中国野菜の定番のチンゲン菜は、丈夫で作りやすく真冬を除けば一年中栽培が可能な野菜です。水耕栽培で育てるならミニチンゲンサイがおすすめです。
ここでは、チンゲン菜の水耕栽培について、種まきから収穫までの育て方についてわかりやすく説明します。
チンゲン菜の水耕栽培について
チンゲン菜の基礎知識
チンゲン菜は、栽培が簡単で畑だけでなく、プランターや水耕栽培でも育てることができます。まるごと調理できるミニ種であれば、種まきから収穫まで、20日~30日程度と短く、暑さや病気にも強く丈夫で育てやすい野菜です。
冷涼な気候を好みますが、春まきから夏秋まきが可能です。初めての人はとうが立ちやすいので、夏秋まきがおすすめです。しっかりした株に育てるには、間引きを適期に行い株間を広くして育てるのがポイントです。
作物名 | チンゲンサイ |
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科目 | アブラナ科アブラナ属 |
原産地 | 中国華中・華南地方 |
発芽適温(地温) | 20℃~25℃ |
生育適温 | 15℃~22℃ |
育てやすさ | 簡単、初心者でもOK |
栽培時期
チンゲン菜の作型は、土耕栽培では、春まき栽培と夏秋まき栽培が一般的です。ミニチンゲンサイであれば真冬以外は一年中栽培が可能です。
作型 | 播種(種まき)時期 | 収穫時期 | 備考 |
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春まき栽培 | 4月~5月 | 5月下旬~7月中旬 | とう立ちに注意 |
夏秋まき栽培 | 8月下旬~10月上旬 | 9月下旬~11月上旬 | 初心者におすすめ! |
夏秋まきは、チンゲン菜の栽培に最も適しています。初心者の人は、秋まきから始めるとよいでしょう。春まきの場合は日照時間が長いためとう立ち(抽だい)しやすくなります。春まきする場合は、晩抽性の品種の種子を選んでまくとよいでしょう。
チンゲン菜の水耕栽培のポイント
水耕栽培は、土を使わず「水で栽培をする方法」の一つです。水耕、水栽培などとも呼ばれます。水耕栽培は、野菜だけでなく、観葉植物や果物などのさまざまな植物を衛生的に育てることができます。
水耕栽培ではさまざまな野菜や植物を育てることができますが、サニーレタスなどの葉物野菜やバジルなどのハーブは特に栽培が簡単で、チンゲン菜も特別な設備がなくとも簡単に育てられる野菜です。草丈が高くなるので、水耕栽培では栽培期間も短く、草丈も低いミニ品種がおすすめです。
チンゲン菜の水耕栽培の手順
ではチンゲン菜の水耕栽培の手順について説明していきます。栽培の容器は、水耕栽培キットなどを使う方法や自分でペットボトルやタッパーなどをつかって自作する方法があります。
チンゲン菜は根元が太くなるので、ペットボトルよりタッパーなどが向いています。ここではタッパーをつかった水耕栽培について説明します。
用意するもの
- チンゲン菜の種子
- スポンジ(やわらかいキッチンスポンジ、メラニンスポンジ不可)
- タッパー
- 水耕栽培用肥料
- カッター、ハサミ
事前準備
種まき用のスポンジと、水耕栽培に使うタッパーの準備をしておきます。タネまき用のスポンジは、水耕栽培用のスポンジ培地なども販売されていますが、キッチンスポンジでも代用可能です。柔らかめのものを選びましょう。メラニンスポンジは目が細かすぎるので使えません。
- スポンジを2.5cm~3cm程度の四角にカットし、中央に十字の切り込みをいれます。
- タッパーのふたに1のスポンジをセットして使います。株間(スポンジとスポンジの間)が10cm以上になるようにして、2cm程度の穴をくりぬきます。
手順
- 手順1事前準備
スポンジを、2㎝~3㎝程度に四角にカットし、十字に切り込みを入れます。
タッパーのふたに株間10cmで2cm四方の穴を空けておく。 - 手順2種まき
タッパーに水をいれ、スポンジに水を十分含ませて、切込みに竹串などを使って、種を2~3粒差し込みます。あまり深く押し込まないようにします。
ラップをかけて、爪楊枝などで複数個穴をあけて明るい場所で管理します。スポンジが乾かないように注意しましょう。 - 手順3タッパーにセット
発芽し、スポンジの下から白い根がでてきたら、水耕栽培用のタッパーにセットします。
事前に準備した、タッパーのフタの穴にスポンジをセットします。
タッパーに、根が水につかるように水をいれ、水耕栽培用の肥料をいれます。 - 手順4間引き
本葉3~4枚程度でたら、生育の良い苗を残し1スポンジ1個になるよう根元をハサミで切って間引きます。
- 手順5収穫
ミニチンゲンサイは草丈が10cm~15cm程度になれば収穫の時期です。
株元をハサミで切り取るか、引き抜いて収穫します。
チンゲン菜のプランター栽培の育て方
容器
チンゲン菜は、特別な設備がなくとも十分収穫が楽しめます。タッパーだけでなく水耕栽培でよく使われるペットボトルの栽培も可能です。できれば、1ℓ以上のものを使いましょう。またスポンジを挟むフタの部分は、発砲スチロールなどを加工して作ることもできます。
透明な容器は、光にあたることでアオコ(藻)が発生します。根に藻がつくと根から酸素を呼吸できなくなり、生育に影響を及ぼします。容器は必ず遮光して育てましょう。アルミホイルなどで容器を包むほか、見た目が気になるなら好みの布などをつかっても、OKです。
日当たりの悪い場所で育てるならLEDライトなどをつかった栽培キットなどもあります。
栽培環境
チンゲン菜は、日の当たらない場所で育てると、ひょろひょろと細い茎が伸びてしまう徒長が起きてしまいます。芽がでたらすぐに、日の当たる場所で育てましょう。
室内で育てる場合も、日当たりの良い窓辺で育てましょう。半日程度日が当たる場所で管理します。ただし暑さには弱いので、夏に栽培がかかる場合には、直射日光を避け温度が上がりすぎない場所で育てましょう。LEDライトも有効です。高温と長日(日中の時間が長い)で、花芽がついてとうが立ちやすくなります。ベランダや室内で栽培するときには、街頭の光や部屋の光が当たらないように夜間は遮光して育てましょう。
水やり
水やりは、培養液が減ったら水切れしないように継ぎ足して育てましょう。水の交換は1週間に1度程度、すべての水を入れ替えます。容器も洗ってあげましょう。土での栽培と異なり、栄養は肥料でしかとれません。必ず水耕栽培用の肥料を一緒にいれて水やりをしましょう。
成長してくると水を良く吸うので水切れには注意が必要です。また暑い時期は水が腐りやすいので、水が濁っているときには水を交換しましょう。
培養液(肥料を入れた水)の水位は、根が2/3~1/2程度浸かる程度。水の中は空気が少ないので、根元は空気に触れるよう濡れないようにします。
肥料
水耕栽培でチンゲン菜を育てる場合には、水だけでは育ちません。肥料が必要です。水耕栽培用の肥料を使って育てましょう。
水耕栽培用の肥料は普通の肥料とは異なり、カリ成分が高めに設定されていたり、二次要素(多量要素)や微量要素も含まれているなど、普通の肥料とは組成が異なります。水耕栽培は根が直接栄養素を吸い上げる形になりますので、培養液の組成や状態がとても重要となります。必ず水耕栽培用の肥料を使用しましょう。
家庭で使える水耕栽培用の肥料として有名なものは「ハイポニックス微粉」や「ハイポニカ液体肥料」です。苗が小さいころは、パッケージの濃度より薄めて使います。
下記のページに水耕栽培用の肥料についてまとめておりますので、参考にしてください。
収穫
チンゲン菜は草丈20cm程度、ミニチンゲンサイは草丈10cm~15cmになれば収穫のタイミングです。
チンゲン菜は、株ごと収穫するほか外葉だけを、ハサミで収穫して育てると、その後に内側の葉が大きくなるので、何度か収穫が楽しむこともできます。
病害虫
チンゲン菜は外で育てる場合は、幼苗の時期に、アブラムシやコナガ、キスジノミハムシ、ハモグリバエ、アオムシなどの害虫に合いやすいため、特に夏は防虫ネットなどをつかって害虫対策を行いましょう。防虫ネットを使わない場合は、できるだけ毎日葉をチェックし、つけ根や葉の裏側に害虫が発生していたらすぐに捕殺しましょう。
防虫ネットを使う場合は、タネをまいたらすぐに防虫ネットをかぶせて、収穫までそのままかぶせておくとよいでしょう。
病気はべと病や白さび病、モザイク病などにかかりやすくなります。梅雨などの多湿の時に発生しやすいので、梅雨は軒下などで風通しの良い場所で管理しましょう。株間をしっかりとり、株がこまないようにするのも効果的です。
まとめ
青梗菜(チンゲンサイ)は、クセのない中国野菜で焼く、煮る、炒めるなどさまざまな料理に使える野菜です。栄養価も高く、鉄やカルシウム、β-カロテン、ビタミンCなどの様々な栄養素が含まれています。
収穫までの期間が短く、暑さ寒さにも比較的強く丈夫な野菜なのでまずはミニチンゲンサイから水耕栽培にチャレンジしてみてください。
『農家web』にはこのほかにも、水耕栽培のコンテンツが豊富です。野菜だけでなくハーブや、観葉植物、多肉植物、花を楽しむ球根なども水耕栽培で育てることができます。
育てたい植物の名前から育て方を検索できます。
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