バジルは種から育てるのも難しくはありませんが、さし木でも水に挿すだけで、簡単に増やすことができます。スーパーで売ってるバジルでも発根します。この記事では、バジルの水挿しから始める水耕栽培の手順や、育て方、収穫の方法などをわかりやすく説明します。
バジルの水挿し(挿し木)から始める水耕栽培
バジルは、さし木で増やすのが簡単です。スーパーなどで売られている生のバジルでも発芽できるので、料理で余ったバジルを使うこともできます。変わった品種などでも同じ品種が簡単に手にはいりますし、水に挿すだけでも簡単に発根します。
水栽培を始める時期
水栽培を始めるには植物の生育期がおすすめです。バジルの生育期は春~秋。発芽温度・生育適温は20℃~25℃程度です。種まきは4月~6月の春まき、9月の秋まきが適期です。さし木で始めるなら、6月~7月が適期です。
さし木の準備
バジルの苗から挿し木をする場合は、先端の弱い部分を避けて、硬く充実した茎の部分を使います。2~3節ほど節がのこっているようにするとよいでしょう。スーパーなどで買ったバジルも、葉の部分ではなく節があるものを選んでください。
一番上の葉だけ残し、下葉は切り落とします。一番上の葉が大きいようなら蒸散を防ぐために切り取ります。切り口は斜めにスパッときって断面を広げます。すぐに水に浸けるので先に器に水を入れておきましょう。
準備するもの
- 剪定した茎
- 透明な器(空き瓶やグラス・ペットボトルなどでもOK)
- メネデール(発根促進剤なくても可・あると発根の成功率が上がります)
発根促進剤について
生命力の強いバジルは、生育期であれば水だけでも発根しますが、発根を早くしたり太く丈夫で元気な根を促進させるために、発根促進剤も有効です。植物活力素 メネデールは、発根だけでなく肥料でも農薬でもないので、発根時以外の水栽培で元気がなくなったときなどにも使えます。水替えのときに発根するまで入れると効果的です。水替えの都度でなくとも、1週間に一度でも入れてあげる、また希釈率を200倍にしても効果はあります。
手順
- 容器に水(水道水)を入れます。メネデールを使う場合は100倍に希釈した水を使います。
- 準備したバジルの挿し木を入れます。
- 発芽するまで2~3日に1回に水は変えましょう。
- 1週間程度は明るい日陰で室内で管理しましょう。7日~10日程度で新しい根が生えてきます。
- 根が十分に発根したら、ハイドロカルチャーや水栽培(水耕栽培)で育てましょう。
ペットボトルで育てるバジルの水耕栽培(水栽培)の手順
根が十分に張ったら、水耕栽培に移行して育てます。ペットボトルとスポンジを使った簡単な方法です。株が少量であれば、最初からこのペットボトルとスポンジを使ってさし木して、根がでたら肥料を与えて育てることもできます。
ポット苗からも、土を良く洗い落としてから水耕栽培へ植え替えることも可能です。
準備するもの
- 水挿しで発根したバジル苗
- ペットボトル(大きい方が大きく育ちます)
- スポンジ(キッチンスポンジでOK。できればやわらかいもの。メラニンスポンジは不可)
- 水耕栽培用の肥料
手順
- 手順1ペットボトルの準備
ペットボトルの上部を7㎝~8㎝のところでカットします。キャップは、外しておきます。
- 手順2スポンジの準備
スポンジを、3㎝~4㎝程度に四角にカットし、中央に切り目をいれます。
- 手順3スポンジにバジルをセットする
スポンジに切り目をいれた部分に、バジルの茎をセットします。根が出ている場合は、根がスポンジの下からでるようにセットします。
- 手順4肥料を与える
肥料を与えて育てます。濃度は、使用する肥料によって異なりますので、肥料のラベルをよく読んで適合する濃度に薄めると良いでしょう。
培養液(肥料をいれた水)は3日1度は交換しましょう。
編集さん大きく成長するとペットボトルだけだと倒れる危険があります。陶器のコップなどの中にいれておくと、藻も防げて転倒を防ぐことができます。
- 手順5収穫する
挿し木から20日~25日ほどで収穫できます。枝の途中から収穫して脇芽を残すと、収穫量がふやせます。
- 手順6花芽を切る
花が咲くと、風味が落ちて葉が固くなります。花を利用しないのであれば、花穂は早めに切り取りましょう。
バジル水耕栽培 ハイドロボールへの植え替え
土を使わないで植物を育てる栽培方法を水耕栽培と言いますが、水耕栽培の中でも土の代わりに用土(培土)として、ハイドロコーン、ハイドロボールという丸い発泡煉石を使用したり、ゼオライトを使用して栽培する方法をハイドロカルチャーと呼びます。水だけの栽培とは異なり、植物を固定することもでき、根域の水分量の維持をすることもでき、またインテリアとしてもハイドロカルチャーでの栽培は人気があります。
バジルは生育旺盛なので、草丈が大きくなります。ペットボトルだけだとバランスが崩れて倒れる可能せいもあるため、ハイドロカルチャーでの水耕栽培がおすすめです。
準備するもの
- 水挿しで発根したバジルの苗
- ハイドロボールなどの人工石(事前に水洗いをしておく)
- ミリオンA・ゼオライトなどの根腐れ防止剤
- 底に穴がない鉢(透明な容器であれば水位がわかりやすくなります)
- 土入れ(小さな容器に植え付けるときはスプーンなどで代用可)
- 割り箸等の棒状のもの
- この他、水やりをするじょうろなどがあると便利です。水やりの失敗が少ない水位計もおすすめ
手順
- 底穴のない鉢に、根腐れ防止剤としてゼオライトを底が見えなくなる程度入れる
- ハイドロボールをゼオライトの上にいれます。
- バジルの苗をハイドロボールの上に置き、根を広げます。
- 根と容器の間にハイドロボールを入れて固定します。
- 最後にじょうろで水やりを。水の量は容器の6分の1程度与えます。水位計を使っている場合は、最適水位(OPT)まで入れましょう。
ハイドロカルチャーでの多肉植物の育て方の詳しい記事もあります。ハイドロカルチャ―の用土などにに興味のあるかたはお読みください。
バジルの水耕栽培の育て方
バジルの特徴
植物の栽培をするうえで、その植物の特徴を知っておくことは大切です。自生地や生育期などを知ればその植物がどのような環境で育てると枯れずに育つのかわかってきます。
熱帯アジアが原産のため、暑さには強いですが寒さには弱く、多年草ですが日本では冬越しをしない一年草とされています。春から夏にかけて生育が旺盛で、害虫も付きにくく、病気も少ない栽培しやすいイタリアンハーブです。
品種は、一般的にはバジルと呼ばれて流通しているものは、スイートバジルです。この他にも最近は、レモンバジル、タイバジル、ダークオパールバジルなども流通しています。
栄養価も高く、カリウムやカルシウム、βカロチンなどを豊富に含み、体を温め元気を回復するハーブとしても知られています。露地栽培や鉢植えの他水を好むため、水耕栽培でも育てることができます。
学名 | Ocimum basilicum |
属名 | シソ科メボウキ属(オキウム属) |
原産地 | 熱帯アジア、インド |
樹高 | 30cm~90cm |
生育適温 | 20℃~25℃ |
耐寒性等 | 耐寒性 弱い 耐暑性 強い |
花言葉 | 「神聖」「好意」「好感」「何という幸運」 |
置き場所、日当たり
バジルは、日当たりの良い風通しの良い場所を好みます。ただし夏の直射日光に当てると、水耕栽培の場合は水の温度が上がりすぎることがあります。また葉が固くなるので半日陰で育てましょう。
高温性のハーブのため、15℃以下になると生育が悪くなります。室内であれば秋ごろまで収穫を楽しむことができます。なるべく窓際に置いて日に当てて育てましょう。
水の量と交換時期
植物は葉や茎そして根からも酸素を吸収しています。水栽培で育てている場合は土やハイドロカルチャーに比べて、酸素が吸収しにくくなります。水の温度が上がると酸素の溶け込む量がすくなくなるため、弱って枯れてしまう可能性もあります。特に夏場は注意が必要です。
理想的な水栽培の水位は、根の半分から3分の2が浸かる程度。少なくとも根元3㎝は空気に触れるようにします。水は週に1回程度、ただし気温が高くなると水が濁るので濁ったら水を交換します。容器に苔がつくことがあります。水替えの時に容器も洗ってあげましょう。
ハイドロカルチャーの水やり
ハイドロカルチャーは、水を鉢の中に溜めて育てます。ハイドロボールなどは外から乾いているようでも鉢の中側は湿っていることも多いです。生育期である春から秋は、鉢の中が乾いてから2日~3日ほど待ってから与えましょう。
水は鉢の6分の1まで、容器にもよりますが鉢底1cm程度で大丈夫です。水位計を使っている場合も同様に、水位計の針がmin(水切れ)まで下がってから2~3日ほど待ってから水をopt(適正水位)まで入れます。
もし水を入れすぎてしまったら、鉢の上からタオルなどで押さえて、鉢を傾けて水を出しましょう。水耕栽培は新鮮な水を与えることが大切です。水をいれすぎると、根腐れのほかにも、水が腐る可能性もあります。
ハイドロカルチャーの水やりは意外と難しいので、水位計があると安心です
肥料
収穫を楽しむバジルの水耕栽培は、土から栄養がとれないため水耕栽培専用の肥料を使って育てます。水の交換のときか、ハイドロカルチャーの場合は水やりのときに水代わりに規定量より薄めて使います。肥料を使うと藻が発生しやすいので、水草用の肥料もおすすめです。
水栽培やハイドロカルチャーに使える肥料は、ハイポネックスやハイポニカ液体肥料などがあります。
使い方や、肥料の違いなどは下記の記事も参考にしてください。
バジルの水耕栽培 おしゃれに飾るポイント
キッチンハーブは、容器などにこだわるとおしゃれな観葉植物の変わりになります。
水耕栽培は水位がわかるように透明な容器を使った方が、水の管理がしやすいので、空き瓶や花瓶などを使って飾ります。水の中にビー玉やおはじきなどをいれて、涼し気に飾ることもできます。
透明な容器は藻が生えやすいので、アルミホイルなどを巻きますが、見た目がちょっとという方には、ペットボトルカバーや、お気に入りのバンダナなどを巻き付けるのもおすすめです。
またハイドロカルチャーでの栽培は、カラーゼオライトやハイドロボールを使うと、それだけでおしゃれなインテリアにもなります。100均などでも手に入るのでいろいろと工夫してみてください。
種から育てたい場合や100均グッヅなどについては、100均で始めるバジル栽培の記事も参考にしてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。ここまでバジルの水挿しで始める水耕栽培について説明してきました。バジルなどのハーブは、少量で香りづけになるのですこしづつ収穫できる水耕栽培がおすすめ。たくさん収穫するできたら、ジェノベーゼなどにしても楽しめます。
やはり採りたてのハーブは香りが違います。水栽培は、土や病気の心配も少なく手入れも簡単です。初心者の方でも思いついたら、水とペットボトル・空き瓶などの器があればすぐ始められる栽培方法で、ハーブなどは収穫も楽しめます。料理などで余ったバジルがあれば、水挿しから始めてみませんか。
種まきから育てられる栽培キットなども、便利です。
その他の水耕栽培のコンテンツ
ハーブの水耕栽培はバジルの他に、アロマティカス、イタリアンパセリ、大葉(しそ)、クレソン、ディル、パクチー、三つ葉、ミント、ラベンダー、ルッコラ、ローズマリーの育て方の記事があります。下記の記事から、それぞれのコンテンツにアクセスすることができます。
ハーブの他にも、収穫して楽しめるレタスやニンニクなどの野菜の他に、ポトスやパキラなどの観葉植物、サボテンやエケベリア、ハオルチアなどの多肉植物、ヒヤシンスやチューリップなどの球根の水耕栽培の記事もあります。