南国のトロピカルな雰囲気をもつアンスリウムは、観葉植物として、モンステラやパキラと並んで人気があります。ここでは、アンスリウム栽培の肥料時期、与え方、おすすめの肥料を中心に栽培のポイントについて説明します。
アンスリウムの肥料時期と肥料の与え方
アンスリウムの肥料はいつ、どれくらいあげればいいのでしょうか。下記にアンスリウムの鉢植えの一般的な肥料をやる時期と頻度について、基本的な考え方を説明します。
肥料の時期
肥料は基本的に植物の生育期に与えます。アンスリウムの生育期は、春から秋まで続きます。肥料時期は5月~10月頃まで肥料をきらさずに育て、冬は休眠するため肥料は与えません。
季節ごとの肥料の与え方
- 春
成長期です。固形や粒上の緩効性肥料を施します。
5月頃から開花が始まり10月頃まで楽しむことができます。根は多湿を嫌いますが、葉は湿気を好みますので、毎日霧吹きで湿度を保ちましょう。
- 夏
夏も成長期・開花時期です。春と同様に緩効性肥料を追肥します。耐暑性はふつうですが、真夏の直射日光に当てると葉焼けしますので室外の半日陰かカーテン越しの半日陰で管理します。
- 秋
10月頃までは成長期・開花期です。夏同様に春と同様に緩効性肥料を追肥します。耐寒性は弱いので、15℃以下になったら室内で管理します。
- 冬
休眠期です。肥料は必要ありません。乾燥気味に管理しましょう。ただし冬場室内でエアコンによる暖房で乾燥が強い時には、葉水を与えます。10℃以下になると枯れてしまうこともありますのでなるべく15℃以下にならない場所で管理します。
アンスリウムにおすすめの肥料とは
アンスリウムに適した肥料は、生育期が長く続くのでゆっくりと効果の続く緩効性肥料がよいでしょう。肥料成分は、三要素(チッソ、リン酸、カリ)が均等に含まれた肥料か、窒素分の多い肥料がよいでしょう。
勘違いしやすいですが、アンスリウムの赤色やピンク色に着色するのは花ではなく、葉が変形した仏炎苞(ぶつえんほう)と呼ばれる部分で、葉を花として鑑賞しているため、花用の肥料よりも窒素分が多い、観葉植物用の肥料がおすすめです。
肥料の種類・成分・名前などの基礎知識を知りたいかたはこちらで詳しく説明しています。
アンスリウムにおすすめの緩効性肥料 3選
プロミック 観葉植物用
プロミックは、ハイポネックスが販売する錠剤タイプの緩効性肥料です。追肥として使います。鉢の縁においておくだけで、水やりのたびに肥料分が流れ出て効果が2ヵ月続きます。プロミックにはいくつか種類がありますが、アンスリウムには観葉植物用がおすすめです。N-P-K=10-8-8とチッソ(N)が多く、化成肥料なので臭いなどの心配もありません。
マイガーデン 植物全般用
マイガーデンは、栄養分を効率よく吸収させるすぐれた腐植酸入り緩効性肥料として特許を取得しており、土の活力を高める効果もあります。元肥、追肥に使える粒剤で肥料効果が2~3か月続きます。
N-P-K=11-11-7と肥料成分が多く配合されていますが、樹脂コーディングのため、肥料が直接根に触れても肥料やけしないのが特長です。マイガーデンにはいくつか種類がありますが、アンスリウムには植物全般用がおすすめです。
花ごころ グリーンそだちEX IBのチカラ
花ごころの「IBのチカラ グリーンそだちEX」は、花にも野菜にも使用できる肥料です。N-P-K=10-10-10であり、バランス良く配合されています。花ごころは、バラや花に効く肥料を中心に様々な商品を販売しています。
IBとは、イソブチルアルデヒド縮合尿素(IBDU)を配合した肥料のことで、とてもゆっくり溶け、流れ出るため植物の根に優しく、肥料成分が無駄なく吸収される特性があります。
アンスリウムには追肥として1ヵ月に1度与えます。
アンスリウムにおすすめの液体肥料(液肥)
アンスリウムには緩効性化成肥料が手間かからずおすすめですが、液体肥料でも育てることができます。液体肥料とは液肥(えきひ)とも呼ばれ、液状になった肥料で、原液を水で希釈して使うタイプとそのまま使用するストレートタイプがあります。
液体肥料はほとんどが速効性の肥料のため、長く効果が続かないため、単体で使う場合は、1週間~10日ごとに水やり代わりに肥料を与えます。緩効性肥料などを使い、葉が黄色くなるなどの肥料不足を補うために使うこともあります。
アンスリウムには、観葉植物用の肥料を使うとよいでしょう。原液タイプがコスパがよいですが、ストレートタイプは希釈の手間が不要です。
防ぎたい!肥料にまつわるトラブルあれこれ
肥料のやりすぎ
一般的には、花に家庭菜園のようなペースで肥料をやると、やりすぎになってしまい、窒素過多になるとつるぼけし、また肥料焼けを起こします。肥料やけを起こすと、植物が弱々しくなり、最悪枯れてしまいます。肥料のやり過ぎにはくれぐれも注意してください。
同じく、水をやりすぎて根が腐って草花を枯らしてしまったり、根詰まり、またカビが生えたりしてしまうことがあります。水はけが悪い用土や、水が常に鉢などの容器に満たされた状態で風通しの悪い所に放置すると起こりやすいため、下記のことを心がけて育ててください。
- 水切れして、土の表面が乾いてから水を与えるようにする
- 風通し、日当たりの良い場所に植物を置くようにする
肥料は絶対混ぜないで!
よくある失敗として、いろいろな肥料を混ぜて高い栄養素の肥料を作り与えようとしてしまうことが挙げられます。肥料を混ぜると化学反応を起こし、植物自体に被害が出るだけでなく、有害物質・ガスが発生したりと、大きな事故につながる危険性があります。くれぐれも、肥料同士を原液で混ぜることはしないでください。
アンスリウム栽培のポイント
アンスリウムの基礎知識
アンスリウムは、和名をオオベニウチワ(大紅団扇)といい、西インド諸島から熱帯アメリカに自生している常緑多年草の植物です。赤色やピンク色に着色するのは花ではなく、葉が変形した仏炎苞(ぶつえんほう)と呼ばれる部分で、花は仏炎苞から細く伸びたひも状の部分(肉穂花序)に多数つくのが特徴です。
熱帯に自生するアンスリウムは暑さには比較的強いですが、寒さが苦手です。春から秋が生育が旺盛になり、5月~10月が開花時期です。手間のかからず丈夫な植物ですので、初心者の人にもおすすめの観葉植物です。
学名 | Anthurium |
属名 | サトイモ科ベニウチワ属(アンスリウム属) |
原産地 | 熱帯アメリカ~西インド諸島 |
樹高 | 30㎝~80㎝ |
耐寒性等 | 耐寒性 弱い 耐暑性 やや強い |
花言葉 | 「煩悩」「恋にもだえる心」 |
栽培環境
置き場所は、カーテン越しに日射しが入る室内がおすすめです。耐陰性も弱くはありませんが日が当たらない場所におくと、株が弱ります。直射日光に当てると葉焼けの可能性があるので気をつけましょう。
寒さには弱いので、冬は室内に取り込みましょう。水やりは根には鉢土が乾いてから水を与えます。水の上げすぎは根腐れの原因となりますので気をつけます。葉は過湿を好みますのでできれば毎日葉水を与えます。
植えつけ、植え替え
親株のまわりに子株がよくできます。子株を切り分け、古い用土を良くほぐし古い根はハサミで切りとってから、鉢に植え替えします。時期は初夏の5月から7月頃、2年~3年に1度行いましょう。
ふやし方
挿し木と、株分けで増やすことができます。
挿し木は、5月から7月頃に、茎の先端を10㎝から15㎝の長さに切り、上部の葉を2枚ほど残して挿し穂にします。用土はバーミキュライトが適しています。 株分けは、植え替えの時期に親株のまわりにできた子株を切り分けて、子株を植え替えることで増やすことができます。
またアンスリウムは耐陰性もあり室内でも育てられることから、土だけでなく、ハイドロカルチャーなどの水耕栽培でも育てることができます。
花茎切り
花色(苞)が褪せてきたら、早めに花茎を根本から切り取りします。切り取った花は切り花として楽しむこともできます。
害虫に気をつけましょう
アンスリウムに限ったことではないですが、植物はカイガラムシ、ハダニ、アブラムシが発生して寄生しやすいです。野外であればある程、発生し易いといえます。これらの虫が発生した時は、粘着テープで除去する、また殺虫剤などの薬剤で駆除、防虫する方法があります。どちらにせよ、早く対応するに越したことはないので、発見した時はすぐに駆除するようにしましょう。
多く発生している場合は、殺虫殺菌スプレーの「ベニカ」シリーズで害虫退治するのがおすすめです。(ホームセンターのガーデニング・園芸、ガーデニンググッズコーナーによく置かれています)