葉に美しい模様が入るアグラオネマは、耐陰性が強く日が当たらない室内でも葉色がかわらないのでインテリアグリーンとしても人気があり、水耕栽培でも育てやすい植物です。
この記事では、剪定したアグラオネマの茎や、株分けしたアグラオネマを使った水耕栽培やハイドロカルチャ―への植え替え、育て方のポイントなどを初心者の方にもわかりやすく説明します。
アグラオネマの水耕栽培について
アグラオネマの特徴
植物の栽培をするうえで、その植物の特徴を知っておくことは大切です。自生地や生育期などを知ればその植物がどのような環境で育てると枯れずに育つのかわかってきます。
アグラオネマは、熱帯地方に自生するサトイモ科の常緑多年草です。品種により直立性とほふく性があり、葉色の変化が多く白い斑が入るものや、ストライプ柄やモザイク(迷彩)柄、赤ピンク色の葉など美しい葉をもつものが多くあります。
直立性のものは1m程度になるものあるが、鉢植えは30cm~50cm程度になるものがおおく、姿が崩れにくいので手間がかかりません。直射日光が苦手で、耐陰性がつよいので一年中室内で育てても葉色が悪くならないので、水耕栽培にも向いています。高温多湿を好み、寒さが苦手なので冬は暖かい場所で管理して育てます。
学名 | Aglaonema |
属名 | サトイモ科 リョクチク属(アグラオネマ属) |
原産地 | インド~東南アジア、中国南部 |
樹高 | 10㎝~1m |
耐寒性等 | 耐寒性 弱い 耐暑性 強い |
花言葉 | 「青春の輝き」「スマート」 |
アグラオネマの品種
アグラオネマは多くの品種があります。人気の園芸種をいくつか紹介します。
品種名 | アグラオネマ シルバークイーン | アグラオネマ ビューティー | アグラオネマ マリア | アグラオネマ レディバレンタイン | アグラオネマ カーティシー | アグラオネマ レッドゴールド |
---|---|---|---|---|---|---|
概要 | ||||||
特徴 | 細長い緑色の葉にシルバーの斑が入る人気種 直立性 | 鮮やかな赤ピンクの斑が美しい品種 直立性 | 細長い葉に、まだらに白い斑が入る 直立性 | 卵型の葉にピンク色の斑が可愛らしい品種 直立性 | 映画レオンで有名なったレア品種 細長い葉に白い斑が入ります。ほふく性。 | 葉のふちに赤の斑 茎がピンク色になる美しい品種 直立性 |
アグラオネマの水耕栽培の始め方と時期
アグラオネマの水耕栽培は、直立性の品種は挿し木(水挿し)から、ほふく性の品種は株分けで始めます。大きくなった苗を、ハイドロカルチャーなどに植え替えると、水耕栽培の環境になじまず枯れてしまうことがあります。
水耕栽培を始める時は、植物の生育期にはじめるとよいでしょう。アグラオネマの生育期は5月~9月。生育初期にはじめると、その後の生育がスムーズなので、適期は6月~7月です。
アグラオネマの苗の準備
水耕栽培を始める前に、まずはアグラオネマの苗を準備しましょう。アグラオネマは株立ちする品種は、毎年植え替えが必要なほど、生育が早いので植え替え時に株分けしてします。直立性の品種は、茎の部分が伸びて下葉がおちてくるので仕立て直しするときに、茎を切って挿し木にします。
剪定した茎を使う場合
アグラオネマは、成長すると茎の部分が伸びて、株の下側が茶色く枯れたようになってきます。この茎節のある部分を切り取って挿し木にすることができます。
新しい根は茎節の部分から出てきます。伸びた茎を先端から10~15㎝ほど切り取って使います。上の葉を2~3枚残し、あとは切り落とします。上の葉が大きい場合には、葉からの蒸散を防ぐため半分ほどに切っておきます。切り口は斜めにスパッと切っておきましょう。茎節の周辺から白い根っこが生えてきます。茎節が2~3節程度あるのが理想的です。
またアグラオネマは成長すると、茎の途中から気根(きこん)とよばれる茶色い根が生えてきます。支柱として枝のような役割をしますが、水に入れると、ここからも根が出て伸びます。
元の株も、茎節からまた新しい葉が生えてくるのでそのまま育てましょう。
株分けした子株を使う場合
アグラオネマは株立ちする品種もあります。株立ちする品種は成長すると親株の横から子株がでて増えていきます。この子株を植え替え時に株分けして水栽培してみましょう。
株分けの手順
- 植え替える鉢植えのアグラオネマは、事前にしばらく水やりをせず乾いた土の状態で始めます。
- 鉢からアグラオネマを取り出し、根から土をほぐして落とします。
- 親株と子株の根を丁寧にほぐして分けましょう。
- 水栽培に使う子株は、根を水でよく洗い土を落とします。園芸用のシャワーノズルなどがあればより根元の土を落とすことができます。
- 傷んだ根や、長すぎる根は清潔なハサミで切ります。日陰で切った根を乾かしておくと雑菌が入りにくくなります。
アグラオネマの水挿しの手順
それでは、準備できた苗を使って水挿しの手順を説明します。
準備するもの
- 剪定した茎
- 透明な器(空き瓶やグラス・ペットボトルなどでもOK。ある程度の高さがあってアグラオネマを支えられるもの)
- メネデール(発根促進剤なくても可・気根がない場合などは発根の成功率が上がります)
手順
- 容器に水(水道水)を入れます。メネデールを使う場合は100倍に希釈した水を使います。
- アグラオネマの苗を入れます。気根や節が水につかるまで入れます。
- 発芽するまで2~3日に1回に水は変えましょう。
- 2週間程度は明るい日陰で室内で管理しましょう。1か月~2か月程度で新しい根が生えてきます。
- 根が十分に発根したら、ハイドロカルチャーや水栽培(水耕栽培)で育てましょう。
発根促進剤について
アグラオネマは、生育期であれば水だけでも発根しますが、発根を早くしたり太く丈夫で元気な根を促進させるために、発根促進剤も有効です。植物活力素 メネデールは、発根だけでなく肥料でも農薬でもないので、発根時以外の水栽培で元気がなくなったときなどにも使えます。水替えのときに発根するまで入れると効果的です。水替えの都度でなくとも、1週間に一度でも入れてあげる、また希釈率を200倍にしても効果はあります。
アグラオネマの水栽培の手順
準備するもの
- 水挿しで発根したアグラオネマの苗 or 株分けして土を洗い流したアグラオネマの苗
- 容器(透明なガラスのほうが根の成長も見え水量も調整しやすい)
- 根腐れ防止剤(ミリオンA・ゼオライトなど)
手順
- 器の底に根腐れ防止剤をいれます。鉢底が隠れる程度OK
- 苗を入れます。
- 器に水道水を入れます。この時の水位は根が全部浸からない程度。3分の2が水に浸かっているぐらいがよいでしょう。せめて3㎝程度は空気に当ててください
- 水替えは1週間に一度程度行います。根腐れ防止剤を使わない場合は2~3日に一度は替えます。
ハイドロカルチャーへの植え替え
土を使わないで植物を育てる栽培方法を水耕栽培と言いますが、水耕栽培の中でも土の代わりに用土(培土)として、ハイドロコーン、ハイドロボールという丸い発泡煉石を使用したり、ゼオライトを使用して栽培する方法をハイドロカルチャーと呼びます。水だけの栽培とは異なり、植物を固定することもでき、根域の水分量の維持をすることもでき、またインテリアとしてもハイドロカルチャーでの栽培は人気があります。
水栽培で育てたアグラオネマは、水耕栽培で育てたいときには、ハイドロカルチャーに植え替えて育てるのがおすすめです。小さな苗や株分けした子株なども直接ハイドロカルチャーへ植え替える方法もありますが、土で育った根は水耕栽培にうまく移行できないことがあるため、できれば上記の水栽培で水耕栽培用の根を発根させてから移行させましょう。
準備するもの
- 水挿し、水栽培で発根したアグラオネマの苗
- ハイドロボールなどの人工石
- ミリオンA・ゼオライトなどの根腐れ防止剤
- 底に穴がない鉢(透明な容器であれば水位がわかりやすくなります)
- 土入れ(小さな容器に植え付けるときはスプーンなどで代用可)
- ハサミ
- 割り箸等の棒状のもの
- この他、水やりをするじょうろや、ピンセットなどがあると便利です。水やりの失敗が少ない水位計もおすすめ
手順
- 底穴のない鉢に、根腐れ防止剤としてゼオライトを底が見えなくなる程度入れる
- ハイドロボールをゼオライトの上にいれます。
- アグラオネマの苗をハイドロボールの上に置き、根を広げます。
- 根と容器の間にハイドロボールを入れて固定します。
- 最後にじょうろで水やりを。水の量は容器の5分の1程度与えます。水位計を使っている場合は、最適水位(OPT)まで入れましょう。
ハイドロボールは使う前に一度洗っておきましょう。ハイドロカルチャーでの多肉植物の育て方の詳しい記事もあります。ハイドロカルチャ―の用土などにに興味のあるかたはお読みください。
アグラオネマの水耕栽培での育て方
置き場所、日当たり
アグラオネマは、直射日光に当てると葉焼けを起こします。耐陰性もあるので日陰でも育ちますが、ずっと日陰に置いておくと株が軟弱になることがあります。ときどきは日に当ててあげましょう。急な強い光は厳禁です。明るい窓辺などに置いてあげるとよいでしょう。
生育期の春から秋は、風通しのよい半日陰か明るい日陰で管理し、冬は寒さに弱いので明るい窓際などの室内で、12℃以下にならないようば場所で管理しましょう。窓際は夜になると急激に温度が下がるので注意が必要です。生育適温は25℃前後です。
水の量と交換時期
植物は葉や茎そして根からも酸素を吸収しています。水栽培で育てている場合は土やハイドロカルチャーに比べて、酸素が吸収しにくくなります。水の温度が上がると酸素の溶け込む量がすくなくなるため、弱って枯れてしまう可能性もあります。特に夏場は注意が必要です。
理想的な水栽培の水位は、根の半分から3分の2が浸かる程度。少なくとも根元3㎝は空気に触れるようにします。水は週に1回程度、ただし気温が高くなると水が濁るので濁ったら水を交換します。容器に苔がつくことがあります。水替えの時に容器も洗ってあげましょう。
またアグラオネマは空中湿度を好みます。葉水は1日に2~3回与えてあげるとよいでしょう。
ハイドロカルチャーの水やり
ハイドロカルチャーは、水を鉢の中に溜めて育てます。ハイドロボールなどは外から乾いているようでも鉢の中側は湿っていることも多いです。生育期である春から夏は、鉢の中が乾いてから2日~3日ほど待ってから与えましょう。葉水を1日2回~3回与えましょう。
水は鉢の5分の1まで、容器にもよりますが鉢底1cm程度で大丈夫です。水位計を使っている場合も同様に、水位計の針がmin(水切れ)まで下がってから2~3日ほど待ってから水をopt(適正水位)まで入れます。秋から水やりの回数を減らし、休眠期の冬は、ときどき霧吹きで水を上げる葉水で行います。冬でも室内の温度が高い場合には、適宜水やりをしましょう。
もし水を入れすぎてしまったら、鉢の上からタオルなどで押さえて、鉢を傾けて水を出しましょう。水耕栽培は新鮮な水を与えることが大切です。水をいれすぎると、根腐れのほかにも、水が腐る可能性もあります。
ハイドロカルチャーの水やりは意外と難しいので、水位計があると安心です
肥料
ハイドロカルチャーで育てるときには土から栄養をとれないため正しく肥料を与える必要があります。肥料は、粒上肥料や液体肥料(液肥)などがありますが、ハイドロカルチャーに最適な肥料は液体肥料です。
春から秋の生育期は、水やりの代わりに1か月に1度程度、水耕栽培用の肥料を与えます。容器に書いてある希釈量で薄め、さらに2倍の量で薄めたものを与えます。(あくまで目安)。肥料の上げすぎは枯れる原因にもなりますので、必ず希釈量を守りましょう。
水栽培やハイドロカルチャーに使える肥料は、ハイポネックス微粉やハイポニカ液体肥料などがあります。
ハイドロカルチャーの肥料についての記事がありますので、肥料について興味のある方はお読みください。
植え替え
ハイドロカルチャーは、育てていると周りにカビや藻などが生えてきます。また根が張って根詰まりを起こしているようなら、一回り大きな鉢に植え替えをしましょう。植え替えは6月~7月が適期です。
ハイドロボールなどの資材は、洗って再利用することができます。再利用する場合はよく洗って日に当て乾かしてから使用します。
まとめ
アグラオネマは種類も豊富で、最近では小さなものならダイソーなどの100均でも手に入る手軽な観葉植物です。サトイモ科の植物は丈夫で育てやすいので、水耕栽培に向いています。ホームセンターやインターネットでもハイドロカルチャーの苗を見かけます。他にもサトイモ科の植物は、ポトスやモンステラなどは特に人気があり、他にもクワズイモ、アンスリウム、マドカズラなどがあります。
水栽培は、土や病気の心配も少なく手入れも簡単です。初心者の方でも思いついたら、水とペットボトル・空き瓶などの器があればすぐ始められる栽培方法です。ハーブなどは収穫も楽しめます。家の中にグリーンがあると癒されます。
さまざまな葉色が美しいアグラオネマ、同じ品種でも個体差があり様々な表情が楽しめます。好みのものを見つけて育ててみましょう。レア種や価格の高いものは育てにくい品種です。まずは手に入れやすい安価なものから、この記事を参考にしてアグラオネマの水耕栽培を始めて、おしゃれにお部屋に飾ってみてください。
『農家web』にはこのほかにも、水耕栽培のコンテンツが豊富です。観葉植物だけでなく、多肉植物や花を楽しむ球根、野菜やハーブなどは収穫も楽しめます。
品種名から栽培方法を探すことができます。
水耕栽培のコンテンツを種類別から探せます。
多肉植物
球根
観葉植物
野菜