ここでは、ブロッコリーに発生しやすい病害虫と、それを防除するためのおすすめ農薬、そしてブロッコリー栽培に使える除草剤もあわせて紹介します。
より詳しいブロッコリーの情報は、農家web防除暦をご利用ください。
ブロッコリーに発生しやすい病害虫とおすすめ農薬
アブラムシ類
アブラムシは直接植物の汁を吸うことで作物に害を与えるだけでなく、排泄物を作物にかけ、黒いすす状のカビを増殖させたり、光合成が妨げられて作物の生育を悪化させます。
また、アブラムシはウイルスを運びます。口針を植物に探り挿入するため、ウイルスを持っていると口針から簡単にウイルスの感染が広がってしまうのです。アブラムシから広がるウイルスで有名なのは、モザイク病です。その中でも特に、キュウリモザイクウィルス(CMV)、カブモザイクウィルス(TuMV)が代表例と言えるでしょう。
ブロッコリーで、アブラムシに使えるおすすめ農薬
タマナギンウワバ
タマナギンウワバは、キャベツをはじめとする、アブラナ科植物(ハクサイ、コマツナ、ブロッコリー)でよく発生する害虫です。幼虫が葉を食害し、葉に大きな穴が開くほどの被害が出ます。
ブロッコリーで、タマナギンウワバに使えるおすすめ農薬
コナガ
コナガはキャベツなどのアブラナ科植物によく見られる害虫です。コナガの幼虫が発生した作物は、食害されて葉に穴が空き、葉脈だけ残して全て食べ尽くされることもあります。
ブロッコリーでコナガを防除する、おすすめ農薬
ヨトウムシ
ヨトウムシの幼虫は、雑食性で、かなり広範囲の作物を食害します。食害のレベルも非常に激しいもので、キャベツや白菜など菜類では、一晩で網の目になるほど食い荒らしてしまいます。
実は、ヨトウムシの対策については明治時代からも言い伝えられているほどで、害虫の中でも非常に歴史があると言えるでしょう。
ブロッコリーで、ヨトウムシを防除する、おすすめ農薬
アオムシ
アオムシ(青虫)はチョウ目(鱗翅目)の幼虫のうち、長い毛で覆われておらず、緑色の幼虫を指す総称です。緑色でない幼虫を「芋虫(イモムシ)」と呼び、毛で覆われた幼虫を「毛虫(ケムシ)」と総称していますが、必ずしもチョウがアオムシで、ガ(蛾)がイモムシやケムシというわけでもありません。
アオムシはアジアなどに幅広く分布し、日本中で見ることができます。最も身近なアオムシはモンシロチョウやアゲハチョウの幼虫です。
モンシロチョウの幼虫は、体長は25mm~40mm(4cm)ほどまで大きくなります。春(4〜6月)から秋(9〜11月)にかけて寒冷地で2~3回、暖地で4~5回発生します。
ブロッコリーで、アオムシを防除する、おすすめ農薬
アザミウマ類
アザミウマはアザミウマ目に属する昆虫です。現生種は約5000種、スリップス(英名Thrips)とも呼ばれています。大きさは一般に1mm以下で翅があり、細長く、色もまちまちです。うち、農作物をエサにするのは44種と言われています。
アザミウマは直接植物の汁を吸うことで、その傷が農作物、蕾が大きくなるにつれ、非常に見た目が悪くなることや、作物の萎縮、変形、変色の原因となり、出荷できない物が増える(花木だと開花しないものが増える)といった食害があります。
また、最も厄介なのは、アザミウマはウイルスを運ぶということです。アザミウマは、果菜類、葉菜類、根菜類、豆類を含むほとんどの野菜や果樹、花きとさまざまな作物の茎葉、花弁を吸い漁りながらウイルスを広げていきます。一度、保毒すると、ウイルスを一生まき散らしてしまうのです。
ブロッコリーでアザミウマ防除におすすめの農薬
根こぶ病
根こぶ病は、アブラナ科の植物(キャベツ、ダイコン、小松菜、ブロッコリー、白菜、チンゲンサイなど)に発生する病気です。
根こぶ病の病原菌はネコブカビというカビの一種ですが、菌糸体がなく、アメーバ状なのが特徴です。この病原菌が特殊な胞子(休眠胞子)となり、根や土壌で数年間(場合によっては10年以上)生存し、伝染源となります。この胞子は発芽して作付けされた新根、根毛に侵入し、細胞を侵し急激に増殖し、こぶができてきます。こぶは収穫期には腐敗します。
発病が起こりやすい地温は20~24℃です。また土壌のpHも発病に大きく影響し、pHが7.2以上では発病が抑制されます。つまり酸性の土壌で激発しやすいのも特徴です。
この病菌は降雨などで水の流れにのってまわりに広がっていきます。数年、ときには10年以上も土中で生き続け、伝染源になり続けるので非常に厄介な病原菌と言えるでしょう。
ブロッコリーで根こぶ病防除に使えるおすすめ農薬
べと病
べと病とは?
べと病は卵菌のうちツユカビ科(Peronosporaceae科)に属する菌による病害に対して名づけられる植物病害です。「露菌(ろきん)病」とも呼ばれます。
水滴と合わさって拡大していくため、雨が続くと多発すること、また葉が湿るとベトベトになることから「べと病」と呼ばれています。
ベト病は非常に広い範囲の植物に感染しますが、特にウリ科、アブラナ科野菜(キュウリ、タマネギ、ほうれん草、ブドウ、レタス、メロン、キャベツ、ブロッコリー、すいか)・ブドウなどで大きな問題となる病気です。
ブロッコリーで、べと病防除に使えるおすすめ農薬
黒腐病
黒腐病は、ブロッコリーでよく発症する、厄介な病気です。幼苗期から収穫期に至るまで、いつでも発症する可能性があります。この病気にかかると、先端部などの感染部分が、黒変したり黄化し、黄褐色の病班を作ります。病班はその後枯死し、乾燥してボロボロと崩れます。
ブロッコリーで、黒腐病防除に使えるおすすめ農薬
ブロッコリー栽培に使える除草剤
ここでは、ブロッコリーに適用のある除草剤についていくつか紹介します。この他ブロッコリーに適用がある農薬を調べる場合には、「農家web 農薬検索データベース」からも簡単に探せます。
トレファノサイド乳剤・トレファノサイド粉剤
有効成分 トリフルラリン44.5%(乳剤)・トリフルラリン2.5%(粒剤)
トレファノサイド乳剤・トレファノサイド粒剤は、ジニトロアニリン系の除草剤成分トリフルラリンを有効成分とする土壌処理剤です。一年生イネ科雑草、広葉雑草の抑制に効果が期待でき、ブロッコリーには定植前(植穴掘前)に、全面散布して使います。ツユクサ科、カヤツリグサ科、キク科、アブラナ科には効果が劣ります。
土壌処理剤を2回散布する場合はこちらを1回目に使用できます。トレファノサイドの有効成分は日光の強い光にあたると分解・帰化しやすいので夕方や曇りの日の散布が効果的です。
フィールドスターP乳剤
有効成分 ジメテナミドP – 64.0%
フィールドスターP乳剤は、酸アミド系の非ホルモン・吸収移行型のジメテナミドPを有効成分とする土壌処理型の除草剤です。一年生イネ科雑草、カヤツリグサ、スベリヒユ、ヒユ類などの広葉雑草に効果が期待できます。アカザ科、タデ科およびアブラナ科には効果が劣ります。ブロッコリーには、定植後(雑草発生前)、ただし収穫30日前まで使えます。ブロッコリーには夏場は薬害がでやすいため、寒冷地の春まき栽培や、夏まき栽培の場合には、2回目の土壌散布剤として使用がおすすめです。
ワンサイドP乳剤
有効成分 フルアジホップP 17.5%
ワンサイドP乳剤は、選択制の茎葉処理型の除草剤です。一年生および多年生のイネ科雑草に高い効果を発揮します。効果がでるのは遅いですが(完全に枯れるまで15日~20日)吸収移行性があるため、根まで枯らすことができます。また散布後の雨にも強く薬液が乾いてしまえば雨の影響を受けにくいのも特徴です。
ブロッコリーには雑草が大きくなってきてから、「雑草生育期(イネ科雑草3~5葉期)但し、収穫30日前まで」に使える除草剤で、選択制除草剤のため全面散布しても、ブロッコリーにはほとんど影響がありません。ただしイネ科のスズメノカタビラ、広葉雑草には効果が劣ります。
グルホシネート系除草剤
有効成分にグルホシネートを含む除草剤は、非選択性の接触型の茎葉処理剤です。イネ科、広葉、一年生、多年生を問わず、ほとんどの雑草に効果を発揮します。ブロッコリーには収穫前日まで使うことができます。非選択性のため、ブロッコリーに薬液がかかるとブロッコリーも枯れてしまいます。農作物にかからないように散布しましょう。代表的な製品として、バスタ液剤とザクサ液剤があります。
収穫前日まで使える便利な除草剤で、速効性もあります。しかしかなり強力な除草剤で、普通物ですが毒性も高いため使用には十分な注意が必要です。
商品名 | バスタ液剤 | ザクサ液剤 |
---|---|---|
概要 | ||
販売元 | BASFジャパン(株) | 明治製菓ファルマ(株) |
有効成分 | グルホシネート | グルホシネートPナトリウム塩 |
その他ブロッコリーに関する情報
栽培に役立つ 農家webのサービス
農家web 農薬検索データベース
作物に適用がある農薬を一覧で探したいときには、「農家web農薬検索データベース」が便利です。
検索機能は、適用作物・適用病害虫に合致する農薬を探す「農薬検索」、「除草剤検索」をはじめ、さまざまなキーワードで検索できる「クイック検索」、農薬・除草剤の製品名で検索できる「製品検索」、農薬・除草剤に含まれる成分名で検索できる「成分検索」の4つで、農薬・除草剤の作用性を分類したRACコードや特性、 効果を発揮するためのポイントなど実際の使用に役立つ情報も知ることができます。
農家webかんたん農薬希釈計算アプリ
除草剤、殺虫剤を代表する農薬の液剤は、かなりの割合が原液で、水で希釈して散布するのが一般的です。希釈倍率に合わせて水と混ぜるのですが、希釈倍率が500倍、1000倍と大きく、g(グラム)やL(リットル)などが入り混じっていて、計算が難解だと感じる方も多いのではないでしょうか。
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