多肉植物のアカベは、鋭い棘が付いた多肉質な葉がロゼット状や放射線状に広がる個性的な見た目で、コーデックスと並び男性にも人気の観葉植物です。ここではアガベの鉢植えから水耕栽培への植え替えの手順や水耕栽培での育て方などをわかりやすく説明します。
アガベの水耕栽培 苗からの植え替えの手順
水栽培を始める時期
水栽培を始めるには植物の生育期が適期です。夏型のアガベですが、最近の日本の夏の暑さはアガベにとっても暑すぎます。適期は3月から6月、または9月から10月です。
失敗したくない人はできれば春の4月~6月がおすすめ。この頃であれば生育期間が長く、気温も安定しているので、成功率が上がります。
植え替えや、株分けなどは植物にとっては、手術です。生育期以外に行うと、株に負担がかかり枯れてしまうこともあります。冬に苗を購入した場合は、生育もゆるやかですので、そのまま土で育て、適期に始めましょう。
ここでは、鉢植えのアガベの苗をつかった、水栽培への植え替えの手順について説明します。アガベは親株の横から子株がでてくるので、株分けした子株をつかって水栽培するのもおすすめです。
準備するもの
- アガベの苗
- 透明なガラスの器(空き瓶やグラス・ペットボトルなどでもOK)
- ハサミ、カッター(ライターなどであぶって消毒しておく)
手順
- 土から水に植え替えるアガベは1週間ほど水を上げずに乾燥させてから、鉢から外します。
- 根っこをほぐすように土を落とし水で洗い流します。
- 根元を2㎝ほど残して、カッターやハサミで切り落とします。カッターやハサミはライターなどであぶって消毒をしておきましょう。
- 室内の日の当たらない場所で、新聞紙などの上で2~3日乾かします。切り口が湿ったままだと病原菌が発生する恐れもあり、根の傷口をふさぐためにも大切なステップです。ここで土で育っていた根が役割を終えます。
- 切り口が乾いたら、アガベの根が、水面ギリギリになるように水をいれて、器にセットします。
- 室内に日陰に置いて、2~3日に一度水を交換して発根するまで待ちます。早ければ2~3週間で根がでてきます。
発根促進剤について
アガベは、生育期であれば水だけでも発根しますが、発根を早くしたり太く元気な根を促進させるために、発根促進剤も有効です。植物活力素 メネデールは、発根だけでなく肥料でも農薬でもないので、発根時以外の水栽培で元気がなくなったときなどにも使えます
ハイドロカルチャーへの植え替え
土を使わないで植物を育てる栽培方法を水耕栽培と言いますが、水耕栽培の中でも土の代わりに用土(培土)として、ハイドロコーン、ハイドロボールという丸い発泡煉石を使用したり、ゼオライトを使用して栽培する方法をハイドロカルチャーと呼びます。水だけの栽培とは異なり、植物を固定することもでき、根域の水分量の維持をすることもでき、またインテリアとしてもハイドロカルチャーでの栽培は人気があります
ハイドロカルチャーでの植え替え方法の手順を説明します。鉢植えで育った苗は土をよく水洗いして、乾燥させてから植えつけるやり方もありますが、できれば土の根を終えて水栽培用の根を発芽させてから使うのがおすすめです。
準備するもの
- 水栽培用に発根したアガベの苗
- ハイドロボールなどの人工石
- ミリオンA・ゼオライトなどの根腐れ防止剤
- 底に穴がない鉢(透明な容器であれば水位がわかりやすくなります)
- 土入れ(小さな容器に植え付けるときはスプーンなどで代用可)
- ハサミ
- 割り箸等の棒状のもの
- この他、水やりをするじょうろや、ピンセットなどがあると便利です。水やりの失敗が少ない水位計もおすすめ
手順
- 底穴のない鉢に、根腐れ防止剤としてゼオライトを底が見えなくなる程度入れる
- ハイドロボールをゼオライトの上にいれます。
- アガベの苗をハイドロボールの上に置き、根を広げます。
- 根と容器の間にハイドロボールを入れて固定します。
- 最後にじょうろで水やりを。水の量は容器の6分の1程度与えます。水位計を使っている場合は、最適水位(OPT)まで入れましょう。
ハイドロカルチャーでの多肉植物の育て方の詳しい記事もありますのでハイドロカルチャ―に興味のあるかたはお読みください
アガベの水耕栽培での育て方
アガベの特徴
植物の栽培をするうえで、その植物の特徴を知っておくことは大切です。自生地や生育期などを知ればその植物がどのような環境で育てると枯れずに育つのかわかってきます。
多肉植物はその生育期によって、春秋型・夏型・冬型を区分けされておりアガベは、 「夏型」です。夏に盛んに生育するタイプです。多くは生育適温が20〜30°Cの範囲にあり、春と秋はゆっくり生育し、冬は休眠します。シャープなフォルムを持つ多肉タイプです。
アガベは、徒長するとシャープでかっこいい株姿が崩れてしまいます。徒長の原因は一番は日照不足、次に肥料や水の与えすぎといわれます。水耕栽培のまま室内で育てる場合は、日照不足により徒長するので多肉植物の中では、少し難易度は難しい種類ですが工夫次第でそだてることができます。また大きく育てたい場合は、土耕栽培が向いています。
園芸分類 | 多肉植物・観葉植物 |
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学名 | Agave |
属名 | キジカクシ科(クサスギカズラ科) リュウゼツラン属 |
原産地 | アメリカ大陸 |
草丈・樹高 | 10㎝~300㎝ |
耐寒性等 | 耐寒性 普通 耐暑性 強い |
種類
アガベの人気種をいくつか紹介します。品種により成長する大きさや耐寒性にも差があるので、それぞれに合った環境で育てましょう。
品種名 | 特 徴 |
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チタノタ | 直径30㎝~90㎝ほどの人気種。葉の縁の棘が特徴的。 暑さに強く強い光を好みます。 |
ホリダ | 直径30㎝~60㎝ほどの中型の人気の品種。 細く薄い葉と、葉の縁の鋸歯の色が特徴。 幼木では赤く成長するとアッシュグレーになります。 |
ササノユキ(笹の雪) | 別名ビクトリア・レジーナ。直径30㎝~50㎝ほど。 笹に雪が積もったように見える葉が特徴。 葉が密集しているので蒸れに注意が必要 |
アオノリュウゼツラン (青の竜舌蘭) | アメリカーナの基本種で、直径2m以上にもなる大型種。 耐暑性・耐寒性に優れて露地栽培も可能。 |
ライジン(雷神) | 直径1mほどに生長する中型種。 葉は青みを帯びてロゼット状に成長します。 暖地であれば露地植えも可能な品種です。 |
パラサナ | 直径30㎝~80㎝。ブルーグレーの葉が魅力。 別名「キャベツヘッドアガベ」とも呼ばれます。 耐暑性・耐寒性ともに強く、霜に当てなければ外での管理も可能。 |
置き場所、日当たり
多肉植物は日当たりの良い風通しのよいところが大好きです。特にアガベは日照不足になると、ひょろひょろと葉や茎が伸びる徒長をおこしやすくなります。
室内でもなるべく明るい場所で管理しましょう。ただし夏は直射日光に当てると葉焼けする他、水の温度が上がりすぎてしまうことがありますので、暑い時期の直射日光は避けましょう。日が当たらない場所で育てる場合は、LEDライトなどで補うとよいでしょう。
葉が密になる種類は、空気が循環しない場所ではサーキュレターなども使うとよいでしょう。
室内で育てている場合は問題ありませんが、寒さには強くありません。5℃以下にならない場所で管理しましょう。冬などは窓際に置いておくと、夜に急激に温度が下がることもあるので注意しましょう。
水の量と交換時期
植物は葉や茎そして根からも酸素を吸収しています。水栽培で育てている場合は土やハイドロカルチャーに比べて、酸素が吸収しにくくなります。水の温度が上がると酸素の溶け込む量がすくなくなるため、特に夏場は注意が必要です。
理想的な水栽培の水位は、根の半分から3分の2が浸かる程度。少なくとも根元3㎝は空気に触れるようにします。水は週に1回程度、ただし気温が高くなると水が濁るので濁ったら水を交換します。容器に苔がつくことがあります。水替えの時に容器も洗ってあげましょう。
ハイドロカルチャーの水やり
多肉植物は、生育期と休眠期で水やりの量を変える必要があります。ハイドロカルチャーでもそれは同じです。
ハイドロカルチャーは、水を鉢の中に溜めて育てるます。ハイドロボールなどは外から乾いているようでも鉢の中側は湿っていることも多いです。生育期である春から夏は、鉢の中が乾いてから3日~5日ほど待ってから与えましょう。
水は鉢の6分の1まで、容器にもよりますが鉢底1cm程度で大丈夫です。水位計を使っている場合も同様に、水位計の針がmin(水切れ)まで下がってから3~5日ほど待ってから水をopt(適正水位)まで入れます。秋から水やりの回数を減らし、休眠期の冬は、月に1~2回、霧吹きで水を上げる葉水で行います。多肉植物の場合は葉水といっても、葉ではなく根元を濡らしましょう。
もし水を入れすぎてしまったら、鉢の上からタオルなどで押さえて、鉢を傾けて水を出しましょう。水耕栽培は新鮮な水を与えることが大切です。水をいれすぎると、根腐れのほかにも、水が腐る可能性もあります。
水位計は、ハイドロカルチャーの水やりは意外と難しいので、水位計があると安心です
肥料
アガベの水栽培は、肥料がなくても育ちます。肥料を使うと生育が早くなったり、葉が大きく広がります。水栽培の肥料は、液体肥料(液肥)を薄めて使います。春から秋まで月に2回ほど液体肥料を与えます。水の交換のときか、ハイドロカルチャーの場合は水やりのときに水代わりに規定量より薄めて使います。肥料を使うと藻が発生しやすいので、水草用の肥料もおすすめです。
水栽培やハイドロカルチャーに使える液肥は、ハイポネックスやハイポニカ液体肥料や水草用メネデールなどがあります。
アカベの土壌栽培
水栽培で発根させたアガベは、土に植え替えて育てることもできます。アガベは、大きく育てるなら土壌栽培がおすすめです。土での育て方やふやし方などは、こちらの記事も参考にしてください。
まとめ
アガベは多肉植物の中でも暑さ寒さに強い品種が多いので、置き場所と水やりを間違えなければ枯れにくく、品種も豊富でで植物を育てるのが初めての人にもおすすめです。アロエと似ていますが違う品種です。
ただ株が大きいものは、価格が高いので水栽培を始めるのであれば、子株や抜き苗から始めるのがおすすめです。ダイソーなどの100均などでも小さな苗が販売されていることありますよ。
水栽培の方が発根が早いので、最近では未発根の子株や、根がなかなか生えないアガベに水栽培で発根させてから、土に植え替えている人も多いようです。
水栽培は、土や病気の心配もすくない初心者の方でも思いついたら、水とペットボトル・空き瓶などの器があればすぐ始められる栽培方法です。ハーブなどは収穫も楽しめます。ぜひお気に入りのをアガベ見つけたら水栽培に挑戦してみてください。
水耕栽培のコンテンツ
多肉植物の他にも、観葉植物や花を楽しむ球根、育てて収穫できる野菜やハーブも水耕栽培で育てることができます。100均などで購入した苗やタネを使って、簡単に育てることができます。興味のある方は下記の記事も参考にしてください。育てたい品種や野菜・ハーブ名から育て方がわかります。