ベゴニアは、美しい花を楽しむ品種や葉が美しく観葉植物としても楽しめる品種など、多くの品種があります。この記事では、ベゴニアの挿し木や苗から始める水耕栽培の方法や、ハイドロカルチャーへの植え替え、育て方についてわかりやすく説明します。
ベゴニアの基礎知識と水耕栽培を始める時期
ベゴニアの特徴
植物の栽培をするうえで、その植物の特徴を知っておくことは大切です。自生地や生育期などを知ればその植物がどのような環境で育てると枯れずに育つのかわかってきます。
ベゴニアは、シュウカイドウ科の常葉の多年草です。根や茎の形から木立性ベゴニア、球根性ベゴニア、根茎性ベゴニアの3つに分類されます。
球根性ベゴニアは大きな美しい花が咲きますが、暑さに弱く家庭では栽培が難しいといわれています。木立性ベゴニアは四季咲きの品種が多く花を楽しむベゴニアです。根茎性は、葉の形や色がさまざまで、葉を楽しむ観葉植物として人気があります。
ベゴニアは品種により耐寒性や耐暑性が異なりますが、熱帯地方が原産のため、寒さには弱いので10℃以下にならない場所で管理しましょう。木立性ベゴニア、根茎性ベゴニアは挿し木から簡単に増やすことができるので、水耕栽培でも育てることができます。
学名 | Begonia |
属名 | シュウカイドウ科ベゴニア属 |
原産地 | 世界の亜熱帯、熱帯地域 |
樹高 | 5cm~100cm |
耐寒性等 | 耐寒性 弱い 耐暑性 普通(品種による) |
花言葉 | 「幸福な日々」「愛の告白」「片思い」 |
ベゴニア品種
品種 | レックス・ベゴニア | ベゴニア・マクラータ | ベゴニア・ センパフローレンス | エラチオール ベゴニア |
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概要 | ||||
特徴 | 根茎性ベゴニア 原種のベゴニア・レクスといろいろな品種と交配した品種グループ 葉色や形など様々な種類があります。 耐陰性が強いので水耕栽培向きです。 | 木立性ベゴニア 葉の水玉模様が特徴的。 寒さ、暑さに強く強健なので、ベゴニアの中でも育てやすい品種 | 木立性ベゴニア。四季咲のベゴニアとして、広く知られれているベゴニア。 開花期間がながく、丈夫なので育てやすい | 球根性ベゴニアとベゴニア・ソコトラナを交配してつくられた園芸品種グループです。 別名「リーガース・ベゴニア」 花色が豊富で花つきがよく、華やかなためプレゼントとしても人気 |
水耕栽培を始める時期
木立性ベゴニアと根茎性ベゴニアは、挿し木か小さな苗であれば植え替えから水耕栽培を始めることができます。
水耕栽培を始めるには植物の生育期がおすすめです。ベゴニアの生育期は5月~10月。真夏を除けば生育期であればいつでも行えますが、さし木や植え替えは生育初期の5月~7月が最適なのでこの時期に始めると失敗が少ないでしょう。
ベゴニアの水耕栽培の準備
ベゴニアのふやし方は、種、挿し木、葉挿しで増やすこともできます。水耕栽培するベゴニアは、木立ち性ベゴニアは挿し木、根茎性ベゴニアは葉挿しから始めます。水に挿して増やす水挿しで行います。また小さなポット苗から水耕栽培に移行することもできます。
木立性ベゴニアの挿し木の準備
挿し木に使う茎は、日当たりの良い場所で育った元気な若い茎を使いましょう。株の先端(天芽挿し)でも途中の部分の茎(管挿し)でも、行えますが葉芽のない茎は、根がでても新しい葉がでてこないので必ず葉芽がある茎を選びましょう。
- 茎の先を3~4節に切ります。
- 下の葉はすべてカットし、葉っぱは、蒸発を防ぐため半分ほどにハサミでカットしておきましょう
- 水に差す部分は、斜めにスパッと切っておきましょう。吸水性があがります。
根茎性ベゴニアの葉挿しの準備
挿し木に使う葉は、元気の良い若い葉を選びましょう。葉っぱを切って増やす方法もありますが、ここでは葉柄の部分から発根させます。
- 葉柄を2cmほど残して、カットします
- 水に差す部分は、斜めにスパッと切っておきましょう。吸水性があがります。
ポット苗から始める場合
ホームセンターや100均などで、ベゴニアの苗は手に入れることができます。ポット苗と呼ばれる小さなものから、水栽培を始めましょう。あまり大きなものは、水栽培にすると根からうまく水を取り込めずに枯れてしまう場合がありますので、その場合は挿し木や葉挿しから発根させて水栽培を始めましょう。
手順
- ベゴニアのポット苗は、事前にしばらく水やりをせず乾いた土の状態で始めます。
- ポットから苗を取り出し、根から土をほぐして落とします。
- 根を水でよく洗い土を落とします。園芸用のシャワーノズルなどがあればより根元の土を落とすことができます。
- 傷んだ根や、長すぎる根は清潔なハサミで切ります。日陰で切った根を乾かしておくと雑菌が入りにくくなります。
ベゴニアの挿し木・葉挿しの手順
それでは、準備できた挿し木(挿し穂)を使って水挿しの手順を説明します。水挿しでは発根させてから水耕栽培平行します。
準備するもの
- ベゴニアの挿し穂
- 透明な器(空き瓶やグラス・ペットボトルなどでもOK。ある程度の高さがあってドラセナを支えられるもの)
- メネデール(発根促進剤なくても可)
手順
- 容器に水(水道水)を入れます。メネデールを使う場合は100倍に希釈した水を使います。
- 剪定したベゴニアの挿し穂を入れます。2㎝~3㎝ほど水につかるまで入れます。
- 発芽するまで2~3日に1回に水は変えましょう。
- 風の当たらない明るい日陰や半日陰の室内で管理しましょう。1か月程度で新しい根が生えてきます。
- 根が十分に発根したら、そのまま水耕栽培やで育てるか土やハイドロボールなどに植え替えて育てましょう。
発根促進剤について
ベゴニアは、元気な茎で生育期であれば水だけでも発根しますが、発根を早くしたり太く丈夫で元気な根を促進させるために、発根促進剤も有効です。植物活力素 メネデールは、発根だけでなく肥料でも農薬でもないので、発根時以外の水栽培で元気がなくなったときなどにも使えます。水替えのときに発根するまで入れると効果的です。水替えの都度でなくとも、1週間に一度でも入れてあげる、また希釈率を200倍にしても効果はあります。
ベゴニアの水栽培の手順
土の代わりとなる培地も使わず、花瓶などで水と肥料だけで育てる方法です。
準備するもの
- 水挿しで発根したベゴニアの苗 or 土を洗い流したベゴニアの苗
- 容器(透明なガラスのほうが根の成長も見え水量も調整しやすい)
- 根腐れ防止剤(ミリオンA・ゼオライトなど)
手順
- 器の底に根腐れ防止剤をいれます。鉢底が隠れる程度OK
- 苗を入れます。
- 器に水道水を入れます。この時の水位は根が全部浸からない程度。3分の2が水に浸かっているぐらいがよいでしょう。せめて3㎝程度は空気に当ててください
- 水替えは1週間に一度程度行います。根腐れ防止剤を使わない場合は2~3日に一度は替えます。
ハイドロカルチャーへの植え替え
土を使わないで植物を育てる栽培方法を水耕栽培と言いますが、水耕栽培の中でも土の代わりに用土(培地)として、ハイドロコーン、ハイドロボールという丸い発泡煉石や、セラミス、ゼオライトなどを使用して栽培する方法をハイドロカルチャーと呼びます。水だけの栽培とは異なり、植物を固定し、根域の水分量の維持します。またインテリアとしてもハイドロカルチャーでの栽培は人気があります。
水栽培で育てたベゴニアは、水耕栽培で育てたいときには、ハイドロカルチャーに植え替えて育てるのもおすすめです。小さな苗や株分けした子株なども直接ハイドロカルチャーへ植え替える方法もありますが、土で育った根は水耕栽培にうまく移行できないことがあるため、できれば上記の水栽培で水耕栽培用の根を発根させてから移行させましょう。
準備するもの
- 水挿し、水栽培で発根したベゴニアの苗
- ハイドロボールなどの人工石(事前に水洗いしておく)
- ミリオンA・ゼオライトなどの根腐れ防止剤
- 底に穴がない鉢(透明な容器であれば水位がわかりやすくなります)
- 土入れ(小さな容器に植え付けるときはスプーンなどで代用可)
- ハサミ
- 割り箸等の棒状のもの
- この他、水やりをするじょうろや、ピンセットなどがあると便利です。水やりの失敗が少ない水位計もおすすめ
手順
- 底穴のない鉢に、根腐れ防止剤としてゼオライトを底が見えなくなる程度入れる
- ハイドロボールをゼオライトの上にいれます。
- アグラオネマの苗をハイドロボールの上に置き、根を広げます。
- 根と容器の間にハイドロボールを入れて固定します。
- 最後にじょうろで水やりを。水の量は容器の5分の1程度与えます。水位計を使っている場合は、最適水位(OPT)まで入れましょう。
ハイドロボールは使う前に一度洗っておきましょう。ハイドロカルチャーでの多肉植物の育て方の詳しい記事もあります。ハイドロカルチャ―の用土などにに興味のあるかたはお読みください。
ベゴニアの水耕栽培での育て方
置き場所、日当たり
ベゴニアは、風通しのよい明るい日陰を好みます。夏は直射日光を避け、それ以外はレースのカーテン越しの光が当たる場所で管理しましょう。
ベゴニアの生育適温は20℃~25℃。熱帯が原産地ですので耐寒性は強くありません。特に冬場は昼間は日差しの当たる窓辺に置いたままにしておくと、夜は気温が下がり寒くなります。夜間は部屋の中央に移動し、温度が10℃以下にならない場所で管理すれば冬越しは可能です。またエアコンの風は、葉が乾燥するため当てないようにしましょう。
水の量と交換時期
植物は葉や茎そして根からも酸素を吸収しています。水栽培で育てている場合は土やハイドロカルチャーに比べて、酸素が吸収しにくくなります。水の温度が上がると酸素の溶け込む量がすくなくなるため、弱って枯れてしまう可能性もあります。特に夏場は注意が必要です。
理想的な水栽培の水位は、根の半分から3分の2が浸かる程度。少なくとも根元3㎝は空気に触れるようにします。水はできれば2日~3日に1回、最低でも週に1回程度交換しましょう。気温が高くなると水が濁るので濁ったら、水を交換します。容器に苔がつくことがあります。水替えの時に容器も洗ってあげましょう。
ハイドロカルチャーの水やり
ハイドロカルチャーは、水を鉢の中に溜めて育てるます。ハイドロボールなどは外から乾いているようでも鉢の中側は湿っていることも多いです。生育期である春から夏は、鉢の中が乾いてから2日~3日ほど待ってから与えましょう。生育期には葉水も回数多く与えます。
水は鉢の5分の1まで、容器にもよりますが鉢底1cm程度で大丈夫です。水位計を使っている場合も同様に、水位計の針がmin(水切れ)まで下がってから2~3日ほど待ってから水をopt(適正水位)まで入れます。秋から水やりの回数を減らし、乾かし気味に育てましょう。
もし水を入れすぎてしまったら、鉢の上からタオルなどで押さえて、鉢を傾けて水を出しましょう。水耕栽培は新鮮な水を与えることが大切です。水をいれすぎると、根腐れのほかにも、水が腐る可能性もあります。
ハイドロカルチャーの水やりは意外と難しいので、水位計があると安心です
肥料
ハイドロカルチャーで育てるときには土から栄養をとれないため正しく肥料を与える必要があります。肥料は、粒上肥料や液体肥料(液肥)などがありますが、水耕栽培では水耕栽培用の肥料を使いましょう。
春から秋の生育期は、水やりの代わりに1か月に1度程度、液体肥料を与えます。ハイドロカルチャーでは容器に書いてある希釈量で薄め、さらに2倍の量で薄めたものを与えます。(あくまで目安)。肥料の上げすぎは枯れる原因にもなりますので、必ず希釈量を守りましょう。
野菜などの水耕栽培にもよく使われるのは、ハイポネックス微粉やハイポニカ液体肥料などがあります。
肥料は藻が発生しやすくなるので、観葉植物の場合は葉面散布することで葉や茎から栄養を補給する葉面散布用の肥料もおすすめ。住友化学園芸の「 MY PLANTS すばやく元気を届けるミスト」などがあります。ハイドロカルチャーには、肥料ではないですが、根腐れを防止し栄養剤としての効果がある「イオン交換樹脂栄養剤」や、薄めず使える活力剤なども使えます。
ハイドロカルチャーの肥料についての記事がありますので、肥料について興味のある方はお読みください。
花がら摘み
花が咲いた後は、花茎のつけ根の部分を切り取りましょう。落ちた花や花びらはそのままにしておくと、病気の原因にもなるので、拾って処分しておきましょう。
植え替え
ハイドロカルチャーは、育てていると周りにカビや藻などが生えてきます。また根が張って根詰まりを起こしているようなら、一回り大きな鉢に植え替えをしましょう。
ハイドロボールなどの資材は、洗って再利用することができます。再利用する場合はよく洗って日に当て乾かしてから使用します。
まとめ
ベゴニアの中でも、個性的な葉をもつ品種が多い根茎性ベゴニアは、直射日光が苦手で空中湿度を好むのでテラニウムなどにもよく使われています。さまざまな品種があるので、好みのベゴニアを見つけてぜひ水耕栽培で育ててください。花が良く咲くベゴニアは、栄養が必要なので肥料を与えて育てましょう。
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