繊細な葉が美しいアスパラガスは、丈夫で育てやすいので水耕栽培にもおすすめの観葉植物です。ここではアスパラガスの水耕栽培について、株分けからの始める水耕栽培の手順や、ハイドロカルチャーへの植え替え、育て方についてわかりやすく説明します。
水耕栽培とは
水耕栽培は、土を使わず「水で栽培をする方法」を指します。水耕、水栽培などとも呼ばれます。水耕栽培は、観葉植物だけでなく、野菜や果物などのさまざまな植物を衛生的に育てることができます。
プロの農家だけでなく、家庭園芸や家庭菜園でも人気の方法で、室内やベランダで収穫野菜を楽しんだり、栽培キットなども販売されています。
ハイドロカルチャーも土を使わず「水で栽培をする方法」の一つです。土の代わりにハイドロボールなどの無菌の培土を使い、育てます。水だけで育てるより、植物を固定することができ、空気の層があるため根が育ちやすいという特徴があります。観葉植物によく使われています。
アスパラガスの苗の準備
水耕栽培を始める前に、まずはアスパラガスの苗を準備しましょう。
株分けの手順
アスパラガスは、生育が早いので1年に1度は植え替えが必要です。植え替え時に株分けした苗を使って、水耕栽培を始めましょう。
- 植え替える鉢植えのアスパラは、事前にしばらく水やりをせず乾いた土の状態で始めます。
- 鉢からカラテアを取り出し、古い土を3分の1ほど落とします。
- 貯水根をつけたまま、ハサミなどで株を割ります。
- 水栽培に使う株は、根を流水でよく洗い土を落とします。
- 傷んだ根や、長すぎる根は清潔なハサミで切ります。日陰で切った根を乾かしておくと雑菌が入りにくくなります。
植え替えの手順
小さな苗であれば、株分けせずそのまま植え替えます。
- 植え替える鉢植えのアスパラは、事前にしばらく水やりをせず乾いた土の状態で始めます。
- 鉢からを取り出し、根から土をほぐして落とします。
- 根を流水でよく洗い土を落とします。
- 傷んだ根や、長すぎる根は清潔なハサミで切ります。日陰で切った根を乾かしておくと雑菌が入りにくくなります。
アスパラガスの水耕栽培の手順
水耕栽培の始め方と時期
アスパラガスの水耕栽培は株分けか、小さな苗であれば植え替えから始めます。株が大きいものを土から水耕栽培に植え替えると、うまく根付かないこともあるので、できれば株分けして複数作ると安心です。
水耕栽培を始めるには植物の生育期がおすすめ。アスパラガスの生育期は4月~10月です。できれば生育初期の4月~5月が適期です。生育期であればいつでも行えますが、真夏は避けて9月までに行うとよいでしょう。
準備するもの
- 根を水洗いしたアスパラガスの苗
- 容器(透明なガラスのほうが根の成長も見え水量も調整しやすい)
- 根腐れ防止剤(ミリオンA・ゼオライトなど)
手順
- 器の底に根腐れ防止剤をいれます。鉢底が隠れる程度OK
- 苗を入れます。
- 器に水道水を入れます。この時の水位は根が全部浸からない程度。3分の2が水に浸かっているぐらいがよいでしょう。せめて3㎝程度は空気に当ててください
- 水替えは1週間に一度程度行います。根腐れ防止剤を使わない場合は2~3日に一度は替えます。
- 新しい根がでるまでは、半日陰で管理し、こまめに葉の両面に葉水をあたえましょう。
ハイドロカルチャーへ植え替え
土を使わないで植物を育てる栽培方法を水耕栽培と言いますが、水耕栽培の中でも土の代わりに用土(培土)として、ハイドロコーン、ハイドロボールという丸い発泡煉石を使用したり、ゼオライトを使用して栽培する方法をハイドロカルチャーと呼びます。水だけの栽培とは異なり、植物を固定することもでき、根域の水分量の維持をすることもでき、またインテリアとしてもハイドロカルチャーでの栽培は人気があります。
培土を使わず水だけで育てることも、ある程度の大きさまでであれば可能ですがベンジャミンは、背丈が大きくなるためハイドロカルチャーでの栽培がおすすめです。水耕栽培にこだわらないのであれば、土に植え替えたほうが大きく成長します。
準備するもの
- 水耕栽培で発根したアスパラガスの苗
- ハイドロボールなどの人工石
- ミリオンA・ゼオライトなどの根腐れ防止剤
- 底に穴がない鉢(透明な容器であれば水位がわかりやすくなります)
- 土入れ(小さな容器に植え付けるときはスプーンなどで代用可)
- 割り箸等の棒状のもの
- この他、水やりをするじょうろなどがあると便利です。水やりの失敗が少ない水位計もおすすめ
手順
- 底穴のない鉢に、根腐れ防止剤としてゼオライトを底が見えなくなる程度入れる
- 水位計を使う場合は、水位計を垂直に立ててハイドロボールを入れて安定させます。
- ハイドロボールをゼオライトの上に鉢底から3分の1ほどいれます。
- 苗をハイドロボールの上に置き、根を広げます。
- ハイドロボールをさらに追加し、根と容器の間に割り箸などでつついてハイドロボールを入れて固定します。
- 最後にじょうろで水やりを。水の量は容器の5分の1程度与えます。水位計を使っている場合は、最適水位(OPT)まで入れましょう。
アスパラガスの水耕栽培での育て方
アスパラガスの基本情報
観賞植物のアスパラガスは、野菜のアスパラガスとは別の種類です。葉のように見えるのは仮葉で、葉が退化して茎に密着した枝が変化したもので、「葉状茎」といいます。観賞用の品種はいくつかあり、葉の形は変化に富み、斑入り品種もあります。
根の一部に球状の多肉質の根茎があるため、水分を貯めることができます。生育が旺盛で、すぐ鉢がいっぱいになるため、株分けをして増やします。耐陰性もある程度ありますが、本来は日光を好みます。日照不足になると、生育がわるくなったり、葉がぱらぱらと落ちてしまうことがあります。強い直射日光は苦手なので、明るい室内でそだてるとよいでしょう。
学名 | Asparagus |
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科名 | ユリ(キジカクシ)科 |
原産地 | 南アフリカ |
樹高 | 10~300cm |
耐寒性等 | 耐寒性 普通 耐暑性 強い |
花言葉 | 「何も変わらない」「普遍」「私が勝つ」 |
アスパラガスの品種
品種 | アスパラガス スプレンゲリー | アスパラガス スマイラックス | アスパラガス ナナス | アスパラガス ミリオグラタス |
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概要 | ||||
特徴 | 和名スギノハカズラ 緑色の茎が幹が垂れるほど長く成長する。 | アスパラガスでは、めずらしい光沢のあるハート形の葉を持ち、トゲがない。 ブライダルブーケによく使われる | 和名シノブボウキ 細かい葉が平面状に広がる | メイリー、メリーとも呼ばれる 木のような茎に、緑色の葉がキツネの尾っぽのように茂る。 |
容器
水栽培は、透明な容器であれば根も観察できます。コップや空き瓶、花瓶などを使って育てるのがおすすめです。ただし、肥料を与えると藻が発生しやすいので注意しましょう。
ハイドロカルチャーでは、穴が開いていない容器ならどんな器でも植え付けが可能です。水位計がない場合には水位がわからないため透明な容器を使いましょう。
ハイドロカルチャー専用の栽培ポットもあります。内鉢にハイドロカルチャー専用の栽培ポットに植え付けしてから、お気に入りの外鉢に植え付けると水位計がセットする場所もあり、植え替え時も簡単です。水やりが心配な人は、自動給水鉢などもあります。
栽培環境
基本は風通しの良い、明るい室内に置きましょう。窓辺などが適しています。
アスパラガスは、日光を好みますが耐陰性もある程度あります。日当てないと葉がパラパラと落ちたり生育が悪くなることがあります。真夏を除いて生育期は、日が当たる場所で育てましょう。強い直射日光が苦手なので夏は明るい日陰で管理するとよいでしょう。
耐寒性はそれほど弱くありません。耐寒温度3℃以上なので冬越しは室内であれば可能です。ただし寒さで葉が落ちることがあります。生育を続けるのであれば15℃以上で管理しましょう。
水やり・水の交換
植物は葉や茎そして根からも酸素を吸収しています。水栽培で育てている場合は土やハイドロカルチャーに比べて、酸素が吸収しにくくなります。水の温度が上がると酸素の溶け込む量がすくなくなるため、弱って枯れてしまう可能性もあります。特に夏場は注意が必要です。
理想的な水栽培の水位は、根の半分から3分の2が浸かる程度。少なくとも根元3㎝は空気に触れるようにします。水は週に1回程度、ただし気温が高くなると水が濁るので濁ったら水を交換します。容器に苔がつくことがあります。水替えの時に容器も洗ってあげましょう。
アスパラガスは根の一部に貯水根があり、水分を貯めることができます。そのため乾燥には強いですが、空気が乾燥しやすい冬は、葉水を与えて空中湿度を上げてあげるとよいでしょう。葉水は冬は暖かい昼間に与えます。
ハイドロカルチャーの水やり
植物は、生育期と休眠期で水やりの量を変える必要があります。ハイドロカルチャーでもそれは同じです。アスパラガスは、春から秋は生育期で、冬は休眠期です。
ハイドロカルチャーは、水を鉢の中に溜めて育てるので通常の観葉植物でも、水がなくなってから2日~3日ほど待って水やりをします。生育期には、水やりはハイドロボールなどは外から乾いているように見えても、鉢の中側は湿っていることも多いので、3日~5日ほど待ってから与えましょう。水は鉢の5分の1まで、容器にもよりますが鉢底1cm程度で大丈夫です。
水位計を使っている場合も同様に、水位計の針がmin(水切れ)まで下がってから3~5日ほど待ってから水をopt(適正水位)まで入れます。休眠期は、月に1~2回、霧吹きで水を上げる葉水で行います。冬でも15℃以上を保てる場合は通常通りの水やりをしましょう。
もし水を入れすぎてしまったら、鉢の上からタオルなどで押さえて、鉢を傾けて水を出しましょう。水耕栽培は新鮮な水を与えることが大切です。水をいれすぎると、根腐れのほかにも、水が腐る可能性もあります。
肥料
ハイドロカルチャーで育てるときには土から栄養をとれないため正しく肥料を与える必要があります。肥料は、粒上肥料や液体肥料(液肥)などがありますが、水耕栽培では水耕栽培用の肥料を使いましょう。
春から秋の生育期は、水やりの代わりに1か月に1度程度、液体肥料を与えます。容器に書いてある希釈量で薄め、さらに2倍の量で薄めたものを与えます。(あくまで目安)。肥料の上げすぎは枯れる原因にもなりますので、必ず希釈量を守りましょう。
水栽培やハイドロカルチャーに使える肥料は、ハイポネックスやハイポニカ液体肥料などがあります。肥料は藻が発生しやすくなるので、観葉植物の場合は葉面散布することで葉や茎から栄養を補給する葉面散布用の肥料もおすすめ。住友化学園芸の「 MY PLANTS すばやく元気を届けるミスト」などがあります。
ハイドロカルチャーの肥料についての記事がありますので、肥料について興味のある方はお読みください。
剪定
生育旺盛はアスパラガスは、成長すると姿が崩れたり、茎が古くなると葉が落ちたりするので仕立て直しをしましょう。
生育期の4月~10月ならいつでも剪定できます。伸びた部分を切って姿を整えてもよいですが、株元からおもいきってすべて切って、新芽をださせると株を更新できます。剪定した茎は飾ることもできます。
植え替え
ハイドロカルチャーは、育てていると周りにカビや藻などが生えてきます。また根が張って根詰まりを起こしているようなら、一回り大きな鉢に植え替えをしましょう。
ハイドロボールなどの資材は、洗って再利用することができます
まとめ
アスパラガスは、切り花の添え葉や花嫁のブーケにも使われる人気の観葉植物です。丈夫で育てやすいので、初心者の方にもおすすめです。株が古くなると種もよくできるので、タネからも育てることができます。小さな鉢植えも1年もたてば株分けできるように大きくなるので、ぜひ水耕栽培でも育ててみてください。
また園芸店でもネットでもハイドロカルチャーの苗を見かけるので、そちらから始めるのもよいでしょう。
野菜のアスパラガスは、土に植えると何年も収穫が楽しめる野菜です。多年草の野菜は手間がかかるため、水耕栽培にはあまり向いていないのでプランターなどで育てるとよいでしょう。
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