アロマティカスはハーブとしてはもちろん、ベルベットのようなふんわりした丸い葉が観葉植物としても人気があります。ここでは水挿しから始めるアロマティカスの水耕栽培の手順や、ハイドロカルチャーへの植え替え、育て方をわかりやすく説明します。
アロマティカスの水耕栽培のポイント
水耕栽培とは、土を使わず培養液(肥料分を含んだ水)で、野菜や草木を栽培する方法です。土の変わりにハイドロボールやゼオライトなどの培土を使った栽培も水耕栽培の一種でハイドロカルチャーと呼ばれます。水耕栽培で育てる場合には、土から栄養をとれないため水耕栽培で使える液体肥料を使って育てる必要があります。
家庭などで水耕栽培で育てやすいのは、大葉やバジルなどのハーブやリーフレタスなどの葉物野菜があげられます。多肉植物は過湿を嫌うため水耕栽培で育てられないのではと思われる方もいるかもしれませんが、水の管理をきちんと行えば水耕栽培でも育てることが可能です。しかし土の栽培の方が容易です。たくさん収穫して大きく育てたいという方には土の栽培をおすすめします。
アロマティカスの水耕栽培は、挿し木、株分け、苗から始められます。おすすめは挿し木です。土で育った苗の根は、水耕栽培にうまく移行できない可能性があります。挿し木が成功した後に、株分けした苗なども水耕栽培に移行すれば、全滅を防ぐこともできます。
アロマティカスの水挿しの方法
挿し木を水栽培(水挿し)で発根させる方法を説明します。
さし木の準備
アロマティカスは、生長が早いので切り戻しをした茎をつかって挿し穂とすることもできます。挿し木にする茎は、日によく当たって元気のよい茎を使いましょう。葉先から6㎝~7㎝ほどの部分をハサミでカットします。
切り取った茎は、下の2節~3節の部分の葉を落とします。切り口は斜めにカットしておきます。切り口が湿ったままだと病原菌が発生する恐れがあります。切り口を2日~3日ほど日陰で乾燥させておきます。
準備するもの
- アロマティカスの茎
- 口がすぼまっている瓶など
- 水道水
- メネデール(発根促進剤なくても可・あると発根の成功率が上がります)
手順
- 容器に水(水道水)を入れます。メネデールを使う場合は100倍に希釈した水を使います。
- 瓶に準備したアロマティカスの挿し木を入れます。水位は、アロマティカスの切り口がギリギリ水に浸かる程度です。
- 発芽するまで2~3日に1回に水は変えましょう。
- 1週間程度は明るい日陰で室内で管理しましょう。7日~10日程度で新しい根っこが生えてきます。
- 根が十分に発根したら、ハイドロカルチャーや土に植え替えして育てましょう。
発根促進剤について
生命力の強いアロマティカスは、生育期であれば水だけでも発根しますが、発根を早くしたり太く丈夫で元気な根を促進させるために、発根促進剤も有効です。植物活力素 メネデールは、発根だけでなく肥料でも農薬でもないので、発根時以外の水栽培で元気がなくなったときなどにも使えます。水替えのときに発根するまで入れると効果的です。水替えの都度でなくとも、1週間に一度でも入れてあげる、また希釈率を200倍にしても効果はあります。
ハイドロカルチャーへ植え替え
土を使わないで植物を育てる栽培方法を水耕栽培と言いますが、水耕栽培の中でも土の代わりに用土(培土)として、ハイドロコーン、ハイドロボールという丸い発泡煉石を使用したり、ゼオライトを使用して栽培する方法をハイドロカルチャーと呼びます。水だけの栽培とは異なり、植物を固定することもでき、根域の水分量の維持をすることもでき、またインテリアとしてもハイドロカルチャーでの栽培は人気があります。
水栽培で育てていてもある程度の大きさになったらハイドロカルチャーに植え付けして栽培するのがおすすめです。
準備するもの
- 水挿しで発根したアロマティカスの苗
- ハイドロボールなどの人工石
- ミリオンA・ゼオライトなどの根腐れ防止剤
- 底に穴がない鉢(透明な容器であれば水位がわかりやすくなります)
- 土入れ(小さな容器に植え付けるときはスプーンなどで代用可)
- 割り箸等の棒状のもの
- この他、水やりをするじょうろなどがあると便利です。水やりの失敗が少ない水位計もおすすめ
手順
- 底穴のない鉢に、根腐れ防止剤としてゼオライトを底が見えなくなる程度入れる
- ハイドロボールをゼオライトの上にいれます。
- アロマティカスの苗をハイドロボールの上に置き、根を広げます。
- 根と容器の間にハイドロボールを入れて固定します。
- 最後にじょうろで水やりを。水の量は容器の6分の1程度与えます。水位計を使っている場合は、最適水位(OPT)まで入れましょう。
アロマティカスのハイドロカルチャーの育て方
アロマティカスの特徴
栽培を始める前に、アロマティカスのことを知っておきましょう。植物を育てるときに、植物のルーツや自生する環境などを知ると、植物がどんな環境を好むか知ることができ栽培しやすくなります。
アロマティカスは、インドから南アフリカが原産といわれ暑さに強く、寒さには弱いハーブです。ぷっくりした葉からわかるように、多肉植物の仲間で水分を葉や茎に蓄えることができるため、乾燥気味に育てるのがポイントです。
丈夫で成長が早く、増やすもの簡単です。葉はミントの香りがするのでハーブティーやサラダなどに使うことができます。日当たりを好みますが、半日陰でも育ちます。多年生ですが寒さには弱いので5℃以下にならない環境で冬越しさせます。
学名 | Plectranthus amboinicus |
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属名 | セリ科プレクトランサス属 |
原産地 | インド、アフリカ南部、東部 |
草丈 | 5㎝~30㎝ |
生育適温 | 20℃~30℃ |
耐寒性等 | 耐寒性 弱い 耐暑性 強い |
栽培環境
基本は風通しの良い、明るい室内に置きましょう。窓辺などが適しています。ガラスの鉢で育てている場合は、夏の直射日光はガラス越しの光で中の温度が上がってしまう心配や葉焼けすることも。
アロマティカスは半日陰でも育ちますが、日当たりの良い場所を好みます。日当てないとヒョロヒョロと徒長してしまうこともあります。できるだけ日の当たる場所で育てましょう。
寒さが苦手なアロマティカスは、冬は窓辺に置いておくと夜間に急激に寒くなりますので、窓辺から部屋の中央に移してあげましょう。冬は5℃以下にならないようにして冬越します。
水やり
多肉植物は、生育期と休眠期で水やりの量を変える必要があります。ハイドロカルチャーでもそれは同じです。夏型のアロマティカスは、春から秋は生育期で、冬は休眠期です。
ハイドロカルチャーは、水を鉢の中に溜めて育てるので通常の観葉植物でも、水がなくなってから2日~3日ほど待って水やりをします。生育期には、水やりはハイドロボールなどは外から乾いているように見えても、鉢の中側は湿っていることも多いので、3日~5日ほど待ってから与えましょう。水は鉢の6分の1まで、容器にもよりますが鉢底1cm程度で大丈夫です。
水位計を使っている場合も同様に、水位計の針がmin(水切れ)まで下がってから3~5日ほど待ってから水をopt(適正水位)まで入れます。休眠期は、月に1~2回、霧吹きで水を上げる葉水で行います。
もし水を入れすぎてしまったら、鉢の上からタオルなどで押さえて、鉢を傾けて水を出しましょう。水耕栽培は新鮮な水を与えることが大切です。水をいれすぎると、根腐れのほかにも、水が腐る可能性もあります。
肥料
ハイドロカルチャーで育てるときには土から栄養をとれないため正しく肥料を与える必要があります。肥料は、粒上肥料や液体肥料(液肥)などがありますが、ハイドロカルチャーに最適な肥料は液体肥料です。
それぞれの生育期に、水やりの代わりに1か月に1度程度、液体肥料を与えます。容器に書いてある希釈量で薄め、さらに2倍の量で薄めたものを与えます。(あくまで目安)。肥料の上げすぎは枯れる原因にもなりますので、必ず希釈量を守りましょう。
水栽培やハイドロカルチャーに使える肥料は、ハイポネックスやハイポニカ液体肥料などがあります。
ハイポネックスにはハイドロカルチャー用の液体肥料もあります。ハイドロカルチャーの肥料についての記事がありますので、肥料について興味のある方はお読みください。
剪定
アロマティカスは、生長が早く茎が伸びると倒れてしまうこともあります。また過湿が苦手なアロマティカスは、株が込み入ると株元に光が当たらなくなり生育が悪くなってしまう可能性があります。
まめに収穫して、株姿を整えましょう。ヒョロヒョロと徒長した茎は、元には戻らないので根元から切ってしまって構いません。
植え替え
ハイドロカルチャーは、育てていると周りにカビや藻などが生えてきます。また根が張って根詰まりを起こしているようなら、一回り大きな鉢に植え替えをするか、株分けをします。
ハイドロボールなどの資材は、洗って再利用することができます。再利用する場合はよく洗って日に当て乾かしてから使用します。
ハイドロカルチャーでの多肉植物の育て方の詳しい記事もあります。ハイドロカルチャ―の用土などにに興味のあるかたはお読みください。
まとめ
ゴキブリを寄せ付けにくくなる虫除けのハーブとして、テレビで紹介されたこともあるアロマティカス。ハイドロカルチャーは土のように部屋が汚れなく、害虫も寄り付きにくいことから人気があります。
土で育てる場合も、根が深く張らないので浅い鉢で育てることができます。長く育てていると株元から茎が木のようになります(木質化)します。土や水に挿しておくだけでも発根するので、新芽から新な株を作って育てるとよいでしょう。アロマティカスの花言葉は「友情」「鎮静」なのでプレゼントとしてもおすすめです。
その他の水耕栽培のコンテンツ
ハーブの水耕栽培はアロマティカスの他に、イタリアンパセリ、大葉(しそ)、クレソン、ディル、パクチー、バジル、三つ葉、ミント、ラベンダー、ルッコラ、ローズマリーの育て方の記事があります。下記の記事から、それぞれのコンテンツにアクセスすることができます。
『農家web』にはこのほかにも、水耕栽培のコンテンツが豊富です。観葉植物だけでなく、多肉植物や花を楽しむ球根、ハーブの他野菜も収穫を楽しめます。
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