キャベツは生長途中に害虫による被害を受けやすく、雑草の駆除は生産量に影響するだけでなく、害虫の発生を抑えるためにも重要です。ここではキャベツ栽培で使える除草剤や、効果的な使い方をわかりやすく説明します。
キャベツ栽培に使われる除草剤の種類・使い方
除草剤には、大きく分けて雑草が発芽する前もしくは雑草の生育初期に、土にばら撒いて使う「土壌処理剤」と、雑草がある程度成長してから葉や茎に薬液を散布する「茎葉処理剤」があります。
キャベツの雑草の防除は、定植後2週間~3週間キャベツの外葉が畝を被うまでの生育初期に行うことが基本です。
体系的に防除するのであれば定植後の雑草発生前に「土壌処理剤」で雑草の発生を抑制し、それでも生えてきてしまった雑草には、中耕除草するか、「茎葉処理剤」を使って雑草を枯死させます。
除草剤の使い方
土壌処理剤
土壌処理剤は、土にばら撒いて使うことで、土壌に1cmほどの処理層を作って、雑草の種子の発芽成長を妨げる発芽抑制効果があります。除草剤によって抑制期間は変わりますがおおよそ45日~60日ほどです。
- 砕土、整地はていねいに行い、土壌表面をなるべく均等に平にする
- 植え付け後、雑草が発生する前に畦間に土壌散布する。(作物にかからないように注意する)
- 噴霧器(散布機)を使って散布しましょう。ジョウロでの全面散布は薬量を超える可能性があります。
- 使い方は除草剤によって異なります。しっかりラベルを読んで使いましょう。
茎葉処理剤
定植時にマルチをした場合や、土壌処理剤を散布しても、栽培途中に雑草が生えてきてしまったら、茎葉処理剤を使って雑草を駆除しましょう。
雑草の種類(イネ科雑草、広葉雑草)によって使う除草剤も異なります。どんな雑草が生えているのか確認して、それに合った除草剤を使うことが大切です。
基本的な使い方は、成長している雑草の茎や葉に、水で希釈して散布します。(希釈倍率・雑草の大きさなどは除草剤のラベル参照のこと)噴霧器(散布機)を使うと無駄なく効果的に雑草に薬液を散布することができます。
キャベツおすすめの除草剤
ゴーゴーサン乳剤・細粒剤
有効成分 ペンディメタリン 30.0%(乳剤)、2.0%(細粒剤F)HRACコード3
ゴーゴーサン細粒剤F・ゴーゴーサン乳剤はBASF社が開発したジニトロアニリン系の除草成分ペンディメタリンを有効成分とする、主に畑作に使う除草剤で、キャベツには粒剤は定植前又は定植後~定植翌日に、乳剤は定植前に全面土壌散布して使います。
一年生イネ科雑草、広葉雑草の両方の効果があり、45〜60日間と長期間効果が持続します。土壌が乾燥している場合や、砂地などでは乳剤がおすすめです。セル成型苗には薬害が出る可能性があるため使えません。
フィールドスターP乳剤
有効成分 ジメテナミドP 64.0% HRACコード15
フィールドスターP乳剤は、酸アミド系の非ホルモン・吸収移行型のジメテナミドPを有効成分とする土壌処理型の除草剤です。一年生イネ科雑草、カヤツリグサ、スベリヒユ、ヒユ類などの広葉雑草に効果が期待できます。アカザ科、タデ科およびアブラナ科には効果が劣ります。キャベツには、定植後(雑草発生前)、ただし定植後10日後まで使えます。キャベツには散布後の雨に薬害が出る恐れがあるので、散布後2日間は雨の降らない日を選んで散布します。
アグロマックス水和剤
有効成分 プロピザミド 50.0% HRACコード3
アグロマックス水和剤は、一年生雑草のイネ科から広葉まで幅広い雑草を防除する土壌処理剤です。キク科、カヤツリグサ科には効果が劣ります。これらが占有している圃場では、別の除草剤との併用が必要です。キャベツには、定植直後に全面散布して使います。11月から翌年3月までの低温期の使用はさけましょう。
ナブ乳剤・ポルトフロアブル
有効成分 セトキシジム 20.00%(ナブ乳剤)、キザロホップエチル 7.0%(ポルトフロアブル)
ナブ乳剤、ポルトフロアブルは、畑作のイネ科雑草(スズメノカラビラを除く)に使われる選択制の茎葉処理剤です。イネ科雑草にしか効果がないので、キャベツには直接かかっても影響がないため、雑草への茎葉処理だけでなく、薬液がかかることを気にせず全面散布することが可能です。浸透移行性に優れているので、葉や茎に散布するだけで根まで枯らすことができます。ポルトフロアブルは冬場の寒い時期には効果が劣ることがあります。
イネ科以外の広葉雑草やカヤツリグサ科には効果がないため、それらの雑草が生えている場所にはこれ以外の除草剤が必要です。
グルホシネート系除草剤
有効成分にグルホシネートを含む除草剤は、非選択性の接触型の茎葉処理剤です。キャベツには、収穫45日前まで(雑草生育期定植前又は畦間処理)に使うことができます。
イネ科、広葉、一年生、多年生を問わず、ほとんどの雑草に効果を発揮します。1~3日で効果が発現し、5 ~20 日で完全な効果がでる強力除草剤ですが、吸収移行型ではないため、地下部 、つまり根までは枯死しません。非選択のため、畑地、圃場での散布の際に、農作物にかからないよう注意が必要になります。代表的な製品として、バスタ液剤とザクサ液剤があります。
商品名 | バスタ液剤 | ザクサ液剤 |
---|---|---|
概要 | ||
販売元 | BASFジャパン(株) | 明治製菓ファルマ(株) |
有効成分 | グルホシネート | グルホシネートPナトリウム塩 |
農耕地使用 | ○ | ○ |
グリホサート系除草剤
有効成分にグリホサートを含む除草剤は、非選択性の茎葉処理剤です。イネ科、広葉の一年生雑草、多年生雑草、ササ類、雑灌木などほぼすべての草種に有効で、枯らす効果があります。性質は遅効性で効果の発現に3 ~7日、そして完全 な効果に10日~2カ月ほどを要します。
グリホサート系の除草剤は、葉や茎に薬液をかけるだけで根まで枯らす効果があるので、土壌に根を張っている雑草にも効果的です。キャベツ畑で使えるグリホサート系の除草剤は下記のものなどがあります。散布時期は、耕起の1週間前までに散布するのがおすすめです。散布可能時期はそれぞれの除草剤のラベルを確認してつかってください。
商品名 | ラウンドアップマックスロード | サンフーロン | タッチダウンiQ | サンダーボルト007 |
---|---|---|---|---|
概要 | ||||
販売元 | 日産化学(株) | 大成農材(株) | シンジェンタジャパン(株) | 日本農薬(株) |
有効成分 | グリホサートカリウム塩 | グリホサートイソプロピルアミン塩 | グリホサートカリウム塩 | グリホサート ピラフルフェンエチル |
麦類使用 | ○ | ○ | ○ | ○ |
サンフーロンはラウンドアップ のジェネリック商品になります。
その他 キャベツに適用がある除草剤
この他、キャベツに適用がある除草剤は、「農家web 農薬検索サービス」からも探せます。作物名は、農薬では「キャベツ」とカタカナで探してください。
除草剤や農薬は同じものを使っていると、抵抗性雑草が発生してしまいます。作用が異なる除草剤をローテーション散布して使いましょう。除草剤の場合は、HRACコードで区分されています。農家web農薬検索サービスはHRACコードも記載しているので、ローテーション散布の参考にしてください。
圃場での除草剤使い方
広葉雑草が生えている圃場では、広葉雑草に使える非選択性の茎葉処理剤がないので、土壌処理剤を使って広葉雑草をしっかり防除しましょう。
スズメノカタビラ以外のイネ科雑草であれば、非選択性の茎葉処理剤があるので全面散布も可能です。土壌処理剤に効果がない雑草については、非選択性の接触型の除草剤をつかって雑草のみに散布します。キャベツにかかると薬剤がでてしまうので必ず専用のノズルを使いましょう。
フィールドスターP乳剤とアグロマックス水和剤は有効成分が違うので併用できますが、混用は薬害が生じます。アグロマックス水和剤を散布し、翌日にフィールドスターP乳剤を散布しましょう。
中耕除草
キャベツは、春まき、夏まき、秋まきの作型によって時期は異なりますが、追肥をするときに同時に中耕することで、土が柔らかくなり根に空気がはいり肥料の効果もあがります。また同時に除草もできるので、キャベツ栽培には必要な作業です。
条間に肥料を散布し、クワた三角フォーなどで耕します。この時に除草も行えます。その後耕した土は、キャベツに土寄せします。追肥は1回もしくは2回行いますので、そのたびに中耕も行います。