カーネーションは母の日のプレゼントとしても人気ですが、カーネーションを来年も咲かせるためには、いつどんな肥料をあたえればよいのでしょうか。ここではカーネーションに肥料を与えるタイミングやおすすめの肥料についてわかりやすく説明します。
そもそも植物に必要な養分って?植物が必要な養分に関するおさらい
植物が育つためにはチッソ(窒素)、リンサン(リン酸)、カリウム(加里)の三要素のほか、マグネシウムやカルシウム(石灰肥料が有名)などの「二次要素(中量要素)」、さらに鉄、マンガン、ホウ素をはじめとした「微量要素」が必要です。
チッソ(窒素)は、葉や茎などの成長に欠かせず、植物の体を大きくするため、「葉肥(はごえ)」と言われます。
リンサン(リン酸)は、開花・結実を促し、花色、葉色、蕾や実に関係するため、実肥(みごえ)と言われます。
カリウム(加里)は、葉で作られた炭水化物を根に送り、根の発育を促すほか、植物体を丈夫にし、抵抗力を高めるため、根肥(ねごえ)と呼ばれています。不足すると根・植物が弱ります。
肥料の箱や袋などに記載されているN-P-Kの表示は窒素(N)、リン酸(P)、カリウム(K)を指しています。その他、肥料についてより詳しいことは、下の記事を参考にしてみてください。
カーネーションに使用する肥料は、植物を栽培するという点で、野菜や果樹などの栽培に使うものと基本的には同じで問題ありません。花だから特別な肥料を使うということはありません。プランターや植木鉢などの鉢植え栽培で使用できるものであれば問題なく使用することができます。
色々あって複雑ですが、最初は葉や茎活力を与えたいときは窒素(チッソ)多めの肥料を、花を咲かしたい、実の成長を促したいというときはリン酸多めの肥料を施すというイメージでやってみましょう。
花用の肥料は、綺麗な花を咲かせるためにリン酸が多いことが多いです。
カーネーションに対する肥料のやる時期と頻度
カーネーションの肥料はいつ、どれくらいあげればいいのでしょうか。下記にカーネーションの鉢植えの一般的な肥料をやる時期と頻度について、基本的な考え方を説明します。
カーネーションの肥料時期
カーネーションの肥料を与える時期は、3月~6月と9月~10月。夏と冬は生育が弱まるので肥料は与える必要はありあません。
4月~5月にかけて鉢花が多く出回ります。買ったばかりの鉢花には肥料はたっぷり与えられていることが多いので、咲き終わった花はこまめに、花がらを摘み、ある程度花が終わったら切り戻しをした後に肥料を与えましょう。
カーネーションの肥料のやり方
- 春
- 夏
春と同様に生育期、開花期の間は、地植えの場合は追肥は様子を見て、鉢植えの場合は肥料切れを避けるため、1週間に1度程度、液体肥料(液肥)を水やり代わりに与えます。7月以降の高温期は肥料は与えないようにしましょう。
開花鉢を購入した場合は、花がある程度終わったら、花がついた茎を切り取った後に緩効性肥料を施します。
- 秋
春に切り戻しをしておくと、秋も花が楽しめます。9月中旬ごろから1週間に1度程度、液体肥料(液肥)を水やりの際に与えるか、緩効性肥料を月に1度置き肥します。
また秋は植え替えの時期です。できれば毎年花後に植え替えをしましょう。植え替え時には元肥に緩効性肥料を施します。
- 冬
肥料は不要です。
カーネーション栽培におすすめの肥料
カーネーションにおすすめの緩効性肥料(固形肥料)
カーネーションの春や秋の追肥や、植え替え時の元肥には緩効性肥料がおすすめです。固形肥料は、液体肥料(液肥)と比べ、緩効性・遅効性の肥料が多くなります。
カーネーションには、三要素(チッソ、リン酸、カリ)がバランスよく入った肥料か、リン酸を高めた花用の肥料がよいでしょう。庭植えなどでは、有機肥料もおすすめですが鉢植えや臭いが気になる人には有機配合肥料が誰でも使いやすく便利です。鉢植えには、鉢の縁におくだけの置き肥もおすすめです。
ハイポネックスの元肥の定番肥料のマグアンプKは、元肥には中粒がよいでしょう。その他有機配合のマイガーデン粒剤は元肥、追肥にも使えます。鉢に置くだけの錠剤のプロミックは、追肥におすすめです。
カーネーションにおすすめの液体肥料
液体肥料とは、液肥(えきひ)とも呼ばれ、液状になった液体の肥料のことを言います。追肥に向いています。開花のためには、リン酸(P)の多い肥料がおすすめです。
ハイポネックス原液は肥料成分がN-P-K=6-10-5、住友化学園芸の花工場原液の肥料成分はN-P-K=8-10-5とリン酸が多い液体肥料です。ハイポネックスには殺虫剤入りの肥料もあり、アブラムシなどの対策にも効果があります。原液タイプは水に希釈して水やり代わりに与えます。
防ぎたい!肥料にまつわるトラブルあれこれ
肥料のやりすぎ
一般的には、花に家庭菜園のようなペースで肥料をやると、やりすぎになってしまい、窒素過多になるとつるぼけし、また肥料焼けを起こします。肥料やけを起こすと、植物が弱々しくなり、最悪枯れてしまいます。肥料のやり過ぎにはくれぐれも注意してください。
同じく、水をやりすぎて根が腐って草花を枯らしてしまったり、根詰まり、またカビが生えたりしてしまうことがあります。水はけが悪い用土や、水が常に鉢などの容器に満たされた状態で風通しの悪い所に放置すると起こりやすいため、下記のことを心がけて育ててください。
- 水切れして、土の表面が乾いてから水を与えるようにする
- 風通し、日当たりの良い場所に植物を置くようにする
肥料は絶対混ぜないで!
よくある失敗として、いろいろな肥料を混ぜて高い栄養素の肥料を作り与えようとしてしまうことが挙げられます。肥料を混ぜると化学反応を起こし、植物自体に被害が出るだけでなく、有害物質・ガスが発生したりと、大きな事故につながる危険性があります。くれぐれも、肥料同士を原液で混ぜることはしないでください。
カーネーション栽培のポイント
カーネーションの種類
カーネーションは歴史が古く、地中海沿岸地域に自生していたナデシコ科の植物であることは確認されていますが、起源はわかっていません。今日栽培されているカーネーションは,地中海原産の交配種をベースに、セキチク類の仲間やその他のナデシコ類が複雑に交配されていて、花びらの色、形が非常に豊富になっています。
大きく分けると、一本の茎に一つの花が付く「スタンダードカーネーション」と、一本の茎に複数の花が付く「スプレーカーネーション」に分かれます。母の日などは、四季咲きのスプレーカーネーションが花束用に多く出回ります。また、葉や茎が密集したポットに向く「ポットカーネーション」と呼ばれるタイプのものもあります。また、花の付き方で「剣弁咲き」「極剣弁咲き」「丸弁咲き」「一重咲き」の4種類があります。
カーネーションは多湿を嫌います。地植えの場合は、何日も降雨がなく、地表が乾燥したら水やりするようにしましょう。
水やり
鉢植えの場合も、地面が乾いたら鉢の底から水がしたたるぐらいに水を与えます。水の上げすぎは根腐れ、萎える原因にもなりますので注意が必要です。特にカーネーションは蒸れに弱いので気をつけるようにしましょう。また、カーネーションは耐寒性はあるものの寒風に強くないので、冬は寒風を避けられる場所に、真夏は西日を避ける場所に置きましょう。木陰や軒下など適度に影ができる場所を選んで置ければベストです。
切り戻し
一度咲いたら(具体的には梅雨前と秋)適宜、わき芽を確認して開花後にハサミで切り戻し(花が咲いた枝を大胆に切り取る)を行うと花付きをよくします。切った枝は切り花としても花瓶に刺したりして楽しめます。また摘心(摘芯)(生育初期に草丈が伸びた枝先を摘むこと)も有効です。
風通しを良くするために剪定も有効です。剪定することで奥まで日光も当たるようになります。
花がら摘み
カーネーションに限りませんが、花が咲いた後にそのままにしておくと種が作られて株の栄養が取られ、次の花が付きにくくなってしまいます。定期的に花がらを積み、取り除くようにしましょう。
植え替え
秋の涼しくなった頃に新しい用土で、一回り、二回り大きい鉢に植え替えするようにしましょう。用土の配合は、赤玉土6、腐葉土3、水捌けを良くするために鹿沼土や小砂、山砂1を基本とします。
増やし方(株分け、挿し木、葉挿しなど)
秋にポットに挿し芽(さし芽)をします。1ヶ月ほどで発根するのでそのまま育苗して芽の数を増やしていきましょう。
害虫、病気に気をつけましょう
カーネーションに限ったことではないですが、植物はハダニやアブラムシ、カイガラムシ、ナメクジ、ハマキムシ、コガネムシの幼虫、ネコブセンチュウが発生して寄生しやすいです。野外であればある程、発生し易いといえます。これらの虫が発生した時は、粘着テープで除去する、また殺虫剤などの薬剤で駆除、防虫する方法があります。どちらにせよ、早く対応するに越したことはないので、発見した時はすぐに駆除し、防除を心掛けるようにしましょう。
また、病気としては立ち枯れ病、灰色かび病があります。対策は下記を参考にしてみてください。
多く発生している場合は、殺虫殺菌スプレーの「ベニカ」シリーズで害虫退治するのがおすすめです。(ホームセンターのガーデニング・園芸、ガーデニンググッズコーナーによく置かれています)
病害虫を防ぐためにはこまめな除草は重要です。定期的に草刈り、草取りをして雑草を減らすようにしましょう。
まとめ
母の日に代表される華やかなカーネーション。赤いカーネーションの花言葉は、「母への愛」「母の愛」「純粋な愛」「真実の愛」です。また、ピンクは「感謝」「気品」「温かい心」など、白色のカーネーションは「尊敬」です。美しい花が楽しめるカーネーションを是非、花束だけでなく、お家の花壇や庭の寄せ植え、また鉢植えに取り入れてみてください。