
ペットボトルを加工して、水耕栽培用の栽培キットを作ります。
- 手順2
スポンジに種をまいて、本葉1~2枚の頃に元気な苗3~4本残して後は間引きます。
- 手順3植え付け
ペットボトルの上部の口の部分に、スポンジをセットします。
根を傷めないように注意しましょう。ペットボトルの下部に培養水(肥料を溶かした水)をいれ、苗を植えつけた上部をセットします。水位は根が1/3程度つかる程度。アルミホイルなどで遮光して育てます。
- 手順4育苗
明るい窓辺などで管理し、培養液がなくならないように足しながら育てます。
1週間に1度は水をすべて交換し、容器も洗いましょう。 - 手順5収穫
葉がある程度大きくなってきたら、収穫しましょう。外側から少しづつ収穫すると、株元からまた新たな葉が伸びてくるので、そのまま培養液で育てればまた収穫できます。
セロリの水耕栽培の育て方

容器
セロリは、特別な設備がなくとも十分収穫が楽しめます。ペットボトルを加工した栽培キットは、さまざまな野菜や観葉植物の挿し木などにも使えます。ペットボトルの容量は500ml~1ℓ程度のものを使うとよいでしょう。
複数株作りたいのであれば、少し大きめのタッパーや発砲スチロールなどもよくつかわれます。その場合は株間は10cmほどあけるとよいでしょう。



透明な容器は、光にあたることでアオコ(藻)が発生します。根に藻がつくと根から酸素を呼吸できなくなり、生育に影響を及ぼします。容器は必ず遮光して育てましょう。アルミホイルなどで容器を包むほか、見た目が気になるならペットボトルカバーや、好きな柄の布やバンダナなどを巻いても。
置き場所、日当たり
セロリは適度な湿度と涼しい気候を好みます。日当たりのよい場所を好みますが、強い光は苦手です。夏は半日陰で管理しましょう。
水の量と交換時期
植物は葉や茎そして根からも酸素を吸収しています。水栽培で育てている場合は土やハイドロカルチャーに比べて、酸素が吸収しにくくなります。水の温度が上がると酸素の溶け込む量がすくなくなるため、弱って枯れてしまう可能性もあります。特に夏場は注意が必要です。
育苗をする場合の、理想的な水栽培の水位は、根の半分から3分の2が浸かる程度。少なくとも根元3㎝は空気に触れるようにします。週に1回程度は交換しましょう。成長してきたら、培養液がきれないように継ぎ足しして育てましょう。
ただし気温が高くなると水が濁るので、濁ったら水を交換します。容器に苔がつくことがあります。根に藻がつくと成長を阻害するので、できるだけ根の部分は遮光し、水替えの時に容器も洗ってあげましょう。
肥料
収穫を楽しむセロリ栽培は、土から栄養がとれないため水耕栽培専用の肥料を使って育てます。水の交換や継ぎ足しのときに、水に溶かして使います。苗が小さいうちは、規定量より薄めて使いましょう。
肥料は、かならず水耕栽培用の肥料を使いましょう。水栽培やハイドロカルチャーに使える肥料は、ハイポネックス微粉やハイポニカ液体肥料などがあります。
収穫
セロリは、茎のように見える部分は葉柄で、1本の葉です。途中から切っても新しい葉は生えてこないので、株元から切り取って収穫しましょう。
ホワイトセロリやスープセロリは草丈20cmごろが収穫のタイミングですが、草丈5cm程度でもスプラウトとして収穫できます。短いものは残し、長く伸びた外葉から収穫しましょう。一度の多く収穫すると株が弱るので、長く収穫を楽しみたいなら、株の半分以上は収穫しないで。こまめに収穫することで、風通しもよくなり新しい葉がどんどん育ちます。
まとめ

いかがでしたでしょうか。今回はミニセロリやスープセロリの水耕栽培での栽培方法を説明しました。水耕栽培で育てれば収穫してすぐに食卓に並べることができます。
セロリは葉にも茎にもビタミンやミネラルなどの栄養素が多く含まれており、アピインやセネリンの香りには、気持ちを落ち着けてくれる効果もあります。ホワイトセロリはスーパーなどではスポンジがついて売られていることがありますが、これは元々水耕栽培で育てられているので、根元を残して水に浸けておけばリボベジ(再生栽培)も可能ですよ。
太いセロリを育てたい場合には、養液栽培ではヤシガラやピートモスなどの土のかわりの培地を使った固形培地耕での栽培がおすすめです。セロリは直根性で移植を嫌うので、苗からなら根鉢を崩さず植え替えられる、プランターの栽培もおすすめです。

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