土壌消毒剤・土壌殺菌剤

土壌消毒 土壌還元消毒の基本のやり方

土壌消毒剤・土壌殺菌剤

土壌消毒には化学農薬を使った方法の他、熱を利用する太陽熱消毒や土壌還元消毒などの物理的消毒の方法もあります。ここでは土壌還元消毒について、その基本情報ややり方について説明します。

この記事の執筆者・監修者
農家web編集部
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土壌還元消毒とは

土壌還元消毒は、化学農薬を使わない熱を利用した土壌消毒のやり方の一つで、分解しやすい有機物を土壌に混和して大量の灌水を行うことで、土壌微生物を増やし土壌を酸欠状態(還元状態)にさせます。

還元(酸欠)状態になった土壌では酸素を必要とする病原菌の死滅の他、酸素を必要としない(嫌気性)微生物の様々な働きにより、病原菌が死滅し防除効果を得ることができます。

太陽熱消毒に比べて低温の時期にも効果があり、平均気温18℃以上で1日あたりの日照時間が4時間以上、もしくは平均気温20℃以上で1日あたりの日照時間が3時間以上あれば実施可能です。

土壌還元消毒では、連作障害となる青枯病菌、褐色根腐病菌などの病害やセンチュウ類、雑草の防除に効果があります。

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土壌に混和する有機物の種類

ふすま・米ぬか

土壌に混和する有機物は、フスマや米ぬかが使われます。メリットはコストも安価で、肥料としても使われる有機物なので土壌改良効果もあり、窒素も供給されます。デメリットは、資材が作土層(深さ25cm)までしか届かないので土層の比較的深い層に分布するトマトナス等の青枯病菌には消毒効果がないこと、還元化のときにドブ臭くなるため周囲に注意が必要です。

糖蜜・低濃度エタノール

ふすまや米ぬかが深い層に届かない病原菌やセンチュウ類には、液体の糖蜜や低濃度エタノールを使う方法もあります。

メリットとしては、深層部へ消毒が可能なだけではなく、液体なので耕うんの必要がなく、臭いもあまり強くありません。デメリットは、かん水チューブや液肥混入器等のかん水器具が必要なことで、コストもふすまや米ぬかよりかかる場合があります。

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新規資材

ふすまや米ぬかに変わる土壌消毒の新規資材には、「糖含有珪藻土」「糖蜜吸着資材」もあります。粒・粉状ですが水溶性の有機物を含んでいるため深い位置(深さ60cm)まで浸透し、消毒します。

メリットは散布は希釈の手間もなく、ふすま・米ぬかの散布と変わらないため散布方法が簡単なこと、デメリットは還元化の時のドブ臭や、コストはふすまや米ぬかよりかかることがあげられます。

土壌還元消毒の手順・やり方(ふすま・米ぬか・新規資材)

①日程の検討

消毒期間は地温30℃で20日間が基本です。地温が下がる気候が続いた場合は、消毒期間を延長させる必要もあるので、日程には余裕を持たせた日数で計算します。天気の良い日が3日間続く日を選んで行いましょう。

②圃場の準備

日程が決定したら、消毒作業をする圃場の準備をしましょう

  • 畑に残る作物の茎や葉、根などの作物の残渣はできるだけ取り除きます。
  • 土壌をロータリー耕起などで十分に砕土します。
  • 手で軽く握って崩れない程度に散水をします。

③有機物の散布・混和

有機資材を散布します。ふすま、米ぬか、糖含有珪藻土、糖蜜吸着資材は1㎡あたり1kgを圃場全体に均一に散布します。有機資材がしっかり混ざるように、ロータリー耕起などで2回~3回耕起して土壌に混和させます。

④散水

1㎡あたり200L程度、土壌表面に水が浮き出る程度までかん水します。

できれば、かん水チューブ(散水チューブ)を設置しましょう。かん水チューブは60cm~1m間隔で下向きに設置します。

⑤透明フィルムによる被覆

透明なポリエチレンフィルム、POフィルム等の資材で全面を被覆します。気密性を上げるため、シワのないようにピンとはり、資材を重ねて使う場合には、重ねる部分はしっかりと留めるか、余裕を持たせて重ねましょう。

⑥都度散水して、かん水状態を保つ

1週間程度でどぶ臭がしてくれば、うまく還元化が進んでいます。水が足りないと還元しないので、常にかん水状態になるように散水しましょう。

⑦消毒の完了

3週間程度で還元が終了します。還元が完了しているかは、深い部分の土の色が灰青色になっている、どぶ臭がすることで判断できます。

透明フィルムを剥がし、土壌を乾燥させてから耕起します。耕起する場合はロータリーやトラクターのタイヤや耕起部、胴体などをきれいに洗い、再び感染させないことが大切です。

土壌還元消毒の手順・やり方(糖蜜・低濃度エタノール)

糖蜜や低濃度アルコールを使う場合は、それぞれ希釈して希釈液を散水チューブ等で散布する必要があります。

①日程の検討

消毒期間は地温30℃で20日間が基本です。地温が下がる気候が続いた場合は、消毒期間を延長させる必要もあるので、日程には余裕を持たせた日数で計算します。天気の良い日が3日間続く日を選んで行いましょう。

②圃場の準備

日程が決定したら、前日までに消毒作業をする圃場の準備をしましょう

  • 畑に残る作物の茎や葉、根などの作物の残渣はできるだけ取り除きます。
  • 土壌をロータリー耕起などで十分に砕土し、均平にしておきます

③かん水(散水)チューブの設置

かん水チューブを50cm~90cm間隔で下向きに設置し、消毒をする前日か当日には散水をします。散水することで希釈液が均一に浸透し効果が安定します。

④希釈・散布

エタノール、糖蜜は希釈してから使います。大量の水を使うため液肥混入器や大型タンク、動力噴霧器などを用意しましょう。

エタノールは、土壌還元消毒用エタノールを 50~200 倍程度、糖蜜は3倍程度に水で希釈し、さらに液肥混入器で100倍にして散布します。

希釈倍率は、使う資材や作物によっても変わります。実際に使用する際には営農指導者やメーカー、JAなどと相談してから決定しましょう。

⑤透明フィルムによる被覆

土壌が十分に湿ったら透明なポリエチレンフィルム、POフィルム等の資材で全面を被覆します。気密性を上げるため、シワのないようにピンとはり、資材を重ねて使う場合には、重ねる部分はしっかりと留めるか、余裕を持たせて重ねましょう。

⑦消毒の完了

3週間程度で還元が終了します。還元が完了しているかは、深い部分の土の色が灰青色になっている、どぶ臭がすることで判断できます。

透明フィルムを剥がし、土壌を乾燥させてから耕起します。耕起する場合はロータリーやトラクターのタイヤや耕起部、胴体などをきれいに洗い、再び感染させないことが大切です。

その他土壌還元消毒の失敗しないポイント・注意点

土壌還元消毒はハウスでは有効ですが、露地では気温が高い6月~8月頃に行わないと消毒に時間がかかります。また臭いが発生しますので、住宅街などでは注意が必要です。

水はけのよい土壌では難しいので、そのような場所では熱水消毒が有効です。希釈前のエタノールなどは取り扱いに十分注意しましょう。

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農家web編集部のメンバーが「農業者による農業者のための情報サイト」をコンセプトに、農業に関するあらゆる情報を丁寧にまとめてお届けしていきます。
編集部のメンバーは皆、実際に農業に携わりながら情報をまとめています。農学を極め樹木医の資格を持つ者、法人の経営・財務管理に長けている者、大規模農場の営農経験者などバラエティに富んだメンバーで構成されています。他にも農機具やスマート農業機器、ITなどのスキルも兼ね備えています。

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