「追肥」とは
苗の植え付け後(定植後)、作物が生長していくときに、土壌の肥料切れが起こらないように追加で施す肥料を「追肥(ついひ・おいごえ)」と言います。追肥を施す時期が遅れたりすると、植物の生育期に葉の色が薄くなったり、花が小さくなったりして最悪の場合、枯れてしまいます。特に窒素、カリウムは消費されるのが早いので適切な時期に追肥が必要です。
農園や家庭菜園では、化成肥料と有機質のぼかし肥などを株の周囲に散布して土に混ぜこむのが一般的です。コンテナ植えでは、定期的に速効性の液体肥料を施すか、固形肥料を鉢土の上に置いたり浅く埋めたりします(置き肥)。
追肥が必要かどうかは、栽培している土壌や栽培している作物によって異なりますので、それぞれの栽培方法を参考に考えましょう。一般的にトマトやキュウリなど生育期間の長い野菜や、葉が丸まって玉になり始めるころから栄養素を必要とするキャベツやハクサイには追肥が必要となります。
追肥に適しているのは有機肥料?化成肥料?
追肥に適しているのは、与えたらすぐに植物に吸収される速効性肥料です。化成肥料の多くは速効性のため、追肥には化成肥料を選ぶと良いでしょう。代表的なものとして水溶性の肥料(尿素、硫安など)や水に溶かして与える液体肥料があります。ただし、化成肥料の中には表面が樹脂で覆われた被覆配合肥料などの緩効性肥料もありますので注意してください。
有機質肥料(有機肥料)も追肥として使用することは可能ですが、有機質肥料は遅効性肥料であり肥料が効き始めるのが遅いため、有機質肥料を使用したい場合は速効性の化成肥料と合わせて使用しましょう。あらかじめ有機質を混ぜ込んで販売されている「有機入り化成肥料」もおすすめです。
追肥に適している肥料の成分は?
それでは「追肥」として、どのような成分の肥料を選べばよいでしょう。
本来、追肥に限らず施肥は、栽培前に土壌診断などを実施して土壌にはどのような栄養素が残っていて、足りない栄養素は何かを分析してから、必要な栄養素のみ施肥をすることが望ましいです。しかし、家庭菜園や市民農園での栽培や時間やお金の関係で土壌診断ができない場合もありますので、一般的な話として追肥の考え方をお伝えします。
主に三大要素であるN-P-Kの成分のバランスを考えます。作物(植物)の成長に伴って多く吸収され、不足してくる栄養素として窒素、カリウムが挙げられます。基本的にはこれらの不足してくる栄養素を補うための施肥を行います。また、高温期の夏は微量要素(マンガンやホウ素、鉄など)やカルシウムが不足しがちになるため、それらが含まれた肥料を選ぶとトマトの尻腐れなどの欠乏症が起きづらくなります。
追肥におすすめの成分含有量(%)の配合の一例を下の表に記載しますので参考にしてください。
N | P | K |
---|---|---|
8 | 8 | 8 |
7 | 7 | 10 |
6 | 10 | 5 |
18 | 0 | 16 |
追肥が必要な作物、施し方は?
追肥は、果菜類のトマトやきゅうり、根菜類のニンジンやじゃがいも、葉菜類のキャベツやハクサイなど栽培期間の長い作物には不可欠です。
追肥の必要量と施肥の方法は、栽培する作物や植え付ける時期によっても異なるため、各作物の栽培方法を調べておきましょう。