ブロッコリーの栽培は、肥料を切らさず育てることが大切です。ここではブロッコリーの栽培において肥料が不足すると、どのような症状がでるのか、肥料不足の時はどのように対処するべきかわかりやすく説明します。
ブロッコリーの肥料不足の症状
では最初に、肥料不足になるとどのような症状になるか説明していきます。
葉の色が薄い
葉の色も植物の状態を示す重要なパラメーターです。肥料が不足してくると葉の色が薄くなりますどの位置の葉の色が薄くなるかによって、不足していると考えられる栄養素が異なります。
- 下位葉(下の方の葉)から順番に色が薄くなったり、黄化する場合→窒素欠乏
- 下位葉から緑色が薄くなり、葉脈間に肌色の斑点が現れる→カリウム不足
- 上位葉から順番に色が薄くなったり、黄化する→カルシウム不足
- 下位葉から葉脈間が淡緑色になりしだいに黄化する→マグネシウム不足
葉が黄色くなるのは、病害虫の可能性もあります。
葉に斑点や、筋、食害などがないか先に確認しましょう
葉にアントシアン色素が現れる
生育の初期に、下の方の葉っぱに赤紫色のアントシアン色素が現れた場合は、リン酸不足の可能性があります。アントシアン色素は、寒さにあたると現れる場合もあります。
収穫間際に蕾や茎にアントシアン色素が入った場合は、全く問題ありません。寒さにあたって実が甘くなり、ゆでれば色は消えます。
苗の生育が悪い
苗の生育不良には、気温や日照条件、病害虫などさまざまな要因が考えられますが、肥料不足もその一因と考えられます。
ブロッコリーの生育適温は、15~20℃と涼しい環境を好みます。夏に植えつける場合は遮光ネットをかけるなどして調整し、徐々に光に慣れさせる必要があります。また過湿は苦手ですが乾燥も苦手です。環境と、葉の様子などを確認してから肥料不足か判断しましょう。
花芽分化が早く、蕾が小さい
ブロッコリーは品種にもよりますが、通常葉が6枚~8枚になり15℃以下の低温にあうと、花芽分化し蕾ができます。これより前に花芽分化し、つぼみができると結果的に花蕾が大きくなりません。この症状を「ボトニング」といいます。低温にあたったり、肥料不足で発生します。
この症状が出た場合は、追肥しても間に合いません。育苗中は低温にあてないようにし、肥料を与えてしっかりと株を大きくさせることが、大切です。次回に注意しましょう。
茎に褐色のカサブタのような症状がでる
茎にかさぶたのような症状が出た場合は、ホウ素欠乏の可能性があります。通常、微量要素のホウ素は、堆肥などの使用により肥料としては施肥しませんが、アブラナ科の野菜は、ホウ素をほかの野菜より必要とするため、欠乏することがあります。
畑に有機肥料や堆肥などを使って、長く栽培している場合にはあまり心配いりませんが、砂地や初めて畑に使う場合などでは、元肥にホウ素入りの肥料を使うとよいでしょう。ホウ素は過剰になると障害がでますので施肥量には十分注意が必要です。
土壌phによる欠乏症
葉が黄色くなるのは、肥料不足や病気の場合もありますが、土壌がアルカリ性に傾いているとマグネシウム・ホウ素・マンガンの欠乏症がおきることがあります。マグネシウムやホウ素が欠乏すると、下葉の葉脈間が黄化がみられることがあります。
足りない要素を追加するまえに、土壌の酸度を測りアルカリ性、酸性に傾いていないか確認しましょう。土壌により吸収がうまくいっていない場合があります。アルカリ性に傾いている場合は酸度未調整のピートモスなど酸性肥料を、酸性の場合は苦土石灰などの石灰資材を使って調整します。
土壌検査
土壌酸度(ph)は、土壌 pH 6.0〜6.5を目安にしましょう。土壌酸度計や土壌酸度測定液などを使うと、土の酸度が簡単に図ることができます。定期的に検査することで、土壌の状態を知ることができます。
肥料不足の対処法
肥料不足の症状が見られたら、追肥で対応します。追肥は、速効性の化成肥料や液体肥料(液肥)をつつかいましょう。
畑など地植えの場合は、株間に速効性の化成肥料を一握りまいて、土の表面を軽く耕してから、茎が倒れないように根元に土寄せをします。液肥は水やりがわりに、規定量で希釈して散布します。
ホウ素不足は、発生してからでは対応は難しくなります。農家などでは欠乏症がでたときは、ホウ砂を水に溶かして葉面散布したりします。ある程度大きくなると効果が薄いため、家庭菜園などでは食用に問題はないので取り除いて食しましょう。
追肥におすすめの化成肥料
液体肥料
肥料不足の場合には液体肥料がおすすめです。不足している肥料成分に合わせて選びましょう。液体肥料は野菜用のものを使うとよいでしょう。住友化学園芸の「マイガーデン液肥」やハイポネックスジャパンの「野菜の液肥」などは3要素が含まれているので、窒素不足などに便利です。
速効性の化成肥料
肥料不足の追肥には、化成肥料もおすすめです。不足している肥料成分に合わせて選びましょう。窒素不足の時には、一般的な8-8-8などの化成肥料でもいいですが、リン酸やカリウム、マグネシウムやカルシウムが不足する場合は、単肥や窒素の含まれていない肥料を使いましょう。
その他 ブロッコリーのトラブル
病害虫
病気
ブロッコリーは、軟腐病、根こぶ病、黒腐れ病、べと病などの病気にかかることがあります。葉に斑点があったり、黄色く萎びてしまう、茎がべとべとになり腐ってしまうなどの症状がでた場合には、病気の可能性を疑いましょう。
アブラナ科のブロッコリーには根こぶ病にかかる可能性があります。アブラナ科の植物を連作するとでやすくなります。以前被害にあった場合や心配な場合は、植え付け前に殺菌剤をまいておくとよいでしょう。
害虫
ブロッコリーの葉や実が食害を受けたり、色が変色している場合は害虫の可能性もあります。ブロッコリーにはアブラムシ、ヨトウムシ、アオムシ、コナガなどの害虫が発生しやすくなります。
これらの虫が発生した時は、粘着テープで除去する、また殺虫剤などの薬剤で駆除、防虫する方法があります。どちらにせよ、早く対応するに越したことはないので、発見した時はすぐに駆除し、防除を心掛けるようにしましょう。
「補足」ブロッコリーの肥料の与え方
元肥
畑などの地植えでは、元肥は植え付けする場所(畝)を決めて、深さ20㎝ほど掘り起こします。畝の中央に溝を掘って、底に堆肥と有機肥料や化成肥料を入れ、土を戻す溝施肥を苗の植えつけの2週間ほど前までに行っておきましょう。溝1mに対し、堆肥0.5ℓ・肥料40~50g程度が目安です。
ミニブロッコリーであれば、鉢植えやプランターなどでも育てることができます。土は野菜用の培養土を使うと便利です。元肥入りの培養土であれば元肥は不要です。元肥が入っていない場合は、緩効性肥料を元肥として使うとよいでしょう。
追肥
追肥は、畑などの地植えでは、苗を植えつけてから2週間後と蕾が大きくなってきたころに与えます。花蕾が15㎝ほどになったら収穫して、追肥すると、わき芽につく蕾(側花蕾)を育てることができます。
追肥の方法は同じです。株間に速効性の化成肥料を一握りまいて、土の表面を軽く耕してから、茎が倒れないように根元に土寄せをします。
プランターの場合は、本葉が8枚~10枚ほどになったら追肥をします。株元から離れた位置に肥料をまいて、株の根元が成長して根が見えていたら、土を足して土寄せしておきます。水やり代わりに液体肥料(液肥)をつかってもよいでしょう。固形肥料の場合は月に1度、液肥であれば1週間~10日に一度肥料を与えます。