キャベツは、葉を大きく育てないと結球しないため、生育初期に早めに施肥することが大切です。ここではキャベツにはいつどんな肥料を与えるとよいのか。おすすめの肥料や与え方についてわかりやすく説明します。
キャベツ栽培に適した肥料とは
キャベツは結球期までに外葉を大きく育てる必要があるため、生育初期に生育がよくなるよう元肥をしっかり施す必要があります。施肥量は冬どりで10aあたり窒素25kg、リン酸、カリウムが各20kg程度が目安です。葉肥といわれる窒素を多く必要とします。
元肥には有機肥料などの緩効性肥料が適しています。また追肥は速効性の化成肥料や液体肥料がよいでしょう。どちらも肥料の三大要素(窒素、リン、カリ)がバランスよく配合された肥料がおすすめです。追肥は遅れると葉が大きく育たないので、忘れずに行いましょう。
キャベツ専用の肥料や一発肥料と呼ばれる元肥だけで追肥が不要な肥料もあるので、忙しくて畑に行けないなどで追肥のタイミングが難しい人には、そちらもおすすめです。
キャベツ栽培におすすめの肥料
畑などの地植えでは、有機肥料がおすすめ。化成肥料を使う場合でも、できれば堆肥は牛糞など土壌効果の高いものを使いましょう。プランターなどでは臭いの心配のない有機配合の肥料などがおすすめです。
有機肥料(有機質肥料)
有機肥料は、鶏ふんや油かす、米ぬかなどが使えます。油かすだけではリン酸とカリ分が足りないので、リン酸は過りん酸石灰や骨粉、カリは草木灰、硫酸カリなどを併用するとよいでしょう。
有機肥料は完熟のものを使い、米ぬかなどは生のものは使わず、ぼかし肥料の原料として使うのがおすすめです。ぼかし肥料や有機100%肥料などは、初心者の人でも使いやすい肥料です。
キャベツ専用肥料
キャベツには専用肥料もあります。キャベツの栽培用に肥料分が調整されており、肥料量もパッケージに書かれていることが多いので誰でも簡単に使える肥料です。キャベツ専用ではないですが、野菜の一発肥料は、植え付け時に元肥を施すだけで追肥が不要な肥料も使えます。
化成肥料
化成肥料を使う場合には、化成肥料8・8・8などの窒素・リン酸・カリウムが均等に入った肥料は、ほとんどの野菜に使えます。化成肥料は基本的に速効性の肥料が多く、元肥にも追肥にも使えますが、キャベツには追肥に使うのがおすすめ。
肥料の後ろの数値は、肥料分がどれぐらい肥料が入っているかを表しています。8・8・8は肥料100gの中に肥料分が各8gづつ入っています。初心者の人には肥料成分がそれほど高くないため、肥料の施しによる失敗が少ないのでおすすめです。またキャベツの追肥には、窒素やカリが必要とされるためNK肥料でもよいでしょう。
野菜の肥料
ホームセンターなどで簡単に手にはいる肥料メーカーが野菜用に作った、野菜用の肥料でも育てることができます。
プランターの元肥としては、肥料が配合されていない土を使う場合には、「マグアンプK中粒」は緩効性肥料としておすすめです。またその他ハイポネックスジャパンの「今日から野菜 野菜の肥料」や、住友化学園芸の「マイガーデンベジフル」は有機配合されており元肥や追肥にも使えます。
液体肥料
プランター栽培や、肥料不足などには速効性の液体肥料(液肥)も使うことができます。植えつけ時に、活着をよくするために液体肥料を水やり代わりに与えることもあります。液体肥料は、「ハイポネックスの野菜の液肥」や「マイガーデン液肥」などの野菜用のものがよいでしょう。
キャベツ栽培の肥料の与え方
地植え
種まきからキャベツの栽培を始める場合は、直まきも可能ですが夏まきは30℃以上になると発芽率が落ちるので、温度管理しやすいポットや箱まきがおすすめです。ポット苗は本葉が5枚~6枚頃に定植しましょう。
肥料の時期
苗を植えつけ時に元肥を施した後の追肥は、植えつけ後7日~10日、苗が根付いて葉が展開し始めたころに最初の追肥をします。2回目の追肥は定植して2~3週間たったころ本葉10枚頃に行います。
中生種と晩生種は、栽培期間が長いので、結球が始まったら3回目の追肥を施します。
元肥
苗を植え付け(定植する)前に予め土壌へ施しておく肥料を「元肥(もとひ・もとごえ)」と言います。元肥は、初期生育を助ける働きがあり、肥料効果が長く続く緩効性や遅効性の肥料を施すのが一般的です。
元肥の方法は、全面施肥と溝施肥があります。どちらでも可能ですが、キャベツは栽培期間が長いため家庭菜園では溝施肥で行われることが多いです。有機肥料を使う場合は2週間前、化成肥料を使う場合は植え付けの1週間ほど前までに行います。
- 栽培するスペース(畝)を決め、土壌phの調整が必要な場合は苦土石灰1㎡あたり100gまいて、深く耕しておきます。
- 1から2~3週間ほどたってから、幅50~60cmの畝を作ります。(1条蒔き)
- 畝の中央に幅、深さ20cmほどの植え溝をつくり、1㎡あたり堆肥2~3kg、有機配合肥料100~150gを施し、高さ10㎝ほどの畝をたてます。
- 株間40~45cmで苗を植えつけます。深植しないようにしましょう。
追肥
苗の植え付け後(定植後)、作物が生長していくときに、土壌の肥料切れが起こらないように追加で施す肥料を「追肥(ついひ・おいごえ)」と言います。
最初の追肥は、1株あたり7~8g程度の化成肥料を葉の先端にばらまきます。2回目の追肥は本葉10枚頃に1㎡あたり30g~50程度の化成肥料を畝の側方にまいて、表土を軽く耕す中耕をして土寄せを行います。中生種と晩生種は、栽培期間が長いので、結球が始まったら2回目と同様の追肥を施します。
プランター栽培
キャベツはプランター栽培も可能ですが、大きなプランターが必要になります。プランター栽培なら芽キャベツがおすすめです。1株でうまく栽培すれば1株で50個ほど収穫できます。
肥料の時期
芽キャベツは水と肥料を好みます。特にプランター栽培では肥料が水やりと同時に流れ出てしまうことが多いので、しっかりと元肥と追肥を行います。
追肥は植え付け後、2週後新葉が立ち上がってきたときに最初の追肥を、その後は10~14日後に、結球始めたら2回目の追肥を始めます。
与え方
プランター栽培の場合肥料は、元肥と追肥を行います。元肥とは植え付け時に施す肥料で、プランターなどでは、元肥入りの野菜の培養土などが便利です。肥料がはいっていない土や、自分で配合した場合は、緩効性肥料を土に混ぜて使います。
追肥は、1回目、2回目とも化成肥料を株の周りにまいて、土と軽くまぜ土寄せします。追肥に液体肥料を使う場合は、7日~10日に1度、水やり代わりに与えるとよいでしょう。
畑の土づくりについて
おいしい野菜をつくるには、土づくりは大切です。キャベツは、排水性がよく肥沃な土を好みます。堆肥や有機質肥料をつかってよい土壌を作りましょう。
牛ふんなどの堆肥は、植え付け1か月前までには行いましょう。土壌酸度(pH)は、6.0〜7.0です。なた土壌が酸性に傾いていると根こぶ病にかかりやすいため、土の酸度が高いようなら、苦土石灰で調整します。苦土石灰はキャベツのカルシウム不足も予防することができます。土壌酸度は、市販の土壌酸度計や土壌酸度測定液をつかって図りましょう。家庭菜園をする人は一つもっているとよいでしょう。
堆肥には、動物の糞をつかった牛糞、馬糞、豚糞、鶏糞、植物性のバーク堆肥、腐葉土などがあります。土壌の改良には牛糞、馬糞、パーク堆肥、腐葉土などがよいでしょう。鶏糞は肥料分が多くふくまれていますが、土壌改良効果は少ないです。鶏糞は肥料としてつかうのがおすすめです。
未発酵のものはガスなどがでて作物に影響を及ぼすことがあるので、完熟堆肥を使うのが安心です。未発酵のものをつかうときは植え付けの1か月前ほどに施しておくとよいでしょう。
肥料の過不足
キャベツは肥料が足りないと葉が黄色くなったり、葉が大きく育たなくなり、結球しないことにもつながります。しかし肥料の与えすぎは、葉が固くなる、裂球しやすくなる、軟腐病が発生しやすくなることがあります。また収穫間際まで肥料を与えすぎると、エグミがでて味が落ちるため、肥料の与えすぎにも注意しましょう。
また栽培時期によっても肥料量はかわります。春まき栽培は夏まき栽培より肥料は少な目にして栽培しましょう。肥料の量は、野菜を作り続けている畑などでは、前作の肥料が残っていることもあります。生育をみて追肥の量を調整しましょう。また葉に肥料が残っていると肥料焼けするので、葉っぱに肥料が残らないように株元に与えます。
キャベツ栽培について
キャベツの基礎知識
ヨーロッパ原産のキャベツは、暑さに弱く冷涼な気候を好みます。栽培は春まき、夏まき、秋まき栽培がありますが家庭菜園では、生育とともに温度が下がる、夏に種をまいて晩秋から冬にかけて収穫するのがおすすめです。育苗期間は温度調整が必要なので初心者の人は、市販の苗から始めるとよいでしょう。
作物名 | キャベツ |
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科目 | アブラナ科アブラナ属 |
原産地 | ベルギー |
発芽適温(地温) | 15℃~30℃ |
生育適温 | 15℃~22℃ |
土壌酸度(pH) | 6.0~7.0 |
育てやすさ | 普通~少し難しい |
病害虫
アブラナ科のキャベツは、アブラムシ類の他アオムシ、コナガ、ヨトウムシ、ハンヨウモトウ、シンクイムシなどによる害虫の被害が多くあります。生育の初期に食害に合うと、キャベツの生育に大きな被害が生じます。発生してしまったら早めに農薬等をつかって駆除しましょう。農薬が不安な人は、有効成分が天然物由来の殺虫殺菌スプレーもあります。
食害を防ぐには、植え付け後にすぐに防虫ネットを使って害虫を防除しましょう。隙間をあけずに、葉にふれないことが大切です。また反射光を嫌う虫が多いので、銀色の反射マルチや反射テープなどを使うのもよいでしょう。防虫ネットは100均などでも買えます。
また雑草を防除することも病害虫対策となります。キャベツ栽培の除草については下記の記事で詳しく説明しています
まとめ
アブラナ科のキャベツは連作障害が起きやすいため、一度キャベツを栽培したら栽培間隔は2~3年とる必要があります。同じアブラナ科の白菜や大根なども栽培できないので注意しましょう。キャベツの肥料は生育の初期に早めに追肥し、生育後半は肥料が残らないように育てるのがポイント。メリハリのある肥料の与え方を心がけて、大きなキャベツを収穫できるようにしましょう。
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