固形肥料とは
固形肥料とは、粉状、粒状、錠剤など固形の状態となった肥料のことです。固形肥料は、その形状や原料の性質、肥効(肥料の効き方)の種類によって、呼び名が変わることがあります。
固形肥料の特徴と簡単な使い方
固形肥料の使い方は製品によっても異なりますが、大きな性質の違いである化成肥料と有機肥料に分けて、特徴と一般的な使い方を説明します。
化成固形肥料と有機固形肥料の特徴・使い方の違い
化成の固形肥料と有機固形肥料の違いについて、下の表にまとめましたので参考にしてください。
化成固形肥料の特徴とその使い方
化成固形肥料と呼ばれているものは、無機質肥料であり、かつ固形化された肥料のことを指していると思われます。このあたりの呼び方は大変曖昧であるため、どのような肥料の性質なのかはそれぞれの製品のラベルなどをよく読んだほうがよいでしょう。
固形化された化成肥料とすると、一般的に以下のような特徴、使用における考え方があります。
- 窒素・りん酸・カリウム(加里)のうち2つ以上を複合した化学肥料である。
- 基本は速効性肥料であり、すぐに効き始めるが肥効は持続しない。そのため、追肥としての使用されることが多い。
- 被覆(コーティング)を施したり、粒の大きさを大きくすることで緩効性肥料として販売されているものもある。緩効性の化成肥料は、追肥だけではなく元肥としても使用することができる。
- 有機質を混ぜ込むことで、速効性と緩効性を備えた肥料もある。有機入り化成肥料と呼ばれることもある。
有機固形肥料の特徴とその使い方
有機固形肥料と呼ばれているものは、有機質肥料であり、かつ固形化された肥料のことを指していると思われます。このあたりの呼び方は大変曖昧であるため、どのような肥料の性質なのかはそれぞれの製品のラベルなどをよく読んだほうがよいでしょう。
固形化された有機肥料とすると、一般的に以下のような特徴、使い方への考え方があります。
固形肥料の種類
固形肥料の形状の種類
形状 | 概要 |
---|---|
粉状 | 細かな粉のようになっており、粉のまま土に混ぜ込んだり、水に溶かして使う。 |
粒状 | 硫安、過石、塩安などを原料に良質の泥炭(木質泥炭)を加えて練り混ぜ、加圧、加熱して腐植酸有機に吸着結合させたものである。 |
錠剤 | 錠剤のように大きめに固められた肥料。散布量などが間違いづらく、鉢植えやプランター栽培におすすめのものである。 |
固形肥料の性質の種類
固形肥料の性質は、大きく「化学肥料(無機質肥料)」と「有機肥料(有機質肥料)」の2つに分けることができます。販売されている固形肥料は、複合されたものが多いため今回は「化成肥料」と「有機肥料」の2つについて解説します。
固形肥料の肥効の種類
固形肥料は、肥効(肥料の効き方)の違いで、速効性肥料、緩効性肥料、遅効性肥料と呼ばれることがあります。元肥には遅効性肥料か緩効性肥料、追肥には緩効性肥料か速効性肥料がおすすめです。
肥料の種類 | 施肥直後の肥効 | 肥効の表れ方 | 持続期間 | 推奨する 利用方法 |
---|---|---|---|---|
緩効性肥料 | すぐに効き始める | 緩やかに長く持続して効く | 2〜6ヶ月程度以上 | 元肥・追肥 |
遅効性肥料 | ほぼ効かない | 微生物による分解が進む30日後くらいから効き始め、長く持続する | 2〜6ヶ月程度以上 | 元肥 |
速効性肥料 | すぐに効く | すぐに効き、持続性はない | 1週間程度 | 追肥 |
固形肥料のおすすめ商品一覧
ハイポネックス
住友化学園芸
商品名 | マイガーデンベジフル | マイガーデン芝生用 |
---|---|---|
概要 | ー | |
有機/化成 | 有機質入り化成 | 有機質入り化成 |
元肥向け/追肥向け | 元肥 | 追肥 |
その他
商品名 | バイオゴールドオリジナル | FIELDWOODS 芝生の肥料 | バロネス 芝生の肥料 |
---|---|---|---|
概要 | |||
有機/化成 | 有機 | 有機質入り化成 | 化成 |
元肥向け/追肥向け | 追肥 | 追肥 | 追肥 |
栽培方法・作物別の固形肥料
観葉植物用の固形肥料
「観葉植物には水やりだけしておけばいいのでは?」と思われる方も多いと思いますが、それは間違いです。もちろん、養分をあまり必要としない植物もありますが、植物は基本的に水、養分、日当たり(日光)が欠かせません。一度、栄養不足になった観葉植物を復活させることは大変な労力と時間がかかりますので、そうならないように日頃から肥料をあげましょう。
植え替えのとき
観葉植物を植え替えるときには、事前に土の中に肥料を混ぜ込みます(元肥)。混ぜ込む肥料は緩効性もしくは遅効性の固形肥料がおすすめです。
植え替えのときの元肥としておすすめの商品がハイポネックスの「マグァンプK中粒」です。植物の植えつけ、植え替え時に用土に混ぜ込むだけで、ゆっくり長く(約1年間)効き続け、植物の生育を良くしてくれます。またリン酸が豊富に含まれているので、花付き、実付きがよくなります。
追肥として
植物が成長を維持するために肥料を定期的に施して養分を与えます(追肥)。観葉植物の追肥に適した固形肥料としては、主に粒状のもの、錠剤のものがあります。追肥には速効性肥料、緩効性肥料が適していますが、一度施肥をしたら1〜2ヶ月は施肥がいらない緩効性肥料がおすすめです。追肥を施す目安は、緩効性肥料の場合2ヶ月に1回程度です(速効性肥料の場合は、1週間に1回程度)。屋外にある観葉植物については、冬の施肥は不要となります。観葉植物は、最低気温が15℃以上になるときに養分を必要としますので、室内で育てられている観葉植物は引き続き肥料を与えましょう。
粒状の肥料でおすすめの商品がハイポネックスの「マグァンプK小粒」です。株元にばらまくタイプの追肥で約2ヶ月間効果が持続します。「マグァンプK中粒」と同様、リン酸が多く含まれているので花付き、実付きが良くなります。
また、錠剤タイプの肥料でおすすめの商品がハイポネックス「錠剤肥料 観葉植物用」です。可愛いハート型の錠剤で土の上に置くだけで、1ヶ月間安定した効果が持続します。可愛いくて匂いも少ないので室内の観葉植物にぴったりです。
庭木・果樹向けの固形肥料
上記で紹介した「マグァンプK」なども庭木・果樹に使えますが、専用の肥料もあるので試してみるのも良いでしょう。庭木・果樹向けの肥料もリン酸が豊富に含まれているので花付き、実付きがよくなります。
朝日工業の「庭木と果樹の肥料」は有機成分を含み、果実の食味を向上させてくれます。
また、鉢植えのかんきつ、果樹用の肥料としては錠剤タイプのハイポネックス「錠剤肥料シリーズ かんきつ・果樹用」があります。置くだけで約1〜2ヶ月、肥効が続きますので使いやすい肥料です。
野菜栽培用の固形肥料
野菜栽培に使用できる固形肥料は、たくさんの種類があります。前提として、元肥には緩効性・遅効性の固形肥料、追肥には緩効性・速効性の固形肥料がおすすめです。今回は、たくさんある固形肥料の中から簡単に使える肥料を紹介します。
元肥として
元肥としておすすめのものは、緩効性・遅効性の固形肥料です。具体的には有機質入りの化成肥料や被覆(コーティング)処理などがされた化成肥料がおすすめです。用土に混ぜ込むことによってゆっくりと効き、肥効が持続します。
その中でも家庭菜園などで使いやすくバランスの取れた肥料として、住友化学園芸の「マイガーデンベジフル」がおすすめです。窒素、リン酸、カリウム(加里)がバランス良く含まれており、トマトやピーマン、イチゴ、ナス、キュウリなど様々な野菜に使用することができます。また、緩効性肥料であり、元肥にも追肥にも使用できます。
追肥として
追肥としておすすめのものは、緩効性・速効性の固形肥料です。固形肥料だけではなく液体肥料もおすすめです。
おすすめの固形肥料は、ハイポネックス「トマトの肥料」です。商品名が「トマトの肥料」となっていますが、トマト以外にもキュウリ、ナス、ピーマンや小松菜など葉菜類、ラディッシュなどの根菜類にも使用できます。錠剤タイプで土に置くだけでいい手軽さ、早く効く成分とゆっくり効く有機質の成分を配合している機能の高さがおすすめできるポイントです。プランター栽培や鉢植えにもおすすめです。
また、有機肥料で栽培したい方には「バイオゴールドオリジナル」をおすすめします。バイオゴールドの独自製法 純菌発酵によりたっぷりと時間をかけ熟成した究極の天然有機肥料であり、様々な野菜に使用することができます。有機肥料ながら発酵させることによって、速効性を高め追肥としても役立つ肥料になっているものと考えられます。
芝生用の固形肥料
芝生は、固形肥料をベースに施肥を考えます。芝生用の液体肥料(液肥)もありますが、液体肥料の場合、一定間隔で土壌散布し続けなければならないことや液体肥料だけでは補えない成分があることから、粒状の固形肥料をベースに使用して液体肥料を追加で使用するとさらに栽培が楽になると思います。
芝生用の固形肥料は、芝生に適した溶け方、成分に調整されているので、とても効果が得られやすいです。汎用的な化成肥料でも育ちますが、肥効が実感しにくいと思われます。窒素、リン酸、カリウム(加里)がバランスよく含まれた肥料で、肥料焼けがしにくいものを選びましょう。
芝生用の固形肥料としておすすめの商品はハイポネックスの「芝生の肥料」、住友化学園芸の「マイガーデン芝生用」、FIELDWOODSの「芝生の肥料」です。どれもバランス良く肥料成分が含まれています。また、小さな粒や細粒になっているため、芝の隙間に入り込みやすいようになっています。FIELDWOODSの「芝生の肥料」は有機質入りのため、少しニオイがします。臭いのない肥料をお求めの方はバロネスの「芝生の肥料」もおすすめです。
固形肥料だけではなく液体肥料(液肥)という選択も
栽培方法や作物別に固形肥料を紹介しました。ただ、固形肥料だけではなく液体肥料(液肥)も活用することによって、さらに手軽に、元気な植物を栽培することができます。液体肥料については、下記の記事にも記載していますので一度ご覧ください。
固形肥料の購入
店舗で購入する
上記で紹介した固形肥料は、一般的な大規模ホームセンターでも販売されています。ただし、専門的な固形肥料はコメリなど、農業・園芸に特化したホームセンターにしかない場合があります。
また、ダイソーにも液体肥料が販売されていることがありますが、取り扱いのない店舗も多いようなので注意が必要です。
通販で購入する
店舗で実物をみて購入することも良いことですが、「その店舗での取り扱いがない」ことや「そもそもその商品がホームセンターなどの小売店で販売されていない」ことも多いです。時間とお金を節約するため、積極的に通販(インターネットショッピング)を利用しましょう。今ではAmazonや楽天市場など様々なECサイトで農業・園芸用品が取り扱われています。店舗よりも安く購入できる場合も多いですので、一度のぞいてみましょう。